日本の経済成長ってどうなっているの? 2016.8.5

 最近の日本経済の低迷はわかっていたが、実質どこまで悪くなっているのか正確なデータが欲しいところである。まずGDPで比較してみよう。ガベージニュースの主要国のGDPをグラフ化してみる(2016年)(最新)(2016/01/01)によると、

↑ 世界全体に占める各国名目GDP比(2016年、IMF予想)
図1. 出典:主要国のGDPをグラフ化してみる(2016年)(最新)

とあり、日本は世界第3位の経済大国であるが、2位の中国とは3倍近く離されている。つい最近まで日本は世界第2位だったが、中国にあっという間に追い越され、大きな差をつけられている現状を見ることができる。逆に言えば、中国の経済発展はすさまじいものがあったと言える。後続のドイツ、イギリス、フランスはEUとしても見る必要があり、(イギリスはEU離脱するかもしれないが、)世界第3位の意味が微妙になり、日本の立ち位置も微妙となってきているようである。このことは、

↑ 主要国名目GDP推移(1980年-2020年)(2016年時点の上位10位、米ドルベース)(単位:兆米ドル)(IMF予想含む)
図2. 出典:主要国のGDPをグラフ化してみる(2016年)(最新)

をみると、さらに明白になってくる。2016年以降はIMF予想曲線が載せてあるので少々見づらいが、2015年までで切り取って考えてもらいたい。アメリカは2008年頃のリーマンショックで窪みがあるもののコンスタントに経済成長している。中国は2000年ごろはずっと下層に位置していたが、急激に経済成長し続け、2010年頃世界第2位に躍り出し、数十年後には世界トップのアメリカを追い越す勢いである。日本はと言うと、1995年ごろまで高度経済成長期で急激に発展していたが、バブル崩壊後、現在の2016年に至るまでの20年間、良くなったり悪くなったりを繰り返し、ほとんど経済成長していないことがわかる。他の国々はわずかではあるが少しずつ経済成長し、停滞する日本に限りなく接近してきていると言える。下図も同じソースからの参照であるが、図2からアメリカ、中国を除いたものである。

↑ 主要国名目GDP推移(1980年-2020年)(2016年時点の上位10位、米ドルベース)(単位:兆米ドル)(IMF予想含む)(アメリカ合衆国と中国除く)

日本は1995年頃から停滞期に入り、先進ヨーロッパ諸国は着実に経済成長していることがわかる。(と言っても、2008年以降はやや足踏み状態であり、ギリシャ、イタリア危機で2015年度は少し落ち込んだりしている。)注目はインドであり、2000年代に入り急速に経済成長している。この調子でいけば十数年後には日本を追い越すかもしれない。
以下も同じソースからであるが、

↑ 国民一人あたり名目GDP推移(含むIMF予想、万米ドル)

のように、一人あたりの名目GDPの推移が示してある。1995年ごろ日本の一人当たりの名目GDPはアメリカやドイツより上であったが、2015年ではアメリカ、ドイツに追い越され、2010年頃のピーク時からかなり悪くなっている。しかし、この図では、日本の一人当たりのGDPは世界トップクラスであるかのように見えるが、Wedge Infinityの記事、「中国経済「減速」を日本経済の経験から読み解く」から、

のように、近隣諸国と比較すると、台湾には2007年頃追い越され、お隣の韓国とほとんど同じになり、数年後には追い越されるであろう事態となっている。(2015年度の名目GDPでは、日本は26位、韓国30位、台湾36位である。)図1からすべてドルベースで考えてきたが、ドルの価値は年々低下傾向と思われるので、日本のGDPと一人当たりのGDP、一見変化なしや増大しているように見えても、その実質は低下してきたと思われる。つまり、日本はどんどん貧しくなっているのではないであろうか?
 なぜスイスのマクドナルドは時給2000円を払えるのか? (中嶋よしふみ SCOL編集長)では、ビッグマック指数(BMI)(各国のマクドナルドで販売されているビッグマック1個当たりの価格)で各国の経済の指標とする考え方があり、日本は貧乏な国になりつつあると述べている。以下はビッグマック指数の国際比較である。

1位  スイス      764円 
2位  スウェーデン  
621円 
4位  アメリカ     
585円 
16位 ドイツ      
458円 
19位 オーストラリア 
444円 
23位 韓国
             426円
31位 日本       370円 
40位 中国             318円
49位 台湾             246円

世界経済のネタ帳より

一人当たりのGDPと似ているところもあるが、かなり異なっている。
ところで、名目GDPと実質GDPがあるが、その違いがわかるであろうか?単純に売り上げを合計したものが名目GDP、物価の動向を加味して調整したものが実質GDPと言われる。物価が2倍になれば単純に名目GDPは2倍になるので、モノの生産や購買量は変わらなくてもGDPは2倍になってしまう。物価が10倍になれば名目GDPは10倍となり、モノの側面から見ると何も変わらないのにGDPが10倍になるのはおかしいということで、物価の上昇を考慮して調整したものを実質GDPとしている。しかし、これはインフレ時の理論である。現在の日本はデフレであるので、実質GDPで経済成長を考えるとおかしなことになる。不景気なのでモノの値段を安くしなければ売れない。また、一個当たりの利益率も小さくなるので数多く売らなければ利益がでない。それゆえ、販売個数から算出されるような実質GDPでは、企業の利益が減っているような状況下でGDPが上昇することになり、実体経済を表さないことになる。それゆえ、名目GDPのほうが実際の景況感を表していると言われている(参考URL)。さて、ここで問題である。インフレが進む国では実質GDPが実体経済を表し、デフレが進む国(日本)では名目GDPが実体経済を表しているとすると、どうやって国際間の経済を比較できるのであろうか? ビッグマック指数はかなり正確性に欠けるであろうが、大まかな国際間の実体経済を比較するのにちょうどよいのかもしれない。

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最終更新:2016年08月08日 14:30