アットウィキロゴ
9話「      」



死刑囚「今日はいずこ」


♯「遠く」


死刑囚「天国?」


♯「地獄」


死刑囚「大人1枚子供1枚」


♯「子供扱いすんな」


死刑囚「大人1枚幼児1枚!」


♯「わーうわーう!」


死刑囚「トロッコなんて初めて」


♯「敵と乗るのも初めて」


死刑囚「だからぁ・・それは」


♯「遠隔地で消さないでね私を」


死刑囚「消すも何も凶器も無」


♯「貴方握力0?」


死刑囚「え・・」


♯「手は何本?」


死刑囚「ぐぅ・・」


♯「十分でしょ?」


死刑囚「…」


♯「でもー、条件は私も同じ」


死刑囚「じゃ俺は仮にも殺意なんて抱かない、だから」


♯「私は抱くかもね」


死刑囚「なっ」


♯「ハンカチどうぞ」


<空白の絵本>


死刑囚「つきました」


♯「つきました」


死刑囚「どこですか」


♯「染まる街」


死刑囚「はぁ」


♯「あらゆる干渉を受け入れる街」


死刑囚「へぇ」


♯「聞いてください」


死刑囚「やなこったパンナコッタ」


♯「なっ」


死刑囚「ふひひ」


♯「笑顔は可愛いね」


死刑囚「そりゃ、どうも」


♯「言動は悲しいね」


死刑囚「小さいのに大きなお世話ヴぉ」


♯「無せろ」


死刑囚「お手柔らかに頼みますよ」


♯「あれ、その手どうしたの」


死刑囚「いじめっこにやられました」


♯「それは常時不遇、残念な子」


死刑囚「そう!俺は恵まれない18歳!」


♯「サバ数えるのって難しいわよね」


死刑囚「ごめんよ世の中!俺ヤングマン!」


♯「わーうわーう!」


死刑囚「ヤング…マン…マン…」


♯「現実を曲げ疲れたの?」


死刑囚「『俺』はもう『私』じゃないです・・から・・・」


♯「負けず嫌いだけは敵にしたくないね」


死刑囚「まだ俺は色々と負けちゃいないです、」


♯「そう、ふーん」


死刑囚「聞いてください」


♯「やなこったパンナコッタ」


絵本の住人「こんばんは」


死刑囚「どうも」


♯「月も出てないのにね」


死刑囚「悲しいね」


♯「今日は学びに来ました」


絵本の住人「学ぶ・・・?むしろわたしに教えてください」


死刑囚「?」


絵本の住人「わたしたちは他人の文化を学ぶためだけに生きているのです。」


死刑囚「何故」


絵本の住人「何故・・・?」


♯「どうして?私はそれを学びに来たの」


絵本の住人「・・・?」


♯「理由を述べよ」


絵本の住人「楽だからです」


死刑囚「楽・・・」


絵本の住人「深い意味を追い求めるのは哲学者さんだけで十分です」


絵本の住人「そう、例えば白い紙があれば塗りつぶしたくなるでしょう。」


絵本の住人「それです」


絵本の住人「誰しも『染めたい』という支配欲がどこかにあるのです」


絵本の住人「それらを叶えるために・・・わたしたちは今日を生きている」


絵本の住人「誰がこんなふざけた街を作ったか」


絵本の住人「知りません」


絵本の住人「一個人の情報なんて記録しませんから」


絵本の住人「わたしたちはただの一枚の紙です、紙が紙に録すなんて滑稽でしょう?」


死刑囚「・・・」


♯「で、貴方は何故饒舌なの?」


絵本の住人「もう十二分に汚れてますので」


♯「残念ね」


絵本の住人「いいえ、毎日が快楽なのでそれほどでも」


♯「貴方お名前は」


絵本の住人「『お名前』・・・?はて、それは何です?」


♯「・・・心が痛いよ」


絵本の住人「あら、もうこんな時間」


死刑囚「・・いずこへ?」


絵本の住人「絵の具達の元へ」


死刑囚「そう、結局俺は何も変えられない・・・」


死刑囚「・・・おだいじに」


♯「ハンカチ・・もう一枚あるわ・・・」


死刑囚「ありがとう」


♯「居るべき場所に帰りましょ」



 
最終更新:2008年01月14日 23:45