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――開廷
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アサシンほど直接戦闘に向いてないクラスはいない(唐突)
なぜなら、彼らが得意とするものは影からの暗殺であり、
相手と面と向かった戦闘では他のクラスのサーヴァントよりも劣るからである。
一応、アサシンのクラスに属するサーヴァントは『気配遮断』という自分の存在を相手に悟らせないスキルを有しているものの、
戦闘時にそれのランクは大きく下がるため、やはり彼らは直接戦闘と言うものには向いていないと言えるだろう。
まあ、この短所を補うために彼らは不意打ちや闇討ち、奇襲と言った戦法を用いているのだが、それの殆どはかつて歴戦を潜り抜けてきた他のサーヴァントたちにとっては『カスが効かねえんだよ』みたいなものである。
――が、しかし。
先ほど述べたスキル『気配遮断』。これをEX、規格外のランクで――
つまり、『たとえ戦闘時に入ったとしても、相手に自分の気配を悟られない』状態で戦えるアサシンが居たら話はまた別だ。
もし、そんなアサシンが居たら、それは間違いなく究極にして最強の戦士となるだろう。
◇◇◇◇◇◇
下北沢に建つ豪邸の一室で、男は床に『(i)』というマークをより複雑化した召喚陣のようなものを描いていた。
男の頭はスキンヘッド。ややポッチャリ……とした体格。顔のつくりはどこぞのヴォー……お笑い芸人兼映画監督を彷彿とさせるものだ。
彼の名はMUR。立教大学に通い、そこの迫真空手部に所属しており、大富豪であるカッチャマ……とトッチャマ……を両親に持つ男だ。
そんな彼がなぜ自分の部屋の床に怪しげな召喚陣を描いているのか?
悪魔を召喚するためである。
MURは先日、自宅の土蔵から魔術に関するある古文書を見つけていた(彼の家系を数代前まで遡るとドイツのミゥラーという、既に断絶した魔術の家系にあたる。その名残か、彼の自宅の土蔵からは度々そのような怪しい魔術関連品が見つかるのだ)。
それに書いてあったのは『悪魔を召喚する方法』であった。
普通の人間ならば、『なんで悪魔を召喚する必要があるんですか(正論)』と考え、それを読むのを途中で止めるであろう。
しかし、MURは違った。
彼はそれを最後まで読んだ後、すぐさま悪魔召喚の儀式の準備を始めたのだ。
古文書に書かれていた儀式に必要な物の中には通常ならば用意するのが難しい物があったが、それらは両親の経済力によって簡単に取り寄せられた。
なぜ、彼はそこまでして悪魔を召喚しようとするのか?
その理由は――
「悪魔だったら何でも出来るはずだゾ。そしたら現実にポッチャマを生み出して欲しいゾ~」
………………。
やっぱり(頭が)壊れてるじゃないか……。
しかし、MURが描いた召喚陣は彼が魔術に関しての全くの素人であるとは思えないほどに完成度の高いものであった。
数代前に断絶したとは言え、流石は魔術の家系の末裔。
池沼ならぬ知将、とでも言ったところか。
このまま古文書の説明どおりに事を進めればそれなりの悪魔が召喚されるだろう。
しかし、実際に召喚されたのは自信なさげな表情を浮かべている、メガネをかけた、髪が薄く、影の薄そうなおじさんであった。
とても悪魔であるとは思えない。
どう考えても悪魔召喚の儀式は失敗だ。
だが、MURは
「すっげぇキツかったゾ~」
と、やりきった表情になっていた。
どうやら自分が行った悪魔召喚の儀式が失敗したと分かっていないらしい。
それどころか、まるでオモチャ屋の前でショーウィンドウの中に並べられた玩具たちを眺める子どものような目で召喚されたおじさんを見つめている。
それに対しやや困惑したような表情をしているおじさん。
けれどもMURはそんな事に構わず、おじさんに対して自己紹介もせずに、
「ポッチャマを現実に生み出して欲しいゾ~」
と頼んだ。
「……はい?」
おじさんの表情に浮かぶ困惑の色がますます濃くなる。
「『はい?』じゃないゾ、悪魔。せっかく召喚されたんだからオレの願いの一つくらいは叶えて欲しいゾ」
「いやそんなこと……そもそも私は悪魔じゃないーー」
「嘘つけ。絶対悪魔だゾ」
MURは右手に持っていた古文書を左手でバァン(大破)バァン(大破)と叩きながら、そう言った。
「悪魔はこの古文書に書かれている『悪魔の召喚方法』で召喚されたんだから悪魔以外ありえないゾ」
「だから悪魔じゃないって言ってるでしょ!」
大声で異議を唱えた後、おじさんは口を閉じ思考を巡らせる。そばでまだMURが「~ゾ~ゾ」と壊れたレコードのように繰り返し繰り返し何かを言っているがそれには構わない。
――たしか、自分はこの下北沢で行われる聖杯戦争のサーヴァントとして召喚されたはず。しかし、今のこの状況は何だ?
そう、彼は悪魔でなければ、TDNおじさんでもなく、現在下北沢で行われている聖杯戦争のサーヴァントに選ばれた英霊であった。
――この部屋の床に描かれた召喚陣とこの男の発言から考えるに、彼はさっきまでここで悪魔召喚の儀式を行っていたらしい……それと――
おじさん、改めサーヴァントは先ほどから感じていた自分の身体、というか存在に違和感に思考を向ける。
――本来なら自分はルーラーとしてこの聖杯戦争を監督するはず。だが、今の私のクラスはーーアサシンだ。
サーヴァントは生前、裁判官として多くの人間を裁いてきた。このエピソードに則り、彼はルーラーとして召喚されるはずだった――のだが、実際はアサシンとして召喚されたのだ。明らかにおかしい。
――なるほど。どうやら、悪魔召喚の儀式と聖杯による英霊召喚が何らかの形で互いに干渉し合ってしまった結果、前者では悪魔が召喚されず、また後者でも私はルーラーとして召喚されるはずがアサシンとして召喚された、というわけか。
……ん? いや待て。
という事は、今私の目の前にいるこの男は……
恐る恐る、視線をMURの方に戻すアサシン。MURはまだ左手で古文書を叩きながら文句を言っていた。
そう左手。
それの甲には赤い令呪がしっかりと刻まれていたのであった……。
たまげたなあ……。
◇◇◇◇◇◇
「――というわけで、私は悪魔ではなく、勝利したものの願いを何でも叶える奇跡の願望器――聖杯を巡る戦争に召喚されたサーヴァントなんですよ。そして、貴方は……その……私の……マスターなんです」
「あっ、そっかぁ……」
『何が『あっ、そっかぁ……』だ』と言いたくなる気持ちを抑えるアサシン。
マスター相手に苛立つのは良くない。心を平静に保て。ラブ&ピースの気持ちだ。
「……ん? そういえば今、『何でも叶える』って言ったゾ?」
「言いましたけど、それが?」
「それなら聖杯にポッチャマを生み出してもらうゾ~」
「…………」
――こんな奴がマスターで、果たしてこの戦いを勝ち抜けるのか?
苛々を通り越して呆れるアサシン。
しかし彼はまだ気づいていない。
自分の目の前にいるマスターが、正規の魔術師でないにも関わらず、
聖杯の英霊召喚に影響を及ぼすほどの儀式を行い、
また、それを可能とするほどの魔力を有している事の重大性を――
【クラス】
アサシン
【真名】
閉廷おじさん(閉廷おじさん)@存在のない男~裁判編~
【パラメータ】
筋力D 耐久D 敏捷B 魔力E 幸運A 宝具EX
【属性】
秩序・善
【クラス別スキル】
気配遮断:A(EX)
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
完全に気配を断てば発見する事は非常に難しい。
ただし自らが攻撃体勢に入ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
アサシンが下記の宝具を発動した際、このスキルのランクは括弧内まで上がる。
【保有スキル】
ノンケ:B
異性に対して劣情を抱く者。
このスキルを持つサーヴァントは同性愛者、特にホモの属性を持つ相手に嫌悪感を抱き、攻撃的になる。
しかし、ノンケは同時にホモみたいなものなので、時には容易くホモ堕ちする事があるかもしれない。
【宝具】
『存在のない男』
ランク:EX 種別:対人宝具(自分自身) レンジ:- 最大補足:無限
自身の発言、行動、存在をマスターを含めた他者に全く認知されなくなる。
例えば、『こうだぞ!』と言いながら女性の乳房を揉もうと、
『セックスはいらんかね~』と言いながら女性と下半身で合体した状態で歩き回ろうと、
人の頭にパンツを被せようと、己の存在を絶対に認知されない――
そんな、究極の隠密行動を可能とする宝具なのだ。
また、この宝具が発動している間にアサシンから攻撃を受けたとしても、相手は『攻撃を受けた』という事すら知覚できない。
この宝具が解除されるのは
1)アサシンが『終わり! 閉廷!』と宣言する
2)宝具の発動続行に必要なマスターからの魔力供給が途絶える
のどちらかの条件が満たされた時である。
『死刑、死刑に処す』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大補足:1
これはアサシンがルーラーとして召喚された際に使える宝具なので、今回の聖杯戦争では使用できない。
『セックス~、セックスはいらんかね~』
ランク:D- 種別:対軍宝具 レンジ:1~10 最大補足:1~3
性別が『女性』である人間であれば誰とでも下半身で合体し、動き回る宝具。
これはアサシンがライダーとして召喚された際に使える宝具なので、今回の聖杯戦争では使用できない。
【item】
パンツ
【weapon】
なし
【人物背景】
ある裁判の途中に自分の存在を他者から全く認知されなくなった男。
これだけだとちょっと奇妙で怖い話だが、彼はその後法廷に居た女性の胸を揉み、どころかセックスまでしだしたのだった(ノンケの鑑)
ところで、ルーラーに干渉してアサシンにするなんて事は不可能なはずでは……?
いやいや、そもそもノンケである彼がホモの集う下北沢聖杯にサーヴァントとして召喚されるはずがないのでは……?
しかし、これは普通の聖杯戦争ではなく下北沢聖杯戦争。そんな細かい事はホモ特有のガバガバ感で何とかなるのだ。
【サーヴァントとしての願い】
なし
【マスター】
MUR@空手部・性の裏技
【能力】
迫真空手
池沼特有のパワー
【weapon】
素手
【人物背景】
殆どは本文中に書いてある通り。
ホモビに出ただけで池沼になり、ポッチャマ好きになった男。
【マスターとしての願い】
ポッチャマ……
最終更新:2016年03月12日 22:59