未来と退廃の街、下北沢において二人の男が対峙していた。
道着を着た如何にも達人然とした男、その鍛えあげられた肉体は万の言葉よりも雄弁に己の人生を歌い上げている。
その眼光は敵を射殺さんばかりに、一心に敵を見据えている。
だが、その目には獣のような爆裂的な殺意は無く、ただ――理性の光があった。
人の身のまま、人の武を練り上げた――武の極致である。
対する男も、人間である。人間であるはずだ。
決して、爪があるわけでも牙があるわけでも、あらゆる攻撃から身をまもる毛皮を纏っているわけでもない。
だが――人間とは思えない、その眼光か、その眼光が悪いのか。
凶星が如き、禍々しい殺意を帯びたその目を見よ。
人であることを捨てたか、あるいは人でいることを認められなかったのか。
その姿は人でありながら、しかし誰が見ようとも――野獣としか思えなかった。
しかし、なんということだ。
臭い。
どうしようもなく臭うのだ。
男が放つ異臭は――人の臭いでも、獣の臭いでもなく――どうしようもなく、地獄から湧き出づるかのような、
そのような、人智を超えた――あるいは嗅覚に訴えかける呪詛のような、異臭という形を取った兵器であった。
文章の隙間より湧き出づる臭いを、貴方は嗅いでしまったのだろうか。
嗅いでいないというならば、幸いだ。
何故ならば、文章は嗅覚に訴えかけるものではなく、視覚に訴えかけるべきものであるはずだからだ。
だが、もしも嗅いでしまったというのならば――しかし、不思議なことではないのだ。
男の臭いを知るものは誰もいない。
だが、その映像を視るものは――誰もが皆、目が鼻になってしまったかのように、その臭いを異臭を鋭敏に嗅ぎとってしまう。
くさい
くさそう
ヴォエッ(嘔吐)
くさい
きたない
歩く男性器
くさい(確信)
とりあえずなんか書いとけ
まりなのおしっこ
臭い
その男の姿を見ると、誰ともなく臭いを嗅ぎとってしまうのだ。
男の姿が故か、あるいは誰かの呪詛が故か、鶏と卵のどちらが先かわからぬように、
誰ひとりとしてその因果関係を明らかにすることは出来ない。
だが、それは呪いであった。
そして、その呪いすらも――元は普通のセクシー男優であった彼を襲う八百十の風評被害の内の一つに過ぎない。
彼――獣の真の名を知る者は誰もいない。
ただ、その通名にあやかって、誰もが彼を野獣先輩と呼んだ。
「人間の屑がこの野郎……」
目の前の獣に対する決別の台詞を、男は吐き捨てた。
武人――AKYSはかつて、目の前の男の師であった。
いや、実際の記録においてそのようなことはないが、そういうことになっている。
神話を統合するように、ホモビは統合される。
膨大な風評被害の内に、偽りの関係性は真実になり、本来あったはずの真実は誰もが皆忘れ去る。
彼らは人間であり、セクシー男優であり、英雄であり、そして――我々の認識の中の物語にすぎない。
英霊とは――そう、そのようなものだ。
「硬くなってんぜ? (怒り)溜まってんなぁ、おい(迫真)」
AKYSの放つ感情を野獣は口元に微笑を浮かべ――柳のように受け流してみせた。
かつて、目の前の男は師であった。
だが、それは全て己を呪う無限の風評被害の内の一つに過ぎない。
全ては過ぎ去った幻影であり、全ては虚無であることを認識すれば――あらゆる因果より解き放たれることを野獣は知っている。
野獣の周りには死体が溢れていた。
一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、
一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、
一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、
一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺、一般通過爺。
数えきれぬほどの自転車に乗っただけでホモビに出てしまった一般人の死体で溢れている。
だが、罪悪感は無い。
野獣にとって一般通貨爺は美味いラーメン屋のハゲ――サーヴァントですらなく、真夏の夜の淫夢という呪詛そのものである己の餌にすぎない。
クラス:ビースト
クラス:アヴェンジャー
クラス:拒むことを知らない風評被害野郎
クラス:ニャルラトホテプ
あるいは聖杯の泥。
なんとでも彼を呼ぶが良い。
ALISONの呼び出した怪物、それこそが彼だ。
「今日はお前の根性叩き直してやっから……」
目の前の怪物に何を教えてきたというのだろう。
師弟関係が偽りであったとしても――それでも、迫真空手の道は――王道を征く、正しき武の道であったはずだ。
あるいは、武の真理とは殺戮であるというのか――否、決してそうであってはならない。
「俺が直々に空手を教える」
AKYS――ランサーが迫真空手の構えを取る。
鍛え上げた己の貫手、蹴り、男根――それこそが彼の槍である。
「オッスお願いしまーす!(迫真)」
対し、野獣も――迫真空手の構えを取った。
構えだけを見れば、彼らは鏡のように完璧な映し身であり――そして、獣と人の対決であることは――その表情を見れば、誰もがわかることであった。
「イキますよぉ、イキますよ、イクイク」
「オルァー!オルァー!オルァー!オルァー!オルァー!」
拳と蹴りの交差、そう云うには――あまりにも疾すぎた。
それは質量を伴った風の交差であり、極地的な嵐であった。
だが、それこそがサーヴァントの戦――人智を置き去りにする、神域の戦い。
「カスが効かねぇんだよ(無敵)」
野獣の繰り出した拳を廻し受け、AKYSはがら空きの水月に正拳突きを見舞った。
野獣の身体が8101919m吹き飛び、衝突地点にあったニコニコ本社を爆発させる。
だが、ここで考えてみよう。
何故、ニコニコ本社は爆発するのだろうか。
本来ならば火薬がなければ爆発など起きるわけがない。
つまり、ニコニコ本社と政府転覆を企む悪質なテロリズム集団であり、そのための兵器を用意していたと考えるのはどうだろう。
つまり、様々な動画でニコニコ本社が爆発するのは、ニコニコ本社が持っていた兵器に引火したからなのだ。
やっぱり……アマゾンプライム会員を……最高やな!(ステマ)
「やりますねぇ!」
ニコニコ本社の残骸をAKYSの元へ散弾銃のように蹴り飛ばす。
彼のような達人に対しては、ただの目眩ましに過ぎないが、時間稼ぎ程度にはなる。
AKYSが躱した残骸がニコファーレを爆裂させる。バンダイチャンネルは千円で様々なアニメが見放題!(ステマ)
急接近した野獣がAKYSに蹴りを見舞う、AKYSはその蹴りをやはり蹴りで受け止めた。
「今からお前に……」
蛇――野獣は打ち合った足に、その忌まわしき感触を味わった。
AKYSは野獣の足に己の足を絡め、その体勢を崩した。
「罰を与えっからなぁ!!」
――それは宝具と云うには、あまりにもささやかで
――しかし、あまりにも美しく、あまりにも究極で、そして完全な
『正拳突き』
――かのゲイ・ボルグのように――それは、因果を超越し、当たったという結果を作り出す。
――必殺の呪詛などはない、だが、それは武の極地であるがゆえに
――文字通りの必殺技と化す
「しょうがねぇなぁ」
だが、目の前の野獣は立ち上がり。
「じゃけん、俺の宝具見とけよ、見とけよ~~~」
『無限の呪詛(ヤジュウセンパイ シンセツシリーズ)』
【???&ランサー 死亡】
最終更新:2016年03月21日 22:48