『無限の糞製(アンリミテッドクソワークス)』

全てが無為のトートロジーであるかのように、アーチャーの行動は全て唯一つの――黒塗りの高級車に衝突するという結末に収束する。
その度に、己が真実ヤクザの餌食となってしまった哀れなサッカー部員であるかのように、思い込まされる。
因果は捻れ曲がり、変態糞親父という存在の存在そのものが運命に陵辱される。

忌まわしきは、ライダーTNOKの宝具『始まりにして終わりの一』
物語の全てを淫夢第一章の始まりへと帰着させる因果をも弄ぶ最悪の宝具。

――嗚呼

――もう糞が出る

放たれた糞の弾丸は全て黒塗りの高級車に大破の音を奏でさせるばかりで、
実際の所、何の意味も為してはいない。糞だよ糞!ハハハ!

飛び道具は無為と見るや、アーチャーは手で掬った糞を両手に持ち、双剣の様に硬質化させる。
そして糞の噴射の勢いを利用し、黒塗りの高級車へと斬りか『不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。
後輩をかばいすべての責任を負ったアーチャーに対し、車の主、暴力団員谷岡に言い渡された示談の条件とは……』

因果が捻じ曲がり、アーチャーの攻撃は黒塗りの高級車のケツを掘るだけに終わり、
そして、今。

「――降りろ。おい免許もってんのか?」
初めて、運転席よりライダーが現れた。

攻撃せねばならぬと、はよう糞まみれになろうと――アーチャーが思考するよりも疾く、因果律が、アーチャーの動きを止めた。
戦闘に向かうアーチャーの意思と、アーチャーに免許証を提示させんとする運命が衝突し――『不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。
後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員谷岡に言い渡された示談の条件とは……』

「ああ~~!」
黒塗りの高級車の背後にいたアーチャーがライダーのマスターであるTDNの運転する車に挟まれる。
容易に回避出来たはずなのだ――本来ならば。
だが、因果が黒塗りの高級車に衝突させるというのならば――それは風よりも音よりも光よりも疾い。
確定された未来を避ける術は英霊にすら無い。

「やべぇよ……やべぇよ……」
TDNの口だけは慌てているが、それはただの演技に過ぎない。
思考は冷徹であり、ライダーを轢き殺そうとしたその時、既に彼は一線を超えてしまっていた。
決めていたのだ、毒食らわば皿まで――願望機まで勝ち取ると。

――やはり

だが、血反吐をぶち撒け。
糞を漏らしながら、それでもアーチャーは笑っていた。

――大勢で糞まみれになると

この場にいる人間は三人、故に己の宝具を発動することが出来る。

――最高やで

ああ、己の心象風景――糞塗の聖域を現実に顕現させる固有結界。

――こんな、変態親父と糞あそびしないか。

確実に訪れる因果が勝利するか、あるいは己の魂が勝利するか。

――ああ~~早く糞まみれになろうぜ。

雌雄を決しようではないか、糞遊びによって。


『無限の糞製(アンリミテッドクソワークス)』


世界は糞で塗り変わる。
下北沢――あづま寿司前はは岡山の県北にある川の土手の下に塗り変『不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。
後輩をかばいすべての責任を負ったアーチャーに対し、車の主、暴力団員谷岡と【先日メールくれた汚れ好きの土方のにいちゃん
(45歳)とわし(53歳)の3人で県北にある川の土手の下で盛りあったぜ】

世界が変われば、因果すらも変わるのか――『不幸にも【今日は明日が休みなんでコンビニで酒とつまみを買ってから滅多に人が来ない所なんで、
そこでしこたま酒を飲んでから『黒塗りの高級車に追突して』やりはじめたんや。】

因果と世界が衝突を繰り返す。
アーチャーは黒塗りの高級車を掘り、ライダーとTDNは糞に塗れる。

――互いが互いを喰らい合う。
アーチャーもライダーも、互いに己の台本を押し付けんとする。

運命という偉大なる加護は失われた。
最早単純に、魔力と精神の衝突であった。

だが、永遠と続くかに見えた戦いはあっさりと終わりを迎えた。

――マスターなんか、必要ねぇんだよ

世界を越えて、嘲笑が聞こえる。
誰もそれが、キャスターの嘲りであることを知らない。
だが、それがサーヴァントの声であること。

「もう顔中糞まみれやったんに……」

そして、引き離されていたアーチャーのマスターを殺害した者の声であることを、アーチャーはその身を以て味あわされていた。
急激な魔力の枯渇――自律行動で補えぬ固有結界の展開及び、因果との対決。

最早、糞が保たぬ。
だが、それでも――目の前の男との決着を着けようと『不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。
後輩をかばいすべての責任を負ったアーチャーに対し、車の主、暴力団員谷岡に言い渡された示談の条件とは……』

マスターを失い、魔力を失い、そして今、アーチャーは心を失った。
言われるがままに、ライダーに免許証を提示し、そしてヤクザの事務所へと移送される途中で、魔力が枯渇し、アーチャーは退場した。

これがバトルロワイアルというものだ(ルーファウス兄貴)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2016年04月21日 22:44