小説穏やかな一日を桜の木の下で

暖かな春風のなかを桜の花びらが舞い飛んでいく。
天気はいつでも気持ちよく快晴。
吸い込まれるような青さの中に雲が一つ二つゆったり流れている。


ここは仮想空間エアロの小さな川の上。
桜の木の子島がゆったりと穏やかな川の流れのうえを浮草のように浮かんで進む。
川が海にたどり着くまで遊覧船のような時間を楽しめる。
遠くの景色もいい。

ここは22世紀の脳直結型仮想空間。
背中から伝わる桜の下の草は現実ではありえない高級ベットのような寝心地。
これを作った人はきっとこの寝心地を誰かに見つけてほしかったんだろうな。
多くのユーザが景色として素通りするこの場所を見つけたのは私だけ。
それ以来ここは私の昼寝場所になっている。

気持ちよくごろ寝するためだけにここによくくる。
私の好きな場所だ。
ごろ寝していると脳直結型空間の中で穏やかに揺れるα波。

赤ん坊のころに揺りかごを母親に揺すってもらったようなそんな揺れなんだ。

来客を告げるちいさなプッシュ音。
だれか客でも来たかな。
丸伊縁取りの魔法陣ゲートが開いて、さああらわれたのは誰だろう?
最終更新:2014年12月27日 22:54