140文字狂歌

ツイッターの140文字で最大限想像力を引き出す狂歌を作って見る一人遊び。
寂しい人じゃないよ。
うそです寂しい人です。



黒い雨が降り続く。
窓の外を眺めれば昼だというのに外は粘つくインクのような風景。
石造りの街は雲の影に覆われ。
建物の表面を雨の被膜が覆っている。
雨は細かく一粒一粒は見えない。
こんな日は外に注意しないといけない。
私は窓を見ながらそう考える。
ここではそれがルールだ。
いつからそうなのか誰もしらない
ただこのルールを守ることは大事だ。
私の父からうけついでいだ意思。
ブラックドックの大小の群れが外を通り過ぎる。
黒い影が具現化したような。
足音にすら暗い響きがある。
実際影が具現化している。
私はそう考える。
彼らに見つからないように今日の食事を得ないといけない。
私は雨除けのフードをかぶるとドアを慎重にあけた。



小路から小路へ手慣れたといえば手慣れた道を歩きながら子供のころの唄を思い出す。

金の円盤、銀の円盤。
金の針が回れば運命がまわる。
金の円盤、銀の円盤。
銀の針が回れば貴方の時が動き出す。
金の円盤、銀の円盤。
失われた時を取り戻す。
夕焼け照らす小路に落ちた時のピースを拾い集めて。
赤銅の円盤、鉄の円盤。
赤銅貴方の時を止める。
鉄の円盤には気をつけろ。
貴方の時を錆びさせる。

子供のころの幸せな思い出。
夕焼けの中、路地で遊んだ日々。
その時うたった子供が好む意味のない歌。
影の支配する今の町では路地という路地から消えた歌。
私の円盤は正確な生存の道を指し示しているだろうか?

昔の思い出がよみがえる石畳の道を歩き続ける。


小道の途中でドラム缶の炎を囲んでいる一団に出会った。
彼らが言うにはこの炎は街の中心にある教会の聖者様の祝福を受けているから影の者たちが近づくと雲散霧消するそうだ。
私は火に当たって少し話をする。
隣の通りで小麦を販売している店があったはずだ。
今もあるのか聞いてみる。

廃業したらしい。
この街からは人が減っている。
魔の出ない天気のいい日に街から逃げ出す物。
雨の日の、夜の闇夜に食われたものの話。
誰が生き残っているのか消息を尋ねる。





ふと顔を上げて街路を見る。
建物を構成する石の隙間から影が気化したガソリンのような揺らめきなをみせながら立ち上っていた。
私は暖を取っている人たちに警告を発する。
「あそこブラックドックが実体化しはじめている、早く逃げて」
その声を聴いて帽子を深くかぶると踵をかえして男たちは逃げ出す。
私は懐に抱えた剣を取り出した。

戦いはすぐに終わった。
集団となれば人があがらうことができないブラックドックだが一匹二匹なら剣で対抗できる。
ブラックドックの死骸は重い影となって蒸発し地面を這うように広がっていく。
時間がたてば地面に帰りまた地の中で集まり形を構成して別の魔物として形を現すだろう。
私は足に絡みつく重たい影の蒸気のなかを一歩一歩進めていった。

雨が止んだ。
夕焼けの強烈な日差しが石造りの街路を照らす。





その2
鉄の軋みと重厚なエンジン音が青空に響く。
キャタピラのわだちが大地に穿たれていく。
大平原では戦車戦が展開されていた。
我我は戦線を維持。
今日の戦果は今のところ敵の戦車13.
悪くない戦果だ。
敵も味方も果てしなく鉄量を投入している。
諸君、後方にいる諸君。
諸君らの力が前線では、
最終更新:2015年09月01日 05:49