小説らしきもの

病気で側頭葉が委縮してからというもの創作する力が激減した。
今では小説を書こうとしても一行もかけないという現実に直面している。
両足まひの人間が歩行のリハビリをしているような状態である。



  • その0
背景は真っ黒で眼前に護摩焚きの火がありその上に人形が現れた。
あの人形だ。
人形はしゃべる。
「私を供養しようとしたようだけど遅かったわね、もう貴方は私たちになるの」
護摩焚きの火が私に近づいてくる。
それが私の服に燃え移ったところで目が覚めた。


目覚めると目の前はフランス製のアンティークグッズが棚に並んでいる光景だった。
照明は暗く木造りの壁に据え付けられた棚にはフランス人形やデザイン性の高い皿等が並んでいる。

確か私は昨日自宅のベットで寝たはずだ。
なぜこんなところで起きたのだろう?

しゃべろうとしたが口が開かない。
体を起こそうとしても動かない。
しかたなく周囲を見てみた。
気が付いた。
あの人形をかったアンティークショップだ。
なぜ私はこんなところにいるのだろう?

そうしていると私の視界に制服姿の女子高生2人組が入ってきた。
二人は私を見ながらしゃべり始める。
「ねえ、この人形よくない」
「この人形生きているみたいでなにか気味悪くない?」
「それがいいんじゃない、なにかこの人形私を見ているみたい」
そうして私は彼女の手に取られレジへと運ばれていく。
その時私は人形として当たり前のことに気付いた。
「そうだ彼女たちも私にしてしまえばいいのだ」





  • 設定

ディープラーニングが進化した時代。
後継ソフトの中に人間の会話を判定し指導するソフトが開発された。

そのソフトは、リア充度を測りリア充になるための会話指南をしたり。
ある時は、家族の仲良し度を測り、家族の仲良し度を挙げるための指摘をし。
ある時は、友達との盛り上がり度を測り友達との仲をよくするためのアドバイスをし。
ビジネスマンとしてのビジネススキルとしての会話を指南する。

ソフトに翻弄される人のおかしさと、ソフトのおかげで感動秘話になった人の話を書く。

という設定。








  • その2
プラントが立ち並び、迷路のように配管がつながっている。
廃工場だった。
敷地内の空き地には建設途中で放置された巨大な構造物のパーツが転がっている。
工場の金網が破れていた。
この穴を出入りするホームレスが住み着いている。
そういう噂だった。
昼間に通るとギターの音が聞こえることがある。
ホームレスが鳴らしているのだという。
最終更新:2015年12月14日 22:47