アットウィキロゴ

名無しさん達のなのは小ネタ-47

1

なのはは大きく息を吸って、彼が来るのを待った。
仕事の終わった機動六課の屋上。
夕日は彼女を照らし赤くしているが、それは彼女にとって幸いにも今の自分の顔色を隠してくれる。
町並みの喧騒から外れているために、波の音がやけに大きく聞こえるのは、果たしてなのはの気のせいか。
「・・・そろそろ・・・かな・・・」
部隊長である八神はやては今日は会議のために珍しくシリアスモードで本部へ急行。
家族からの呼び出しでフェイト=T=ハラオウンもこの場には居ない。
彼の同僚であるスバルやティアナも今日は彼とは違うオフに設定しているために六課に来ることはない。
そんな絶好のタイミングで、彼のパソコンにいくつものサーバーを経由してメールを送ったのは一時間前。
彼がそのメールを開いたとの確認メールが送られてきたのが三十分前。
それから、普段は使わない化粧やファンデーションで整えるのに20分。
くるとしたらそろそろだと思うなのはに、その時扉の開く音が聞こえた。
心臓が大きく鳴る。
心肺機能の上昇により、発汗や体温の上昇が確認される。
そして
「ここに居たんですか?なのはさん」
彼の、自分が愛する人の、声。
なのははその声になるべく平静を装うようにして振り返る。
浮かべる笑顔に違和感が無いことを願いながら。
「シン君、来てくれたんだね。ありがとう」
声が上ずっていないのが奇跡だった。
足を殻回せることなく振り向けたのが行幸だった。
そして、彼が普段どおりだったのが・・・少しだけ、悲しかった。
そんなこちらの重いなど知る由も無く、シンが疑問を口にする。
「どうしたんですかなのはさん。いきなり呼び出しなんて。しかもあんなめんどくさいことまで・・・なにかあったんですか?」
「うん、それは謝るよ。ごめんね、シン君」
こちらの謝罪に、しかし彼はいぶかしんだままその紅い瞳でこちらを見つめる。
ただ、それだけで確実になのはの体温が1,2度上がったのを彼女は実感した。
「本当に、何も無いんですか?」
「うん。本当に、危険なことは無いよ?」
これは嘘。これから自分がすることを知れば間違いなく戦争が起こる。
それも、たった一人の男をめぐっての戦争が。
しかし、なのははそれを押し隠す。
「じゃあ・・・なんであんな回りくどいやり方でメール送ってきたんですか?しかも、誰にも言わず、必ず一人で来るようになんて・・・」
「だって、今からのは個人的なお願いで、プライベートなことなんだもん」
そう、これはあくまでも彼女と彼の問題だ。
たとえ『自分達』の義理の娘であるヴィヴィオでさえも、この問題に首を突っ込ませるわけには行かない。
「本当ですか?なのはさんは自分でも気がつかないうちに無理をするんですから。あんまり自分で背負い込まないでください」
「あー、ひどい!それを言うならシン君のほうが猪突猛進だよ?」
「う、そ、それでも俺は入院したことありませんよ?」
「でも、営倉入りはしょっちゅうだったんじゃない?」
こちらの何の気は無しに言った一言に、彼は思わず口を噤む。
なんとなく勘で言っただけだったのだが、あたったらしい。
彼のその表情に緊張した神経がほぐれていく。
シンはその笑顔をどう取ったのか唐突に口を開いて話題を変えた。
それがどういう結果を導くのかを知らぬままに。
「本当に大丈夫なんですか?なんか危ないことがあったら相談してくださいよ・・・って、八神隊長やフェイト隊長たちを差し置いて言うのもなんなんですが・・・」
彼の口から出てきたその名前に胸が痛む。
彼は何の気もなしに口にしたその名前。
己の親友にして憎き恋敵の名前を。
「ねぇ、シン君」
「なんですか?なのはさん」
まっすぐに彼を見つめる。
この夕日に染まる世界の中で、まるで揺るぎの無い、鮮やか過ぎるその赤い瞳を見つめる。
魔性の瞳には魔力が宿るというが、彼の瞳は間違いなくその魔性だと確信しながら。
「はやてちゃんやフェイトちゃんは・・・好き?」
「え?八神隊長やフェイト隊長・・・ですか?いきなりなにを・・・」
「お願い。答えて、大切なことなの」
真剣な眼差し。
シンを射抜くとばかりのその苛烈な瞳に、彼は佇まいをただしこちらの瞳を真剣に見返す。
「二人とも感謝していますし尊敬しています。だから、二人とも好きですよ」
「それは男として?女としてあの二人を見てるの?」
自分でも思うきつい言葉。
それに彼は少しだけ戸惑った後
「正直・・・よく分かりません」
ぽつりと呟くように言った。
「あの二人、いや。この機動六課のおかげで、俺は立ち直れました。だから、皆に感謝してますし、そんな皆が好きだし、守りたい。でも・・・
えと、あの・・・そういう男だとか、女だとかはちょっと・・・すいません」
彼なりの素直な言葉なのだろう。
おそらくは自分もその中に入っているはずだ。
これは自負でも傲慢でもない、確信だ。
その事実に。
彼にそういう目で見られていなかったことに少しだけ悔しさが募る。
「そっか・・・シンは恋愛感情はないんだ・・・じゃあ、肉欲は?」
「ちょ!?なのはさん!!?」
いきなりといえばいきなりななのはの言葉にシンの顔が真っ赤に染まる。
かつてプラントに居たときにはすでにシンはコーディネーターであるがゆえに成人であったが、それはあくまでもかつて居た世界でのこと。
いまこの世界、とりわけ上司達は全員自分よりも年上であり、そして自分が子供であるという事実を突きつけられるような気がした。
もしかしたらなのはの戯れではないかとも考えたが、しかし、なのはの表情に戸惑いも、迷いも、逡巡も見つけることはできない。
だからこそ、シンは初めてなのはから目を背けた。
「・・・どうしても・・・いわなきゃ駄目ですか?」
「駄目。これは大切なことなの。言って、シン。正直に」
なのはから目をそらしていても突き刺さるようなその視線とその言葉にシンは『これってある意味セクハラじゃないのか・・・?』と、
内心で思いながらもその焦りを隠すように髪の毛をがしがしとかく。
いっそのこと逃げてしまおうかと思ったが、普段とは違うなのはの雰囲気とそのなのはと一対一という構図が彼の判断を鈍らせた。
「・・・そりゃ・・・俺だって、その・・・健全な男子ですから、その・・・」
「私達をそういった目で見たことは?」
「いや、もう勘弁してくださいよ・・・」
「言って、シン。大丈夫、ここには私一人しか居ないから」
強い言葉。
拒否することなどできないような、悲しいその口調。
「・・・・・・・・・・・・少しだけ」
呟くように、縮こまりながら言う。
「少し?少しってどんな?」
「それは―――」
なのはの言及に、シンは思わず思い返そうとして、顔を振った。
今ここで回想しては、それこそ彼女の思う壺のような気がしたから。
「わかったよ」
なのははそっと呟く。その言葉に先ほどまで鋭さはない。
シンはほっと一息ついた。




それが、いかに甘い考えであったかを彼は数瞬後に痛感する。

「ごめんね、変な質問を聞いて」
怒った?と最後に続けるなのはにシンは怒ったというよりも困ったという要素が強かったために首を横にフッタ。
「いいえ。でも、できればこういった話は・・・その・・・」
「うん。もうしない。それにお詫びもする」
「お詫び?」
「そう、お詫び。もしくは謝罪。どちらでもいいけどね」
「・・・ご飯とか奢ってくれるんですか?」
ここで、シンはまたしても自らの中で鳴り響いていた警鐘を聞き逃した。
それが、先ほどまでのものと勘違いをして。
なのははシンのその言葉に首を振る。
そして、そっと手を胸の前に持っていく。
首にかけているはずのレイジングハートの感触を確かめてから口を開く。
「私はあるよ。シンにそういった感情を・・・性欲を感じたとき」
「へ?」
今日聞いた中で一番の驚き。
その衝撃にシンの脳内が一瞬でストップする。
「シンが訓練してるときに汗でシャツがべったり張り付いたとき、シンが私に笑ってくれたとき、シンがそばに居たとき、シンのにおいをかいだとき、
シンの汗をかいだとき、シンの裸を見ちゃったとき、シンに抱きしめられたとき、シンのぬくもりを感じたとき。そして・・・シンににらみつけられたとき」
「な、なのはさん。なにを」
シンの脳内が急激に回転をし始めるが、口に出せた言葉はあまりにも少なく、弱い。
その間にも管理局が誇るエース・オブ・エースは一歩近づきながら言葉をつなげる。
「シンににらまれたとき、本当にぞくっとしたんだ・・・おなかの奥、子宮の辺りがぞくって。重くて、鈍くて、強いそれが一瞬で全身を駆け巡ったんだよ
あれが多分、いくってことなんだと思う。だって、あんなの初めてだったんだもん」
つむがれる言葉は毒、シンを見るその瞳は潤み唇には艶が色めく。
そんななのはから逃げようとするのだが、どういうわけか体が動かない。
全身の力を込めてやっと一歩下がることができたが、なのははおの間にもその距離を詰めてくる。
「でも、シンは私には遠かったよね・・・あんなにはやてちゃんとあけすけなくしてるのに、あんなにフェイトちゃんと楽しそうに話してるのに、
あんなにスバルと一緒に居るのに、あんなにティアナとじゃれあってるのに、あんなにシグナムさんと修行してるのに、あんなにヴィータちゃんと話してるのに
      • なんで私とは一緒に居てくれないの?私、そんなに付き合いにくいかな?わたし、そんなにつまらないかな」
「そんなことは」
投げかけられたなのはの問いに、シンは思わず本心からの否定を放つ。
シンの本質は優しさだ、そして彼はその優しさからくる答えを確信している。
だからこそ、彼は、その問いに。
その蜘蛛の糸におのずとかかる。
一瞬送れたがゆえに、彼は
「捕まえた」
蜘蛛に、取り付かれた。
なのははシンを真正面から抱きしめる。
胸を押し付け、足を絡ませ。
両手でシンの背に手を回して固定して、その潤んだ瞳でシンと見詰め合う。
シンとなのはのあまり変わらない身長差ゆえに、彼の目の前にとろけきったような『女』の顔を見せるなのはの顔がある。
そのことが、シンをさらに混乱させる。
なのはを押しのけて逃げ出すことも、今この瞬間におぼれてしまうこともできずにただ、もがき続ける。
そして、もがけばもがくほどに、蜘蛛の巣に絡めとられてしまうことも自覚せぬままに。
「ねぇ、シン。わたし、フェイトちゃんみたいに胸が大きくもないし、きれいでもないけど」
そっと、シンの肌に触れるように言葉と共にと息を吐く。
シンの動きが弱まっていく。
「はやてちゃんみたいにしっかり者でも、可愛くもできないけど」
背に回した手を背筋に沿って動かし、腰を強く押し付ける。
シンは口をぱくぱくと開きながらもはや何がしたいのかも分からない。
なのはをそれを艶然と見つめながら
「でもね、わたしなら何でも受け止めてあげるよ?シンが望むこと、したいこと、願うこと、なんでも」
「いや、でも、それは」
こうなったシンからの初めて返しになのはの瞳に若干の焦りが見える。
しかし、それでも彼女はあきらめない。
もう一度強く、体を押し付ける。
そして、シンの眉が怪訝にひそめられる。
それは彼女にとって最後の罠。
彼だけが気がつくはずの、こうなっては抜け出せないそれ。
ゆえに、彼女は王手をかけにいく。
「わかった?分かってるよね、シン」
「な、なのはさん・・・もしか、して・・・」
「うん。今、ブラしてないよ」
最後に、自分から罠にかかった彼に、なのはは笑みを浮かべる。
あとはもう、成り行きに任せるだけで良い。
「な、なんでその、あの?」
「だって、シンだもの。シンだから許せるの。シンだから私は、わたし自身を知ってほしいの」
彼が何かを言う前に畳み掛ける。
彼が何かをする前に包み込む。
「だからね、シン」
シンに顔を近づける。
耳元に、そっとささやくように、あつくたぎるものを解き放つように。
愛をささやくように、なのはは言葉をつむぐ。
「わたしを・・・めちゃくちゃにして・・・わたしを、君のものに、して」
シンの紅い瞳がこちらを見定める。
その輝きはまるで猛獣が獲物に襲い掛かる寸前のよう。
爛々としたその輝きに、なのははまるで生贄にささげられる贄のように静かにシンがなのはに・・・
できるわけはなく、その直後どういうわけかシンのピンチを本能で知りえた八神はやてと
家族からそろそろお付き合いしている人をということでフェイトが両親にシンを婚約者として紹介したりと
様々な要因により再び隊長陣がリミッターをどういう理由からか自力で解除し(本人達は愛ゆえにと供述)
機動六課直上でかつてのJ・S事件に匹敵する大惨劇が起きてしまうのだが・・・
それはまた別の話。

追記:シン・アスカはこの戦いに巻き込まれ、入院中。入院場所は機密事項につき閲覧禁止。

2

「はあっ・・はあっ・・・・どこなんだよ、ここは!?」
彼は走っている。ひたすら鏡の迷路の中をもう長い時間、長い距離を走り続けて息は途切れ途切れになっているが止まらない。いや止まれない。
“アイツら”が来ているから。

後ろを振り返ると“アイツ”がいた。“アイツ”が歩いてくる。
黒。“アイツ”の黒は“狂気”を思わせた。黒いボロボロのマント、黒い大きな翼、炎をまとった黒い大剣。大剣を引きずりながらやってくる。すると“アイツ”はマシンガンを出現させ、彼に発砲してきた。
くそっ!

また走る。
次の角を左に・・・!
そう思った矢先にまた“アイツ”がいた。“アイツ”が壁にもたれ掛かっていた。
紅。“アイツ”の紅は“怒り”を思わせた。弾痕だらけの紅いコート、紅い大きな翼、紅い雷を飼いならす掌。掌を見つめている。すると“アイツ”はその掌を彼に向け、凶暴な雷を彼に放った。
何なんだ!!

また走る。
次を左に・・!!
やっぱり“アイツ”がいた。“アイツ”が床に足をくんで座っていた。
蒼。“アイツ”の蒼は“哀しみ”を思わせた。乾いた血だらけの蒼い上着、蒼い大きな翼、蒼い手甲と鉤爪。“アイツ”は自分の腕にマガジンをセットした。すると“アイツ”は彼に極太の砲撃を彼に放った。
逃げ道は無いのかよ!!!

なんとか逃げ切った。
そう思った時、目の前に“アイツ”がいた。ザフトの白服を着て、胸にはフェイスバッジと多くの勲章があった。だがその表情はどんな地獄を通って来たのかさえ想像できない。

「“アンタ達”は一体何なんだ!?」
「何言ってんだよ。“シン・アスカ”に決まってんだろ?」

いつのまにか“アイツら”がそこにいた。黒い髪、赤い瞳、眼帯をしている者や傷や火傷のある者もいるが全員、彼と同じ顔の“シン・アスカ”だった。ここに来て確認した数よりももっと多い。
「なぜ、俺は救われない!?」
「なんで、お前は救われている!!」

白服のシンが彼の首を掴み壁にドンッ!と叩きつけた。
「“俺達”は力が無いのが悔しかった・・・。そして、強くなった。なのになんで“俺達”は何も守れずに失っていくんだ?なんでお前だけ・・・・」
白服のシンは表情を変えずに血の涙を流しながら言った。
彼の意識は遠くなっていった。
「かはっ・・・・」


ppp ppp
「うわあああ!!(ガッシャン!) はあっ はあっ  夢・・・・?」
目覚まし時計が鳴り彼は起きた。その拍子に花瓶を床に落としてしまった。
「あー、やっちゃったか。」
バタンッ
彼は割ってしまった花瓶を片付けるために道具わとりに寝室を出た。

彼は知らない。散らばったガラスの破片や水滴に“平行世界の救われなかったシン・アスカ達”が映っていたことを・・・・。

3

彼は、彼女にとって宝石だった。
紅くきらめくその輝きは万人を魅了し、とりこにする。
彼の罪も、彼の過去も、それに加えられれば極上のエッセンスと成り果てる。
それはまるで不吉な宝石。
不吉であると皆が知っているのに誰もがそれを手に入れたがるまさに魔性。
それが、彼女。
高町なのはが彼に抱く想いでもある。



ここはミッドチルダのどこかにある屋台。
少しだけ無口で怖そうなおじさんが店長を勤める隠れた名店であるが、今日は客が三人しか居ない。
その三人の客、すなわち機動六課の隊長たちが管を巻いていた。
「まったく・・・なのはちゃん今回やりすぎやで」
はやては日本酒をコップでちびりとすすりながら半目でなのはを睨み付けた。
そんな様でさえも小動物のように見えて可愛いと思うのは気のせいでは有るまいと確信し、なのはは運ぼうとしたがんもどきを一旦さらに戻した。
「まぁ、確かに六課の隊舎をちょっと壊したのはやりすぎたけど・・・」
「ちょっとやない!!全壊や!!まったく!わたしが一体どれだけ苦労したとおもっとんのや!?」
「うん、確かに今回はちょっとやりすぎたよね」
手にしていたコップを叩きつけるように机に戻し、こちらを先ほどよりも強くにらみつけてくるはやてと、ウィスキーをストレートで飲み干しながら同調するフェイトの親友二人組みからの苦言に、なのははぐっと息を呑みながら反撃を繰り出す。
「でもさ、最終的に一番被害が大きかったのってはやてちゃんの広域魔法だよ?わたしはどちらかって言うと貫通系だし」
この言葉に次ははやてがなのはと同じように息を呑む。
事実、彼女は責任者であるということ意外にも破壊件数の最大値をたたき出している。
その上途中からはヴォルケンリッターを率いてしまっていたのだからその被害は甚大となっている。
そのために彼女の始末書枚数は三人の中では最大枚数となってしまっており、レコード更新中だ。
「・・・それはそれ、これはこれや・・・そんなんゆうたら、フェイトちゃんだってかなりのもんやで?」
「え?わたし?」
いきなりの申し出に、ウィスキー(4杯目)を飲み干していたフェイトがきょとんと目を見張る。
この三人の中で最高のプロポーションと美しさを誇り、なおかつそれで居て純真向くなこの親友をなのはとはやては半目で見ながら
「そうだよ。フェイトちゃん、全距離対応だから何でもできるからわたし達に速攻かけてくるし、カウンターあわせてくるし・・・やりずらいったらないよ」
「せやで、おかげで私も広域魔法中心になってしまうしな」
「いや、そんなにほめられても」
「ほめてない!!」
本気でテレはじめるフェイトにはやてとなのはが口をそろえてツッコミを入れる。
高架下ということも有り、リニアモーターが無音走行で渡っているらしく光が途切れる。
なのはは少しだけさめたがんもどきを口に運んだ。
よく染みた味がさめていても口の中に広がる。
「でもさ」
ふと途切れた会話をフェイトが再会する。
彼女は金の髪を流しながらなのはに顔を近づけながら
「今回のなのはの件、確かにやりすぎだよ」
「もう、フェイトちゃん。その話はもういいでしょ?」
先ほどの会話の再来かと思ったなのははげんなりとしながら大根とこんにゃくを追加注文した。
ちなみに味噌はつけない。
そんななのはに同様にウィスキー(8杯目)とつくねとハツを注文していたフェイトは首を横にふった。
「違うよ・・・シンに迫ったこと」
その言葉に、はやての瞳にも力が入る。
このときのフェイトの瞳はまさに獲物を狙う獣の瞳。
虚偽など許さぬと、そしてその全てを見抜く強さを、常人ならば折れてしまいそうな力を秘めていた。
しかし、彼女と相対するのは常人でもなければ年相応の小娘ですらない。
管理局が誇るエース・オブ・エース。
不屈のエース、高町なのはだ。
彼女は涼しげに差し出された大根とこんにゃくを受け取りながら
「あぁ、別にたいした問題じゃないでしょ?」
軽く、全ての次元に喧嘩を売るような一言をのたまった。
瞬間、周囲の体感温度が数度は下がり、猫や犬はおろか周りを歩いていた人たちでさえも倒れ付してしまうほどだ。
気の弱いものが居ればそのまま死に至るほどの殺気。
その現況はなのはの両隣に居る二人。
ともに管理局が誇るS級オーバーの魔術師であり、その勇名は言うに及ばず、その力を持ってすれば歴史が変わるとまで言われている二人の本気の殺気を受け止めて、しかしなのはに動揺は無い。
「・・・なのはちゃん、面白いこというなぁ・・・腸をねじ切られたそうな台詞や・・・」
「そうだね、ちょっとこれは許せないかな?ねぇ、なのは」
二人の一見穏やかそうな表情と声、しかしその瞳には殺意が宿り、その魔力には必殺の意思が込められていた。
彼女他ほどの実力者になれば構えていなくても魔術を発動させる時間など一瞬で事足りる。
対するなのはは大根を細かく割り続けている。
かさりという店主の新聞をめくる音だけが響き
「だって、結局シンに返事をもらってないんだもん」
なんでもないかのようにさらりと、しかしその実果てしなく暗くのたまったなのはの言葉にフェイトとはやてが殺気を押さえ込み、逆に申し訳なさ下に視線を泳がせて
二人はそれぞれがなのはの肩を叩く。
その表情には先ほどまでの笑みではなく、同類を哀れむ悲壮がにじみ出ていた。
「あー・・・まぁ、あれや。シンはわたしのやから返事はそないきにせんと、な?」
「はやて、それはおかしいよ。シンはわたしの旦那様になる人だからあれだけど・・・元気出して?なのはならきっと素敵な人が見つかるよ」
「フェイトちゃん、はやてちゃん・・・それ、ぜんぜんフォローになってないし。あと、自分の願望をさも現実のごとく言うのはだめだと思うよ?」
それでも、自分を気遣ってくれる親友達になのはは笑みを浮かべ、小さくした大根を口にしながら件の彼のことを思い出していた。
黒い髪に白い肌。
そしてまるでルビーのような赤い瞳。
少年のように無邪気なようで、賢者のように悲観する。
正義をあざ笑いながら、悪に義憤するその矛盾。
どこにでもいそうな、今まで彼女が、彼女達があったことの無い人種。
あまりにも強くもろい、自分によく似た真逆の存在。
だからだろう、自分達が彼に惹かれてしまったのは。
はやては彼の強さの中に潜む優しさにかつて自分が守れなかった家族を。
フェイトはその強い母性と面倒見のよさから彼のそばにあり、それが女としての目覚めを促した。
そして、自分は、そのあまりにも自分とは正反対のその性質ゆえに、彼に惹かれてしまっていた。
それ以外にも様々な女性が(たまに同性もいるが)彼に惹かれ、恋をする。
そんな現状を確認してなのはは一つ笑みを浮かべる。
本来ならば忌まわしい彼のその性質も、しかしここまで来ると逆にすがすがしいまでだ。
最も、だからといって彼を自分以外の人間に渡す気など毛頭無いのだが
「どうしたの?なのは」
「なんかおもろいことでもあったん?」
親友の二人はちょっとした仕種をすぐに見分ける。
そこはやはり、幼い頃からともに合ったが故だろう。
なのはは再び首を振り、なんでもないと言葉をつむぎ、ふと疑問が胸中を横切った。
「ところでさ、シンってどんな人がタイプなんだろ」
なんとも無しに言った一言。
現状を確認し再認し、再考したがゆえの一言。
彼女自身に悪意も責も無い、その言葉。
しかし、往々にして世界を揺り動かす最初の原因はなんでもないことである。
かつての起こった全世界を巻き込んだ大戦の原因が、たった一人の凶弾であったように。
本人にとってはたいしたことは無くても、それから起こる連鎖によってたやすく均衡は崩されてしまう。
その一言はまさに楼閣を崩す最初の一撃だった。
「そら、わたしやろ」
なのはの疑問に即答したのは、やはりというかいつもどおりというか予想通りというか、はやてだった。
その瞳からなにやら理性とシリアスさが抜けているのは、おそらく気のせいではないだろう。
「わたしは、やっぱりよく出来て、でもあまりシン君の前に立ちすぎない。でも、シン君のことを分かって上げられる。
そんな良妻賢母みたいな子だと思うな。わたしとか」
そんなはやての言葉を無視するようにフェイトがさらりと述べてくる。
表情になんら負い目も、計算も無い純粋無垢な少女のようなその瞳と笑顔に、逆に感心してしまうほどだ。
「・・・いや、フェイトちゃんはやてちゃん。そういう願望じゃなくてさ・・・本当に、シンにふさわしいとかじゃなくて、どういった子がタイプなのかな?って話しだよ」
「せやからわたし」
「いや、それもういいから、というかyagami化してるよ?はやてちゃん」
さらに続けようとしたはやてを、なのはがばっさりと切り落とす。
はやてはしぶしぶとしながらも日本酒をちびりと飲んでいく。
彼女のこういうお酒に弱いところもまたかわいらしいところではあるのだが、彼女は『虎』になってしまうので注意が必要だ。
フェイトは先ほどのなのはの言葉を聞いて、頬杖をついて考える。
美人がやるとどんなポーズでも様になるのは卑怯だというのが他者の見解だが、それすらもフェイトの純粋さは欠けることは無く、これこそ親友達の七不思議のうちのひとつだったのだが、それはまた別の話である。
フェイトは一つ唸ったあとに
「・・・ちょっと思ったんだけどさ・・・シン君、恋したことあるのかな?」
「せやからわたしに」
「はやてちゃん。静かにしないと水かけるよ?」
「ちょ!?なのはちゃん冷たいで!?」
「それで、フェイトちゃん。それはどういうこと?」
「終いにツッコミ無視はやめてぇな!!」
はやてがひとしきりはしゃいぎ、フェイトがまぁまぁと彼女に合いの手を入れる。
彼女は一つ咳払いをしてからウィスキー(十二杯目)のグラスを手の中でもてあそびながら言葉を選ぶようにして考えを述べていく。
「なんていうかさ。シン君って、男女の意味での好意を知らない気がするんだ。知識とか、そういうことでは知ってるけれども、それが実際にどういうことをしたいとか、どうなりたいとか、そういった具体性が無いって言うのかな・・・欲はあっても、そこから先がわからない。まるで、自分で境界線を引いてるみたいに・・・」
おそらく自分の中でも固まっていないのだろう。
それゆえにどこかちぐはぐな言葉になってしまっているのを自分でも理解しているのか、フェイトは一つ苦笑を最後に付け足した。
「それは・・・ありえるやろうな。シンの年齢と、過去を振り返れば、そうなってまうんも仕方ないわ」
先ほどまでとは打って変わってまじめなはやての言葉と表情になのははうなづいて答えた
シンの過去については知っている。
無論、それは知識として。
彼に教えてもらった範囲では、という前提がついてしまうのだが。
それでも、断片的なその言葉からでも、彼の少年期が幸福とは縁遠いものであったことは容易に想像がつく。
両親をなくし、国を出て一人で士官学校へ進み、そして戦争を経験し。
最後に、己の全てを奪われる。
まるで道化を演じるピエロのような、とは彼の言葉だったが、そのときの彼の表情をなのはは未だに忘れることが出来ない。
普段は明るいあの瞳が、怒りを秘めたあの強い輝きを持つあの赤が、まるでくすんだ血のように濁っていくのを、
おそらくなのはは障害忘れることは無いだろう。
「でも、それは知らないだけ。興味はあるよ」
「なんで言い切れるんや?なのはちゃん」
はやての疑問に、なのは余裕を持った瞳で笑みを浮かべる。
「だって、あの子。わたしをそういった目で見たことがあるって言ってくれたんだもん」
勝ち誇るようなその言葉、その声、その表情に。



ついに、彼女達の怒りが爆発した。



瞬間。金色の閃光がなのはを襲う。
それをなのはは転げるように屋台の表に跳び出る。
遠く、夜空を切り裂くように天へと駆け上がるその金色は数瞬後に夜の街を真昼のごとく染め上げる爆発となった。
なのははそれを確認することも無く、ただ、目の前の二人から目を離すことは無い。
「・・・よく避けたね、なのは・・・ちゃんと頭を狙ったはずなんだけどな」
フェイトがいっそ無防備ともいえるように、ただ背中を向けて語りかける。
その響きに、先ほどまでの優しさは無く、まるで天上から断罪を告げる審判者を思わせた。
そして、それに呼応するようにもう一人の声が響く。
「だめやないかフェイトちゃん。きちんと心臓もねらわな・・・それにな、なのはちゃん・・・それは、どういうことなんかな?」
響く声は聞きなれた声色。
しかしそれはまるで地獄から響く魔王の叫び声のように聞こえた。
ゆらりと二人が同時に立ち上がり、こちらを向く。
周囲からは騒音も、人の気配も、獣の鳴き声すらも響かないほどの緊張感。
それを前にしても、なのはは不適に笑みを浮かべて艶然と笑みを浮かべる。
「なに?嫉妬?二人とも、そんな見苦しいまねはやめたほうがいいよ」
周囲から音が消えていく。
まるでここだけ世界から切り取られてしまったかのような、異界に足を踏み入れたような感覚。
それこそ、彼女達二人の、否。
彼女達三人が放つその気配によって、訪れた結果。
まるで彼女達以外の世界の全てが止められたかのような静寂。
ゆえに、その静寂を破るものは彼女達しかいない。
「それは考えすぎやなぁ、なのはちゃん。第一、そんなことをシンが言うとはおもわれへんよ?」
「そうだね、シンってそういったことには奥手だからね。きっと無理やりなのはが言わせたに違いないよ」
それはある意味では正鵠を射ている。
実際、シンに聞いたときには誰かという確定はしていなかったし、彼もはっきりとは答えていない。
しかし、彼女にとってはそれだけで十分だった。
そして、そのことを彼女らに教えることも必要ない。
「だったら、シンに聞いてみれば?最も、シンが素直に教えてくれればの話だけどね?」
ざわりと、空気がうごめく。
まとわりつくような濃厚な魔力と、それ以上に充満する殺意によって。
「そやね。シンにはゆっくりお話せなあかんようやね」
「うん。でも、その前に・・・裏切り者を始末しなくちゃね」
ゆっくりと前に出てくるフェイトとはやて。
その歩みはまるで小さな巨人を思わせる重みを持っていた。
「出来るの?前にわたしに負けた人と、ユニゾンデバイスのない今のあなた達に?」
あざ笑うかのような声。
しかしその実はそんな世湯など彼女には無い。
相手は二人。
しかも両者の実力ははっきり言って自分と同じ。
一度試合えば、その回数分勝敗がぶれてしまうほどに拮抗した実力の持ち主。
それが二人。
無論、お互いがお互いに信頼しているわけではない。
隙在らばもう一方も亡き者にして彼への倍率を減らしてしまおうとすら思っているであろう二人。
だからこそそこ付け入る隙があるし、相手もこちらの意図は読んでいるだろ。
しかし、だからこそここで彼女は動いた。
「いいよ。だったらもう一度教えてあげる。誰がシンにふさわしいのか」
万軍を相手取る英雄のように。
後世に名を残す戦場を駆け抜ける砲弾のような重厚さで、なのはは不敵に笑みを浮かべて、己の相棒を取り出す。
彼と同じ、紅い色をしたアクセサリーを手に魔力を集積させていく。
「そらこっちの台詞や・・・第一、いつまでも頭冷やそうかとか言ってる誰かさんこそ、頭冷やさなあかんからね・・・これも上司の勤めや。一思いに殺ってあげるから、楽にしときぃな」
対する彼女は万軍を率いる覇王のように。
己の通ってきた道こそが王道と、それ以外の道など邪道であると切って捨てる傲慢にしてそれを許す強さを持ってして。
目の前に居る標的を打ち砕くために魔力を込める。
「なのはと本気で殺りあうのなんて久しぶりだね・・・大丈夫。痛くしないし、それにシンはわたしと一緒に幸せになるんだからね」
そして、最後の彼女はまるで慈愛の聖女のように。
しかし、その本質は異端を殺しつくす天使のごとく。許さぬ生かさぬ、そこにあることですらも罪と断ずるその笑顔。
意思と成ってそれらは敵を滅ぼす鎌となる。
これだけの中にあってなお、屋台の店主は変わることは無く新聞を読みふけっている。
しかし、そんなものはすでに彼女達に関係は無い。
「それじゃあ」
吹きすさぶ魔力はすでに嵐のように巻き上がり、なのはの茶色の髪をかき乱す。
「そうだね、今度こそ」
自らの金糸のごとき髪が降り乱れるのを纏めもせずに、フェイトが二人を俯瞰する。
「誰がシンに一番ふさわしいのか」
膨れ上がった魔力と想いはすでに留まるところを知らず、はやては己の本能を開放する。
そして、三人は同時に口を開き
「決着を、つけようか?」
ここに、『戦争』が始まった。





彼は、彼女にとって宝石だった。
紅くきらめくその輝きは万人を魅了し、とりこにする。
彼の罪も、彼の過去も、それに加えられれば極上のエッセンスと成り果てる。
それはまるで不吉な宝石。
不吉であると皆が知っているのに誰もがそれを手に入れたがるまさに魔性。
それが、彼女。
高町なのはが彼に抱く想いでもある。
だが、0には数値を無限に掛け合わせようとも0は0でしかない。
彼女がどんなに彼を思おうとも、彼を想いどれほどの涙を流していたとしても、
彼が彼女を思う心が0では意味が無い。
しかし、0ではなかった。
それはあまりにも少ない可能性かもしれないが、こちらはその程度ではへこたれない不屈のエース。
たとえどんなに低い可能性であろうとも、それをやり遂げて見せるのが彼女の信条。
だから、彼女は戦う。
己が始めて恋した人を、愛する者を手に入れるために。

4

シン「次回のライダーはメダルを組み合わせて変身するのか」

ナノハ!フェイト!ハヤテ!ナ・フェ・ハ ナフェハ!ナッフェハ!

なのはメダル「よーし全力全開でいくの!」
フェイトメダル「ちょっと!腕と胸は私だよ!」
はやてメダル「何で私が下半身なんや!キックか移動以外見せ場ないやんか!」


シン「やっぱりまともに動けない!」

5

ギンガメダル(上)「このコンボ・・・」
ノーヴェメダル(中)「何かが・・・」
スバルメダル(下)「おかしいような気がする・・・」

シン「どうみても順番だろ!」

6

はやて「はて、どう言う事か、説明して貰うで?」
シグナム「…………」
ヴィータ「…………」
シャマル「…………」

はやて「何でデスティニーのパラメータが全部フルチューンされとるんや!!?せっかく、楽しみながら上げて行こうと思ってた私の楽しみを!!」
ヴィータ「だって、シグナムが「COMBO」の数値を上げよう」とか言うから」
シグナム「な、それを言うなら、シャマルも「「HIT POINTs」や「DEFENSE」の数値もあげた方が」とか言ったぞ。」
シャマル「な、何よ。ヴィータちゃんだって、「「ATTACK」値をもっと上げて火力を底上げ」とか」
はやて「もう言い訳はええ!!この落とし前、どなしてつけてくれるんや!!?」
リィンⅡ「(はやてちゃん、怖いのです。とても怖くて何も言えないです。)」
はやて「罰として、3人は私の許可なく、プレイヤー機でデスティニーの使用は禁止や!!」
ヴィータ「そ、そんな……」
シャマル「(だったら、新しくセーブデータ作って、やっちゃおうかな…)」
はやて「後、勝手に新しくセーブデータを作ったら問答無用で消すで?」
シャマル「(ギクゥッッ!!)」

7

はやて「珍しいなぁ。シンが赤服の襟をしめとるなんて」
シン「議長が考えたクールビズらしくて、男は全員守らなくちゃ罰金なんですよ。・・・けど恥ずかしくて」
はやて「クールビズ? なんや、いつもの赤服と変わらへんで?」
シン「はぁ・・・これなんですけどね」

議長『ザフト兵士諸君、私達プラントは地球の方々と友好的に付き合っていかねばならない。地球で温暖化対策を必要としている今、我々だけ何も考えないということは許されない。そこで評議会でクールビズをすることが決定した。ザフト兵士諸君には“褌軍服”――つまり軍服の下にシャツ等の着用を禁止し、下半身の下着には褌を着用してもらう。』

シン「と、いうわけなんですよ」
はやて「と、いうことは」
シン「はい、肌に直に軍服です」胸を少しだけチラッ
はやて「・・・・」
シン「?」
yagami「シン、ちょっとズボン脱いでみよか。ちゃんとクールビズ守っとるか検査や」
シン「いやいやいや、何言ってんですか! あッ・・・・俺、ちょっと用事が」
yagami「待ちや! これは風紀と規律を守るための行為や」
シン「管理局内で一番、風紀と規律をぶっ壊している人が何を言っているんですかッ!」
yagemi「ちッ・・・力ずくは嫌いやけど、しゃあないなぁ。夜天の書!!」
シン「こんな・・・こんなところで俺はァァアアア! デスティニー!!」

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年09月15日 21:52
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。