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仮面ライダーW 5話『怪盗S > 大事なモノがある』2 > 2

【CYCLONE/JOKER】
風と共に、戦士の証である鎧がシンに身に纏う。
その瞬間に、シャルロットの体が倒れる。
「えっ、ど、どういう事!?」
何がなんだか分からなくなっている三人を尻目に、Wはサンドドーパントを見据える。
「『さぁ、お前の罪を数えろ』」
サンドドーパントを左手で指さす。
『ハアアア!』
サンドドーパントが直進する。
Wは転がってかわし、蹴りを入れる。
サンドドーパントは怯むが、右腕を振るう。
Wが最小限の動きで避ける。
「オラッ!」
顔に拳をいれる。
だが、近づきすぎたためか、左腕を掴まれる。
「なっ!?」
ハンマー投げの要領で吹っ飛ばされる。
「ぐはッ!?」
茂みを掻き分け、木にぶつかり、倒れる。
『こんなものかい!』
「見くびってもらっちゃあ困るぜ」
立ち上がり、Wが駆ける。
その勢いのまま、跳躍。
とび蹴りを食らわせる。
が、砂の壁が現れ、視界を奪う。
構わず破壊するが、そこにドーパントの姿が無い。
辺りを見回すが、影も形も無い。
『逃げられた?』
「いや、眩ましているだけだ」
バットショットを取り出す。
【LUNA】
ルナメモリを起動し、バットショットにインサート。
【LUNA――MAXIMUMDRIVE】
バットショットが羽ばたくと、超音波を周囲に発する。
すると、ある一点から火花が飛ぶ。
『…ウッ、…クッ…ウワァ!』
砂の色となり、カモフラージュしていたサンドドーパントが苦しみながら姿を現す。
Wが走り、上段蹴り。
拳を入れた後に、回し蹴りを決める。
よろめくサンドドーパントに一際力強い蹴りを当てる。
サンドドーパントが吹っ飛ばされ、転がり、立ち上がる。
『クッ、なめるな!』
サンドドーパントが周りにある砂を身体に取り込む。
それは段々と巨大になり、体長10メイル以上のゴーレムへと姿を変えた。
「何ッ!?」
驚くWだが、ゴーレムはその一瞬に右拳を放つ。
巨体であるにもかかわらず、振り出す速さは先のゴーレムを優に越していた。
「グワッ!?」
Wが吹き飛び、転がる。
「シン!?」
サイトが叫ぶと、サンドドーパントがその方向を向く。
『あなたたちも始末しないとね』
ゴーレム体のサンドドーパントが走る。
だが、
【HEAT/JOKER】
「させるかー!!」
Wがヒートジョーカーとなり、跳躍。
サンドドーパントの顔面に拳を繰り出す。
その場に倒れふすが、直ぐに立ち上がる。
「シン、どうするんだよ?コイツにはもう弾は無いし、あったとしても当たって倒せるか…」
「ソレよりも、威力がある一撃を与えるだけだ」
『そんなモノがどこに…』
サンドドーパントが嘲う。
「あるぜ。ココにな」
Wが左手に銀色のメモリを持つ。
スタートアップスイッチを押す。
【METAL】
左のスロットにインサート、展開。
【HEAT/METAL】
Wの左半身が変化。
黒から銀を基調とした色へと変わる。
背には棒術武器である『メタルシャフト』をマウント。
赤き『熱』を纏いし鋼の『闘士』、ヒートメタルへと姿を変えた。
『そんなこけおどしで!』
サンドドーパントがWに近づき、その右拳を放つ。
対してWはゆっくりとした動作で、左拳を放つ。
衝突する右手と左手。
それに勝利したのは…Wの左手であった。
『そ、そんな…』
右手を抑え、苦痛の声を上げるサンドドーパント。
Wが背にあるメタルシャフトのマウントを解除。
左手に持つと、シャフトの両側からバーが伸びる。
「いくぜ」
跳躍。
Wがシャフトを振るう。
左から振り下ろし、突きを入れる。
近づき、振り上げて、突く。
想像以上の破壊力によろめくサンドドーパント。
腕を振るうが、単調となった攻撃が当たることは無く、シャフトでいなされる。
「オラァ!」
右手が熱を纏い、殴る。
シャフトで胴薙ぎし、直後に蹴りをかます。
シャフトと拳による破壊力と、右手でも敵わない鎧の頑丈さにサンドドーパントは恐怖していた。
Wが一際力を込めてシャフトで吹き飛ばす。
「そろそろ決めるぜ!」
メタルメモリを外し、メタルシャフトのマキシマムスロットへとインサート。
【METAL――MAXIMUMDRIVE】
シャフトの両側から超高熱が噴出される。
その熱が最高潮に達した瞬間、
「『メタルブランディング!』」
バーニアのように熱が噴出する力で地面を高速で滑る。
サンドドーパントに近づき、シャフトで薙ぎ払う。
強烈な打撃を与えこむ。
『グワァァァ!』
吹き飛ばされ、メモリが排出し粉砕。
サンドドーパントからフーケへと戻り、気絶する。
Wがシャフトを肩に担ぎ、メタルメモリを引き抜く。
Wの変身が解除され、シンの姿へと戻り、シャルロットがまぶたを開く。
「さぁ、帰るぜ」
フーケを縄で縛り、馬車に乗って学院へと帰っていく。
―とある館 ホール―
「紹介しますわ、お父様」
この家の長女、アイシャはお父様と呼ばれる人物に自分の求婚者を紹介する。
「おぉ、この人かアイシャ。…ふむ、いい人柄じゃのう」
お父様はその人物を見定めると、温厚そうな顔で微笑む。
「お兄様よりは優しそうね」
「余計なおしゃべりをするな。シェリカ」
何時もはシェリカに噛み付くノヴァールも、嗜める。
「君の名前を教えてくれるかの?」
お父様が聞く。
すると、男は口元を上げる。
「ワルドと申します。以後お見知りおきを」
「ふむ、ワルド君。君にコレを与えよう」
男はお父様からベルトとメモリを受け取る。
「何か言うことはあるかの」
ワルドと名乗った男は腰にベルト、【ガイアドライバー】を着ける。
「最高の花婿と言わせますよ。お義父さん」
ガイアメモリを持ち、スイッチを押す。
【NASKA】
ドライバーへとメモリを入れて変身。
他の怪人と違う、人に近い形態へと姿を変える。
お父様とアイシャは互いに笑いあった。

―学院 学院長室―
「ご苦労であったな、よく無事に帰って来てくれた」
フーケを捕まえて帰ってきた一行にオスマンは労いの言葉を掛ける。
「しかし、ミス・ロングビルが土くれのフーケだったとは…」
教員の中にフーケがいたという事実にオスマンは嘆いた。
「美人だったものだから何の疑いもせずに採用してしまったからの~」
「…一体どこで採用されたんですか?」
呆れた様子で問うコルベール。
「町の居酒屋だったかの?給士をしていた彼女のお尻をついつい撫でてしまってな」
「…それで?」
続きを促すコルベール。
オスマンは照れたように告白する。
「おほん。それでも怒らないので、秘書にならないか、と言ってしまった」
「…何故?」
理解できない、といった風にコルベールが尋ねる。
「カァー!!」
オスマンが目を見開いて怒鳴る。
とても高齢とは思えない迫力である。
コホンと咳をすると、急に真顔になる。
「それに、魔法も使えるというもんでな」
「死んだほうがいいのでは」
コルベールがボソッと言う。
オスマンは、軽く咳払いをすると、コルベールに向き直り、重々しい口調で言った。
「今思えば、あれも学院に潜り込むためのフーケの手じゃったに違いない。居酒屋でくつろぐ私の前に何度もやってきて、愛想よく酒を勧める。魔法学院学院長は男前で痺れます、などと何度も媚を売り売り言いおって……終いにゃ尻を撫でても怒らない。惚れてる?とか思うじゃろ?なあ?ねえ?」
その言葉を聞き、コルベールは嫌な汗を流す。
実はコルベール、ロングビルことフーケにオスマンが言った事と似たような手口にやられ、宝物庫の壁の弱点について教えてしまっていたのだ。
コルベールはそれを思い出し、オスマンに合わせた。
「そ、そうですな!美人はそれだけで、いけない魔法使いですな!」
「そのとおりじゃ!君は上手いことを言うな!コルベール君!」
その二人のコントみたいなやりとりを五人は呆れた様子で見ていた。
「…エロ親父達が」
五人が思っていた事を代表しているかのように、シンが呟き、サイトたちが頷く。
それが聞こえたのか、咳払いをすると、厳しい顔つきを見せる。
「さてと、君達には感謝をしている。見事フーケを捕まえ、破壊の杖を奪還した。フーケは城の衛士に引渡した。破壊の杖は宝物庫へと収まった。一件落着だ」
シンとサイトを除いた三人が誇らしげに頭を下げる。
「君達には『シュヴァリエ』の爵位申請を宮廷に出しておいた。追っ手沙汰がくるじゃろう。最も、ミス・オルレアンは既にシュヴァリエの爵位を持っておるがの」
ルイズとキュルケの二人が喜ぶ。
「本当ですか?」
キュルケが驚いた顔で聞く。
「当然じゃ。君達はそれぐらいの事をしたんじゃからな」
オスマンが微笑みながら言う。
「あの、学院長。サイトたちには、何も無いんですか?」
ルイズがオスマンへと問う。
オスマンが苦い顔をする。
「残念ながら、彼らは貴族ではない」
頑張ったのはサイトたちだ。
ゴーレムを倒したのはサイト、フーケを捕まえたのはシン。
私たちは何もしていないのに。
ルイズがそう思っていると、頭に手が乗り、撫でられる。
「何辛気臭い顔してんだ。俺はそんなのいらねぇよ」
「あぁ、爵位なんかもらっても必要ないしな」
シンとサイトが言う。
オスマンがポンポンと手を叩く。
「さぁ、今日の夜は『フリッグの舞踏会』じゃ。破壊の杖も戻ってきたことじゃ。予定通りに執り行う」
キュルケの顔がぱっと輝く。
「そうでしたわ!フーケの騒ぎですっかり忘れておりました」
「今日の舞台の主役は君達じゃ。用意をしてきたまえ。せいぜい、着飾るのじゃぞ」
三人が礼をしてドアを開ける。
「少し君達と話したいんじゃが、いいかの?」
シンとサイトをオスマンが呼び止める。
「先に行ってていいよ」
「後で行くからな」
ルイズたちが出て行く。
残ったシンとサイト。
「すまなかったな。本来なら君たちも爵位を受けるほどの功績なのだがな。上には頭の固い連中ばかりじゃ」
「気にはしてませんよ。それより、聞きたいことがあるんですけどいいですか?」
「何じゃ、言ってみなさい。出来るだけ力になろう。せめてものお礼じゃ」
オスマンがコルベールに退室を促すが、
「いえ、コルベールさんにも聞いてもらってよろしいでしょうか?」
というシンの言葉でオスマンはコルベールを残した。
コルベールはわくわくしながらサイトの言葉を待った。
「あの『破壊の杖』は、俺達の元いた世界の武器なんです」
コルベールが驚き、オスマンが眼を光らせる。
「ふむ、元いた世界とは?」
「俺やシンも、この世界の人間じゃないんです」
「本当かね、それは?」
「はい、俺はルイズに、シンはシャルロットの『召喚』によってこの世界に来ました」
「なるほどのぉ~」
オスマンが目を細める。
「信じるんですか、こんな御伽噺みたいな話を」
シンがオスマンに尋ねる。
「私も君達みたいな者と会ったことがある。私の命の恩人にな」
そう言うと、オスマンが話し始める。
「今から、30年も昔の話じゃ。30年前、森を散策していた私は、ワイバーンに襲われた。そこを救ってくれたのが、あの『破壊の杖』の持ち主じゃ。彼は、もう1本の『破壊の杖』で、ワイバーンを吹き飛ばすと、ばったりと倒れおった。怪我をしていたのじゃ。私は彼を学院に運び込み、手厚く看護した。しかし、看護の甲斐なく……」
「死んでしまった…」
オスマンが言いかけた言葉をシンが繋げる。
オスマンが頷く。
「私は、彼が使った1本を墓に埋め、もう1本を『破壊の杖』と名づけ、宝物庫にしまいこんだ。恩人の形見としてな……」
オスマンが遠い目で話す。
心の中で『彼』のために再び泣いているのだろう。
「彼はベッドの上で、死ぬまでうわごとのように繰り返しておった。『ここは何処だ。元の世界に帰りたい』とな。きっと、彼は君たちと同じ世界から来たんじゃろうな」
「その人は、誰に呼ばれてきたんでしょうか?」
「分からん。彼がどうやってこの世界に来たのかは、もう誰も知らないことじゃ」
「せっかく元の世界に帰れる手がかりを見つけたと思ったのに…」
サイトが嘆く。
「他に聞きたいことはあるかの?」
サイトはオスマンへと左手を見せる。
「このルーンってやつについて教えてくれませんか」
「……ほう、『ガンダールヴ』の印じゃ。伝説の使い魔の印じゃよ」
オスマンが話す。
「そうじゃ。その伝説の使い魔はありとあらゆる『武器』を使い、一騎当千の力で敵を薙ぎ払ったそうじゃ。『破壊の杖』を使えたのも、そのお陰じゃろう」
「…どうして、俺がその伝説の使い魔なんかに」
「わからん…」
「わからないことだらけですね」
「すまんの。ただ、もしかしたら、お主がこっちの世界にやってきたことと、ガンダールヴの印は、なにか関係しているのかもしれん」
「はぁ…」
ため息をつく。
元の世界に帰れるあてがすっかり外れたからである。
「力になれんですまんの。ただ、これだけは言っておく。私たちはおぬし等の味方じゃ」
コルベールが頷く。
オスマンがサイトとシンに握手をする。
「破壊の杖をよく取り戻してくれた。改めて礼を言わせてほしい」
「いえ……」
サイトは疲れた声で返事をした。
「おぬし等がどういう理屈で、こっちの世界にやってきたのか、私なりに調べる心算じゃ。でも…」
「でも、なんです?」
「何もわからなくても、恨まんでくれよ。なあに。こっちの世界も住めば都じゃ。嫁さんだって探してやる」
2人は、オスマンの言葉に苦笑するしかなかった。
「さぁ、君達も舞踏会を楽しんできたまえ」
部屋から出ると、シンは舞踏会とは違う場所へと向かう。
「シン、どこに行くんだ?」
「少し野暮用がな。ちゃんと舞踏会には行くからよ」
そう言うと、シンは歩いていった。
「チッ、この土くれのフーケ様が捕まるなんてね」
牢にて、フーケは愚痴っていた。
絶対に捕まるはずがない自分が失態を犯すという事態に腹を立てていた。
「これじゃ、仕送りをすることもできないね。許してくれ」
誰かに謝るフーケの耳に入ったのは、一つの足音だった。
兵士かと思ったが、影が近づくとそれが誰だか分かった。
「お前は!?」
そこには自分を捕まえた張本人、シン=アスカがいた。
「わざわざ、あたしを嘲いに来たのかい?ご苦労なこったね」
精一杯の嫌味を込めて、フーケが言葉を投げる。
「なぁ、何で盗賊をやってたんだ?」
「ハッ、教える義理がどこにあるってんだ!」
「ある人から聞いたんだよ。お前が盗むことには意味があるって」
シンが真っ直ぐにフーケを見る。
それに観念したのか、フーケが口を開ける。
「私はね、昔は貴族として不自由無く暮らしていた。けど、ある日突然に爵位を剥奪されたの。いざこざに巻き込まれ、家族も死んで、死ぬ思いだった私を救ってくれたのが、私の義妹なの。でも、暮らしていくには金が必要となった。孤児院をやっているから当然よね。だから私が手を汚してでも守ってあげなきゃいけないのよ!あの子が汚れないのなら、私はなんだってするわよ!」
いつの間にかフーケは涙を流していた。
シンはその様子を見ると、外へと出て行く。
シンが戻ってくると、その手には杖と鍵が持たれていた。
「あ、アンタどうして…」
「俺にも妹がいたんだ。わんぱくで俺にベッタリして、可愛い妹だった。でも、戦争で妹も両親も死んだ。残ったのは俺だけだった。だから…」
牢の扉を開ける。
「義妹さん、大切にしろよ。それと、もう盗賊なんかすんなよ」
杖を渡す。
フーケはぽかんとするが、その後小さく微笑む。
「変わった男だね。でも、アンタみたいな奴、好きだよ」
そう言い、突然顔を近づけると、シンの頬に軽く口付ける。
「な、なあぁぁぁ!?」
「アッハッハ、意外とウブだねー。それじゃあね、探偵さん」
そう言い残し、フーケは夜の森へと姿を眩ませる。
シンは牢から出ると、キスされた頬を撫ぜる。
「ほっほ~、随分なことじゃの~」
何時の間にか、そこにはオスマンがいた。
その後ろには、グウグウと眠る兵士がいた。
「捕まえたりしないんですか?脱獄の手引きをしたんですよ?」
「外道な連中から盗んでたことは知っておる。さっき来たシーモ殿もそのことを承諾しておる」
あの人は優しいんだな、とシンは思う。
自分が彼女、フーケを逃がしたのは優しさではなく、同情が大きかった。
自分と同じ境遇だったからなのかもしれない。
情に流される自分は、まだまだ半人前なのだろう。
「安心しなさい。私は君達の味方だ」
「…ありがとうございます」
敵わないな、とシンは思いながら頭を下げる。
「さぁ、君も早く行った方がいいぞ。楽しんできなさい」
シンは舞踏会の会場へと走り出した。
食堂の上の階にあるホール。
舞踏会はそこで行われていた。
扉を開けると、多くの生徒からの視線を浴びるが、無視する。
「あ、シンさん。いらしたんですか?」
給士をしているシエスタが話してくる。
「あぁ、用事を終えてきたばかりなんだ」
「そうなんですか。お疲れさまです」
しばらくシエスタと話していると、ドレスを着たキュルケが話しに乗ってきた。
「あら、大活躍した人が遅れるなんていいのかしら?」
「用事だ、用事。それに、こういう場はあんまり好きじゃないんだ」
「あの、お邪魔でしょうか?」
「あら、全然気にしないわ。寧ろ…」
「そういう悪ノリをするな。レディならもっとおしとやかにしろ」
そんなやり取りをしていると、黒いパーティドレスを着たシャルロットが口に食べ物を頬張りながら現れる。
「どほにいっふぇふぁお(どこに行ってたの)?」
「口の中にあるものを飲みこんでから喋りなさい。シャルロットさん」
注意をするが、さらに食べ物を頬張る。
多少呆れるが、仕方ないと割り切る。
「サイトはどこにいるんだ?」
シャルロットが指を指す。
バルコニーの枠に腰掛け、ワインを飲んでいた。
バルコニーへと移動する。
「飲みすぎだぜ、サイト」
「シンか。…だってよ、帰れるかもしれなかったのに当てが外れちまったよ。飲まずにいられるか」
そう言い、グラスにワインを注ぎ、再び飲む。
「飲まねぇか、シン?」
「遠慮しておく。酒はどうも苦手なんだ」
そんなやり取りをしていると、
「ヴァリエール公爵が息女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおなーーーりーーー」
門の近くにいた衛士がルイズの到着を告げる。
そこにはパーティドレスを身に纏い、いつもの雰囲気とは違うルイズがいた。
その姿を見たサイトは息を呑んだ。
主役が全員揃ったことを確認した楽士たちが、小さく、流れるように音楽を奏で始めた。
ルイズは、多くの貴族の男達のダンスの誘いを全て断り、才人がいるバルコニーに近付いてきた。
ルイズは、酔っ払った才人の目の前に立つ。
「楽しんでるみたいね」
「いや、別に…」
見るにはあまりに眩しい存在なのか、サイトは目を逸らす。
『おぉ、馬子にも衣装って感じだな』
「うるさいわね」
デルフリンガーを睨むと、腕を組む。
「踊らないのか?」
「相手がいないのよ」
「たくさん誘われてたじゃねぇーか」
ルイズは答えず、手をサイトに差し出す。
「お、踊ってくださるかしら、私と」
少しだけ恥ずかしいのか、赤い顔で言った。
その表情にやられたのか、サイトはふらふらとルイズの手を取り、二人並んでホールへと向かった。
「おいおい、なんか蚊帳の外みたいですっげぇ浮いてたんだけど」
シンが愚痴る。
『おでれーた、おでれーた!てーしたもんだ相棒!』
感心しているのか、デルフがカチカチと鳴らす。
『主人のダンスの相手をつとめるなんててーしたもんだ!』
ぎこちないながらも、ルイズに動きを合わせるサイトの光景を見て、デルフが言う。
「やべぇ、なんか涙出てきそう」
一人愚痴るシン。
「シンも踊る?」
声が聞こえ、振り向くとそこにシャルロットがいた。
「シャルか。…踊るって言っても俺そういうのさっぱりだぞ」
「私に合わせてくれればいい」
そう言い、手を差し出す。
だが、
「あら、だったら私もダーリンと踊りたいわ」
キュルケが後ろから現れ、そう言う。
その後ろに、シエスタが物言いたそうにおどおどしている。
「…順番」
シャルロットがそう言う。
「え?俺全員と踊るの?」
「「「嫌(ですか)?」」」
「…嫌じゃないです」
結局、三人と交代でダンスを行った。
『アイツもアイツで、てーしたもんだ』
デルフが一人でカチカチと柄を鳴らしていた。
舞踏会は楽しく?時間が過ぎていった。

依頼『フーケを捕まえてほしい』
依頼主 シーモ=ドゥ=ロレングス
依頼【達成】

to be countinued

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最終更新:2010年03月31日 01:54
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