そろそろ氏の作品-01

1


豊穣の秋
終焉の秋

紅に染まるカエデは、まるで自らを焼き焦がすように
舞い散るその葉は、まるで火の粉ように

そんな中に、少女は佇む、ただ独り佇む

金色の髪は、青々と茂る若葉のように
身に纏う赤は、朽ち行く紅葉のように

気高さと、優雅さと
静けさと、儚さと

その全てを、少女は持っていた

彼女はこの秋の全てなのだと、今この時の全てだと
そう思えた

蘇る・・・思い出が蘇る

妹と共に遊んだ、枯葉舞い散る秋の丘
無邪気な笑顔を向けられて
それに応えるように上げた笑い声
母の暖かな微笑み
父の暖かな眼差し
妹のまぶしい笑顔

幸せな記憶、温もりに満ちた過去

それも燃えてしまった
紅い紅い、炎と共に
舞い散る枯葉、燃え盛るようなカエデ
頬を伝わる・・・涙

涙など、とうに枯れたと思っていた
だから止める術が無い、力も無い
ただただ、溢れ行く涙

暖かな手が頬をつつむ
泣かないでと優しい声が響く

暖かな笑みを
暖かな眼差しを
暖かで、まぶしい笑顔を

彼女は全てを持っていた
欲しいもの、無くしたもの
全てを持っていた

失わないように、すがるように
彼女を抱きしめた
強く強く抱きしめた

華奢な体を壊してしまうかもしれないくらいに、ただ強く
温もりを失わぬように、二度と離さぬように、ただ強く

彼女は何も言わなかった
ただ子を包み込む母のように、優しく抱き返してくれた

秋風が吹く、冬を誘うように
冷たさを感じる風の中で、彼女の温もりだけが優しかった


2

「お、何してるんだシン」
「ん? あぁ魔理沙…それに霊夢も」
「ついで扱いとは随分ご挨拶じゃない?」
「悪い悪い」

「いいけどさ…で、あんたは何してたのよ」
「あぁ、星を見てた」
「星? あんたには似合わないわねぇ」
「うるせぇ…今まで趣味なんて無かったからさ、たまには星を眺めてみようかなって…」
「そういうことならこの魔理沙様に任せなさい、なんせ私は星を扱う魔法使いなんだぜ」
「ははは…ありがとう魔理沙」

「それじゃあの北斗七星の隣に輝いてる星はなんて言うんだ?」

「えっ」
「えっ」
「えっ」

テーレッテー

3

あらすじ ┌─┐
うにゅ→シン │ な時空
 ↑ ┌───┘
 └─┘

「シ~ン、シーン~!」

虫歯になりそうなくらい甘ったるい声で俺の名前を呼ばれる・・・
そんな事をするのはこの地霊殿でただ一人
そしてこの後の展開も


「シィ~ン! うにゅーん!!」

抱きつこうと飛び掛るのはさ・・・まぁ悪くないよ、別にいいけどさ
本当に悪くないだけ、良いとは言ってないからな

でもついでに八咫烏ダイブを発動するのはよしてくれ
命が幾つあっても足りないって言うのに
それでもオレは抗う事も無く、彼女受け止める

それがオレの運命なのだから


      • と思っていたのか!
八咫烏ダイブとて、このオレを焼き尽くす事は出来ぬっ!!

という訳で、この時のためにレイから教わったあの技を使うぜ

「しぃぃん~ すぅぃいん!! 恋する乙女に逃走は無いのだっ!」

来た!
八咫烏ダイブの軌道、終点を見極め・・・飛ぶ!
今までいた場所に空が落ちる
顔を見る暇は無った
けれどその顔に驚きがあるはずだ

着地までに振り返り、彼女との軸をあわせる
勢いを殺ぐために付いた両の手にありったけの力を込め
そして力いっぱいの跳躍・・・その頂点に達した時、オレは構えを取る

「南斗水鳥拳奥義…」

構えは水面を飛び去る白鳥の如く
だがその羽ばたきは獰猛、鋭い閃光と共に相手へ・・・空へと翔ける!

「飛翔白麗!」

彼女は驚いた顔をしていた
これまでの流れに、その速さに
そして自らに何もなかった事に
だが

「シャオオォゥッ!!」

まだ終わりじゃない
弧を描く光は、オレの指に続くように瞬く
間を置かずに散り行く空の服・・・の切れ端

決まった!
オレは女難に・・・運命に勝負を挑み、そして勝った!

空の顔は先ほどと変わらずに驚きに固まったまま
少し顔色が青いような赤いような気もするけど、気にしない気にしない
何故なら勝ったんだ、勝者の前には些細なことだ

      • これから始まる新しい日々
それは険しい道かもしれない、でもオレは挫けない
そう心に決める、そして誓う

オレの運命はこれからだ、シン・アスカ次の運命に「…シン」

「えっ」

「シンの…シンのエッチイィィイイ!!!!」

シンの女難で地球は核の炎に包まれた

4

サクサクと、ついつい小刻みなリズムを取りながら口に含んでしまう
幾つになっても変わらない、これは癖なのか、それともこのお菓子の持つ魅力なのかもしれない

久々の地上
そこで見つけたのは外界のスティックにチョコを塗りつけたお菓子
懐かしさからついつい衝動買いしてしまった
さとり達の分も買ってあるけど・・・いつ渡すのがいいかな

まぁ、今は自分の分を食べる事にするか

      • 本当に懐かしいな

またこうやって、平穏にお菓子を食べることが出来る
こんな日々を送れるのも、皆のおかげだ

だけど

こんな小さな事でしか、恩を返せない自分の無力さ歯がゆい
もっと何か出来れば、何か出来る力があれば
こんな不甲斐ない自分じゃなければ

「バカな事を考えないで」

現実に引き戻す声が
この地霊殿、旧地獄を統べる少女の声
憤りと哀しみを交えた言葉

「さとり?」
「私は…私達はね、あなたが一緒にいてくれるだけで嬉しいの
 だからね、自分で自分の居場所や、今を否定するような事を考えないで欲しい…身勝手な言葉だけど
 哀しいのよ、あなたのそんな顔や心は」

彼女の言葉に、ひどく痛みを覚えた
そして
こうやって温もりをくれる彼女への、彼女達への感謝の念と、愛おしさも

「ありがとう…」

応えはなかった
言葉の代わりに、彼女はただ微笑んでくれた

その微笑みがまぶしくて、少し照れくさかったから
誤魔化すように、自分の分のお菓子を勧める

「そ、そういえば、地上でこんなの買ってきたんだ」
「顔に出てたら誤魔化しにならないわよ…心を読む以前の問題じゃない」
「うぅ…俺のことはいいから、これ食べてみてくれよ」

はいはい、と
そう、さっきとは違う笑みを浮かべながら、赤を基調にした箱を手に取りその隅々を眺める

「へぇ、これって色々な食べ方があるのね」

ん? 普通に食べる以外に方法があったのか、これ

「そう、知らなかったの…それじゃ試してみましょうか」

取り出した菓子を自分の唇に当て、悪戯心を含んだ眼差しを向ける

「…恩返しがしたいなら」

気が付けば

「こういう方法も、ありだと思わない?」

艶やかな眼差しと、お菓子を銜えた瑞々しい唇が迫っていた

5

「はぁ…」

極楽・・・年寄りくさい表現だけど、温泉に入るとこの表現しか浮かばない

そういえば風呂と温泉の違いってなんだろう
疲れをとる場所と癒しを与えてくれる場所とでも言うのかな

      • まぁなんでもいいや

ぼんやりと天井を眺める
視界に広がるのは・・・地底だから岩しかないけど

うっすら輝く岩肌はまるで星空を見ているかの様な気分だった

熱と虚空

今はただ、それらに身を任せる


 ・ ・ ・


水音が響く
のぼせかけてぼんやりとした思考のまま、視線を水音の方へ向け

「…あぁさとり えっ? うわ!」
「え? きゃぁっ!!

慌てて顔をそらすけど
うぁ、バッチリ見ちゃ・・・
って何を考えてるんだ違う落ち着け!

「ご、ゴメン! ゴメン、大丈夫オレは何も見てないから!!」

脱兎よりも早く、オレは脱衣所まで全力で逃げた


 ・ ・ ・


「はぁ…」

一息
いやまさか、さとりが入ってくるなんて・・・本当びっくりした

後でちゃんと謝らないと
まさかとは言え鉢合わせするなんて・・・鉢合わせ

そう言えばいつもはゆったりとした服で分からないけど
スレンダーっていうか綺麗な体つきっていうか、湯気と華奢な体の組み合わせが・・・

いやいや! 
なに考えてんだこんな事考えちゃ失礼だろ!
いやでも本当に・・・うがぁっ、もう! いい加減にしろオレ!!


 ・ ・ ・


「…全部聞こえてるんだけど」

でも恥ずかしいやらをひっくるめた感情の裏に
褒められて悪い気はしない・・・そういった思いも、少しはあった
それにあんな純な反応をしている彼を叱ってしまうと、逆にこちらが悪者に思えてくる

「もう…」

馬鹿正直で、自分を偽ろうともしない
そんな彼が、そんな彼だから私は

      • 入ってすぐだと言うのに、もうのぼせた気分になってしまう

自然と笑みがこぼれる

シンが謝りに来た時、どんな反応をしようかしら
少しからかってみようかよう、今度はどんな可愛い反応をしてくれるか楽しみだ

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最終更新:2010年05月16日 22:26
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