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仮面ライダーW 第10話『暴走のH > その名は仮面ライダー』

仮面ライダーW 第10話 『暴走のH/その名は仮面ライダー』

――自分が、護身像様を崇め始めたのは何時からだっただろうか?
2年前? 5年前? 10年前?
いや、もしかしたら生まれて間もない頃からかもしれない。
祖父が言っていた。
――あの『セントウキ』とやらは本当に空を自由に飛んでいたのじゃ。
自分には分からない言葉だったが、祖父は護身像様が飛べることを知っていた。
否、知ったのだ。
シエスタのひいおじい様が、祖父に言ったそうだ。
――できれば、私はこれで再び飛び、国へと帰りたい。
それが祖父が聞いた最後の言葉だったそうです。
祖父は死に際に、言葉を残しました。
――あの『竜の羽衣』を、絶対に守ってくれ。あの人の、ためにも…
祖父の意思を受け継ぎ、護身像様を守ろうとした。
でも、誰もが信じてくれなかった。
皆が祖父の、ひいおじい様を侮辱する。
二人の心を、意思を否定する。
やめろ、それ以上祖父を、ひいおじい様を、護身像様を侮辱するな!!!
そして、
「貴方は大変幸福です。何故なら、誰にも勝る力、何よりも強い超人になれる力を、金で買えるのですから」
僕は『暴れ馬人』となった。
護身像様を侮辱した奴らを、力でねじ伏せた。
祖父の、ひいおじい様の意思が、浄化されていく感覚だった。
――たまらない。
だが、そんな時に、あいつ等はやって来た。
護身像様を持っていくなんて、許せない!
シエスタも、何故そいつ等の味方をする!
力を使って、あいつ等もねじ伏せようとした。
でも、アイツは…
【CYCLONE/JOKER】
僕よりもずっと強い力を持っていた。
また、祖父達の意思が歪んでいく。
だから、あの男…ワルドという名の貴族に手を貸してもらった。
俺は、お前らが憎い!!
侮辱した奴らも、護身像様を持っていこうとする奴らも、全員懲らしめてやる!!
ホセは、自身の歪みに気づかないまま、憎しみを募らせた。

シンは帰ってきた道を進んでいた。
「(アイツが何かやらかす前に、何としても止めねーと!)」
走り、ホセがいた家へと来る。
しかし、気配が無い。
「(何だ、この嫌な感覚は…)」
そう思っていると、
「これはこれは、何時ぞやの使い魔君じゃないか」
「テメェ、ワルド!」
嘗ての魔法衛士隊グリフォン隊隊長、ワルドがいた。
「ハッ、前みたいに気さくな雰囲気だな。でも、それはお前の裏の顔だろ?」
「ふん、さすがに気づいているか。…まぁいい」
「素直に逃がす気はないか?」
「そんなもの、毛頭ない。貴様を生かしておけば、俺の計画に支障が出そうだからな」
そう言い、杖を構える。
「地下水、やるぜ?」
「ふん、前に俺に勝てないことを知っていてやるか。死に底ないだな!」
ワルドが走る。
「エア・ニードル!」
杖を中心に、風の棘がシンを襲う。
武器で防いでも、風によって切られることを熟知しているシンは、避け続けて反撃の瞬間を窺う。
「どうした、攻撃しなければ倒せぬぞ!」
「無闇に攻撃しても、敵には当たらない」
ワルドの挑発に、シンは皮肉で返す。
「ウィンド・ブレイク!」
先ほどの呪文を解除し、風の衝撃波を繰り出す。
「『フロート』」
だが、シンはその瞬間にフロートを唱える。
自身の最大以上の速度でウィンド・ブレイクをかわす。
「なっ、どこに!?」
ワルドの驚きと共に、杖が切られる。
フロートによって生まれた一瞬の隙に、シンはワルドの力を奪った。
「終わりだな。メイジが杖を失ったら、何もできねぇ。大人しく捕まりな」
「ふ…ふっはっはっはっはっは!これで勝ったと思っているのか!甘い、甘いぞ!」
ワルドは懐からガイアドライバーを取り出す。
「それは、ガイアドライバー!?テメェ、あいつ等の仲間か!?」
「知っているなら、聞かせる手間が省けた!これで貴様は終わりだ!!」
【NAZCA】
メモリを挿入口へと導くと、メモリは意思があるかのように蠢き、入っていく。

全体の装飾は水色。
仮面というよりは、ヘルムのような頭。
手に持つは、鋭き重圧の剣。
ガイアメモリの中でも上位であり、他の怪人よりも、人間に近い姿、ナスカドーパント。
『さぁ、ラウンド2とでもいこうか?』
「だったら、こっちもこれでいかせて貰うぜ…」
ダブルドライバーをセット。
【JOKER】
『貴様もメモリを!?』
ワルドを尻目に、シンは相棒を呼ぶ。
「タバサ、出番だ」
『ドライバー所持者…気をつけて』
シエスタの家の部屋にいるシャルロットもメモリを取り出す。
【CYCLONE】
「「変身」」
右のスロットにメモリをインサートし、シャルロットはベッドへと倒れる。
シンのドライバーにメモリが転送。
それを差込、自身が持つメモリも左にインサート。
ドライバーを展開。
【CYCLONE/JOKER】
風が吹くと共に、シンの体はWに変身。
『まさか、貴様が『仮面の戦士』だったとは。だが、ここで始末する!』
「やってみやがれ」
ナスカが切り込む。
Wはかわし、蹴りを与えようとするが、腕に止められる。
その瞬間に、ナスカの突きがWへと当たる。
「グワッ!」
Wのアーマーが火花を上げる。
剣が振り上がり、Wが横薙ぎされる。
『どうした、その程度か!』
『シン、ヒートメタルで応戦を…』
「あぁ、それが良さそうだ」
両スロットのメモリを引き抜き、新たに二つのメモリをインサート。
【HEAT/METAL】
ヒートメタルとなり、シャフトのマウントを解除。
シャフトを伸ばし、ナスカへと走る。
「ウオオオァァァ!!」
『グッ、グハ!?』
凄まじい力によって、シャフトを振り上げ、受け止めようとした剣を弾き、下のバーを打ち込む。
ナスカがふらつくが、攻撃を緩めない。
再びシャフトを振るが、シャフトを抱えられてしまう。
剣を振るおうとするが、こちらはWの腕に阻まれる。

「くっ、一体何を企んでやがる!」
『ふっ、もういい頃だろうから話してやろう。あのホセという奴に手を貸しただけだ』
「何ッ!?」
『憎しみこそが、ガイアメモリの力を強める!奴の憎しみ、それはガイアメモリによって大きく歪んだ。だからこそ、奴のガイアメモリがどれだけ進化をもたらすか楽しみだよ』
「テメェ、何処まで腐ってやがる!」
『最低…』
怒りを露にするシンとシャルロット。
『そして今、奴は自身の憎しみをぶつける為に動いている』
「何?…テメェまさか!?」
シンは理解した。
ホセは今、シエスタの家へと向かっている。
自分が持つ怒りと憎しみをぶつける相手へと…。
『ようやく気づいたか。俺はただの足止め。お前を倒さずとも、目的は十分に達している。だがここで、貴様を始末できれば好都合だ!』
「テメェにも、アイツの思い通りにもさせっかよ!」
Wがナスカを殴り飛ばす。
『グッ!?』
吹き飛ぶナスカの隙を突き、メモリをチェンジ。
【HEAT/TRIGGER】
ヒートトリガーとなり、ナスカへと銃口を向ける。
「ガイアメモリも人の心も、お前の玩具じゃない!!」
引き金を引き、火球の弾丸が放たれる。
『ウオオオアアアー!』
叫び声を上げるナスカだったが、煙がはれると、姿を眩ませていた。
「逃げたか…」
『早くシエスタの家に!』
「あぁ、分かってる!」
Wの姿で、その場を去る。
常人以上の速さでシエスタの家へと着く。
先ほどとは違う空気が漂う。
部屋へと移動。
扉を開けると、そこにいたのは横たわっているシャルロットに、サイトとルイズの二人。
「シン!」
「すまない、間に合わなかった…」
「いったい何があったの?」
ルイズが聞く。
「アイツが、ワルドがいやがった」
「何ですって!?」
「アイツが…生きてたのか?」
「ああ。それに、ガイアメモリを手にしていた」
サイトとルイズが驚愕する。

部屋を見渡せば、部屋は錯乱としていた。
シエスタとキュルケの姿が無い。
「二人は、まさか…」
「あのホセって奴がやって来て、二人を攫って行っちまったんだ」
『何か言ってなかった?』
「アイツ、こいつらを助けたかったら『仮面の戦士』、お前だけで来い、って言ってた」
「狙いは俺か…」
Wの変身を解除。
シンはメモリとダブルドライバー、ガジェットと擬似メモリをシャルロットへと手渡す。
「シン、何を…」
「俺が目的なら、それが狙われるかもしれない。お前が持っているほうが安全だ」
「相手はドーパント…生身では危険すぎる!」
「それが奴らの手に渡るよりはマシだ!もう、誰も失いたくないんだよ…」
そう言うと、シンはサイトの方に顔を向ける。
「何処にいるって言ってた?」
「『竜の羽衣』の寺院で待つ、って。…本当に一人で行く気かよ?」
「こいつは、俺がけじめをつける」
そう言い、シンは部屋を後にする。
「どうするんだよ、シン!一人で行ったって、何もできねぇのに!」
サイトが怒鳴る。
「助けに行きましょうよ!」
「…今の現状では無理」
シャルロットが言う。
「それじゃあ、このまま黙って此処にいるって言うの!?」
「手が無い訳ではない。でも、成功する確立は半分ぐらい…」
「手が無い訳じゃないんだな!」
サイトが聞くと、シャルロットが頷く。
「だったら、やるしか方法は無いだろ!」
「でも、もしも失敗すれば…」
「できるできないじゃない!やるかやらないかだろ?シンだって、できないって嘆くよりも、どんな苦難にも必死に足掻いて手に掴むはずだ!」
「…そうかもしれない。彼も、きっとそうする」
そう言うと、シャルロットは二人に向き直る。
「これから私の言うことをよく聞いて欲しい……」
そうして、二人に作戦を話す。
「確かに少し危険だけど、やればシエスタ達を助けられるんだな?」
シャルロットが頷く。
「やってやるさ!絶対に成功させてやる!」
「一応は友達だから、助けるぐらいはして上げるわ」
二人の言葉を聞き、シャルロットは作戦を決行するために、スタッグフォンを操作し始める。


『竜の羽衣』を祭る寺院。
そこに、シエスタとキュルケは縄で縛られていた。
「ちょっと、一体私達をどうしようっていうのよ?」
「あの男を誘き寄せる餌になってもらう」
ホセは冷淡に言い放つ。
「そしてあわよくば、あの男が持つ『力』を奪う」
「アンタなんかじゃ、ダーリンが持ってる『力』は使えないわ」
キュルケがそう言うと、ホセはメモリを持つ。
【HORSE】
ホースドーパントになると、キュルケの首根っこを掴み上げる。
「あ、アアアァァァ…」
『煩い。痛い目に遭いたくないなら、静かにしろ』
「止めてくださいホセ!」
シエスタが泣きそうな声で叫ぶ。
「貴方はそんな人じゃない筈です!元の貴方に戻ってください!」
ホセはキュルケから手を離す。
「ゲホッ、ゲホッ…」
『シエスタ、お前はあの男達に護身像様を譲ろうとしたな?』
ホースドーパントがシエスタへと歩み寄る。
『お前は、自分のひいおじい様の意思をも否定するのか』
「ひいおじいちゃんだって、そう望むはずです!間違っているのはホセです!」
『僕が…間違っているだと?』
「そうです!そんな力で人を黙らせて、怖がらせて、そんなものでひいおじいちゃんの意思が守られるなんて、大嘘です!今の貴方は、自分が持っている力をそんな理由で振るいたいだけの、弱い人です!!」
『弱い…僕が…超人の力を持った僕が、弱い……』
「超人になれるからなんですか!シンさんやサイトさんは、守りたい人の為に力を振るおうとする、本当に強い人です!!」
シエスタがドーパントに対して、真っ向から立ち向かう。
それは、シエスタが持っている、本当の強さ、勇気である。
『……煩い』
ホースドーパントが呟く。
『うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!』
呟きが叫びに、そして絶叫に変わる。
『力の無い奴が何を言うんだ!僕は強い!』
そう言い、シエスタに鞭を向ける。
『シエスタ、お前のその体に刻み付けてやる!』
「それが貴方の強さなんですか?そんな力でしか強さを証明できないんですか!」
『黙れ!その口、聞けないようにしてやる!』

「やめろ!!!」
鞭を振るおうとした手が止まる。
「シンさん(ダーリン)!」
『やっとか…』
ホースドーパントが入り口、シンの方に体を向ける。
「俺と相手して欲しいなら、そんな人質みたいな姑息な手使わずに、真っ向から掛かって来いよ!」
『僕はそんな馬鹿で愚かな真似はしない』
「…その言葉、真正面からでは貴方を倒せません、って臆病者みたいな台詞だぜ?」
ホースドーパントが鞭を振るう。
シンは何とかその攻撃をかわす。
『黙れ。今ここで、こいつらをお前の目の前で殺すぞ?』
「臆病者が、一丁前な言葉出しやがって…最低で、汚ねぇ野郎だな」
『何とでも言え。僕が欲しいのはお前が持っているメモリとあのドライバーとかいうやつだ』
ホースドーパントが鞭を構える。
『それを出せ。出せばこいつ等の縄を解いてやる』
「だったら、そっちが先にシエスタ達を…」
――パァン!!!
「ガハッ!?」
シンの言葉が鞭によって阻まれる。
鞭はシンの腹に当たり、シンは地面に転がる。
「シンさん!?」
シエスタが叫び、キュルケが息を引きつらせる。
『お前が喋るな。素直に渡せ』
ホースドーパントがシンを見下ろす。
シンは顔を向けるが、
「暴力でしか物事を片付けられない、臆病者なんかに誰が渡すか」
そう、したり顔でホースドーパントに言い放つ。
――バシッ!!スパァン!!
「グアアアッ!?」
再び鞭が振るわれ、背中に激しい痛みが走る。
『だったら、渡すまでお前を痛めつけようか』
そう言い、ホースドーパントは鞭を振るう。
一振りがシンの背中を痛め、
「ガァッ!?」
一振りがシンの腕を傷つけ、
「グッ!?」
一振りがシンの脚を痛めつけ、
「ツァッ!?」
一振り一振りが、シンの身体を傷つける。
「グアアア!!!」

長く続く、凄まじい痛みに、シンは叫び声を上げ続ける。
「シンさん!シンさん!!シンさん!!!」
シエスタは泣きながら、シンの名を呼び続ける。
キュルケは耐えられないという風に、目を瞑り、涙を流す。
数十回も叩かれて尚、シンは口を閉ざしたままでいる。
『何故だ…何故そこまで痛い思いをして、何故そこまで傷ついているのに、どうして渡さない!?』
ホースドーパントが信じられないという風に叫ぶ。
シンは痛みに、苦しみに耐えるように立ち上がる。
既に服はボロボロとなり、見える皮膚は赤く腫れた部分もあれば、内出血をして紫色になっている箇所、皮膚が破れ、血が流れる部分すらあった。
だが、フラフラと立ち上がり、よろけながらも、ホースドーパントを見据える。
「俺は、…誓ったんだ。シャルロットや、あの人達に…そして、何より自分自身に…俺は、あの時まではただの一人の戦士だった。でも、此処に来て、シャルロットやあの人達と出会って、俺は変われた。ただの一人の戦士だった俺は、本当の、人を護れる戦士になれた。アレは、その証だ。だから……」

「お前なんかに、渡すものかーーー!!!」

シンが叫び、否、咆哮ともいえる声を上げる。
『なら、もういい!お前をここで亡き者にしてやる!』
ホースドーパントがシンに突っ込む。
だが、その瞬間、
――ギュイーーーン!!
――バゴォーーーン!!!
寺院の入り口から、爆音のような音が聞こえた瞬間、巨大なナニかが現れる。
「なッ!?」
「「えっ!?」」
『な、なんだこれは…グハッ!?』
驚くホースドーパントに、その巨体は強烈な体当たりを食らわせ、外へと吹き飛ばす。
そこには、
「リ、リボルギャリー!?」
黒きその身のリボルギャリーが、赤き眼光をシンに向けていた。
そして、中央からハッチが開く。
「シャル、サイト、ルイズ!?」
中央にはシャル達三人が立っていた。

「なぁ、ドーパント吹っ飛ばしたけど、結果オーライだよな?」
「今そんな心配じゃないわよ!あの二人もそうだし、アイツちょっとあのままじゃ危ないわよ!」
「シン、無事!?」
シャルはシンに近づき、水による治癒魔法を唱える。
サイトとルイズは、シエスタとキュルケを縛っていた縄を解く。
「ありがとうございます、サイトさん」
「感謝するわ、ルイズ」
「礼よりも、シンの方が先だ!」
全員がシンとシャルロットのいる場所に集まる。
「ダーリン、大丈夫なの!?」
「シンさん、私達の為に、怪我が!?」
シエスタとキュルケがシンの身を案じる。
「大丈夫だ、二人とも。…怪我、無いか?」
自分が怪我をしているのにも関わらず、シンは二人の身を心配する。
二人は首を縦に振る。
「そっか、よかった…」
心底安心したように、シンが笑う。
そして、シャルロットに向かい合う。
「悪いな、シャル。こんな無茶ばっかりするパートナーで」
「無茶を自覚しているなら、それを、少しは直して欲しい…」
「こればっかりは、俺の性分だからな。まだまだ、おれは半人前だよ」
「でも、それが貴方らしさ…」
互いに相手を理解し合い、それを受け入れる信頼関係。
誰にも崩すことのできない、絆。
『クッ、嘗めた事をッ!』
ホースドーパントが戻ってくる。
シンが立ち上がる。
シャルロットに手を伸ばす。
それを察し、シャルロットはダブルドライバーとガイアメモリを差し出す。
受け取り、ダブルドライバーを装着。
「半分だけ、力貸してくれ…相棒」
【JOKER】
ジョーカーメモリのスタートスイッチを押す。
無言で頷き、シャルロット…タバサがサイクロンメモリのスイッチを押す。
【CYCLONE】
互いに構える。

「「変身」」

タバサが右スロットにメモリをインサート。
メモリはシンが装着しているダブルドライバーへと転送。
それを押し込み、自身が持っているメモリを左のスロットへとインサート。
そして、Wの形へと展開。
風が吹き、それと同時にシンの体が変化。
Wへと変身を遂げる。
タバサが倒れこむが、キュルケが抱える。
「『さぁ、お前の罪を数えろ』」
左手でホースドーパントを指さす。
『罪だと…ふざけるな!!』
激昂し、荒々しく突進するホースドーパント。
腕を振るうが、Wは避けて蹴りを懐に入れる。
『ガッ!?』
そのままWは拳を頭や腹に入れていく。
「オラァ!」
回し蹴りを喰らわせ、ホースドーパントを吹っ飛ばす。
『グッ、コイツでどうだァ!』
鞭を振るう。
だが、
【CYCLONE/TRIGGER】
サイクロントリガーとなったWは、散弾のように弾をばら撒き、向かってくる鞭の先一つ一つを弾いていく。
『なッ、グハァ!?』
鞭を撃ち終わり、銃身をホースドーパントへと向けて引き金を引く。
ホースドーパントが倒れるが、立ち上がる。
『こんな、こんな筈が!!』
ホースドーパントが駆ける。
Wと同等の速さで、かく乱する。
『速い…シン、後ろ!』
「何ッ!?」
『ウガアアアァァァ!』
振り向くが、ドーパントの姿が見えず、困惑するW。
その隙を突いて、ホースドーパントは突進。
「グアッ!?」
吹き飛び、地面を転がるW。
追い討ちをかけるべく、再び突進。

「同じ手だけじゃ、芸がないぜ!」
【HEAT/METAL】
ヒートメタルになると、Wがしゃがむ。
『グウゥ!?』
そして、シャフトが形成された瞬間、ホースドーパントにシャフトが直撃。
形成される瞬間を計り、ホースドーパントが突っ込んでくる事を予測した戦法である。
よろけるホースドーパントに追撃を与えるために、シャフトのマウントを解除。
シャフトの左右のバーを伸ばし、振るう。
「ゥオラアアア!!」
『ガッ、ウハ、ウアアア!』
突きが、振り下ろしが、胴薙ぎが、ホースドーパントをよろめかせ、仰け反らせ、吹っ飛ばす。
『何故だ、何故だ、何故だーーー!!!』
そう叫ぶと、ホースドーパントが黒い煙を上げる。
「な、何だ!?」
「どうしたのよ、アイツ!?」
「メモリが、ホセの感情に反応している!」
ホースドーパントの姿が変わっていく。
巨大となり、全長10メイル以上。
人型から、馬の姿になるが、その姿は馬というよりもキメラのような醜さ。
『グオオオーーーン!!!』
Wを無視して、巨大化したホースドーパントは寺院を破壊して、走り出す。
「あ、このままじゃ、タルブの村が!?」
シエスタが叫ぶ。
このままホースドーパントを野放しにすれば、タルブは壊滅状態となる。
『そんなことは…』
「絶対にさせねぇ!!」
Wはリボルギャリーに鎮座するハードボイルダーへと騎乗。
エンジンが唸り、動き出す。
数秒の加速で、ハードボイルダーは風竜以上の速さで、ホースドーパントへと向かう。
『グオオオオオ!!』
「テメェ、そこまでだ!」
【LUNA/TRIGGER】
自動操縦に任せ、メモリをチェンジ。
トリガーマグナムから光弾を撃ち、ホースドーパントを足止めする。
Wが放った光弾に気づく。

『ブオオオオーーー!!』
額に生えた両方の角の間から、禍々しい色の光弾が発射される。
それをかわしていき、Wはトリガーを引く。
『何故だ、何でお前はァァァ!?』
「お前は、自分の力を誇示したいだけだ」
W、シンが言う。
「他人から受け取った力や、憎しみで得た力よりも、人を守りたいって思って得た力が強いに決まってる。だから、お前の中にある憎しみによって生まれた力、ぶっ壊してやる!」
そう言い、トリガーメモリをトリガーマグナムへとインサート。
【TRIGGER―MAXIMUMDRIVE―】
マキシマムモードとなったトリガーマグナムを構える。
銃口に光が集約。
「『トリガーフルバースト!!!』」
声と同時に引き金を引く。
ライトイエローとライトブルー、二色の光弾が放たれ、ホースドーパントに向かう。
『グッ、ウウウ、グワアアアア!!!』
ホースドーパントは爆発を伴い、ホセの姿へと戻る。
排出されたメモリは、地面に落ちると同時に、ブレイクされた。
「シン、やったな!」
走ってきたサイト達。
その姿を見て、変身を解除。
その瞬間、シンの体が倒れる。
「おい、シン!?」
慌てて駆けよる。
「気絶してんぞ!?」
「あの時のダメージが残ってたんだわ!」
治癒魔法を少しは受けたが、所詮は気休め程度。
気力を振り絞り、シンは戦っていたのだ。
「とにかく運ぶぞ!」
「「「「うん(はい)!」」」」

『……シ……、…ン……』
―何だ、誰の声だ?―
『…シ……ン…』
―俺の…名前を呼んでいるのか?―
『…お…ちゃ……』
―誰なんだ?―
『…護…ね……今…シン…い…世界…』
『護れ……おま…の…たいせ……人……』
『そして……ちゃ…と……生きて…』
『『『…シン(お兄ちゃん)……』』』
―!?―
「ハッ!?」
ベッドから勢いよく起き上がる。
見渡すと、そこは家の一室。
体を見れば、包帯が巻かれている。
「…えーと?」
シンは、頭の中で整理する。
「(そうだ、ドーパントを倒して、気が抜けて倒れたんだ)」
動こうとするが、シーツがあまり動かない。
見ると、シャルロットとシエスタとキュルケが、椅子に座り、ベッドに伏して眠っていた。
「お、気がついたかシン」
サイトとルイズが部屋に入ってくる。
「お前、あれから一日中気絶してたんだぜ?」
「そうなのか?」
シンが目を丸くしながら聞く。
「本当よ。あの後、アンタをシエスタの家まで運んで、治癒魔法をかけた後に、薬塗ったりと大変だったんだから」
それと、とルイズが加える。
「その三人に礼を言っときなさい。今日までずっとアンタに付きっきりで看病してたんだからね」
それを聞いて、シンは三人を見る。
「(ありがとな、三人とも)」
心の中で、シンは礼をする。
「後、『竜の羽衣』なんだけど、竜騎士隊の人達に運んでもらってる。今はもう学院に運ばれている最中だ。ホセはあの後、衛士の人が連れて行ったぞ」
「そうか。じゃあ、後は帰るだけか」
「あぁ、そうだな」
そして、帰る準備をして、今はシエスタの家の前。

「シン兄ちゃん、もう行っちゃうの?」
「サイト兄もなの?」
子供達が別れを惜しむ。
二日足らずで、シンとサイトは、子供達の兄さん的存在となったようだ。
「わりぃな、また今度、来てやっから」
「ホントに?」
「嘘はつかねぇよ」
そう言い、シエスタの両親へと顔を向ける。
「泊めていただき、ありがとうございます」
「なーに、私達も助かりましたよ」
「困ったら、何時でも来てください。悩みも、子供達なら吹き飛ばしてくれますから」
「ハハッ、ありがたいです」
そして、シンは振り向き、シャルロット達に顔を向ける。
「じゃ、行くか」
「でもよ、シン。リボルギャリーを持っていくって本気か?」
そう、シンはリボルギャリーを学院に持って行こうと提案したのだ。
「流石に目立つが、持っていっても損は無いはずだ」
「まぁ、たしかにな」
「……それに、あいつ等が動いたとしたら、手を打たなきゃいけないしな」
小声で呟く。
「それはいいが、何でバイクに乗ろうとしてんだ?」
シンは帰りをハードボイルダーで帰ろうとしていた。
「いいじゃねーか、久々に乗りたいんだよ!」
「本音ぶちまけんな!怪我してんだからシルフィードに乗れよ!?」
そんな言い合いをして、最終的にシャルロット達の言い分によって、シルフィードに乗って帰ることにした。
その下で、リボルギャリーはシルフィードの速度に合わせて走行した。


学院に帰ってくると、広場に『竜の羽衣』は置いてあったが、一人が入念に調べていた。
「あれ、コルベールさん?」
サイトが近づく。
調べていた人物、コルベールは、サイトと後ろにいたシンを見て、駆け寄った。
「おお、サイト君!先ほど竜騎士隊がコレを持ってきたんだが、ひょっとしてこれは君達が持って来たのかい!?」
「はい、そうです」
「やはり!では、これはいったい?」
コルベールは、好奇心を刺激されているのか、興味津々である。

「これは『飛行機』といって、俺の世界ではこれで空を飛ぶんです」
「これが飛ぶのかい!?素晴らしい!」

調べていたことを聞く。
「これが、もしかしてだが翼かね!ふむ、羽ばたくようにはできていないのだね。それに、この風車は何のために?」
「それはプロペラといって、これを回転させて、前に進むんです」
「ほう、回転させて風の力を発生させるわけか!なるほど、実によくできている!して、これは今動かせるかね?」
サイトは困った顔をする。
「えーと、今は無理なんです。ガソリンがないとコイツは動かないんです」
「ガソリン、とは何かね?」
「数日前に、コルベールさんが見せてくれたあの発明品なんですけど」
「愉快なヘビ君のことかい?」
「そうです。動かすために、油を気化させていましたよね?」
「ほう、あの油が必要なのかい!それならばお安い御用だ!」
「いえ、それではないんです。確か、ここが…」
おもむろに、サイトは飛行機にある燃料タンクのふたを開ける。
コルベールがタンクに残っているガソリンの臭いを嗅ぐ。
「ふむ…嗅いだことの無い臭いだ。なるほど、高温でなくてもこれだけの臭いを発するとなると、かなり爆発の力は大きいだろう」
「でもこれだけじゃ…って、そうだよシン、お前のリボルギャリーにもガソリンあるはずだよな!」
「ん?…あっ、そういえば」
今更だが、気づくシン。
「そうだよ。コルベールさん、リボルギャリーにガソリンがあるはずですから、来てください!」
そう言い、サイトはコルベールとシンを連れていく。
「ふぉーーー、これは素晴らしいですぞー!!」
リボルギャリーを見たコルベールは、興奮と喚起の感情でいっぱいである。
「これはもしかして、君達が言っていた『クルマ』というやつかね!」
「そうですね。でも、これは車よりももっと進んだ技術で作られています」
「そうなのかい?しかし、なんと荘厳な作りだ」
コルベールがリボルギャリーを見て回る。
「ふむ、この車輪のようなもので動くのかね!それに、この巨体とは…動くとして、速さはどれぐらいなんだい?」
「速さなら、馬なんて目じゃありません」
「それだけの速さがでるのかい!なんとも興味深い!そして、動力は先ほどの『ヒコウキ』と同じなのかい?」
「いえ、コイツはガソリンと電気によって動かすことができるんです」
「なんと、電気でも動くのかね!益々興味がわく!」
シンは、リボルギャリーのエンジンを停止させる

「ガソリンを入れる容器ってありますか?」
「ふむ、これはどうかね?」
小さな小瓶を取り出す。
「それぐらいで十分です」
フライでリボルギャリーの上部に飛ぶ。
ハッチを開き、ガソリンを小瓶へと移す。
「これでどうですか?」
降りて、コルベールに渡す。
「大丈夫だ。調合は大変だが、やってみよう!」
「ありがとうございます」
コルベールは早速調べるために、走っていった。
「なぁシン。前から言おうと思ったんだけどな…」
「どうした?」
「お前が変身した姿、子どもの頃から見てた『仮面ライダー』を思い出すんだよな」
「『仮面ライダー』?」
シンがきょとんとする。
「変身して悪の組織と戦ったり、大事な人や人の願いを護るために怪人と戦うヒーロー、って特撮だよ」
シンは一瞬ぼけっとしたが、直ぐに笑う。
「いいな。仮面ライダーか…」
「あんた達、ここにいたの?」
見ると、手にモップや雑巾を持ったルイズ達がやって来た。
授業をサボった罰として、窓拭きをさせられていたようだ。
「さっき、コルベールさんに燃料を調合してもらうように頼んだ。これで飛べるはずだ」
「『竜の羽衣』が?」
「ああ。それに、あれは『竜の羽衣』って名前じゃないんだ」
「じゃあなんなのよ?」
「ゼロ戦。俺がいた国の、昔にあった戦闘機だ」
「ふーん」
ルイズはあまり関心を示さない。
「なぁ、シャル」
「…何?」
シンが考えた言葉を口にする。
「仮面ライダーW」
「……?」
「俺とお前の、通り名だ」
このハルケギニアに、一人のライダーが誕生した。
人々を護り、怪人と戦う戦士。
その名は、
―仮面ライダーW―

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最終更新:2010年06月05日 00:21
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