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ムキドー多重クロス-10

~前回のあらすじ~
ヴィジュアルのかぶってる2人が一触即発!

~今回の見どころ~
作者の中二病が爆裂疾風弾!



あれからどれだけの時間が流れたのだろう…
あれから色々なものと戦ってきた…
そのどれもが“悪”だった…少なくともそう信じていた…
じゃあ、“悪”って何だろう。
彼女は迷いなく「誰かを傷つけること」と答えるだろう。
でも…私も彼女も誰かを傷つけている…戦っているのだから……


機動戦士ガンダムSEEDDESTINY-SIN In the Love-
  PHASE-9「黄金の旋風vs贖罪の桜」


光が空を裂き彼方へと消えていく。
それは幾筋も放たれるがただの一つも標的に当たることはない。
「当たらなければどうということはないってやつだね」
「このっ」
再び超高速で向かってくる光をさくらは消えたと見間違うほどの速度でかわす。
(なんて速さなの…。転移魔法でもあるまいし…)

フェイトとさくらは芙蓉家から離れ、初音島上空にいた。

フェイトはさくらをさっさと降参させる自信があった。
なにせこちらは本職である。
さくらがどれほどの使い手であろうとそれは素人レベル。
管理局でも指折りの自分が負けるはずがない、そう思っていたのだが。
「次はこっちからいくよー」
さくらが手をかざすと、そこに巨大な『白くて嘘っぽいネコ』の置物が出現する。
「召喚魔法!? ウソでしょ…」
さくらは無造作にそれを投擲。そんなものに当たるフェイトではないのだが、
「GO! うたまる122号!」
その声に合わせてお尻(?)からジェット噴射して一気に加速。
フェイトにガツンとぶつかる。
「いったっ! か、かたひ…」
意外な硬さによる痛みにうめくが、『うたまる122号』なる物体は旋回して再び向かってくる。
「っ!」
フェイトはその軌道を読んで手から矢のような雷を放ち、『うたまる(ry』をバラバラにする。
「もう手加減はしないわよ」
フェイトがそう言うと、その服装が管理局の制服から黒を基調に白マントを羽織ったバリアジャケットに変わる。
バリアジャケットはその高い防御力と魔力伝達能力から本来こういった白兵戦で用いられるものであって、MSなどに乗る際に着用されることは稀である(パイロットスーツよりも優秀だがコストがMS1機と同じくらいかかるため)。
フェイトはここまでするつもりは無かったが、相手が強すぎる。
手を抜いて痛い目を見るのはルーキーのやることであって、彼女のような長い経験を持つ者のやることではない。
マントの裏から黒い棒状の物体を取り出し構える。するとその先端から黄色い魔力が鎌のように展開される。
「『アームドデバイス』か。物騒だね」
「降参するなら今の内だけど?」
まさか一般人がどんな携行火器よりも強力な『アームドデバイス』を持っているはずがあるまい。
しかしその言葉を受けてさくらはニヤリとする。
「道具に頼ってるようなお譲ちゃんじゃ、何をやってもボクには届かないよ」
カチンとくるフェイト。穏やかな言動に反して、根はそこそこ好戦的なのだ。
「その余裕…いつまで続くかしら?」
フェイトの周囲に20を超える黄色い槍状の魔法が現れる。
「プラズマランサー!!」
槍が一斉にさくら目掛けて飛来する。
先ほどまでの軽い衝撃を与えるものではなく、純粋な攻撃魔法。
弾速はもはや目で捉えることすら難しい。
それでもなお、さくらは1発も被弾することなくかわしきる。
「どんなに速くてもまっすぐしか飛ばないんじゃね~」
フェイトは「かかった」とばかりに笑う。
「ターン…行けっ!」
「うにゃ?」
かわした槍は方向転換。
さくらの背後から先ほどと変わらない速度で再びさくらへ。
「げげっ!?」
油断していたさくらは咄嗟に結界を展開し防御。
互いの魔力が干渉し、一瞬の後大爆発を起こす。
「プラズマランサーそのものは防がれた。けど…」
煙が晴れると、そこには無傷のさくらが。
しかしその表情はさっきまでと違い、余裕を持ったものではなかった。
「雷の特性か…。やっかいだね」
さくらの小さな手は、バチバチと放電していた。それはフェイトの魔法を受けたためだ。
「シールドで魔法そのものは防げても、放電までは防ぎきれないでしょ?」
魔法で火や雷を生み出した場合、それは自然に存在するものとは違いあくまで魔力で形成したもの。魔法による防御は可能だ。
自然現象はそうもいかず、防げなくも無いのだが、単純な防御とは別の方法をとらなければならない。
さくらの言った『特性』とはいわゆる属性とは異なり、雷を“生み出す”のではなく、雷に己の魔力を“変換”すること。
自然のものの性質に非常に近い。
そのためさくらはプラズマランサーによるダメージは受けていないが、フェイトの魔力が持つ雷によるダメージを受けたのだ。
捕捉すると、この『特性』といのは完全に先天性のもの。どんなに修行しても習得は不可能だ。

「さあ、これで分かったでしょ。大人しくしなさい」
「あれあれ? もしかしてもう勝った気でいるの?」
さくらは痺れる手を振りながら言う。その表情は余裕タップリだ。
「なら…」
フェイトはデバイスを構える。
「動けなくしてから…」
魔力を高める。
「強制連行してあげるっ!」
「っ!」
刹那。
そうとしか思えぬ間にフェイトはさくらの目前にいた。
そしてそのまま黄金の鎌を振りぬく。

「「「さくらさんっ!!」」」
事の成り行きを地上から見守っていた音姫達は悲鳴を上げる。
さくらがバッサリ切り裂かれたからだ。
だが、顔面蒼白の面々の中シンはおかしいと思っていた。
アームドデバイスには安全装置に似た、非殺傷設定という機能がある。
これは物理ダメージを極限まで抑え、対象の魔力値―RPGでいうMP―にのみダメージを与えるというもの…らしい。
あのフェイトという少女がそれを外しているとは考えにくい。
となると、“切り裂かれた”さくらが普通ではないということになる。
シンは同じくケロっとしているプリムラに尋ねる。
「なあ、あのさくらってさ…」
「違う。あれはさくらじゃない…」
「そ、そうなんですか!?」
聞き取ったアイシアがプリムラに詰め寄る。
プリムラはいつものポーカーフェイスのまま‘コクリ’と頷く。


「ど、どういうこと…?」
フェイトもまた、驚きに目を見開いていた。
なぜ切り裂けたのか。こんなことは有り得ない。
そのせいで目の前の真っ二つになったさくらの異常に気付くのが遅れた。
それは膨張、破裂し、大量の水をフェイトに浴びせる。
「わっぷ!? な、なに…? 水?」
「そ。漏電のお供、H2Oちゃんでーす♪」
「!?」
(さっきのは…分身!? だから…!)
フェイトのすぐ後ろ。手が届く所にさくらは浮いていた。
フェイトは体をそちらに向けるが、さくらの魔法の方が速い。
「奔る雷霆(=カドゥケウス)」
さくらが指を突き付けるとフェイトの体を凄まじい電流が流れる。
「~~~っ」
フェイトは悲鳴も上げれず悶える。
10秒経過した後、フェイトは電撃から開放される。
バリアジャケットはプスプス煙を上げていた。
「っはぁ、はぁ…。こ、の……」
「う~ん…気絶させるつもりだったんだけどな。わざわざバリアジャケットのフィールドの内側から水をかけたのに…。丈夫だねー」
さくらはそう言うが、フェイトはこれほどまでのダメージを受けたことは無い。
(何なの、この子…。幻影じゃなく分身を作るわ、シャレにならない威力の魔法を無詠唱で使うわ…)

勝てない。

そう思うほど目の前の‘ちんちくりん’は強い。
その考えを読み取ったかのようにさくらは言う。
「キミは強いけどさ、もう止めておいた方がいいんじゃない?
魔力とかスピードとか、単純な戦闘力はキミが上だと思うけど、経験と技術が違いすぎるんだよ。
ボクはデバイス持ってないから手加減はどうしても目分量だし…これ以上は大怪我しちゃうよ?」
フェイトは幼少より魔法に慣れ親しんできたが、さくらはそれを上回るというのか。
フェイトは納得いかないが、先読みや詠唱短縮などは経験値に基づく技術。否定できない。
「シン君なら大丈夫だよ。魔導書を悪用したりしないからさ。そもそも、その価値とか力とかよく分かってないし。
あ、ヴィヴィオちゃんは連れて帰っていいよ。シン君に魔導書を届けに来ただけみたいだから」
「ヴィヴィオが魔導書を?」
「シン君がこの間もらったのを忘れてきたから、それで届けに来たんだって」
「そ、そう…」
(ヴィヴィオが魔導書をあげたとかだったらどうしようかと思った)
「で、どうする? 次は本気出しちゃうよ?」
「……私は管理局の人間よ。正規の魔導師でもない人の脅しに頷くわけにはいかない」
「正規、ね…。人に認められるって、そんなに偉いことなの?」
言うや否やさくらの姿がかき消える。しかしフェイトには読めていた。
「そこっ!」
「っ!」
真上に一瞬で移動したさくらをデバイスで迎撃する。
さくらはどこからか取り出した巨大なハサミのような武器でガードするが大きく弾かれた。
「うにゃ…何度も通じないか」
「面白い手ね。空気をコントロールして、移動を後ろからの圧力で加速させるなんて」
(ミッド式でもベルカ式でもこんな方法はないはず。この子は一体……)
疑問は後を絶たないが、それどころではないのも事実。
フェイトは武器を上段に構え、今度は自分から仕掛ける。

(あれが魔法か…直に見るととんでもないな)
シン達の見上げた先ではさくらとフェイトが高速で何度も交差している。
シンは目で追えないが、それだけに2人の凄さ、モニター越しとは違う『魔法』というものが伝わって来た。
「何がどうなってるか分からないね」
「で、でもさくらが押してるんですよ! …多分」
以外と呑気に言う音姫とアイシアの力説。
アルとエセルはと見れば、おそらく上の動きが見えているのだろう、目がキョロキョロしていた。
不意にシンは下に引っ張られる。
「ん?」
「…」
ヴィヴィオが不安気に見上げていた。
ママらしい『びんじょー』が心配なのだろう。
しかしシンとしては励ますのも変な気がして困る。なのでとりあえず頭を撫でておく。
そうしてかつてと同じくカレハに助けを求めようとすれば、カレハの傍にいる亜沙の様子がおかしいことに気付く。
「どうかしたんですか?」
「え、ううん! どうもしないよ!?」
「そうですか?」
「うんっ。どうもしない!」
「……」
亜沙は大袈裟に否定。ドライな性質のシンは追求しない。が、
(顔色、悪い気がするんだけどな…)
チラチラと亜沙の様子を窺ったりしていた。


「さすが『ソニックムーブ』は速いね。しのぐので精一杯だよ」
いささか疲労を見せながらさくら。しかし追い込まれているのはフェイトだった。
さくらは常にフェイトの一手先を読み、ただの一撃さえ直撃していない。
対してフェイトはさっき受けた電撃のダメージが深刻である。
「…よく知ってるわね」
「ボクは物知りだから♪」
「でも…」
(長期戦になればどんどん不利になる。一気に決めるしかない…!)
フェイトはデバイスに送る魔力を増加させる。
経験や策で劣っていても勝つ方法はある。
パワーとスピード、つまりは単純な実力で押せばいい。
フェイトの周囲に黄金の雷光が走る。次の瞬間には間合いに飛び込んでいた。
さっきまでよりもさらに速い。
「これなら反応は出来ないでしょ!?」
(さっきのはあらかじめ仕込んでいただけ。無詠唱で分身が作れるはずがない!)
金色の鎌がさくらの首に迫る。回避も防御も不可能。

勝った―
フェイトはそう確信した。だが…

「え…」
フェイトの手から力が抜ける。デバイスは相手に届かず滑り落ちる。
「な、んで…」
フェイトは自分の手を、デバイスを握っていた右手を見る。そこには、
「血…?」
バリアジャケットはズタズタに切り裂かれ、むき出しの二の腕からは大量の出血が。
「~~っ!」
目で見たからか、一気に痛みが込み上げてきた。確実に神経までやられている。
「何を…したの……っ」
目の前のさくらは先程までの余裕面ではなく、少し悲しそうな顔をしていた。
二人の間を数枚の桜の花びらが舞う。この初音島には枯れない桜があるため、別に不思議なことではない。
不思議ではないのだが、その花びらがさくらの周囲を取り巻くように舞うのは妙だ。
しかもその数はどんどん増えていく。
「これが……ボクの本気、だよ」

「何だよ、あれ…」
やられるかと思ったさくらが無事と分かり人安心した地上組。
だが今度は驚きに目を見開いていた。
「空が…」
「桜色に…」
無理もない。青かった空が、今はさくらを中心にその20メートルほどが桜色に覆われているのだ。
(すごい魔力…。マズイ…かな……)
全員が驚いている中、声には出さないが、亜沙の体は悲鳴を上げていた。

「……っ…どう、なって…」
周囲の花弁は今や数千、数万…いや、数億かもしれない。
まるで桜色の闇にでも閉じ込められたかのようだ。
フェイトがその光景に呆気に取られていると、さくらはゆっくり手を上げていく。
フェイトはソニックムーブで距離を取ろうとするが、
「発動しない!? どうして!?」
「この島上空の魔力はボクが支配したよ。君はもう、ここでは魔法は使えない」
「魔力の支配!? そんなこと有り得るはずが…」
「“有り得ないことが有り得ない”って言葉、知ってる? 有名な大佐の言葉だよ」
さくらの手がフェイトに向けられる。周囲の桜がフェイトに向かって集束していく。
「っ!!」
シールドも発生出来ない。デバイスからの刃も消えている。
「枯れぬ桜の殲滅者(=アンリミテッドブレードサーカス)」
フェイトの視界が桜色に覆われていく。その向こうのさくらの表情は……辛そうだった。
「ゴメンね………」
その言葉を最後にさくらの姿さえ見えなくなる。
(死ぬ、かな……)
漠然とそう感じるフェイト。
運が良くても再起不能レベルの傷を負うだろうが、あまり恐怖は感じない。
(やっぱり私は…欠陥品なのかな、母さん…)

「…」
桜の球体を前にしてさくらは黙して浮いていた。
今さくらが広げている手。それを閉じればあの管理局員は跡形も残さず……。
ここまでするつもりは無かった。だが彼女は強かった。力も心も、さくらより。
(しがみ付くボクとは違う。あの娘は信じてる…)
フェイトは今の世界を維持するため、より良くするために戦っていた。
現状維持に執着する自分とは違う。
維持するために手段を“選ばなかった”自分よりすっと強い。
さくらは戦いを通してそう感じていた。
「きっと、今しか見えてない人間が、未来を創ろうとしてる命をどうこうしちゃいけないんだろうね…」
深い悲しみと、僅かな後悔、そして懺悔。
「でも…!」
さくらは暗い表情を一変、誰も見たことのない真剣な―魔法使いとしての顔をする。
「ボクはもう選んでしまった。後には退けない…退くわけにはいかない…! 守るために、“今”を失わないために!」
奪う覚悟を決め、さくらはその小さな手を閉じようとする。そこへ、
「さくらーーっ!!」
彼女の守りたい“今”の最たる者の声が届く。

「しっかりして下さい、亜沙ちゃん!」
「ど、どど、ど、どうしましょう!? 救急車ですか!?」
カレハの心配気な声。楓は楓で軽くパニック。
無理もない。いきなり亜沙が倒れたのだ。しかもその顔は真っ青で呼吸が荒い。
だというのに体は恐ろしく冷たい。意識も失っている。
全員さっきまで上空にばかり気を取られていたものだから、余計に驚き慌てる。
「いや、これは…」
その中でアルが冷静に楓を制する。エセルも同様に落ち着いていた。
シンにのみ聞こえるよう小声で話す。
「(どうやらあやつらの魔力に当てられたようじゃな)」
「(当てられた? どういうことだ?」」
亜沙の脈やらを測りながらシン。元軍人なので応急処置の知識ぐらいはある。
その顔には「焦ってマス。すごい慌ててマス」と書いてはあるが。
アルに変わりエセルが説明する。
「(小さい器に無理矢理押し込まれたものは、外部からのショックで簡単に揺さぶられますから)」
「(押し込まれた? ショック? もうちょっと分かりやすく頼む)」
「(ええーい、頭の足りん奴じゃ。汝はとにかくあやつらを止めろ。このままではこの娘、危険じゃぞ)」
危険。その言葉に不吉なものを感じたシンはすぐさまさくらに呼び掛ける。

「ほほーう、これはこれは…」
格納庫に並んだガデッサ、ガラッゾ、ガッデスを‘ためつすがめつ’眺めいつものニヤケ面のスカリエッティ。
「なるほどなるほど…」
一人‘ふむふむ’と頷く。
「ふーん、へー、ほー」
「言いたいことがあるならハッキリ言って下さい」
近くに立っているディードが冷たく言い放つ。
その横に並んでいるノーヴェ、ウェンディも頷き、同意を示す。
「別にーぃ」
ピーピー口笛を吹くスカリエッティ。あまり上手く吹けていない。
その態度と中途半端な口笛にイラッと来るノーヴェ。
「殴っていいんだよな?」
「どぞ」b
「お願いします」q
ウェンディとディードのGOサイン。
「ちょwwwおまwww 親に対して‘q’は無いだr」
「これは…クリ○ンの分!」`Д´)≡○
「あべしっ!」≡○)3`)・∵
「これは…キャラが増えすぎて出番が減った奴らの分!」`Д´)≡○
「私のせいじゃなぼふっ!」≡○)3`)・∵
「そしてこれが…書き分けが難しいから中々登場しない姉達の分だぁ!!」`Д´)つつつ
「ひーでーぶーー……」☆☆☆)Д`)ノ
冷たい床の上で虫の息のスカリエッティ(だったモノ)。
「悪は滅びた…でも何だろうな、この虚しさは…」
「それが、大人になるってことッスよ」
「私達より姉ですがね」
「あなた達が大人になったかどうかはともかく」
事の成り行きを見守っていたウーノがスカリエッティ(だったモノ)をモップでゴシゴシやりながら口を開く。
「予定より機体の消耗が激しいわね」
「しゃーねぇだろ、思ったほどパワー出なかったんだから」
「そーッスよ。相手もシミュレーションより強かったしぃ」
反論するノーヴェとウェンディ。
「想定外の敵もいましたしね」
嫌味っぽく言うディード。彼女にしては珍しい。
「3機とも試作機であることは分かっていたこと。計算通りのスペックが出ない可能性は十分考えられるはずよ。
キラ・ヤマト、高町なのはの2人は未だ成長しきっていないわ。それを考慮しておくのは前線に出る者の責任ね。
シン・アスカに関しては既に説明済み」
「「「……」」」
何も言い返せない3人。口で長姉の相手になるのは独特の雰囲気を持つ四女ぐらいだろう。
「HAHAHA! ま、こーいう事もあるということだな」
スカ復活!!
「ドクターは今回の戦闘データから例の機体の完成を急いで下さい。慌てず、素早く、確実に」
「最近ウーノは厳しいなぁ。彼がいた頃はもっとこう…淑女っぽかったというか…」
「ノーヴェ」
「これは…限定版のfigmaがキャス狐じゃない分!」`Д´)つつつつつつ
「その内一般で発売されんでヴぁっ!」☆☆☆☆☆☆)Д`)ノ
スカ撃破!!
再び「悪は滅びた…」の‘くだり’を始めるノーヴェとウェンディ。
その2人をよそにディードは格納庫を出て行く。
それに気付いたウーノ。
「…シン・アスカに“負けた”のがそんなに悔しい?」
「っ…負けては……いません」
ウーノはもう何も言わなかった。ディードは足早に去る。
(シン・アスカ…あなたはいつも……!)

「ナンバーズ?」
「そう、私のかわいい娘達さ。宝くじ売り場では売っていないよ」
「…」
「おや、君はもう少しノリがいいと思ったのだが?」
「……ふん」
「君を元気付けようとあらゆるタイプの娘を揃えたというのに…。
ハッ!? そうか…私としたことが…」
「?」
「お嬢様&お姫様タイプを用意するのを忘れていた。クッ、一生の不覚…」
「………」
「そういう属性が好みなんだろう? でなければ『らき☆すけ』である君の食指が動かないはずがナイっ!」
「俺の腕は○ックバスターに変形しないのか? すればここでお前を撃ち殺すんだが」
「そんなこともあろうかと変形しないように作った!」
「…アンタ達も大変だな、こんなザ・変態が父親で」
「あら、その言い方だと母親もいるみたいね」
「……死んだのか?」
「初めからいないわ。私達はクローンやそれに類する技術で造られた生命だから。中身はあなたの“その体”と同じよ」
「なん…だって…」
「元になった人物が母親と言えなくもないんだけどねぇ~。でもそうしたらドクターが夫ってことになっちゃうし、それはあまりにも」
「残酷だな。生きて行くには辛すぎる」
「………………………お父さんの居場所はパチンコ屋しかないのか…」
「…お前は何のために…」
「彼女達を造った理由かい? フフフ…私の夢のためさ」
「夢?」
「そう。今は語れないが私には大きな夢がある。彼女達はそのための…」
「…」
「過程さ」
「過程…?」
「君とならその夢を共に追いかけられると私は信じている」
「そ~ッスか?」
「そーッスよ! 私には分かる。平和・秩序・自由、これらのために敗者となった者はすべからく私と同じ夢を見るのだ!」
「…俺は…夢なんかいらない」
「ふむ、まぁ、今はそういうことにしておこう。では今日はお開きにしようか」
「ったく、何だよ急に呼び出しやがってよ」
「そう言わないでくれ。あ、そうそう。戦闘のことで分からないことがあったら彼にドンドン聞くといい。なんせ専門家だからね」
「戦闘…って、戦うのか?」
「ええ。我々は活動内容こそ異なりますが、戦闘行為を前提に設計されていますから」
「そう…か。美人なのにもったいないな」
「!?!?!?」
「芸術品とは壊れる瞬間こそ…って、ん? どうしたね? 顔が赤いが」
「っお開きとのことなので失礼します」
「……」
「なんだ?」
「……なるほど、な」

(あなたはいつも、私を乱す…!)
ウーノに言われたように遅れを取ったこと(断じて負けてはいない!)は確かに悔しい。
だがそれ以上にディードの心を乱しているのはあの時も、そして今回も彼にとって自分という存在は“複数の中の1人”であるということ。
ナンバーズの構成員Aとしか認識されていないこと。
そんな相手に平常心を乱されることなどあってはならない。
自分は人形―目的達成こそ至上である兵器も同じなのだから。
(思い知らせてあげますよ…私が“ディード”であることを…!)


「あはは…ごめんね~。何か迷惑かけちゃって」
芙蓉家居間にて、亜沙が申し訳なさそうに。
シンの声に気付いたさくらはすぐさま地上に降り、エセルから事情を聞き魔法を解除。
シン達は亜沙を家まで運んだ。
その途中で亜沙の意識は回復し、今は顔色も良くなっている。
ちなみにフェイトはカレハに回復してもらい、同じく居間にいる。
「ビックリしたよ。突然倒れるんだもん」
「う~ん、貧血かな?」
すでに音姫と軽口を交わすほどに元気になっている亜沙。顔色も良い。
「おい」
「お?」
アル、エセルに廊下へと呼び出されるシン。
「あやつは何者じゃ?」
「質問が唐突すぎるんだが?」
「時雨亜沙が倒れたのはその体内の魔力に対して肉体が脆いためです」
「脆い?」
魔力自体はほぼ全ての人間が持っている。
亜沙が魔力を持っていることは何ら不思議ではないが、それに対して体が脆いといのはよく分からない。
「本来、魔力とは身体の成長に合わせて自然に増減する。訓練で高めることも可能じゃが、それでも常時肉体に負荷をかけるほどまでは不可能なのじゃ」
「でも時雨さんはそうなってる、と?」
「うむ」
「先天的に魔力が異常なのか、邪法にでも手を出したか…」
「邪法って…それはないだろ」
亜沙の性格からしてそれは無いとシン。そもそも理由がなさそうだ。
「っつーかさ、そんなに魔力が高いならカレハさんとかネリネ辺りが気付くんじゃないか?」
2人は優秀な魔法使いだ。
カレハは初音島では『癒しのカレハ』として回復魔法が得意と有名であり、ネリネはシンの目の前で体育館を消し飛ばすという荒業をやっている。
特にカレハは亜沙と一緒にいることが多い。
「ネリネ?」
「あー、そっか。えー…」
ネリネには会っていないことを思い出す。
「どれほどの使い手であろうと気付くのは無理でしょう」
エセルはキッパリと言い放つ。
「彼女の魔力は“大きい”のではなく“濃い”のです」
「何か違うのか?」
「魔力の大小というのは通常でもある程度知覚可能ですが、濃度に関して知るには魔法行使時もしくは特殊な能力が必要なのです」
「我ら魔導書はマスターを選定するためにその能力が備わっているが、人間で持っている者はまずおらん。
あの娘が今まで大きな魔法を使ってでもいない限り知る者はおるまい」
「2人の話を聞いた感じだと、濃い人間ってのは少なそうだな」
魔力が濃いことが身体的にマイナスとなるにも関わらず、その発見法は一般には浸透していないっぽい。
ということは、そういった人物は稀有ということだろう。
「うむ。濃度は修行で変化させることはできん。先天的なものじゃ」
「そして自身の肉体に負荷がかかるほどの濃度は生命の仕組みから考えれば有り得ないことです」
何か今、「生命の仕組み」とかこの世の真理に関わるような言葉が出てきたが、シンは聞かなかったことにする。魔導書は物知りなんだよ、きっと。
「例外的に感情に左右される場合があるが、今回は違うじゃろう」
「だろうな」
やはり亜沙は生まれつき魔力が異常に濃いということになる。
そしてそれは本来有り得ないことらしい。
「よく今まで生きてこられたものじゃ。あれだけの濃度なら、魔力の高い者が近くにいるだけで影響されるじゃろうに…」
「何とかならないのか?」
「なります」
すごいアッサリ言われた。
「えっ? 普通は「私達ではどうにも…」とか言うんじゃないの?」
それがお約束の展開のはず…!
しかし2人は首を振る。
「確かに我らにはどうにも出来んが、本人になら簡単に解決出来る」
「魔力を薄めればいいんですよ」
「どうやって?」
「汝はさっきから質問ばかりじゃな。少しは自分で考えんか」
やれやれと言わんばかりのアル。
だが魔法に関しては「ハァ~サッパリサッパリ」なシンはそう言われても困る。
「“濃い”とは触媒に溶け切らず凝縮された状態。そして触媒たる魔力は使用しても休めば回復します。ならば…」
「魔力を使えば相対的に薄くなっていく…!」
「そういうことじゃ」
物凄く簡単なことだ。
亜沙が魔法を使えない可能性もあるが、その時は魔導書を持たせれば勝手に魔力は本に吸われて減って行く。
「さっそく…って、人に知られちゃマズイのかな…」
どうやら亜沙の様子からするに他人には話していないようだ。
なのに皆の前で「魔力を薄めるために魔法を使って下さい」と言うのはマズイだろう。
「何とか2人になって、その時話すか」
そう決めて居間に戻る3人。これで一段落…とはいかない。
まだ問題は残っているのだ。

「で、この人どうするんですか?」
「そうだね♪ どうしようか♪」
「いや、アンタのことじゃん…」
毎朝シンを苦しめるさくらのバインドは、現在フェイトをガッチリ縛っている。
エロくない感じで。
「このまま帰ってもらうのがいいんじゃない?」
「そうだよ♪ それがいいよ♪」
音姫が彼女らしい、一番波風が立たず平和な案を出す。
「でもこのまま帰したら、仲間を連れてまたシンを捕まえにくるかもしれません」
「うんうん♪ 来ちゃうと思うよ♪」
「…」
アイシアは音姫案に反対。見た目の割に好戦的というか疑り深いというか。
「私もそう思います。いきなり実力行使に出るような人ですから」
「あ、私も楓さんに同意です。物騒にも程がありますね」
「まったくだね♪ 物騒物騒♪」
「……」
楓と由夢も音姫アンチ。
「う…で、でも喧嘩は駄目だよ」
「喧嘩って、お姉ちゃん…」
「駄目駄目♪」
「………」
何とかして穏便に済ましたい音姫。
彼女とて当然シンを攫おうとしたフェイトを許せない部分もあるし、このまま解放することの危険性も分かっている。
しかし“管理局に逆らう=統合軍に逆らう”である。
今の世界でそんなことをしたら生きていけない。
社会派の音姫にはそれが分かっており、むしろ由夢達が視野狭窄に陥っていると言える。
「どうしたものでしょう…」
「どうしましょうね♪」
「…………」
カレハは首を傾げる。フェイトも傾げる。そしてシンはキレる。
「いい加減にツッコもうよっ!? おかしいじゃん! さっきからこの女おかしいじゃん!! 何でこっちの言葉にいちいち頷くの!? どうして誰もそれに疑問を持たないの!?
俺か? おかしいのは俺なのかっ!?」
一気にまくし立てるシン。が、周りに反応は、
「や、だってツッコミは兄さんの役割だし」
「お姉ちゃんはどっちかっていうとボケだし」
「どうでもいいし…」
「受け入れられなくても泣かないし…っ」
シンは三角座り。「オレモヒオウギガツカイタカッタ」
そんなシンの肩をヴィヴィオが叩く。
「ねっ? 『びんじょー』だったでしょ?」
「そういうことか…」
謎は全て解けた!
微笑ましい(?)2人をよそに再び頭をひねる一同。
「……いい方法がある…」
「「「いい方法?」」」
プリムラの提案に全員耳を傾ける。
「○○○しちゃえばいい…」
「「「!!!」」」
「身も心も穢されてどうでもよくなる…」
「「「……」」」
全員硬直。
「ど、どこでそんな言葉を覚えたの?」
震えながら楓。プリムラの保護者を自負する身としては捨て置けない。
だが、プリムラの口から出たのはあまりに残酷な言葉だった。
「シンのゲームで。ヒロインを○○○しまくっている内にヒロインも乗り気になっていく。最後はクラス中で●●。それを見た主人公は涙を流しながらもb」
「それ以上はらめぇぇぇっ!」
プリムラの口をつい聞き入っていた楓が塞ぐ。それはもうしっかりと。
女性陣はゆっくりと三角座りの方を向く。そいつは背中でgkbrしていた。
「弟くん、えっちなのは、いけないんだよ?」
「朝倉(兄)が妹に見つかると死ぬから預かってくれって…」
「CG100%だった…」
「預かってる…?」
「ゲーマーとしてつい…」
「兄さんはシ○プリやマリ○ワみたいな、小っ恥ずかしい系専門と思っていたんですけどね…」
「そーゆーゲームでも声がイイ人はいっぱいいるんだ…ニーソの食い込みやパンツのシワ、黒ストのツヤ&白ストの透け具合が最高の神懸かってる絵師さんだったんだ…」
「だからって…」
「ならプレイするしかないじゃないかっ!!」
「開き直った!?」
テーブルに飛び乗り天高く謳うシン。
「現実はヒーローごっこじゃないっ! 男の健全な欲求に従って何が悪いっ!?」
「でも兄さんは未成年なんだし…」
「うるさいっ! 俺を兄と呼びながら『18歳以上w』のクセに!!」
「っ!」
「自分だけが分かったようなことを言うな! お前達の存在はプレイヤーを混乱させる! PC版では『18歳以上w』と謳いながら、移植された途端『○○高校2年』とかになりやがって! 
故にプレイヤーは迷う。この妹キャラは本当に妹なのかと。本当に自分は「お兄ちゃん☆」なのかと。
姉キャラと思っていたのに移植された途端年下になったこともあるだろう。そうやってどれだけの漢が「お前ら『18歳以上w』じゃなかったのか」と涙したと思っている!?
だからこそ知る! コンシューマーオンリーは素晴らしいと! ○‘s企画サイコーだとっ!!」
「「「………………………………」」」
聴衆ドン引き。されどシンは続ける。
「だが、素晴らしいのはそれだけじゃない。敢えて言おう…100%移植されない凌○ゲーマンセーーっ!!」

数秒後、芙蓉家から「アッーーーーーーーーー!」という叫びが上がったというのは、また別の話。


「ヒューッ。こいつはすげぇぜ!」
一人の男が目の前に立つモノを見て感嘆する。
『気に入ってもらえたようね』
「ああ。こんなすげぇモンを気に入らなぇわけがねぇ」
男はそれを見上げて、御機嫌にモニターに映る女に応える。
『なら、こちらの策に乗ってもらえるってことでいいのかしら?』
「ああ、任せとけって。つっても、どっちにしろオレのやることは昔から変わらないんだがな」
『でしょうね。だからこそあなたみたいなイカレた男に頼んだのだけど』
「本人の前で失礼な奴だぜ」
そう言いながらも男に気分を害した様子はない。
女から届けられたオモチャで早く遊びたくてそれどころではないのだ。
何よりイカレてるのは自覚している。
「んで? 途中で割り込んでくる『ガンダム』はぶっ壊していいんだっけか?」
『あなたに出来るならね』
「言うじゃねぇか。気の強い女は好きだぜ?」
『…アンタみたいなヒゲのオッサンは趣味じゃないのよ』
「おおー、怖い怖い。アンタの口ぶりじゃあ相当な奴みてぇだな」
『ええ、強いわ、伝説になるほどに』
「へぇ。キラ・ヤマトよりもかい?」
『唯一超えた存在よ』
「!!」
驚愕する男。闘神にして勇者―キラ・ヤマト。それを…超えた?
「……」
『アラ、ビビっちゃったの? 今ならまだキャンセル効くわよ?』
「…へへへ…」
『?』
「ハァーッハッハァ! 冗談じゃねぇ! 面白ぇじゃねぇかよ! サイッコーだっ!
この仕事はオレのモンだ! そっちこそもうキャンセルは受け付けねぇからな」
『噂以上のぶっ飛び野郎ね』
男はさっきよりも上機嫌に目の前の巨大な物体―MSを見上げる。
それは、赤い『ガンダム』の姿をしていた。
「楽しみでしょうがねぇよなぁ!? なぁ、相棒!」

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最終更新:2010年07月18日 02:22
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