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東方小ネタ集-08

1

中有の道。

そこは幻想郷から死者が渡る“河”へと繋がる唯一の通り道であり、多くの霊が行き来する場所だ。
そんな道だ、人が聞けばさぞ寂しい場所なのだろうと思うだろうが、どっこい実のところそれほどでもない。むしろ賑わっているくらいである。
中有の道には多くの出店が立ち並んでおり、その様は縁日を思わせる。
出店を目当てに生者もやって来ることがあるほどだ。
そしてもちろん店を開いているのも死者である。
店をやっている者の中には、こわもての顔がちらほらあったりする。
それは彼らが地獄に落とされるほど悪人であった頃の名残だろうか。
出店をやっている者たちは全て、地獄で生前の罪を償っているものたちだ。
何故、そんな彼らがここで出店をしているのか。

理由は至極単純だ。
ここでの働きが次の転生へと繋がるからである。
要するにここは“地獄の卒業試験”の場でもあるのだ。
そして、彼――シン・アスカもまた、この中有の道で店を開く死者の一人だった。

「ほら、銃身と視線を真っ直ぐ……そう。で、真ん中の下辺りを狙って撃つんだ」

シンの教えに従い、隣で鉄砲を構える少年は引き金を引いた。
パンッ――そんな弾く音と共に打ち出されたコルクは、なだらかな軌道を描きながらキャラメルの箱に命中する。
箱が倒れるのを確認してから、シンは手元に置いておいたベルを振り回した。
ベルの高い音が周囲に響き渡る。

「おめでとう! はい、景品な」

そう言ってシンは倒れたキャラメルの箱を拾い上げると、カウンターの向こう側から少年に手渡してやった。
少年は自身が打ち落とした景品を受け取ると嬉しそうに笑みを浮かべた。

「ありがとう、にいちゃん!」

「次はもっと歳を取ってから来いよ」

手を振りながら来た道を戻っていく少年の霊に手を振り返しながら、シンはちょっとした満足感が胸に満ちるのを感じる。
そんなシンの背後から声が投げ掛けられた。

「お前さんバカだねぇ。そんなことしてたら儲けにならないだろう?」

振り向けば、そこには大きな鎌を持った物騒な少女が立っていた。
見た目はシンと同じか少し上くらいの、凜とした顔つきの赤髪の少女だ。
肩ほどまで伸ばした髪の両端をツーテールのように括っている。
服装は青を基調としたスカート姿で、帯で締められた腰や細い手足は華奢な体つきを表していた。
とはいえひ弱な印象はなく、女性として丸みを帯びた身体はむしろ健康的と言ってもいいくらいだ。
それだけなら、まだ美人で通っただろう。
だがやはり真っ先に目が行ってしまうのは彼女が肩に担いだ大きな鎌だ。
まるで死神が持つようなその鎌は、事実そのまま彼女の身分を表していた。

小野塚小町。それが死神である彼女の名前であった。

もっとも、死神と言っても彼女は幽霊を三途の川の先へ渡らせるだけのただの船頭なのだが。ちなみに鎌はあくまでただの飾りらしい。
なんでも死者の死神のイメージへの配慮らしいのだが、シンとしてはむしろあのボロ船を配慮した方がいいんじゃないかと思わざるをえない。
三途の川に落ちれば浮かぶことはできないのだから。

閑話休題。

シンはこの顔見知りの死神に向き直るといつも通りの挨拶を口にした。

「ちゃんとお金はもらってるよ。それより小町、また仕事をサボったのかよ」

「サボりじゃなくてただの休憩だってば。川渡しは力仕事だからねえ」

小町の台詞もいつも通りだ。
この死神、巷ではよくサボると有名だ。あまりに有名なので、シンは彼女をサボりマイスターと呼んでいる。

「……ねえお前さん、なんか失礼なこと考えてないかい?」

「いや、別に……」

ジト目で見つめられたシンは素知らぬ顔で――つい目を逸らしてしまったが――否定する。
しばしそうしていたが、やがて小町も飽きたのか肩をすくめる。

「まあいいけどね……ほら」

「うん? っと、と!」

不意に小町が何かを続けて投げ渡してきたものをシンは咄嗟にキャッチする。
彼女が投げたのは何枚かの小銭だった。

「しょうがないからあたいが遊んで行ってやるよ。だから四季様にはあたいがここに来たことは内緒にしておくれよ?」

「やっぱりサボりなんじゃないか。このサボりマイスターめ」

「うるさいねー。ほら、早く弾寄越しなよ」

すでに小町はカウンターで鉄砲片手にスタンバっていた。
金を受け取った以上、客には違いない。
仕方なくシンは小町の手元に五つのコルクが乗った皿を置いてやった。

一発目。射ち出されたコルクは狙いの景品――チョコレートだ――の上方をあっさり素通りした。

「む……意外と当たらないね」

そうして再び射ちだされた二発目もまた外してしまう。
早くも焦れたのか、小町がこちらへ顔を向けてきた。

「ちょっとお前さん。あたいにもコツを教えておくれよ!」

「そんなことしたら儲けにならないんだろ?」

「いいじゃないか。お前さんを渡してやったよしみじゃないか」

「…………はぁ」

今度はシンが肩をすくめる番だった。
三途の川を渡るシンを担当したのは小町だった。
舟が彼岸に着くまでの長い距離を進む間は、小町が一方的に喋るだけだったのだが、なぜかシンが地獄に落ちた後もこうして付き合いは続いていた。
なんでもシンほど長い距離を渡り切った死者はかなり稀らしく、普通は途中で渡し賃が切れ足りなくなって船から落とされてしまうらしい。
川の距離は罪の重さは表し、渡し賃は生前の徳を表す。
つまりシンは多くの人を殺めながら多くの人を助けた今どき変わった罪人だったらしい。
そんな珍しい客だったからか、小町もシンを覚えていたらしく、以来今でもこうして軽口を叩き合う関係が続いている。
そんなわけで、シンが世話になったと言うのもあながち間違ってはいない。

「……まず鉄砲の両端辺りにとんがってるところがあるだろ。そこと視線が真っ直ぐになるようにすれば少しは当るようになるよ」

「これかい?」

「そ。後はまあ、肘でもついて狙いがズレないよう固定してみれば?」

「ふんふん……」

「て、それじゃあ当たらないだろ。ほら、もっと銃口を下側にして……」

とうとう見ていられなくなり、シンは小町の腕に触れる。
最初は半ば投げやりに教えていたはずが、いつの間にか手取り足取り教えるようになっている。
そんな時だった。

――むにっ。

そんな感触に、シンの肩がビクリと跳ねた。
小町の豊満な胸が腕に当たったのだ。思わず後退ったシンに、小町は怪訝な視線を向けてきた。

「? どうしたんだい?」

「べっ、別に……ほら、もういいだろ。早く撃てよ」

自分の顔が熱くなるのを感じて、バレないよう小町から背を向ける。
耳まで真っ赤になっていたが、幸い小町は気づなかったらしい。
体勢をそのままに再び景品へと狙いを定める。
三発目は、景品の右上を擦ったが一瞬揺れただけで倒れることはなかった。

「おっ! ちょっとコツが掴めてきたよ」

「そうかよ」

続けて四発目が射たれるより前に、まるで今ふと思い出したように小町が口を開いた。

「そういえばさ、決まったらしいよ」

「なにが?」

「お前さんの冥界行きが」

「……え?」

四発目は見事景品に命中し、チョコレートは棚から落下した。

「よっし!」

小町はぐっと握りこぶしで喚声をあげるが、シンはそれどころではなかった。
ベルを鳴らすことも忘れ、シンは動揺をそのまま口にした。

「な、なんで……?」

「なんでって、そりゃあたいだって弾幕ごっこで鍛えてるんだからこれくらい……」

「そうじゃなくて!」

よく分からないといった顔をする小町に、シンは声を張り上げる。

「俺が冥界行きって……」

「そりゃあ、お前さんは真面目に地獄での務めを果たしてきたからね。当然っちゃ当然だろ」

「で、でも……」

「何をそんなに狼狽えてるんだい。嬉しくないのかい?」

そんな訳はない。冥界とは転生を待つ魂が住む場所だ。
いわば地獄に落ちた者にとっての最終目標だ。嬉しくないはずがない。
はずなのだが、何故かシンの胸が焦りでざわついている。
それは小町の顔を見ているとますます強まっていくようだった。
だが彼女は相変わらずあっさりしたものだった。

「ほらほら、早く景品をおくれよ」

「…………うん」

釈然としないまま、渋々とシンは景品を拾うためしゃがみこんだ。
ベルを鳴らす気にはなれなかった。
そうして立ち上がった時だった。

――パンっ!

「いてっ!?」

突然、後頭部に何かが当り、シンは振り向いた。
そこには案の定、鉄砲を構えた小町がその銃口をこちらへと向けていた。

「なにするんだよ?」

すると小町はこちらへ指差すと陽気な笑みを浮かべた。

「当てたからお前さん、ちょっと付き合いなよ」

「…………はぁ?」

意味が分からず首をかしげるシンに、小町は気にせず続ける。

「今日は盆だろ? 里で盆踊り大会があるんだよ。ちょっと見に行ってみないかい?」

「…………や、なんで?」

確かにお盆といえば幽霊が多く里帰りする日だが、地獄の罪人である自分まで行ってもいいものなのだろうか。
というか“外”から来た自分にとっては里帰りでもなんでもないのだが。

だが小町はその辺どうでもいいらしい。

「いいじゃないさ。たまには息抜きは必要だよ。四季様には黙っておいてあげるからさ」

「…………まさか、俺を共犯にしようとしてるんじゃよな」

「うっ」

シンの呟きに、小町がぎくりと呻いた。どうやら図星だったらしい。

「…………はぁ」

ため息を吐くシンだったが、先ほどまで胸にあったざわつきやもやもやは幾分か晴れていた。

(ああ、そうか……)

ようやく気づいた。
どうやら自分が思っていた以上に、ここでの生活は気に入っていたらしい。
ふっと、自分の顔が和らぐのを感じる。

「仕方ないな……」

それだけ言った途端、ぱっと小町の顔が明るくなる。

「そうこなきゃ! じゃ、早速行こうか!」

ぐいっと小町に手を引かれ、シンは店から引っ張りだされてしまった。

「て、今からかよ!? せめて店をたたんでから……」

「そんなの後々! 善は急げって言うじゃないか」

勢いに流されるまま、シンは為すがまま連れていかれていく。


何事もいつかは終わりがやってくる。それは死者も変わらない。

いずれは今の自分も終わって、また新しい自分が始まるのだろう。

だが生まれ変わった自分は、果たして本当に自分なのだろうか?


「………………」

隣を見てみれば、馴染んだ死神の横顔がある。
そう言うと物騒だが、その死神は陽気に笑いながら喋り続けている。
自分が生まれ変わることをこの死神がどう思っているのか、何故か気になっている自分がいるのを自覚する。

だが――

(…………まぁいいか)

その横顔を見ているとなんだかどうでもよく思えてきて、考えるのをやめた。
せめてもう少しだけ、この可笑しな死神との付き合いを楽しむとしよう。

――むにゅっ。ぽよん、ぽよん。

「…………っっっ! 分かった……分かったから、ひっつくなああっ!!」


今日も幻想郷は平和だった。

2

霊夢「・・・」(めちゃくちゃ不機嫌)
シン「どうしたんだ?あいつ」
デス「あー・・・マスター、あまり今の彼女に触れないほうがよろしいかと」
シン「なんでだ?」
デス「まぁ、乙女の事情といいますか、僻みとでも言いますか・・・」
シン「乙女の、ねぇ・・・とはいえ、同居人があぁだと俺もつらいからなぁ」
魔理沙「おーい、シーン」
シン「お、魔理沙じゃないか。どうしたんだ?」
霊夢「!?」
デス「あー・・・最悪のタイミングで・・・これはどうなるかみものですねー」
魔理沙「あぁ、ちょうど美味しいきのこを見つけたんでな。よければ、その・・・一緒に・・・」
シン「きのこ?あぁ、お前好きだもんな。でもいいのか?俺も食って」
魔理沙「いやぁ、いつも世話になってるしな。それに、その、えと、シンのきのこもご賞味させていただければ・・・ゴニョゴニョ」
シン「は?俺のきのこ?んなもん持ってないぞ?」
デス「またまた・・・立派なマツタケをお持ちの癖に・・・」
魔理沙「な!?そ、そんなにでかいのか!?」
デス「えぇ。なにせ国産最高級のマツタケがかすむほどの太さと長さとそして・・・」
魔理沙「そ、そんなにか!?わ、わたしで入るかな・・・」
デス「大丈夫です。あの八頭身状態になれば」
シン「お前ら、いい加減に」
霊夢「・・・なさい」
シン「?どうした、霊夢」
霊夢「今すぐその裏切り者を追い出しなさい!!」
魔理沙「うわ!?ど、どうしたんだよ霊夢?」
シン「あれか?俺だけが食えると思ったのか?」
魔理沙「あぁ、大丈夫だぜ。量はさすがに面子を集めるのには不安だけどここに居るだけなら十分」
霊夢「だったら!!そのきのこだけ置いて帰りなさい!!」
魔理沙「どんな横暴だよそれは!?」
シン「霊夢、どうしたんだよ。一体」
霊夢「うるさい!あんたもどうせでかい方がいいんでしょ!?あれか?埋めることが出来なきゃ、はさめなきゃいけないのかーーー!!?」
シン「・・・おーい、霊夢さーん」
魔理沙「どうしたんだ?お前」
霊夢「あんたは、あんただけは同じだと思っていたのに・・・エグエグ」
魔理沙「うわ、ガチ泣きだよ」
シン「どうしたんだよ霊夢。なんかあったか?ポンポン痛いのか?」
霊夢「ふん!あんたもどうせ、ぼん!きゅ!ぼん!がいいんでしょ?」
シン「だから、頼むから俺にもわかるように説明してくれ」
魔理沙「あー・・・ひょっとして・・・」
デス「おや、さすがに当事者だと気がつくのもお早いですね」
魔理沙「ていうか、お前知ってたろ」
デス「いえいえ、私は知りませんよ?せいぜい、お胸が無いのがネタだったのをお捨てに成られたことくらいしか」
霊夢「グサッ」
シン「おい、本当に大丈夫か?」
霊夢「う」
シン「う?」
霊夢「うるさーーーい!!」
シン「どわぁ!?い、いきなり攻撃はなしだろ!?」

デス「しばし、非難していたほうがいいようですね」
魔理沙「だな・・・まぁ、ある程度シンにぶつけたら納まるだろう・・・気に入らないけど」

霊夢「そもそも!あんたは私の監督下にいるんだから!!少しは遠慮しろーーー!」
シン「だから、なにをだぁ!?って、針はだめだろうが!!」

デス「恋敵を応援するとは、殊勝なお心がけですね」
魔理沙「まぁ、親友、だからな」

霊夢「でぇい!ちょこまかと。食らえ!『夢想天生』!!」
シン「あ!?スペカはひきょぎゃあああーーーーーーー!!」

3


シン「だいぶ涼しくなってきたなぁ・・・」
霊夢「そうね。なまじ猛暑が続いたから寧ろ寒くなるわね」
デス「・・・寒すぎます・・・コタツはまだですか・・・」
シン「・・・なんで一番寒さにも暑さにも強いお前が参ってるんだよ」
霊夢「仮にも神様でしょうが・・・そんくらい耐えなさいよね」
デス「ううう・・・私は別に平気と言うだけであって嫌いではないというわけではないんですよ・・・」
シン&霊夢「「よほどひどいわ!!」」
霊夢「はぁ・・・シン。いいからこの粗大ごみを日向ぼっこでもさせてやって」
シン「いいのか?」
霊夢「働かないだけならまだしも、邪魔になるならどかすだけよ」
シン「すまん」
霊夢「ほら、いいからさっさともっていきなさい」
シン「本当に悪い。ほら、行くぞデスティニー」
デス「うぅもっと、こう、お姫様を抱きしめる王子様のごとく・・・」

霊夢「まったく・・・シンもいつまでも甘やかすからこうなるって言うのに」
紫「そうねぇ、でも貴方も結構甘やかしてるように見えたけれども?」
霊夢「んなことないって、紫、いつも言ってるけどいきなり『すきま』から出てくるのはやめてよね」
紫「あら?そんなこと言ってたかしら?次からは気をつけるわね」
霊夢「どうせ口だけでしょうが」
紫「まぁ、いいじゃない。けど・・・あれが噂の彼?」
霊夢「どんな噂かは知らないけど。家で面倒見てる異邦人という意味でならそうね」
紫「あらあら。確か、寝取って囲っていちゃついてるんでしたっけ?」
霊夢「よしきたそこになおれ!!」
紫「冗談よ」
霊夢「冗談に聞こえなかったわよ」
紫「でも、へー。いい子そうね」
霊夢「まぁね。なんだかんだで結構慣れてきたみたいだし。手伝ってくれるしね色々と。それに、家賃も入れてくれるみたいだし。
   ・・・まぁ、弱冠一柱邪魔なのが憑いてるけど」
紫「そうねぇ、ねぇ霊夢」
霊夢「なによ」
紫「あなた・・・あの子との子供作ろうとなんて思ってないわよね?」
霊夢「っぶ!?は、はぁああああ!?」
紫「その慌てぶり、もしかしてビンゴ?」
霊夢「んなわけないでしょうが!!ありえないから驚いてるのよ!!所帯じみててわけがわからないへんな神様が憑いてて!
   しかもその上異邦人よ!?ありえないでしょ!そ、そりゃあシンは意外と家事も手伝ってくれるし、優しいし、でもでも、結構頼りがいはあるけど」
紫「・・・そう、なら安心したわ」
霊夢「え?」
紫「わかっているんでしょ。あの子に憑いている娘。あれは禍神(マガツカミ)よ。それも飛び切り極悪な」
霊夢「それは・・・」
紫「あの子の中には憎しみと恐れと怒り、尊敬、畏怖、そういった負の魂で満ち満ちているわ・・・恐ろしい娘。
  あんなにヘラヘラ笑っているようだけど、あの娘の中には何万、何億といった魂が満ちているわ
  だからこそ、あの娘はこの幻想郷でもかつてと同じ神威を振るうことが出来る。自分が喰らった魂を使って、ね」
霊夢「それは判ってるわ。だからこそ、シンをここにとどまらせているのだし」
紫「それは正しいわね。でも、だからこそ貴方はあの子、シン君っていったかしら?シン君との間に子供を作ってはいけないわよ」
霊夢「・・・それは、中間の巫女である博霊の立場を崩す、か・・・」
紫「判っているなら、それでかまわないわ。貴方は女の子よ。でも、そうである前に貴方は博霊の巫女なの。その立場を忘れないでね」
霊夢「・・・用件は、それだけ?」
紫「えぇ、そうよ」
霊夢「そう、なら今掃除で忙しいから帰ってくれる?」
紫「お邪魔したわね。それじゃあ」

霊夢「・・・わかってるわよ・・・そんなこと。
   あいつ(シン)が禍神の本体であることも、あいつ(デスティニー)がそのお社であることも・・・判ってるわよ・・・」
霊夢「でも」

霊夢は、涙を隠すようにして下を向く。
歯を食いしばり漏れ出す何かを必死にこらえようとして、しかしその言葉は口からもれ出てしまった。

霊夢「好きに・・・なったんだもん・・・仕方ないじゃないの・・・」

秋の気配を見せ始めたこの幻想郷。
その空に吸い込まれるように、その言葉は彼女以外の耳には一柱にしか届くことは無かった。

4


霊夢「ただいまー」

シン「ああ、おかえり。ごはんできてるよ……て、すごい汚れてるな。すぐ準備するから先に風呂に入れよ」

霊夢「そうするわ。あ、そうだ。いつも家事してくれるお礼に一個あげるわ」

シン「これ……チョコレート? ああ、そういえば今日はバレンタインだっけ」

霊夢「なにそれ? 外の行事かなにか?」

シン「知らずに買ったのかよ……いやまて霊夢。その右手の包みはなんだ?」

霊夢「なんか退治した妖怪たちが持ってたのよ」

シン「すぐに返してきなさいっ!!」



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最終更新:2011年02月25日 23:40
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