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ヤンデレ小ネタ-01

「私はずっと……ずっと前からあなたのことがずっと前から好きでした。私と付き合って下さい。」

ある日、フェイトはシンを呼び出すと、今まで自分が内に秘めていた想いを打ち明ける。
シンと出会うまで芽生える事のなかった感情…
それは家族のリンディやクロノやエイミィやアルフ、自身の自己満足のために保護をしたエリオとキャロ…
そして、自身と親友を母と慕うヴィヴィオ…その何れにも該当しない感情だった。
その感情の名称は……「恋」
フェイト・T・ハラオウンは目の前にいる少年、シン・アスカに心底、恋をしていた。

シンに心底恋をしているのは、彼女だけではない。
彼女とは10年の付き合いになる親友でもある、なのはとはやて2人と同じく、幼い頃からの友人であるアリサやすずか…
部下にして、シンの同僚でもある、スバルやティアナ……
現在、彼女が追いかけている時空犯罪者、ジェイル・スカリエッティの娘であり、戦闘機人「ナンバーズ」
それだけではない、ミッドチルダとは違う、異次元や異世界に住んでいる彼女達と同年代の少女達も皆、彼に心底惚れ込んでいた。

フェイトの発した告白を最後に両者の間には沈黙が訪れる。
フェイトにとって、この短い沈黙は果てしなく、長く感じている。
実際は一分にも満たない短い時間であるが彼女にとって、その時間は1時間以上にも感じていた。
やがて、シンは口を開く。

「ごめんなさい……生憎ですが、俺はあなたとは付き合えません。」

沈黙を破ってシンから出た言葉は――拒絶――
ごめんなさい
平仮名で僅かなたった6文字しかないキーワードはフェイトを奈落の底へ突き落とすには充分過ぎた。
頭の中が完全に真っ白になり、何も考えられなくなった。
失意のフェイトを他所にシンは背を向け、立ち去ろうとする。

「もう俺の事なんてさっさと忘れて、どうか別の男性と幸せになって下さい。」
「待って!!シン。ちゃんと考えてから答えてよ!」

フェイトはシンを行かせまいと彼の腕を掴む。
それは幼児が親を求めるようにも見える。

「……この際なのでハッキリと言います。もう俺に付き纏わないで下さい。」
「!!!」
「俺はずっと前からあんたが……あんた達の事が……大嫌いだったんですよっ!!」
「っ!!!!!」

弱々しいフェイトに追い討ちをかけるようにシンは更なる拒絶の言葉を浴びせる。
―失礼します…―
シンはフェイトの腕を振り解くと、一言言い残すとシンはフェイトに背を向けて去って行く。
その背はとても淋しく、今にも消えてしまいそうな位弱々しかった。


「どうして……」

フェイトは気がつけば、自室のベッドにうつ伏せになりながら倒れこみ、枕に顔を埋める。
どうやって部屋に戻って来たのかとかはもうどうでも良かった。
枕は自分の…彼とは何処か違う紅い瞳から流れ出した涙で濡れていた。
それは何時まで経っても止まる事がなく、流れ続けている。
『ごめんなさい……生憎ですが、俺はあなたとは付き合えません。』
『もう俺の事なんてさっさと忘れて、別の男性と幸せになって下さい。』
『……この際なのでハッキリと言います。もう俺に付き纏わないで下さい。』
『俺はずっと前からあんたが……あんた達が大嫌いなんですよ!!』
彼の言葉がまだ残っていた。
とてもショックだった、初めての恋でしかも告白した直後に本人から面と向かって拒絶の言葉。
彼は自分の事なんて忘れろと言っていたがそう、簡単に忘れられる訳がない。
こんな感情は彼以外の男性を見ても沸いてこない。
自分は彼でないとダメだ、彼以外の男性に好意など持てる筈がない。
忘れてしまったらそれでこそ、自分が自分じゃなくなってしまう――そんな錯覚さえ覚えてしまう。
彼じゃなければ、シンでなければ駄目だと心が訴えていた。

「ねぇ……シン…私の何が嫌いなの?教えてよ。…全部、隅から隅まで全部直すから…」

部屋にはフェイトの独り言とも言える呟きだけが聞こえる。
自分の何がいけなかったのだろうか…
眼…彼と何処か似ているこの紅い瞳?
髪…彼が失った大切な人や親友と同じこの金色の髪?
存在…自分達は世界に求められているが、彼は求められていない…必要とされていない。

「……嫌だよ…そんなの絶対嫌だよ……」

それでも彼女はまだシンの事を諦めきれないでいる。否、諦めたくない。

「……シンが望む事だったら何でもするよ…あの雌狸や泥棒猫達のように迷惑もかけない…それに私の嫌いな所はちゃんと治すよ。…眼も髪も性格も全部…子供が欲しいならシンが寂しくないように何人でも孕んで頑張って産んであげるよ……それに私はシンの仲間みたいに裏切ったりしないし、利用したりしないよ…後、シンが邪魔だと思う人はみんな消してあげるからシンの前から……だから私を……私だけを見てよ……シン…シンシン…シンシンシンシンシン………」

フェイトは自分でも気付いていないほど壊れ始めていた。
気付いた時にはそれ程、シンに対して異常とも言えるような恋心を抱いていたからであろう。
シンはフェイトの元を去ってから重い足取りのまま自分の部屋へと戻っていた。
ぼふっと言う音と共にシンはベッドに横たわる。
刹那、首に下がっていた青と赤の2つのペンダントのうち、赤のペンダントから声が漏れ出す。
声は電子声音だが、声のトーンからして女…少女のような声であった。

『マスター、もう少しまともな断り方出来なかったんですか?あれではマスターが悪者ですよ。』
「別に慣れているから構わない…嫌われ者になる事も悪者扱いされる事もな……それにあそこまで言わなければ、しつこく引き止めて来る…だからああ言ったんだ。」
『そう言う問題ではありませんよ。』
『だが、マスター。最後のあれは言い過ぎだと思われる。』

青のペンダントからは聞こえてきた声は赤のペンダントとは逆に男…少年のような電子声音が聞こえて来る。

「インパルス。……良いんだよ。遅かれ早かれ…あの人達とは別れなきゃ行けないんだからな……」
『まぁ、それがあなたの選択ならば我々は何も言わない。』
『…………』
「デスティニー、何か文句でもあるのか?」
『文句はありませんが、フェイトさんが本当に大丈夫でしょうかと思っただけです。』
「あの人はあの2人と一緒に「あいつら」と同じでこれまで何度も世界を救って来た英雄なんだ。こんな負け犬か、道化か分からないような奴の言葉で塞ぎ込む様な人じゃないだろう。」

シンは鼻で笑いながらデスティニーと呼ばれた赤のペンダントの意見を一蹴する。

『そうでしょうか?…機械の私が言うのもなんですが、何やら凄く嫌な予感がしてならないです。』
『デスティニー、このまま何も起こらないならそれで良いだろう。』
「インパルスの言う通りだよ、デスティニー。」

シンはインパルスと呼ばれた青のペンダントの意見を肯定し、深く考えないでいた。
しかし、この時の彼は数日後にあのような事態が起こるとは知る由もない。

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最終更新:2010年09月15日 22:25
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