<新ユニット結成3~そして今日もまた日は昇る(女難的な意味で)~>
伊織 「それで、結局どうするわけ? 今日はアンタがプロデューサーなんだからちゃんとしなさいよね」
シン 「まともにやると厳しいな……思い出ボムを目一杯使うか」
※説明しよう!
思い出ボムとは一度のオーディションで3回まで使える必殺技のようなものだ!
営業で思い出を獲得しなければ使えないものだが、成功すれば通常の1.5~2倍のポイントが加算される!
しかし失敗すればポイントが減点され、審査員の興味も減ってしまう諸刃の剣なのだ!
3回目使用時の高速リールはテンションMAXでも手に汗握らざるを得ない。
雪歩 「うう~、目押しは苦手ですぅ」
シン 「押すの俺だけどな。みんなやる気が低いからBADに当たる確率も高いから気をつけないとな。それで
思い出の残量はと……」
千早→1
伊織→1
雪歩→0
シン 「って少なっ! 最近オーディションなかったのになんでこんなに低いんだ!? プロデューサーと
営業とか行ったろ?」
伊織 「胸よ」
雪歩 「む、胸です」
千早 「二人に同じ……くっ」
※説明しよう! 男には駄目だとわかっていてもやらなきゃならないこともある!
πタッチしないPなんていません!
シン 「……あンのプロデューサー」
伊織 「一応言っておくけど、アンタだって似たようなことはやってきてるんだからね?」
雪歩 「…………」←思い出して赤面
千早 「…………」←同じく赤面
シン 「う……ま、まぁそれはともかく、ただでさえ嫌なフラグが立ちまくってるのにこの状況か」
雪歩 「そ、それってやっぱりダメってことですか!?」
千早 「周りはみな実力派ばかり……敏腕記者が付いているユニットもいるわね」
伊織 「もう八方塞がりね。帰っていい?」
シン 「諦めるなよ! っていうかここまで来たらもうやるしかないだろ!?」
雪歩 「うぅ……でもでも、いったいどうしたらいいんですかぁ?」
シン 「ぶっつけ本番だけど仕方ない。プロデューサーに教えてもらった方法でやってみる」
千早 「プロデューサーに教えてもらった方法……?」
シン 「あぁ、『ジェノサイド戦法』でいく!」
※説明しよう!
前述したように審査員はアピールを受けるごとに興味が減っていき、尽きてしまえばオーディションを
放棄して帰ってしまう。このときその審査員が評価したポイントまでなくなってしまうのだ。
ジェノサイド戦法とはこれを利用したものであり、流行ジャンル2位・3位のポイントを確実に取り、かつ
審査員を強制的に帰して1位のポイントを無効にして上位を狙うアケ版時代に生み出された(?)戦法なのだ!
審査員の心証を悪くしてでも勝つ、アイドル道とはシグルイなり……
実際は二組以上のユニットでやらなければ効果は薄いのだがそれはそれ、これはこれ。
はっはっはっ、ネタだからね!
シン 「不幸中の幸いで今の流行1位はダンス……千早のボーカルと伊織のビジュアルがあれば行けるはずだ」
雪歩 「え? わ、私は何をすれば……」
シン 「ダンス審査員の心に、飛びきりデカイ風穴をあけてやれ!」
雪歩 「そ、そんな役割イヤですぅ!」
――オーディション開始5分前です。参加者の方は会場にお越しください。
シン 「……もうすぐか。最後にひとつだけ言わせてくれ」
千早 「…………」
伊織 「…………」
雪歩 「…………」
シン 「正直、かなり厳しいのはみんな分かってると思う。けど、俺はみんなを信じてる。どんなに可能性が
低くてもゼロじゃない。ゼロじゃない限り、勝てることだってある。絶対無理なんてことはないんだ。
だから……気を引き締めていこう!」
勝負を直前にして、シンから放たれた激励の言葉。
その言葉を受け、彼女たちは一斉に……
千早 「気を引き締めてるつもりなのに、シンから見ればまだ足りない……くっ」
伊織 「そんなこと今さら言われなくてもわかってるわよ」
雪歩 「気を引き締める……えっと、その、どうしたらいいんでしょうか?」
ものの見事にテンションがガタ落ちした。
シン (や、やっちまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)
※説明しよう、この三人ならよくあることです(特に千早)。
まぁそんなときもあるさ明日は違うさ。
~オーディション開始~
Vi審査員「キャッ、3番ちゃんのビジュアルキタわ~」
Da審査員「1番、ダンスやる気あるの?」
Vo審査員「4番、もっとボーカルがんばったほうがいいわね」
シン (……1回目の中間審査終了か。残るチャンスはあと2回、こっちはとりあえずボーカルとビジュアルの
ポイントは取れてるからとりあえずは順調だな)
しかし油断はできないのがこの戦法の侮れないところである。
誰かがこちらがジェノサイドを狙っていると気付けばダンスジャンル潰しがまったく意味を成さなくなって
しまうことも有り得る。仮に気付いていないとしても、三つのジャンルすべてのポイントを得たユニットにも
効果がなくなってしまうのだ。
シン (今のところはそんなユニットはないけど、あと2回のアピールタイムで何が起こるかわかったもんじゃ
ない)
重要なのはタイミングだ。早すぎれば他のユニットのアピールが残る二つに殺到してしまい、逆転されたり
もう一人の審査員まで退場してしまうこともある。
しかし遅すぎては今度は自分たちがポイントを得るチャンスを失ってしまう。各ジャンルにつき最低でも
3位内に入らなければポイントは得られないのだ。
シン (機……! 機を見るんだ。フリーダムとやりあったときのように! 瞬き一つの見落としすらない
ほどに! この一時だけに集中しろシン・アスカ――――!!)
※ざわ・・・ざわ・・・
――そして、2回目の中間審査が終わったとき、
Da審査員「あ~、もっとガツンってくるもの見せてよ」
ダンス審査員に、『飽き』の兆候が現れた。
シン (――残るアピールは8回……!)
絶妙の間、絶妙の好機……このときを除いて他にないほどの、勝ち抜きへの道。
それが今、開かれた。
シン (伊織! 千早!)
――bad思い出ボム、セット!
発動! ジェノサイド戦法!
伊織 「くぎゅって言うなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
――ドゴォォォォォォォォォォォォォン!!
Da審査員「げぶぅっ!?」
千早 「ナッシングムーンって言うなーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
――ズドォォォォォォォォォォォォォン!!
Da審査員「はごぉっ!!」
※これはオーディションです。信じられないかもしれませんがオーディションです。
あと効果音はイメージです。実際のものとはことなることがございます。
シン 「よし! やったな二人とも!」←何か叫んでいたことはとりあえず気にしないことにした。
Da審査員「ぐふっ……ま、まだだ。まだ俺の審査は終わってないぜ!」
千早 「そんな、まだ退場しないなんて!」
伊織 「しつっこいわね! とっとと帰りなさいよ!」
※これはオーディションです。オーディションですってば。
Da審査員「あ、危ないトコだった。あともう少しで倒れるところだっ……ハッ!?」
雪歩 「――あと、もう少しなんですね?」
Da審査員「あ、あ…………」
すでにDa審査員の興味量はごくわずか。そう、ただ一回のアピールすらも耐えられないほどに……
シン (――行け、雪歩!)
雪歩 「穴掘って……埋まってろですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
――ギガ! ドリルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ! ブレイクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
Da審査員「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
※特別出演:銀が一の穴掘りの人
……オーディションですよ?
Da審査員「――あ、あきちまった……それじゃ、みんな、はっぴょうかいじょうで、な……」(バタンッ!)
――ダンス審査員・本名:軽口哲也、再起不能(リタイヤ)
シン 「やった! これであとはボーカルとビジュアルを取るだけだ! みんな、ラストスパート……
あれ?」
伊織 「ちょっと千早! ボーカルアピールしすぎじゃない?」
千早 「え? ビジュアルアピールが強すぎたから、これでバランスが取れるはずだけど……」
伊織 「それじゃ今度はボーカルが多すぎるわよ! 今度は私のアピールなんだからね、にひひっ!」
千早 「……水瀬さん、ひょっとして自分が目立とうとしてる?」
伊織 「そ、そんなことないわよ? まぁ確かにこのユニットはこの高貴で美貌溢れる水瀬伊織様で
持ってるようなものだから、そう考えてしまうのも無理もないことだけど……」
千早 「次、ボーカルアピール行きます」
伊織 「なっ!? ちょっと、次は私って言ったでしょ!?」
千早 「そんな勝手なことを許すわけにはいかないわ。それに、私のボーカルをないがしろにする人の
指図は受けたくないです」
伊織 「なんですってぇ!?」
雪歩 「あの~、私は……」
二人 『雪歩は黙ってて!』
雪歩 「うう~ひどい~」(ザクザク……)
シン 「ちょっ、おまえらアピールしろって! 千早も伊織も落ち着け! それと雪歩はステージに
穴を掘るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
――オーディション結果 → ザ・廃ロウズ:3位
~翌日~
シン 「……よかった、総合上位3位以内が合格で本当によかった」
小鳥 「かなり大変だったみたいね、大丈夫?」
シン 「もう二度とあの三人が組んでるときには代理プロデュースしたくないです……」
小鳥 「あ、あはは……あら? そういえば今日は非番じゃないわよね? どうしたの?」
シン 「えぇ、今日も代理です。そろそろ連絡が来るはずですけど……あ、マズッ! マナーモードにした
ままだった!」
小鳥 「ひょっとして電話来てたの?」
シン 「3件留守電が着てますね、しまったな……とりあえず聞いてみます」
――ピッ!
あずさ 『おはようございます~。今日の集合は事務所でよかったですよね? それでなんだけど……
ここ、どこかしら? え~と、あそこの標識に名前が……道頓堀?』
――ピッ!
亜美 『シン兄(c)シン兄(c)! あのね! 亜美たちさっきミ○キー見つけたんだよ!』
真美 『でも夢中で追いかけてたから、今どこにいるのかわかんなくなって……だからシン兄(c)、
出迎えよろ~。あ! 亜美、あっちのお城っぽいとこにミッ○ーいたよ!』
――ピッ!
美希 『もしもしマネージャーさん? ゴメンね、ちょっとミキ電車の中で寝ちゃってたみたい。
ちょっとどこかわからないから迎えに来てほしいな。なんかおもしろい形の建物が見えるよ。
「ようこそみなとみらいへ」って書いてあるとこ。よろしくね』
シン 「…………………………」
小鳥 「あ、あの……シン君?」
シン 「…………いってきます」
小鳥 「い、いってらっしゃい……」
――その日、シンは少しだけコズミック・イラが恋しくなった。