<ある日の風景~ひと夢の間に~>
伊織 「ふんふんふ~ん……ただいま小鳥!」
小鳥 「あら、おつかれさま伊織ちゃん」
伊織 「今日のライブすっごく盛り上がったわよ~。これで私のファン10万人くらいは増えたんじゃないかしら」
小鳥 「ふふ、調子良かったみたいね」
伊織 「当然じゃない。ところでアイツは? 姿が見えないけど」
小鳥 「アイツ……? あぁ、シン君ならそこよ」
シン 「――くー」
伊織 「うわ、思いっきりデスクで寝てるわね」
小鳥 「ソファーで寝かせてあげたいところなんだけどね……真ちゃんがいればいろいろ妄想もできて、
じゃなくて運んであげられるんだけどなぁ」
伊織 「今なんか気になる言葉が聞こえてきた気がするけど……でも、確かにこのままだとマズイわね」
小鳥 「心配?」
伊織 「ち、違うわよ! コイツが起きないと私がお茶飲めないし! ジュースも飲めないし!」
小鳥 「はいはい、でもそれじゃ無理せずにシン君起こしてあげないといけないわね」
伊織 「普通に叩き起こせばいいんじゃない?」
小鳥 「結構疲れてるみたいだし、あまり乱暴に起こすのはちょっと……ね?」
伊織 「それじゃどうやって起こすわけ?」
小鳥 「決まってるじゃない、キスよ!」
伊織 「きききききききキスぅ!?」
小鳥 「そう! 疲れ果てた身体にそっと触れる感触、まどろみから覚めるとそこには愛しいあの人の顔!
これぞ、逆白雪姫!」
伊織 「意味がわからないわよ! だ、大体なんで私がアイツとなんか……」
小鳥 「別に伊織ちゃんがするなんて言ってないわよ?」
伊織 「う……」
小鳥 「私が行っちゃってもいいのかな~」
伊織 「うぅ……」
小鳥 (うふふ、真っ赤になった伊織ちゃんもカワイイわね~)
伊織 「……それは、その、私は小鳥みたいに経験があるわけじゃないけど」
――グサッ!
伊織 「でも……あぁもう! っていうかなんでこんなこと言わなきゃいけないのよ! って、小鳥?」
小鳥 「ふ、ふふふふふ……ごめんね伊織ちゃん」
伊織 「な、なんで謝ってるの!?」
小鳥 「……なんでもないわ。ちょっと顔を洗ってくるわね」
伊織 「え、えぇ」
――ギィィィィィィィィィ、バタン。
伊織 「……あんなに気だるそうにドア開けるなんて、小鳥も疲れてるのね」
シン 「――くかー」
伊織 「……ううぅ」
伊織 (そ、傍まで来たのはいいけど……どうしよう)
伊織 「し、仕方ないわよね。そうしないと起きないんなら」 ※伊織は既に少し錯乱している。
シン 「う、ん……」
伊織 「じゃ、じゃあ…………ん」
――ガチャリ
千早 「ただいま戻りました」
伊織 「ひゃあああああああああああああああああああああ!?」
千早 「み、水瀬さん!? どうかしたの?」
伊織 「なななななななんでもないわ! なんでもあるわけないじゃない! なんでもないって言ってるでしょ!?」
千早 「え? えぇっ!?」
伊織 「~~~~~~~~~! 自主トレ行ってくるわね!」
――ガチャッ! バタンッ!
千早 「……なんだったのかしら」
小鳥 「あら、千早ちゃん……おかえりなさい」
千早 「音無さん、どうしたんですか? ものすごく疲れているようですけど」
小鳥 「それがねぇ……」
・
・
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千早 「き、キスですか!?」
小鳥 「そう、疲れ果てた身体にそっと触れる感触、まどろみから覚めるとそこには愛しいあの人の顔、
これぞ逆白雪姫、まる」
千早 「どうしてそんなに無気力に」
小鳥 「別になんでも……ううっ、そんなわけないのよ? 年齢=彼氏いない歴なわけないじゃない。
なんなら私の純潔を賭けても……」
千早 「あ、音無さん……行ってしまったわね。身体を引きずるみたいに、ってああいう感じなのかしら」
シン 「――すかー」
千早 「…………」
――ちゅっ。
シン 「……ん? あぁ、寝てたのか。さすがに徹夜続きなら仕方ないか……
って部屋暗っ! 外も暗っ! もうこんな時間!? なんで誰も起こしてくれなかったんだ!?」
その日、シンが家に帰ったのは日付が変わってからだった。
余談だが翌日、「なんで昨日誰も起こしてくれなかったんですか?」と聞くと皆揃って顔を背けたという。