<初夢>
春香 「おつかれさまでしたーーー! そして、あけましておめで……って、あれ? シン君」
シン 「――くー」
やよい「ううー、ぐっすり眠っちゃってるみたいです」
千早 「昨日の夜から今日の年越しライブの準備をしてたみたいだし、仕方ないわ」
春香 「うーん、そういえば私シン君が寝てるとこってはじめて見たかも」
やよい「あ、私もです!」
千早 「私は……一度だけ」
春香 「ふぅん?(ニマニマ)」
千早 「なっ、何もしてないわよ!?」
やよい「えっ? 何かあったんですか?」
千早 「~~~~~~~~~!!」
春香 「まぁそれは後で小鳥さんあたりにkwsk聞くとして」
千早 「お願いだからそれだけはやめて……」
春香 「とりあえず電話電話っと……あ、もしもしー? プロデューサーさんですかー? 未来のお嫁さんですー」
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シン 「くー」
? 「……シン」
シン 「う、ん……」
? 「起きなさい、シン・アスカ」
シン 「う……?」
? 「…………」
シン 「……くー」
? 「え? ちょ……起きるのです、シン」
シン 「くー」
? 「起きなさい!」
シン 「ぐー」
? 「……。あ、こんなところに500円が」
シン 「ッ!? ニッケル黄銅でできた神様が!?」
? 「……はぁ」
シン 「え? どこだここ? なんで真っ暗? 俺たしか千早たちのライブに……」
? 「ここは現世と隔離世の狭間、分かりやすく言うならば夢の世界です」
シン 「……で、アンタは? 姿が見えないんだけど」
? 「そうですね……神、とでも名乗っておきましょうか」
シン 「ふーん」
神? 「……え? それだけ? もっとこう、ナ、ナンダッテー?(ryみたいなリアクションとかは」
シン 「いやだって自分のことを神とか言う奴に限ってろくな奴はいないし。そもそも神とか信じてないし」
神? 「えぇい、これだから宗教のない世界の人間は……!」
シン 「なんでもいいけどさ、ここが夢なら目を覚めさせてくれないか? 今ライブ中だし」
神? 「人の話は最後まで聞きなさい!」
シン 「いや、何も話してないだろ」
神? 「……はぁ、なんかどっとやる気が削がれて帰りたくなってきました」
シン 「それで俺の目が覚めるんならいいけど」
神? 「その前に本題だけは済ませなければいけません」
シン 「なんでもいいから早くしてくれ」
神? 「では単刀直入に聞きましょう、元の世界に戻りたくはないですか?」
シン 「……なんだって?」
神? 「貴方がいた世界――コズミック・イラに戻りたくはないか、と聞いたのです」
シン 「――ははっ、冗談……」
神? 「本気ですよ私は。神に誓ってもいいです」
シン 「……アンタが神なんじゃないのか?」
神? 「言葉のあやです」
シン 「……。まぁなんでもいいけどさ。俺はまだ戻るつもりはない」
神? 「まだ答えは見つかっていないから、ですか?」
シン 「あぁ、そうだ」
神? 「ではもうひとつ聞きましょう。貴方がこの世界に留まれば、よくないことが起こるかもしれないと
聞いても答えは変わりませんか?」
シン 「……どういう意味だ?」
神? 「貴方は異物なんです、この世界にとっては。元より存在しない時代の、存在しない人間です。そんな
人間がここに留まればどうなるか……」
シン 「世界が滅びる、とか言うんじゃないだろうな?」
神? 「それは分かりません。どんな影響が出るかも定かではないのです。貴方の言うように世界が滅びること
も否定できませんし、貴方自身が消えてしまうかもしれません」
シン 「…………」
神? 「それでも貴方は、」
シン 「残る」
神? 「……勝手ですね」
シン 「言ったろ、俺は神なんて信じてない。だからアンタの言葉も信用できない」
神? 「…………」
シン 「それに、もし本当にそんな危険があるならこんなまどろっこしい真似はしないだろ。俺の意思なんて
無視して連れていけばいいだけだ。俺が断っても勝手の一言しかないんじゃ信じるも信じないもないさ」
神? 「……何が起こるか分からない、というのは本当です」
シン 「ガキじゃないんだ、始末は自分で着けるさ」
神? 「そういう物言いが子供なんじゃないですか」
シン 「よし、一発ブン殴るから顔見せろ」
神? 「全力でお断りです……はぁ、分かりました。今回も退くとします」
シン 「……いいのか?」
神? 「これ以上は言っても無駄でしょう。せいぜい終わらない赤貧生活に苦しんでください」
シン 「そ、そこは神の力でなんとか」
神? 「都合のいい時だけ信じないでください」
シン 「くっ……」
神? 「それでは、私はこれで失礼します。もう年も明けたようですし」
シン 「何っ!? じゃあライブは……」
神? 「すでに終わってますが何か?」
シン 「……なんてこった」
神? 「みなさんに謝るのを勧めますよ。それでは私はこれで」
シン 「あぁ……わざわざ悪かったな、デスティニー」
デス子「いえ別に……え? あ、いや、違……!」
――慌てる世界が遠ざかるのを感じながら、シンの意識はゆっくりと浮上していった。
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・
・
シン 「う……? ここは……」
亜美 「コンビネ→ション!」
真美 「クラ――→ッシュ!」
――ズガガンッ!!
シン 「ぎゃおすっ!?」
亜美 「あ、起きた→」
真美 「おっはよ→シン兄(c)」
シン 「……あ、がが」
亜美 「に→ちゃ→ん! シン兄(c)起きたよ→」
真美 「それじゃあシン兄(c)、真美たちみんなのとこに行ってくんね→!」
――タタタタ……
シン (あ、あいつら……せめて加減ってものを……)
P 「おいおい、そんなに走るなって……聞いちゃいないか。大丈夫かい、シン君?」
シン 「あ……あはやうがざいまさ、ぷろひゅーさー。げほっ」
P 「う、うん……? まぁとにかくおはよう」
シン 「えほっ……はぁ、ところでなんで俺事務所にいるんです? もう朝みたいなんですけど」
P 「春香から連絡があってね、昨夜のライブの後に俺が運んだんだよ」
シン 「そうだったんですか……すいません、迷惑かけてしまって」
P 「気にすることはないさ、昨日は一年で一番忙しかったしね。さぁ、俺たちも行こう」
シン 「はい……あの、プロデューサー?」
P 「ん?」
シン 「……いえ、やっぱりなんでもないです」
P 「そうか……ところでシン君、春香たちがなんでアイドルになろうって決めたか、聞いたことはあるかい?」
シン 「え? えぇ、まぁ」
P 「不思議だよなぁ。似ているところもあるけど、みんな違う理由でここに来たんだからさ」
シン 「…………」
P 「まぁ、俺は道端でいきなり社長に声をかけられただけなんだけどね。みんなに比べると全然大したこと
ないな、ははっ」
シン 「プロデューサー……」
P 「理由なんて、人それぞれだよ。俺も、君も、みんなも。それでいいじゃないか」
シン 「……そう、ですね」
P 「うん、それじゃあ行こうか。みんなのところに、さ」
シン 「……あー、そういえば俺みんなに謝んないといけないですね」
P 「なんで?」
シン 「いやだってライブの途中で居眠りして……」
P 「あぁ、そういえば千早もいろいろ言ってたなぁ」
シン 「う……」
P 「ま、それはそれとしてだ。みんなからまず言われることにちゃんと答えるべきだろうね」
シン 「? なんですか?」
P 「それじゃあ行ってみよう! 3、2、1、はい!(ガチャリ!)」
――あけましておめでとう!
シン 「――――あ」
P 「ほら、シン君」
シン 「……はい!」
シン 「あけまして、おめでとう。今年もよろしく!」