#navi(なのはクロスの作品集)
どこかわからない場所で、俺は誰かに話しかけられていた気がする。
そいつは俺の知ってるやつで、そいつも俺のことを知っていた。
色んなことを話された。世界のこと、管理局のこと、機動六課のこと。
でも、そこはやっぱり夢で、目を覚ますと何も思い出せなくて。
ひとつだけ、頭に残っていたのは・・・。
あの人を救ってくれ、そんな悲しい願いだった。
シン編第八話 『 エピローグ 』
シン「はぁ、今日も忙しかったな。体がガタガタだよ」
機動六課に配属になってもうすぐ一年。
最近はスカリエッティも事件を起こさなくなり(むしろナンバーズをつれて遊びに来るし)
六課の面々は本気で来るのか来ないのか分からなくなった『カリムの予言』を信じて
日々、訓練に明け暮れている。(最近休日が多くなった気がするけど)
シン「後は、報告書をはやて部隊長に届けるだけか」
俺も最近はティアやスバルたちと共になのは隊長たちに訓練を受けている。
理由は俺の斜め後ろをふわふわとついて来る・・・。
デス子「今日も激しかったですねマスター。私壊れちゃうかと思いましたよ♡」
シン「誤解を招くことを大声で言うな!」
このはた迷惑なミニ美少女?にあった。
なんでも俺の相棒だったデスティニーがロストロギアを取り込んだ結果こうなったらしいが俺は断じて認めたくない、いや絶対に認めない!
・・・話がそれたな。
問題は調査の結果、このデス子(愛称)は特殊なユニゾンデバイスらしく、融合すると
魔力がまったく無い俺にもほどほどに魔法が使えるらしいと判明したことだ。
原理はわからないけど、俺にも魔法が使えるのなら、(実戦に出られるかどうかはさておき)
せめて、護身くらいはできるようになりたい。
隊長たちには、そう無理を言って訓練への参加を許可してもらっている。
シン「同じユニゾンデバイスなのに、リインフォースとは全然違うんだよな」
デス子「当然です。私はユニゾンデバイスの中でも特別製の・・・」
シン「・・・デス子」
デス子「ええ、思い出しました。といっても未来の出来事を思い出したというのも変な話ですけど」
そうだ、俺はこの後過去の世界に飛ばされて、リインフォースを助けるために
闇の書の防衛プログラム(闇の書の闇)と戦ったんだ。
それで、最後に止めを刺して俺はそのまま―――
シン「死んだ、よな」
デス子「あのまま落ちたならそうなりますよね。でも、それなら私達はどうして消えてないんでしょう?」
俺と感覚を共有していたデス子にもわからないとなると、わかりようがないか。
いや、でも微かだけど・・・。
シン「・・・あの後、誰かに助けてもらった気がするんだ。死んだには死んだけど魂は救われたというか・・・う~ん」
デス子「助け? 不可能ですよ。闇の書の中ですよ?」
そう、理屈で考えれば不可能だ。
でも、それをいうならこの状況だって明らかに無理があるじゃないか。
闇の書の闇は倒したけど、俺だってこちら側には帰れなかったんだから・・・。
シン「・・・さっぱりわからない」
デス子「う~ん、もしかすると、闇の書を倒して時点で歴史の転換点が確定していたのでしょうか。
だから、マスターが死んでも影響はなかった」
シン「でも、俺たちはこうして生きてるぞ」
デス子「そりゃそうですよ。だって、この時間軸ではマスターは死んでないんですから」
シン「 ??? 」
デス子「少し情報を整理しましょうか。ポテチでも食べながら」
シン「どこから出したんだよ、それ」
前の歴史では、この後リインフォース(闇の書)の残留思念に触れたことで眠っていた次元跳躍能力が暴走し、
シン・アスカは過去に飛ばされてしまった。
そこでなのは達と遭遇したことで、未来でシンと出会う前に彼女たちはシンを知っていたというタイムパラドックスが発生する。
しかもこのまま時が進めば、同じ時間軸にCEから来たばかりのシンと十年前に飛ばされたシンの二人が同時に存在することになる。
もちろん、タイムパラドックスによる時間の歪みは際限なく増殖して時間連続性の崩壊を招くため、世界は歴史を修正しようとした。
スカリエッティの予測では、一番手っ取り早い修正方法は歪みの原因となったシンをあのままCEで死んだことにすることだった。
シンがいなければ、時間の歪みは二度と起こらない。
ただし、シンはミッドチルダに来ることもなく、機動六課にも存在しなかったことになるため、
このIFの歴史もなかったことになり、なのは達の世界からシンに関するあらゆるものも共に消えてしまう。
それを止めるには、更にてっとり早い方向に歴史を修正させるしかない。
そこで思いついたのが、リインフォース(闇の書)を残留思念にしないこと。つまり、リインフォースの生存である。
リインフォースさえ生きていれば、シンが感応し過去に飛ばされることはない。
修正は、シンが十年前の海鳴市に行き、なのはたちと知り合ったという部分だけで済むはずだ。
デス子「それが、スカリエッティと機動六課の立てた計画でした。うまくいくかどうかは完全に賭けでしたけどね」
シン「俺だって好きで過去に跳ばされた訳じゃない。なのはさん達に出くわしたのだって本当に偶然だったんだ。」
デス子「そこですよ。そもそも、マスターがなのはさんたちと出会っちゃうからいけなかったんです。
おまけに、幼いはやて部隊長にパルマまで決めて」
シン「どこでそれを聞いた!?」
デス子「・・・さぁさぁ、話を元に戻しましょうか」
シン「待て、割とマジで待ってくれ。あれは事故だったんだ。わざとじゃないし、俺はそんなこと望んでたわけじゃ・・・」
デス子「はいはい」
シン「まともに聞けよ! 最近、マスターがただの愛称になってきてないか!?」
だが、闇の書の修正プログラムを完成させる前に防衛プログラム(闇の書の闇)が再生を開始。
再び暴走する前に、リインフォースごと闇の書を葬らなくてはならなくなった。
何とかそれを阻止するため、シンは闇の書の中にわざと収集されて再生途中の防衛プログラムを直製破壊しようとした。
ここで防衛プログラムの破壊に成功すれば、消滅した防衛プログラムをわざわざ再生したことにするよりも、
防衛プログラムは修正プログラムの完成前に“再生しなかった”と歴史が修正する可能性が高くなるからだ。
ただし、逆にシンが死亡するか、そのまま防衛プログラムを倒せなければ
歴史はそのままシンを消滅させる方向に修正するかもしれない。
デス子「あくまでも全て可能性でした。なにせ、前例も検証する時間もないわけですから、
予測と想像で動くしかなかったんです」
シン「そこまではわかってるんだよ。そのために頑張ってきたわけだし」
デス子「そうですね。でも、問題はここからです」
決着はほぼ相打ちに近い形で終結した。
闇の書の防衛プログラムは消滅したものの、シンを撃破することに成功した。
シンは、勝ちはしたものの未来への帰還が叶わなかった。
この時点で、どちらに修正されるかは五分だったはずだ。
鼻の差での勝利だったのか、それともシンに関する歴史を修正するのがよほど難しかったのか。
判断は難しいが、とにかく歴史はシンを勝者に選んだ。
そして、一番影響の少ない時間(歪みの発端となった少し前)に新たなスタートラインを引いたのだろう。
デス子「私たちが生きているということはそういうことなんでしょうね。わかりましたかマスター」
シン「・・・・・・」
デス子「マス、ひゃー? なにひゅるんでひゅか?」
シン「・・・いや、安心しようと思って」
ポテチを食い漁りながら難しい話をするデス子の頬をひっぱってみる。
うん、いつものデス子だ。
シン「・・・って、こんなことしてる場合じゃない!!」
俺が生きていて、闇の書の闇が倒されたなら・・・。
シン「あいつが、生きてるはずじゃないか!」
デス子「でも、十年前の私たちに関する記憶は持ってないかも・・・あ、マスター待って!」
デス子を置いて、俺は走り始めた。
記憶の有る無しなんてどうでもよかった。ただ、一目生きている姿を見たかった。
あいつの傍でなら、きっとはやてもみんなみたいに笑っていられる。
リインと一緒になって幸せそうに笑っていられるはずだ。
・機動六課 隊長室前
はたて隊長の部屋に着くと、俺は勢いよく中に入っていった。
シン「すいませんはやて部隊長。入りますよ!」
そこにいたのは、驚いた顔をしているはやて部隊長とリインフォースⅡだけだった。
リインフォースは・・・ここにはいない。
はやて「ああ、びっくりした。どないしたんやシン。
ノックもなしで女の子の部屋に入るなんて、嫌われても知らんで」
シン 「自動ドアでノックも何も・・・って、この会話はもういいんだよ。はやて部隊長、リインは!」
はやて「そこにおるやないか」
リインⅡ「はいです」
シン「そうじゃなくて、もう一人のリインのほうです!」
はやて「・・・シン、本当に大丈夫なん? リインはこの世に一人だけやで?」
シン「そん、な・・・」
駄目だったのか、やっぱりリインフォースの運命は俺じゃどうしようもなかったのか。
そう諦め始めた時、リインがふと気付いたように言った。
リインⅡ「もしかして、リインフォースのことですか?」
シン「え?」
はやて「なんや、そういうことなんか。道理で話が通じんわけやな~」
シン「いるんですか。生きてるんですか!」
リインⅡ「失礼な。私のお姉さまが資料を取りに行っただけで死ぬわけないです!」
はやて「シンに紹介したときに、紛らわしいからリインフォースはリインフォース、リインフォースⅡは
リインって呼んでるって言うとったやないか。もう忘れてしまったん?」
シン「はああああぁぁ・・・」
いっきに体から力が抜ける。よかった、生きてた。生きててくれた。
情けないことに、そのまま俺はへなへなと床に座り込んでしまった。
けど、不思議と気分はすっきりしていた。
やり遂げた充実感と守れたという満足感が心を満たしている。
こんな気持ち、戦争をしていた頃には一度だって味わえなかった。
これが、人を救うってことか。
はやて「シン、疲れとるんやないか。部屋に戻って休んだ方が・・・」
シン「いえ、大丈夫です。一人で立てますから」
本当は、このままここで眠ってしまいたいくらい疲れている。
訓練のせいだけじゃない。あの戦いのことも影響しているのかもしれない。
体はボロボロだったし、ほとんど感覚はなかったけど一度死んでしまったしな。
だからなのか、俺は後ろのドアが開いたことも、彼女が後ろに立ったことさえ気付かなかった。
リインフォース「ゆっくり休むといい。あれだけ頑張ったのだからな」
俺と同じくらい赤い瞳と、見るものを引き付ける長い銀色の髪。
あれから十年たったのに、何も変わらないまま彼女はそこにいた。
シン「久しぶり・・・っていっていいのか?」
リインⅠ「私にとってはそうなるが、きっとお前には違うのだろう」
シン「でも、ずいぶん時間がかかったけどこうしてまた会えたよ」
リインⅠ「そうだな。だから、この十年間お前に言えなかったことを言おうと思う」
リインⅠ「ただいま、シン」
シン 「・・・ああ、おかえり。『祝福の風 リインフォース』」
・時空管理局外部研究施設 スカリエッティ研究所
同時刻、シャマルはスカリエッティに呼ばれて彼の研究所に来ていた。
管理局との司法取引で次元犯罪者でなくなった彼は、今やガジェットを含む質量兵器の
平和利用の第一人者として自分の研究所まで持っている。
出迎えてくれたウーノに研究室に通されたシャマルは、コーヒーに塩を入れていたスカリエッティに
挨拶もそこそこに本題をぶつけた。
何故自分達だけが、シンがいなくなったあとにミッドチルダで起こった騒乱の記憶を
思い出したのかという疑問を。
シャマル「リインフォースはヴォルケンリッター兼ユニゾンデバイスとして新たに生誕した。
歴史はそういう風に辻褄を合わせたわ」
スカリ「実に興味深い事例だね。実証データが取れないのが残念で仕方がない」
シャマル「わからないのは、私とあなたの記憶のことよ。
歴史の改変に巻き込まれていながら、どうして私たちの記憶だけが戻ったのかしら」
機動六課の医務室で目が覚めた時、シャマルはあの悪夢は全て自分ひとりの妄想だったのだと
悲しく思いつつもほっとしたものだ。
それだけに、スカリエッティからそのことで話があるといわれたときには本当に驚いた。
急いで確認してみたが、やはり機動六課で覚えているのはシャマルとリインフォースだけだった。
(リインフォース自身も、シャマルが自分が消滅した世界を覚えていることに驚いていた)
もちろん、彼女の生存は喜ぶべきことだ。
だが、だからといって納得がいったわけではない。
シャマル「話があるって事は、だいたいの見当は付いているんでしょう?」
スカリ「見当・・・? 悩むほどの事じゃないだろう。記憶が残っているのは、
事件が終わっていないからに決まってるじゃないか」
シャマル「・・・冗談、よね?」
笑えない、という風にシャマルは眉をひそめる。
一方、スカリエッティは相変わらず胡散臭い微笑を浮かべたままだ。
スカリ「リインフォースが、プログラムが見つかるまで消滅を選ばなかった。これはありえる話だね。
防衛プログラムが何らかの原因で一ヶ月もの間再生しなかった。これもないことはないといえるだろう。
だが、一箇所だけどうしても解消しきれない矛盾がある。わかるかね?」
シャマル「・・・・・・修正プログラムの存在」
それは気付いてみれば単純な、そして致命的な矛盾だった。
スカリ「ご名答。あれは僕達が未来で作り過去へ送ったオーバーテクノロジーの産物だ。
歴史に組み込むにはあまりに異質すぎる」
シャマル「ということは・・・」
スカリ「修正プログラムをもう一度作成し、過去へ送らない限り歴史の矛盾は解消されることはないんだよ。
そして、そのために私たちの記憶だけが残された」
シャマル「どういうこと? 例え記憶があったとしても、私たちだけじゃ、
闇の書の修正プログラムなんて作りようがないわよ」
スカリ「プログラム作成に関しては心配は無用だよ。君が思っているよりもはるかに簡単に作り出せるからね」
シャマル「そんなにあっさり? 改ざんされる前の歴史からデータを持ち出せたっていうの?」
スカリ「いや、消滅した世界から物を持ち出すのはさすがの私でもできやしないさ。
だが、その代わりに作成手順をすべて記憶している。
二百三十一万とんで三百五十一通りを丸々、ここにね」
そう言って自分のこめかみを指でとんとんと叩いてみせるスカリエッティに、改めて驚かされるシャマル。
この男の才能に底はないのだろうか。
無駄なことに費やされていることがつくづく惜しい。
アニメに出てきた変身ベルトなんて作ってないで、義手の一つでも作ればいいのに・・・。
スカリ「後は、時間跳躍システムを使って過去にプログラムを送るわけだが、
これは管理局内部の情報がなければ面倒な問題でね。
転送の瞬間を見られてはまずいんだよ。
だからこそ、誰にも見られないタイミングを調べてもらう協力者がいる。」
シャマル「まさか、それが私の記憶が消えなかった理由・・・」
スカリ「ご名答。世界の修正とやらもなかなか舐めたことをしてくれる。
自分達のわがままは自分達で通せということらしい」
シャマル「・・・すぐに準備してくるわ。十年前以前で、無限書庫に絶対に人がいない瞬間を
調べればいいのね」
ウーノ「送りましょう」
スカリ「そうしてくれ」
シャマルが下準備をしようと席を立ち、ウーノが機動六課まで彼女を見送っていった。
一人になったスカリエッティは自らに残った記憶を記録としてつづり始める。
スカリ「さて、私もこちらの方を仕上げておくとするかな」
スカリエッティ・レポート
シン・アスカの持つ次元跳躍能力が発端となった一連の事件はこれで幕を閉じた。
関係者の記憶は歴史に改ざんされ、崩れかけた世界は彼の頑張りによって安定を取り戻した。
今のところは不自然な点は見られない。
しかし、直に歴史は闇の書の修正プログラムが存在しない矛盾にさし当たるだろう。
その時までに、装置とプログラムを再び完成させて矛盾を解消すること。
恐らく、それが私の記憶が残っていた理由だ。
シャマル女史もその手助けをするために残されたと推測できる。
だが、私にはまだ彼女には言っていないことがある。
シン・アスカが十年前に何を為したか、どんな戦いを潜り抜けたかの記憶が
私の頭に断片的ながらも入り込んでいることだ。
もしかしたら、二度とこの事例が起こらないよう外部から彼を監視する。
そんな厄介な役割まで押し付けられたのかもしれない。
シン・アスカの所持する人型起動兵器『デスティニー』と、
それをユニゾンデバイスに変化させた『セイオウノツルギ』の関連性。
それらが『次元跳躍能力』と繋がって出来た新たな力。
疑問はまだ尽きないが、戦いは終結している。
今はこの不安定な平和を謳歌するとしよう
願わくば、この平穏が永遠に続かんことを。
スカリ「ふむ、私には似合わないセリフだったかな」
さて、歴史が防衛プログラムよりシン君を選んだのは単なる偶然か、それとも、
既にシン君が歴史にとって欠かせない存在となるまでに食い込んでしまっているのか。
いずれにせよ、その答えが出るにはそう時間はかからないだろう。
彼らは、すでに動き出しているのだから。
・???
議長「セイオウノツルギが完全に目覚めつつあるようだな」
書記「順調で何よりだ」
評議員「もう一つのほうも、聖王教会への仕込みが終わったところだ。信仰に厚いカリムのことだ。
すぐに機動六課へ譲ってくれる」
書記「手の上で踊っていることに気付かないとは、哀れな道化だな」
評議員「とはいえ、我々に必要なものはまだまだ多い。全てが揃うまで油断は出来んぞ」
議長「その通りだ。失敗は許されん。この計画は千年という膨大な年月をかけた管理局最大の悲願なのだ」
議長「では、青き清浄なる世界のために」
書記・評議員「「青き清浄なる世界のために!」」
・機動六課 はやての隊長室
はやて「な、なんや。この恋人っぽい会話と雰囲気は。よりにもよって、リインフォースとのフラグやて・・・」
リインⅡ「シン×リインⅠ、そういうのもあるのか・・・」
シン 「あ、はやてもただいま」
はやて「よ、呼び捨て! やっと私の気持ちに応えてくれる気になったんやな!」
シン 「大げさすぎるだろ! いや、そうじゃなくて・・・どう説明すればいいんだよ」
はやて「よし、まずは式場の予約や。邪魔が入らんよう四十秒で支度するで!」
シン 「いきなり結婚式!? 色々とすっとばし過ぎだ!」
リインⅠ「ふふ、応援するよシン」
はやて「行くでシン! このはやて・アスカとさっそくウエディングドレス選びや!」
シン「助けないのかよ、あんたって人・・・わああああぁぁぁ」
新しい面子を迎え入れて、更に賑やかになった機動六課。
けど、これもきっと日常になる。
皆が笑って過ごせる、そんな毎日になっていく。
確かに世界は悲しみに満ちていて、いつ崩壊するかわからない危ういバランスの上に立っているのかもしれない。
今もどこかで戦争が起こっていて、そこには泣いてる人や人の命をもてあそぶヤツがいて。
殺して殺されて、奪って奪われて、悲しみや憎しみだけが広がって・・・。
そんな力で作った未来の先に『戦争のない世界』なんてないのかもしれない。
それでも、俺は戦う。
俺たちの目指した“閉じた運命の環”とあいつらの目指した“これから”のどちらが正しかったのかを確かめるために。
本当に平和に必要なものを見つけるために。
俺の大切な人たちがいつまでも笑顔でいられるように。
俺は生きていく。
戦争の可能性に満ちた世界で“みんな”を守り抜くために。
・十年前 はやての家
後に『闇の書事件』と呼ばれることになる戦いが終息してから一ヶ月。
見つかった修正プログラムが完成するまでの間、『防衛プログラム』が息を吹き返すことはなく、
私は八神家の一員としておだやかな生活を手にしていた。
はやて「リインフォース、夕飯は何がええかなぁ」
リインⅠ「そうですね。昨日はシチューでしたから、今日はご飯物などいかがでしょうか」
はやて「あは、採用や♪」
けれども、目をつぶると思い出すのは私と同じあの赤い瞳。
誰も覚えていない、本当にいたことすら定かではない男のこと。
夢のようにおぼろげな日々だったが、私の中には確かに彼への思いが残っている。
そう、我が主にして差し上げているように、膝に抱いたあの男を優しく撫でたこともあった。
はやて「ああ!!!」
リインⅠ「どうかしたのですか、我が主?」
はやて「大変なこと忘れとった!!! まだ、私リインフォースにクリスマスプレゼントあげてへん!!」
リインⅠ「私に・・・ですか?」
はやて「うん、なのはちゃんやすずかちゃん達にはお返ししたし、シグナム達にもあげとったのに・・・。
はぁ、今頃になって思い出すやなんて」
リインⅠ「・・・気に病む必要はありません。プレゼントなら『真っ赤な目をしたサンタクロース』に貰っています。
何物にも変えがたい、私が一番欲しかったものを」
はやて「リインフォース、サンタさんが真っ赤なのは服のはずやで??」
リインⅠ「いつか、我が主にもわかるときがくるでしょう」
はやて「???」
リインⅠ「そう、いつかきっと・・・」
また、会える日がくる。
『必ず帰ってくる』
私は、あの男と確かにそう約束したのだから。
第一部 『魔法少女、救いました』
完
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