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ヤンデレ祭り-03

1

「マスター。ご飯、食べないんですか?」

少女が少年に問う。答えは知っているというのに。
鎖で雁字搦めにされた彼が自分で食事を取ることはできないということに。
これは儀式。毎回の食前の。

「仕方がないですね……私が食べさせてあげます」

料理を口に含み、咀嚼する少女。
少年は何も出来ずそれを見ている。

「ん……くちゅ…くちゃ……ぷは……美味しいですか? 私と姉さんが腕によりをかけて作った物ですから美味しいですよね♪」

少年――シンは答えない。否、声帯を切られている人間は答えられない。
少女――デスティニーはそれを知った上で聞いている。
口元に歪んだ笑みを浮かべながら。

「まだ怒ってるんですか? 私と姉さんがフェイトさん達を片付けたこと。あれは仕方が無いですよ? 無抵抗に殺される人は居ません」

そう、事の発端はフェイトの暴走にあった。
フェイトがデスティニーとインパルスを削除しようとし、それに気づいた彼女達は二人掛かりで返り討ちにした。
理由を知らないフェイトの親友達は怒り狂い、彼女達に襲い掛かった。
だが、MS形態になった彼女達はそれもあっさりと返り討ちにし、シンを浚って管理局から離反した。

「それに管理局を崩壊させたのだって、マスターにこれ以上害虫が付かないようにするためなんですよ?」

それを聞いたシンの顔は蒼白になっている。彼は知らなかった。彼女達が管理局の人間を末端に至るまで殲滅したことを。
反対にデスティニーは顔を上気させ、一気に捲くし立てる。

「ああ、可愛そうなマスター。また帰る場所を失ってしまいましたね……でも、安心して下さい。
 私も姉さんも何処にも行きませんから。マスターが死ぬまで、いえマスターが死んでも一緒に居てあげます」

そして哂い出すデスティニー。シンはそれを聞き続ける。
永久に。

2

シン「なのは怖いフェイト怖いはやて怖いシア怖い楓怖いデス子怖い水瀬家怖い(ry」
さくら「あーあー、こんな怯えちゃって…。
    まあ、落ち着きなよ、シン君。とりあえず、ボクのトコに逃げといで?」
シン「…そう言って、お前も俺を監禁するつもりなんだろ? もう騙されるモンか!」
さくら「うにゃ…。こりゃ、完全に人間不信だね。
    大丈夫だよ、シン君。ボクんちには音夢ちゃんとかお兄ちゃんとかもよく来るでしょ?
    そんなことしてたら、一発でバレちゃうじゃないか」
シン「ウソだ! そんなこと言って、純一や音夢を殺すんだ!」
さくら「シン君。いくらボクでも、それは怒るよ?
    ボクがお兄ちゃんや音夢ちゃんを殺すわけ、ないじゃないか…」
シン「あ…。ゴ、ゴメン、さくら…」
さくら「…お詫びに晩ご飯、作って」
シン「あ、ああ」
さくら「その後に行くトコがないなら、ボクん家に泊まってっていいからさ」
シン「…悪い」
さくら「困った時はお互い様だよ」



さくら「……計画通り」ニヤ

レイ「世界は、歪んでいる……」
 

3

スカリエッティのアジト――実験棟機密エリア。
立ち並ぶ無数の培養槽。その奥。一際大きい槽。
そこに彼は居た。

眼を閉じ、手足を拘束され槽の中を漂うシン。
その姿はさながら、死んだ観賞魚を思わせる。

その彼の前にたたずむ少女――ウェンディ。
漂うシンを見上げながら、彼女は歪んだ笑みを浮かべていた。

「まったく、馬鹿っすよねえ。管理局の連中も、シンの相棒も」

誰に語るでもなく呟く彼女。
強いて言うならばシンに話しかけているのか。

「質量兵器二つに襲われた位で大騒ぎする管理局も、破壊に夢中で主が浚われたことにも気が付かないデバイスも、ほんっと無能っす。
 シンもそう思うっすよね?」

そう、彼女はデスティニーとインパルスが管理局を襲っている隙を衝き、気絶していたシンを浚った。
デスティニーもインパルスも気がつかない程の手際で。
彼女の問いかけにシンは答えない。
培養槽に満たされた液体を介し、脳髄を弄られているのだから当たり前だが。

「ま、お陰であっさりとシンを手に入れられたんだから、感謝するべきっすね。六課は壊滅、管理局も崩壊となれば、ドクターも私達も
 色々とやり易くなるっす。感謝感謝……」

哂うウェンディ。答える者はいない。

「……そういえばシン、そこ、居心地悪いっすよね? もう少し我慢してくれると助かるっす。もうじき記憶の書き換えも終わって、
 シンは目出度く私達の仲間入りっす♪ 私達の旦那様としてっすけど……♪」

と、彼女が身に着けている機械、それが小さな電子音を響かせる。

「……ちぇっ、もう交代っすか。じゃあ、シン。また来るっすよ~」

鼻歌を奏でながらそこから立ち去るウェンディ。
入れ替わりに入ってきた少女に会釈をしつつ、実験棟を後にする。

「ねえシン、具合はどう……?」

新しく入って来た少女がシンに話しかける。
シンは答えない――少なくとも、その記憶が書き換わるまでは。
 

4

言葉「……あっ、やっと起きました。」
楓「おはようございますシン君。
凄くうなされてたから、何か悪い夢でも見ていたと思って、
私達、凄く心配してたんですよ?」
言葉「……そう、ですか。
昔の私達みたいな人達に精神的、肉体的に追い詰められていく夢を見たから、
シン君はうなされてたんですね。」
楓「シン君……。
……良い事を思いつきました!
シン君、私達と一緒に寝ましょう。
私達が一緒に寝てシン君を嫌な夢から守ってあげます。」
言葉「……良い考えですね。
それなら、シン君も安心して眠れると思いますし……。
私、部屋から枕を持って来ますね!」
楓「……それじゃあ、私も部屋から枕を持って来ますから、
少し待って居て下さいね。」
…シン就寝後…
言葉「[小声で]こうやって、三人一緒で一つの布団に入っていると、
何だかドキドキしてきますね……。(照)」
楓「[小声で]そっ、そうですね……。(照)
……けど、何だか心が暖かく感じてます。」
言葉「……実は私もです。(笑)
こうして、ずっと、三人一緒に暮らせたら良いですね……。」
楓「……そうですね。
そうなれたらとても幸せだと思います。
……それにしても、シン君の夢に出た人達はどうして、
あんな【無駄な事】をしたのでしょう?
シン君が望まない事しても、意味、無いじゃないですか。」
言葉「……多分、その人達は、
シン君と言う【身体】さえ在れば幸せと勘違いしているんですよ。
……いくらシン君を手に入れてたとしても、
その身体の心が壊れてしまっていたら、それはシン君では無いのに……。」
楓「……けど、夢とは言え、あの人達のおかげで私達はシン君と一緒に眠れるんですから、
感謝しないといけませんね。(笑)」
言葉「そうですね。(笑)
おかげで私達は、労せずこんな幸せになれたのですから。」
楓「……また悪い夢を見ても、安心して下さいね。 シン君。」
言葉「シン君が悪い夢を見続ける限り、
ずっと私達がシン君の側で一緒に眠りますから。」
楓・言葉「「おやすみなさい、シン君。((……良い、悪夢を。))」」
 

5

言葉「私達を含むヤンデレネタが住人の皆さんから意外に好評だったそうですよ?」
楓「私達は普通の事を話しただけなんですけどね。(笑)」
言葉「シン君の身体だけなら、簡単に手に入れる事が出来ますが、
そんなのは初心者の最低なやり方です。」
楓「確かに、シン君の身体目当てならそれでもその人には充分なんでしょうけど、
私達が望むのは、シン君の全てですから、
私達はシン君の身体も心も全てを求め、欲しているんです。」
言葉「私も芙蓉さんも一度それに失敗して、
大切な人を他の人に奪われてしまいました。」
楓「そんな悲しい過去があるからこそ、
私達はシン君の全てを手に入れる為に協力する事にしたんです。」
言葉「幸い、他の皆さんはシン君の事を表面でしか見ない上に、
シン君に無理矢理自分達の気持ちを押し付け、
それが拒絶されれば、その事でシン君を傷つけているので、
私達はそれを利用して、彼女達が居なくなるのを見計らい、
傷ついたシン君を癒しています。
その結果、私達は彼女達よりもシン君の気持ちを掴めました。」
楓「自分達の気持ちをシン君に押し付ければ押し付ける程、
私達が有利になっていくのに彼女達は気づいていませんし、
気づく頃には手遅れでしょうから。」
言葉「[時計を見て]そろそろ、シン君の帰って来る時間ですから、
これでお話は終わりにしましょう。」
楓「もし、あなたがこの話をシン君に話そうとしたら、(虚笑)」
言葉「その時は、
[鋸を首に当てる]……後は、判ります、ね?(狂笑)」
………。
シン「ただいま。 二人共、まだ起きてるのか?」
言葉「シン君、お帰りなさい。」
楓「シン君に冷めたご飯なんて食べさせたくありませんから。」
シン「……あれ?何でカップが三つあるんだ?
もしかして、誰か来てたか?」
言葉「ええ、私達の友人と大事な【お話】をしていたんですよ。」
楓「それより、ご飯にしますから椅子に座って下さい。
今日は……。」
芙蓉楓と桂言葉。
二人のシン・アスカを手に入れる為の活動はまだまだ続く。
 

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最終更新:2011年01月04日 14:34
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