マーガトロイド邸
あまり人の寄り付かぬこの場に
「うわぁ~ありがとうございます」
「喜んでもらえたのなら嬉しいわ」
現在は一人の来客者、早苗が来ているのだ。
無論先日の人形の件なのだが、偶然里で会いそのままマーガトロイド邸に来たのだ。
「う~かわいい~」
「大抵の人は『あなたがかわいい』って言うんじゃないかしら?人形のモデルになった人も」
「え!?あ、あう~~」
ぷしゅ~、と頭から湯気が出てしまう姿は本当に純だと感じさせられる。
ある意味神であるべき姿の一つなのかもしれない。
「…ところで、中に入らない?色々あなたと話がしたかったから」
変わってしまった日常 東方版 3
来客者
「ふ~ん、本当に好きみたいねシンのこと」
「は、はい…」
アリスの私室にてある意味拷問のような時間が続いた。
もっとも早苗には苦痛ではなく恥ずかしさからなのだが
「その、里でも色んな人の御手伝いをして、子供にも優しくて、人間以外の方にも変わらぬ態度で接してくれて…」
アリスと違い早苗は比較的里にも近いこともあり出かけることが多く、能力のおかげかシンと遭遇することも多かった。
そして彼の日常を見ることがおそらくもっとも多く、
「ですから、もっと好きになってしまいました」
満面の笑顔で、純粋にシンを好きになったと、心から答えた。
「…そっか」
アリスは安心した。
これがもし助けてくれたから、ロボットのパイロットだったから、というふざけた理由だったら彼女を軽蔑していただろう。
「そういえば、何で私が最近よく里に出るか知ってる?」
「え?え~と、わからないです」
「ふふふ、実は私もね…」
「恋をしたからなの」
「そ、そうなのですか!?」
「意外かしら?私も女よ」
「す、すみません。変な意味じゃなくて…」
アリスは別に怒っているわけではない。
今までの彼女を知る者ならばそう思うはずだ。
彼女の人形作りは真剣で客がいようともお構いなしで、外見が美しいと相まって余計に恐れられてしまっていた。
もっとも今では里によく来て、様々な表情も見られるので逆に自ら森に迷ってマーガトロイド邸に乗り込んでくるんじゃないかという心配が出てきてしまっている。
「恋で変わったのは確かよ。
それにこのクッキーだってすごく勉強したんだから」
確かに、と早苗は作りたてのクッキーは十分すぎる程の味だとわかる。
正直幾つか持ち帰り用を頼もうかと思ってたほどだ。
「それに、これで彼と一緒に過ごせると思うと、素敵じゃない」
ティーカップの置かれてある棚に、女性用ではなく男性用の黒いラインが入ったカップ。
それを見るアリスはきっと好きな人とティータイムを願っているのだろう。
それを願う横顔は同性の早苗でもとても素敵に見えた。
「大丈夫です!アリスさんはこんなに素敵な女性なんですから心配無用です!!」
ほんの少ししか聞かなかったが、同じ女性としてアリスがどれほど想い人を好きなのかは十分に伝わった。
もしこれで振られるようなら幻想郷にいる神々に変わって成敗しようかと思うほどだ。
アリスはその姿につい顔を綻ぶ。
「でもね、すごく強力な恋敵がいるのよ」
「むむ、さすがアリスさんの想い人ですね。
やっぱり他の方も好きな人が…」
「ええ。その娘はシンと同じように誰かの為に行動できて、人気者で、でも少しだけ空回りしちゃうけど…」
「とても素敵な娘よ」
「う~む、アリスさんにそこまで言わせるなんて…でも一体…」
はて、と首を傾げる姿にアリスは耐えられずクスクスと笑ってしまった。
「おかしなことを言うのね、私の目の前にいるじゃない」
「…え?ええ?えええぇぇぇぇぇーーーー!?」
「もう、驚きすぎよ」
「そそそそれじゃあアリスさんも…」
「ええ、あなたと同じシンを…」
コンコン
「…もう、空気を読まない来客ね」
「は、はぃ…」
『すまないな、今晩預かってほしい人間がいてな』
その声に思わず二人共ドアに目を向ける。
あまりに予想外な来客にアリスは無論早苗もドアへ向かう。
「迷った人間を連れてくるなんてどうしたの?それともあなたのメイドを連れてきたの?」
『強いて言えば前半の半分正解と言ったところだ』
扉を開けそこにいたのは紅い悪魔の館の主、
「一体どういう風の…」
「あ、こんばん…」
レミリア・スカーレット
さらに気を失い、彼女が連れてきたであろう男性を見て
「「シン(さん)!?」」
という不可思議な組み合わせの来客にただただ驚かざるをえなかった。
最終更新:2011年01月22日 07:11