「こうして、シンデレラと王子様は末永く幸せにくらしました」
物語を終え、里の皆から盛大な拍手が送られる。
すでにアリスは人気者であり、いざ劇を始めようものならほとんどの住人達が見にやってくる
既にアリス専用の演劇用ステージ作成の案が出てきているほどだ。
「今日も見事だったなアリス」
「あら、ありがとう慧音」
自分の生徒達と共に劇を見に来た慧音
実はこの二人最近顔を合わせる機会が増えている。
理由は道徳の時間にアリスの人形劇を採用したからだ。
以前シンに聞いたのだが外の世界では授業の中に映像などを見て学ぶという方法があり、
それをヒントにアリスに道徳の人形劇を慧音が依頼したのだ。
おかげでアリスは生徒達の人気の的になってしまった。
事実先ほどまで 慧音の生徒達に捕まり身動きが出来なかったのだ。
「ところで、何かあったのか?」
「あら、どうして?」
本気で言っているのかと思わずにいられなかった。
彼女自身はまったく問題は見られないが、彼女は常に1、2体は半自立人形を連れているが、
それが目に見えるほど落ち込んでいるのだ。
知らない間といってもさすがに踏み込んだ質問は控えるべきかと思い悩んでいると
「そういえばシンは今日仕事で出かけているの?」
「ん?ああ、確かまた紅魔館に呼ばれたのでな。数日は帰ってこないはずだ」
「・・・ふ~ん、そう」
なにやら面白くなさそうな顔になり、てきぱきと劇に使用した人形を片付けてしまう。
(あ、また人形が落ち込んだ)
「じゃ、わたし帰りますから」
「あ、ああ・・・」
ツーンとした表情のままさっさと帰ってしまった。
「むう、シンに仕事を頼みたかったのか?」
上白沢慧音、彼女が恋愛の指導者になるのはまだ先のようだ。
「これじゃあ、全然眠れなかった私が馬鹿みたいじゃない・・・別に約束してたわけじゃないけど」
自分でも無茶苦茶だと思うが、胸のモヤモヤが収まらないのだからしょうがない。
「あれ、アリスさんじゃないですか」
「・・・あら、早苗じゃない」
「こんにちは。アリスさんの人形劇を見逃すなんてちょっと残念です」
「まあ、定期的にしてるわけじゃないからね」
そう、アリスは授業をのぞけば決まった日時に来ると言うわけではなかった。
自身の心境がどう変わろうとも彼女の本業は意志を持った人形を作ることだ。
生涯の目標を疎かにするわけにはいかない。
「あ、それは・・・」
「ん?ああ、主役の王子様よ」
鞄から僅かにはみ出ていた人形に気づいた早苗
それを聞き納得はしたがどうも見覚えがある
「・・・あの、これもしかしてシンさんですか?」
「そうだけど、何か?」
「あ、いえ!ただ何でシンさんなのかなって」
「別に、ちょっとしたお礼のつもりで主役にしてあげただけよ」
「はぁ・・・」
わかったようなわからないような、という感じで首を傾げる
(そんなの、私が聞きたいわよ・・・)
最近どうしても人形劇用の主人公のモデルがどうしてもシンと似せてしまうのだ。
無論その相手、ヒロインに当たる人形も自分に似せてしまうのだが、
何故自分がそんなことをしてしまうのか自身のことなのに理解できないことに胸をモヤモヤとしてしまうのだ。
「む~~~」
と先ほどからシンの人形をじ~~っと見続ける早苗
並大抵の者が同じことをやれば不振がられるが、彼女がやるとかわいげが出るのが不思議だ。
「その人形がどうかしたの?」
「え!?え~~と、その・・・」
その反応にアリスは首を傾げるが、早苗が覚悟を決めたように頷き、
「アリスさんお願いします!その人形と同じものを作ってください!!」
と土下座をせんばかりに頼み込んだ。
アリスはまったくの予想外のことに思わずフリーズをしてしまった
「・・・一応聞いていいかしら?」
「そ、それは・・・」
顔が真っ赤になってしまい、俯き気を紛らわそうと両手を組み
「実は、その・・・シンさんのことが好き、でして・・・」
とんでもない爆弾発言をしてくださった
変わってしまった日常 東方版 2
現人神様は恋する女の子 そして・・・
数日前、早苗は村の里にてある家の子供の病を祓ったことが切っ掛けだった。
突如子供の容態が悪化し、竹林の奥地の医者に見てもらわなければならないのに、もう猶予がなかった。
そこへ偶然通りかかった早苗が病の正体が霊によるものと見抜き、見事病を清めたのだ。
その後がさあ大変。
近所を巻き込む宴会にまで発展してしまったのだ。
早苗自身酒は苦手ではあるが、感謝の気持ちを無碍には出来ずいただいた。
問題は大量に進められ、宴会が終わる頃にはまともに立つことすら出来なかった。
帰りを待つ二人の神様がいるので何とか普段と比べることも出来ぬ低空飛行と速さで神社へ戻っていった。
だが、早苗は油断していた。
幻想郷には人間を襲う妖怪がおり、弱った状態で一人でいるのは狙ってくれと言うようなものだということを。
突如一匹の妖怪が襲いかかってきた。
もしも普段の早苗だったどうと言うことはなかったが、今は完全に酔っており気づきながらも妖怪の突撃を受けてしまう。
「がっ」
そのまま飛ばされ、木に背を打ちつけそのまま地に倒れてしまう。
完全にこちらが有利と見るや、別の妖怪が二匹、三匹と増え、最終的に五匹の妖怪を早苗を絶好の獲物と認識したのだ。
(だめ、うごけな・・・)
意識が失いそうで、かろうじて保っているものの弾幕一つ晴れる状態ではない。
(いやぁ・・・神奈子様・・・諏訪子様・・・)
今まで感じたとしても大して問題がなかったはずの殺気に、挫けそうになってしまう
(死にたくない・・・よ・・・誰か・・・助けて・・・)
妖怪たちがゆっくりと近づき、早苗に牙を突きたてようと不気味な口を開ける
「お願い、やめて・・・嫌あああぁぁぁ―――!!!」
恐怖に負け、助けを求める悲鳴を上げ、これから音連れるであろう死を直視しないように目をきつく瞑る。
―――だがいつまで経っても死が訪れない
ゆっくりと目を開けると、写ったのは妖怪達ではなく、何か大きな手だった。
早苗を包み守るように・・・
妖怪たちは新手が来たと知り一目散に逃げ出した。
恐る恐る見上げると、緑の眼が自分を見ていた。
(これ、確かこの間の・・・)
うまく頭が働かなく、呆然としていたところにデスティニーのハッチが開き、シンが急いで近づいてくる。
「おい!大丈夫か!?」
(そっか・・・私、助かったんだ・・・)
「う、うう・・・うわぁぁぁ――――ん!!」
ようやく気づいたその事実に、緊張がとけ泣き出してしまいシンに抱きつく。
「怖かった・・・!怖かったよ――――!!」
「・・・それでいっぱい泣いちゃって、シンさんにデスティニーで送ってもらって、動かしてるシンさんかっこいいなぁーって
、あっでもパイロットさんだからじゃなくて横顔が凛々しくて素敵で・・・」
さっきからずっとこうだ。
爆弾発言の後、いかにシンがかっこよかったか、まさにヒーローだったとか・・・
もう軽く一時間は経ってしまったんじゃないだろうか?
さすがにうんざりしてきたアリスも顔に出てしまった。
「ってああすみませんアリスさん!!長話してしまって!」
「・・・別にいいわ」
長話すること事態はいいのだが、話を聞いてるとモヤモヤが胸をグルグルと渦巻いて仕方がない。
「えっとその、ご迷惑ですよね?人形のことは・・・」
「いいわよ、無料で」
「よ、よろしいのですか!?」
ぱぁ、と花が咲き誇るように笑顔になっていく早苗
「構わないわよ。とてもいいのを作ってあげるから」
「わぁい!ありがとう!!ありがとうございます!!」
深々と頭を下げ、こんなに喜んでいいのかと思うほど感謝を述べる
「じゃあ2,3日の内に持っていくからね」
「はい!よろしくお願いします!」
自宅にてアリスは早苗に依頼された人形を作っている。
しっかりと、丁寧に
何となくだが、自分の気持ちが少し理解できた。
それなのに敵に塩を送るような真似をしてよいのだろうか?
(でもね、そうしないと私のプライドが許さないの)
戦いの緊張感の中にも常に心に余裕を持つことが美徳なのだ。
(そして、勝利することも・・・!)
大分完成した人形をを眺める。
文句なし、十分すぎるほどいい出来だ。
(だから、これは恋敵[ライバル]と認めた証・・・!)
ゆえに自分の持てる技術を込めて作り彼女に渡そう
「負けないわよ、早苗・・・!」
アリスの覚悟を感じ、ほかの半自立人形達が手を振りアリスを応援していた。
最終更新:2011年01月22日 07:10