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変わってしまった日常 東方版 5

以前シンと初めて対面し、彼の運命からは今までに感じたことはない物だった。
多くの強大な悲運に魅入られながらも、劣らぬ多くの可能性の運命を垣間見た。
故に私、レミリアは彼の生き様を見たかったからこそ採用したのだ。
―――最も身内の運命を変えてしまうとは思わなかったが。
確かシンがパチュリーを助けたのが始りだったな。


変わってしまった日常 東方版 5
    前に進む者達と罪人    


「じゃあ本は借りてくぜ!」
「返すつもりもないくせに!」
すでに恒例になっている魔理沙による本強奪が起こった時だ。
既に魔理沙は紅魔館を去り、パチュリーが散らかった本を片付けようとし、
「ッ!ゲホッゲホッ」
今日弾幕勝負をした場所は運悪くまだ掃除が完了していなかったため、埃が上がってしまい持病の喘息が発作してしまったのだ。
さらに隣にある上部に置かれていた大量の本が真下にいるパチュリーの頭上へと落ちてきたのだ。
今の状態ではとても避けられず、直撃を覚悟し目を瞑ったのだが…
「危ない!!」
丁度咲夜に案内してもらい、共に入室したシンが飛び込むように駆け出しパチュリーを助けた
までは良かったのだが、
「き、きゃあぁぁぁぁ!!」

ばっちぃぃぃーーーん


「いててて・・・」
「もう、まるで狙ったように手が行ったわね」
「言っとくけどわざとじゃないからな・・・似たようなことが前にあったけど」
「もうそれは才能じゃないの?」
結局☆お約束☆をしてしまったシンはパチュリーに一発貰い、咲夜共々追い出され現在咲夜の私室にて紅葉形の腫れた頬を治療してもらっている。
「それよりシン、私は気になることがあるんだけど」
「ん?」
「私の『時を操る程度の能力』に影響されないあなたのこと、知りたいわね」
咲夜の表情は完全に警戒し、正直に答えなければ攻撃をしてくるであろう。
「できれば話してほしいわ。私の能力が効かないあなたは異常なのだからね」
シンは眼を瞑り、自身の異常性と過去を話すべきか悩む。
内心、この世界に来たのが自分の『能力』によって来てしまったのはわかっていた。
そして、その『能力』がもう・・・
「わかった話すよ。俺のこと・・・でも誰にも言わないでくれ」


あるところに、戦争で家族を失った少年がいた―――
彼はもう誰も悲しまない世界を作るために兵士になり、後にエースと言われるほどの力を得た―――
数えきれぬほどの敵をなぎ払い、ついに平和を実現したかに見えたが、策謀によって仲間だった者達に銃を向けられた―――
それでも彼は戦い続けた―――
だが最終的に大量破壊兵器を使い、人類を滅ぼすという最悪なシナリオを迎えようとしていた―――
少年は最後まで足掻き、兵器の破壊に成功するも命が尽きようとしていた―――
走馬灯が過り、少年は想い願った―――
『助けたかった・・・多くの人を、死ぬべきじゃない人達も・・・』
少年は目を閉じ、もう二度と目覚めぬ眠りに落ちる・・・


はずだった―――


「・・・それから、どうなったの?」
「ん、とりあえず色々あって、時とか時空とかが俺には曖昧なものになって、全部終わった後ここに来てしまった、てところかな?。
 でも俺は紅魔館は勿論だけど、この幻想郷に攻撃をするなんて絶対にしない。
 それだけは、信じてくれ。」
多少は違えど、シンは咲夜と同じ人間で『時』に縛られない初めて出会った能力者だった。
何時しかこの能力で、止まったときの世界で生き続けなけることが孤独と感じたのは少なくない。
だからこそ咲夜は
「なら一つだけ言わせて。
 悩みがあったら私に相談してほしいの。違いはあるけど、同じ『時』に縛られない者として力を貸すわ」
「・・・わかったよ、俺もここに来て初めてこのことを喋ったんだ。だから、その、よろしく」
「ええ、よろしくねシン」


これが始り
二人の間にだけできた秘密
そして咲夜がシンに特別な感情を抱いた小さな始まりだった



「シン様、また来週お願いします。」
「な!?咲夜なんで『様』付けなんだよ!?」
「仕事が終わってしまえば、シン様は紅魔館のお客様です。
 ならメイドとしてこれは当然です」
「だからってなぁ・・・」
最初の契約期間が終り、門の前でシンが里へ帰るのを咲夜が見送るところを紅魔館のテラスから見ている者が二人。
「随分と、面白いほど変わったな咲夜は。そう思わないか?」
「知らないわよそんなこと」
レミリアとパチュリー。
片や非常に愉快そうに、片や非常に不機嫌な表情だ。
「どうした?そんなにシンが嫌いになったのか?」
親友のことを理解しながらあえてこのような質問をする。
「そんなんじゃないわよ、感謝はしてるし不可抗力なのはわかってるけど・・・」
顔を少し紅くし、僅かに視線を下げ、

「男の人と、手を繋いだことすらないのに・・・」

「く、ははははははは」
「わ、笑わないでよレミィ!」
レミリアはただただ嬉しかった。
幻想郷に来て、あのフランが霊夢と魔理沙を初めとして多くの妖怪、精霊、神々によって普通の性格となり、
咲夜とパチュリーが誰かを恋する気持ちを持つようになり、自身はそれを応援したい。
その変化が、今までの生の中で何よりも大切な物と実感できる自分にも嬉しかった。



―――さて、今日はもう眠るとしようか。
多分だがアリスと早苗もシンに特別な感情を抱いているだろう。
だがそれもいい。
たとえシンを巡る恋がどのような結果になろうとも、それはこれからの生で大きな糧となるはずだ。
私は咲夜とパチェに手助けは出来ぬが、応援だけは忘れ・・・

レミリアはある『運命』を感じ、窓の外を見る。
その方向は迷いの竹林がある。
「・・・どうやら、咲夜とパチェにはライバルがまだいるようだな」



満月の夜の竹林
無数にある竹の一つに寄りかかり、満月を見上げるものが一人
「・・・シン」
銀の髪を腰まで伸ばした、兎耳の少女。
彼女の名は鈴仙。
今にも崩れ落ち、泣き叫んでしまうのではないかと言うほど、彼女の心は脆かった。
まるで、許しを願うような罪人の様に、ただ一人満月を見上げ続けていた。

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最終更新:2011年01月22日 07:20
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