シン「ん? マユ。どこにいくんだ?」
マユ「心ちゃん家に遊びに行くの。すっごく広いんだよ」
シン「へぇ、・・・あ~そうだな。俺も付いて行っていいか?」
マユ「・・・」
シン「・・・マユ?」
マユ「お兄ちゃん、病院行こう」
シン「は?」
マユ「大丈夫だよ、ロリコンは不治の病じゃないらしいから。
治療を受ければきっと心ちゃんにもよくじょうしなくなるよ」
シン「違う! 俺は、お前が世話になってるから挨拶をしようと・・・。
っていうか、どこで習ったんだその言葉は! ルナか、それとも家庭教師の八神さんか!」
題名未定 外典 『 裁かれるべき正義 』 後篇
でかい、最初に浮かんだのは子供でも思いつく様なありきたりな感想だった。
けど、この家を見たなら誰しもが十中八九同じことを考えるはずだ。
さすがにレイの家には及ばないにしても、これだけ広い家はよほど家が裕福じゃなければ買えないんじゃないだろうか。
ところで、そんな家にわざわざやってきた俺はというと・・・。
シン「・・・これからどうしよう」
ホールのソファーに、何をするわけでもなくただ座っていた。
ダイニングに通されはしたものの、肝心の母親は今買い物に出ているらしい。
マユ達は、どうしようか悩んでいる俺を置いて自分たちの部屋に遊びに行ってしまった。
こうなったら、母親か帰ってくるまでここでじっと待っているしかない。
だが、すぐに耐えられなくなった。家が違うとこうも居心地が悪いのか。
勝手に人の家を探るのは人として最低だとしても、ダイニングを見学するくらいはいいだろう、と自分を納得させて
当てもなく歩き回ってみる。
それにしても立派なキッチンだ。こんなに広々とした場所で一度料理してみたいな。
家にある十年物のオーブンもそろそろ買い換えないとやばい気がする。
そんなくだらないことを考えていると、ふと、テーブルに飾ってあった鉢植えが目に入った。
種類はわからなかったが、小さくても見事な花がたくさん咲いている。
シン「綺麗だな・・・」
?「気に入っていただけたなら、差し上げますよ」
シン「・・・うわっ!?」
?「あ、す、すいません。驚かせちゃいましたね」
シン「い、いや、大丈夫だから」
大丈夫じゃない。
思わず漏らした本音に、写真で見た子がいきなり背後から返事をしたのだから驚くに決まってる。
情報によると、彼女が・・・。
言葉「はじめまして。私は、心の姉の『桂 言葉』です。言葉、で結構ですよ」
シン「あ、はじめまして。俺は・・・」
言葉「マユちゃんの兄のシン・アスカさんですよね。あの子達からよく話は聞かせてもらっています。
ちょっと、怖そうに見えるけどとても優しい人だって」
シン「あ、はは・・・(俺、そんなに顔が怖いのかな)あ、これいつもマユが世話になっているお礼です。
家で焼いたケーキなんですけど、口に合うかどうか・・・」
中身は、昨日即席で作ったワンホールのショートケーキだ。
自分でも自信作だと思うが、これだけ裕福な家だと普段は他にもっといいお菓子を
食べてそうで渡すのに少し気後れしてしまう。
言葉「え、でも」
シン「遠慮せずに受け取ってください。どうせ、マユと二人じゃ食べきれませんから」
言葉「わかりました。すぐに切り分けますからソファーで待っていてくださいね」
シン「あ、はい。(まいったな。今日は私だけ渡してすぐに帰るつもりだったんだけど)」
言葉「飲み物は紅茶でかまいませんか」
シン「え、ええ、それでいいです(こうなったら、流れに身を任せるしかない)」
どうやら、マユ達が事前に俺の事を話していたらしく、相手が男であるにも関わらず警戒はされていないようだ。
軽い男性恐怖症と聞いていた彼女とあっさり打ち解けることができたのは幸運だったとしか言いようがない。
マユ「私、ああいうお姉ちゃんも欲しかったんだよね~」
心 「私も、あんなかっこいいお兄ちゃん欲しかったな~」
どのような思惑があったかは別にしても。
ていうか、逆に俺の方が彼女に対して緊張してしまってる気がする。
年の割にしっかりしているというか、俺にお姉さんがいたらあんな感じなんだろうか。
意外なことに、たわいのない会話は時間を忘れるほどにはずんでいた。
事前に情報を得ていたことで、学校や彼氏の話を避けられたのもよかったのかもしれない。
朗らかな空気の中で色々な事を話した。花の事、妹たちの事、料理が苦手だという彼女へのアドバイス、etc・・・
彼女は、話に聞いていたよりもずっとやさしく暖かな女性だった。
途切れることのない会話は夕方まで続き、結局マユ達が二階から下りてくるまでずっとしゃべりっぱなしだった。
内容は・・・さすがにほとんど忘れちゃったけど、久しぶりに楽しかったことだけはよく覚えてる。
帰り際、彼女は鉢植えを俺に手渡してこう言った。
これを、あなたにさしあげますと。
シン「でも、どうして気に入ってる鉢植えを俺なんかに?」
言葉「いいんです。さすがに、海外へは持っていけませんし、大事にしてくれる人に貰われた方が安心ですから」
シン「海外?」
言葉「実は、私たち今度海外へ引っ越すんです」
シン「はぁっ!? ど、どうして・・・」
意味がわからなかった。もう彼女を虐める奴らはいない、彼女を苦しめるだけだった彼氏もいない。
なのに学校を去らなければならないなんて、どんな理由があるっていうんだ。
もしかして、まだ何か残ってたのか。
俺の問いに、彼女はぽつりぽつりと話してくれた。
言葉「・・・私、学校で虐められてたんです。そのことが先日発覚して、虐めをしていた人たちは警察に連れていかれました。
私のほうは、示談で済ませましたけど、それ以外にも援助交際や他の子への虐めなど余罪がたくさんあったそうです」
シン(レイの言ってたのはこのことか。確かに許されることじゃないな)
言葉「退学者を出したことで学校の雰囲気も変わりました。でも、それが私のせいだと思うとなんとなく居づらくなって、
そのことを察した両親が海外へ行くことを提案して。
とんとん、拍子で話は進みました。元々、あそこに私の居場所はありませんでしたから」
シン「未練は・・・なかったのか?」
言葉「・・・・・・好きな人が、いました」
シン(いました・・・か)
言葉「でも、その人は私よりも他の女性を選んだんです。
そして、二人一緒に新天地へ引っ越していきました。連絡先も告げずに」
伊藤誠・・・言葉の恋人、だったはずの男。
言葉とは別の女に迫られ、それをきっかけに『他の女達』に手を出したあげく、言葉をあっさり捨てた最低の男。
だから、俺達は言葉から遠ざける人間のリストに真っ先にこいつの名前を載せた。
愛すると言った人を不幸にする奴に、そいつの側にいる資格なんかない。そう思ったから。
言葉「だから、私も新天地へ行ってやり直そうって決めたんです」
シン「いいんじゃないか。そんな最低の奴、さっさと忘れた方がいい」
言葉「できませんよ、そんなこと」
シン「できないって・・・そいつは言葉さんを裏切ったんだろ」
言葉「・・・違いますよ。弱かっただけなんです、誠くんは」
シン「だからって裏切っていいはずがない。あんただって、それで傷ついたんじゃないのか?」
言葉「そう、ですね。確かにその通りです」
言葉「でも、本当はまだ自分でもふん切りがつかないんです。なにか言えない事情があって
誠くんは私から離れて行ったんじゃないかって、そう思えて」
シン「───それは」
言葉「ありえないってわかってるんですけどね。それでも、忘れられないんです」
シン「どうして、そこまで・・・」
言葉「だって、私の愛した人ですから」
シン「・・・・・・っ!」
彼女の顔を見た時、その目じりから涙が流れた時、俺は悟った。
彼女はまだ、伊藤誠を愛している。諦めきれないでいる。
だが、彼はもう絶対に言葉と会うことはない。
俺達が、そうせざるを得ない状況を作り出してしまったから。
もう二度と、言葉は恋人だった男を取り戻すことはできない。
もう二度と、言葉は恋人を奪った女をひっぱたくことはできない。
もう二度と、言葉の想いはむくわれることはない。
むくわれない想いを晴らせないまま、癒えることのない傷口を抱えて彼女は新天地へ旅立とうとしている。
何かのきっかけで伊藤誠を思い出した時、傷口はまた開くだろう。
塞がるまでに何年かかる? 何十年かかる?
夢から覚めた思いがした。
気付いてしまった。
気付かされてしまった。
愛した男を取り戻せるかもしれない未来を、
愛した男を奪った彼女を許せたかもしれない未来を、
愛した男を振り切れたかもしれない未来を、
それどころか彼らを祝福できたかもしれない未来すら無残に奪い取った。
それを行ったのは、他でもない。
俺が、自分勝手な理由で振りかざしていた『正義』だ。
シン「───俺だ」
気がつけば
言葉「はい? 今何て・・・」
シン「俺が・・・あんたから全てを奪ったんだ」
言葉「あの、それって・・・どういう・・・・・・」
俺は、すべてを打ち明けていた。
二人は仲むつまじく旅立ったのではなく、俺達の手で無理やり国外へ追放されたのだと。
連絡先を教えなかったのではなく、教えられなかったのだと。
言葉を捨てたのではなく、捨てさせられたのだと。
言葉「・・・・そんな、冗談ですよね」
シン「・・・・・・」
言葉「だっておかしいじゃないですか。そんなの、・・・嘘だって言ってください!」
シン「・・・・・ごめん」
俺は、逃げるようにして彼女の前から去った。
そうすることしか、できなかった。
レイ「何故、話した。いや、何故話さなかった」
シン「ごめん。やっぱり、俺にはこういうのは向いてないみたいだ」
レイ「・・・シン、今からでも遅くない。真実を話してこい。
伊藤誠が、他にも複数の女性と関係を持っていたことを伝えれば」
シン「駄目だ、レイ。あんなどうしようもない奴でも言葉の初恋の人なんだ。
あの子の心の中でくらい、いい格好させてやらないと」
レイ「馬鹿なことを・・・。彼女は、お前に告げられた真実を受け止めきれずに狂いかけている。
殺されるかもしれないんだぞ」
シン「彼女には、そんな残酷なことできやしない」
レイ「・・・全ての泥を一人で黙ってかぶるつもりか」
シン「そんな大げさな理由じゃないよ。俺はただ、償いがしたいだけなんだ。
善人面しておきながら、彼女から全てを奪った償いを」
レイ「お前がいようがいるまいが、彼女が全てを失っていたことにかわりはない!」
シン「それでも、誰かが彼女を受け止めなきゃならないだろ!」
レイ「ッ! 大馬鹿野郎だ、お前は!」
シン「今回ばかりは自分でも自覚してるよ。それと、大馬鹿ついでに頼みがあるんだ」
初雪に覆われた歩道橋で、俺は彼女に押し倒されていた。
喉元に突き付けられた“のこぎり”が、冷たい感触を否応なく肌に伝えてくる。
朝早くに家を出たせいで、人影はどこにもない。
雪の中に二人っきり。こんな状況じゃなければ、いい思い出になったかもしれないな。
命の危機にあるというのに、俺はそんな呑気な事を考えていた。
言葉「あの人は行ってしまいました。幸せそうな笑顔を残して」
シン「・・・・・・」
言葉「彼女も幸せそうでした。私一人だけが残されたんです」
シン「・・・・・・」
言葉「わかりますか。全てを奪われた者の気持ちが。わからないでしょうねあなたには」
シン「・・・・・・」
言葉「何とか言ったらどうなんですか。これから殺されるんですよ、あなた」
殺される、という言葉の意味はよく知っている。
けど、それと目の前にいる虚ろな瞳の女の子とはどうしても結びつかなかった。
刃物を首に当てられてるのに、怖い、という感情も湧いてこない。
俺のしたことが、彼女をここまで追い詰めてしまった。
それがただ、悲しかった。
最初から、こうやって彼女の言葉や想いを聞いておけばこんなことにはならなかったのに。
目をそらすな、覚悟を決めろと自分に言い聞かせる。
上手な説得の方法なんて知らない。誤魔化す事も、うまい嘘も下手だ。
それでも今俺が彼女に背を向けたら、正面から向き合うのをやめたら、きっとすべてがだめになる。
同じ過ちを繰り返すな。
最後まであがけ、彼女の結末はまだ決まってない。
シン「・・・・・・親友に」
言葉「・・・?」
シン「レイって男がいる。そいつに事情を話せば、あんたがこれから何をしたって、
罪には問われずにこれからも日常を送れるはずだ」
言葉「・・・何を、言ってるんですか?」
シン「妹さんを大切にな。マユとは、気まずいだろうけど仲良くしてやってくれ。
あいつはさびしがり屋だから、俺がいなくなったらきっと・・・」
言葉「やめて! 私が聞きたいのはそんな言葉じゃない。私が見たかったのはそんな顔じゃない!」
シン「・・・ごめん」
言葉「どうして、脅えも怖がりもしないんですか? 死ぬのが怖くないんですか?
家族を残して殺されるのが悔しくないんですか?」
シン「俺だって死ぬのは怖いし、絶対に死にたくないって思ってる。
けど、本音を言えば・・・俺はたぶん死なないと思う」
言葉「・・・意味がわかりません」
シン「君はきっと、俺を殺さないから」
首に突き付けられた狂気に力がこもる。
強く押し付けられて傷ついた肌から、僅かだが血が流れ出した。
言葉「わかってないんですね。あと少しでも私が手に力を込めれば、あなたは血を噴き出して死ぬんですよ」
シン「けど、君は力を込めたりしない」
言葉「そんなことわからないでしょう」
シン「君には人を傷つけたりなんてできない」
言葉「何を根拠に・・・」
シン「鉢植えの花、調べたんだ。花が咲くまで手間がかかって少しでも手を抜くとすぐに枯れちゃうって書いてあった」
言葉「───!」
シン「あの花、ずっとずっと大切にしてたんだろ。心ちゃんにプレゼントしてもらった───ぐっ!」
言葉「・・・それ以上、しゃべらないで」
シン「虐めをのことを家族に言えなかった理由は迷惑をかけたくなかったからじゃないのか。
伊藤誠を最後まで庇ったのは、裏切られても信じてたからじゃないのか」
言葉「しゃべらないでって言ってるじゃないですかっ! 」
首が強く圧迫されて息が苦しくなる。
流れる血の量がだんだん増してくる。
それでも、俺は話しかけるのをやめようとはしなかった。
これが彼女がこちら側に帰ってこれる最後のチャンスのような気がしたから。
シン「君は優しいから、優しすぎたから心が壊れかけてるんだ。君に、誰かを憎みきるなんてできやしない」
言葉「・・・・・・あは・・・ははは」
シン「人を殺すなんて惨いこと、どんなに頑張っても君には無理なんだよ」
言葉「あはははは、あはっ。・・・何ですかそれ、馬鹿みたい!」
シン「・・・」
言葉「おかしくて・・・涙が・・・でて・・・・・あれ? 涙が、何で・・・」
彼女は、のこぎりを手放した。
抑えきれずにあふれ出る涙を、両手で拭うために。
言葉「・・・なんで・・・抵抗しないんですか。怖がって、私を拒絶して突き放せば・・・
私は・・・私はあなたを憎んで・・・憎みきれたのに」
シン「あんたがどんなに壊れても、どんなに俺を怨んだとしても、突き放すなんてできない」
言葉「どうして・・・」
シン「俺は、あんたから全てを奪った俺だけは、あんたを見捨てるわけにはいかないから」
言葉「・・・偽善者・・・」
シン「唯の馬鹿だ。親友には、そう言われた」
言葉「本当は・・・」
シン「・・・?」
言葉「・・・最初に貴方と出会ったときには・・・もうわかってたんです・・・
誠君は面倒くさい私のことなんてどうでもよくなってたんだって。
あなたがいなかったら、いずれもっとひどいことになってただろうって」
シン(気付いてたのか。当たり前だな。ずっと、おかしくなるくらい好きになるまであいつを見てたんだから)
言葉「でも、わかりたくなかった! 受け入れたくなかった! 信じてたから! 愛してたから!」
シン「言葉・・・」
言葉「だから・・・あなたを怨むことで楽になろうとした。全部貴方に押し付けて、貴方の優しさに甘えて
・・・私も、私の方が大馬鹿だったんです!」
シン「そんなことない! 言葉は疲れてただけなんだっ! あんな目に遭えば誰だって・・・!」
言葉「いいんです・・・最低ですよね。こんなことしたって、何も戻りはしないのに」
言葉「・・・・最後に一つ・・・お願いが、あります。
・・・少しの間だけでいいんです。胸を・・・貸してください・・・・・・」
シン「・・・ああ」
そして、彼女は悲鳴にも似た悲痛な叫び声で泣き始めた。
きっと、ため込んでいたものが一気に噴き出したんだと思う。
俺は、彼女が泣いている間抱きしめて頭をなでてやることしかできなかった。
俺じゃなければ、もっとうまく彼女を救えたのかもしれない。
そんなどうしようもない後悔を心の奥に仕舞いながら。
レイ「──────報告は以上です。それと、シンのことですが」
ギル「わかっているとも。心配せずとも、彼なら自力で何とかするだろう。我々の横やりは状況を悪化させるだけだ」
レイ「俺もそう思います。あいつなら、俺が助けなくても一人で結果をだしたでしょう」
ギル「では、何が不満だというのかね」
レイ「・・・何の話でしょうか」
ギル「長い付き合いだ。それくらい私にもわかる。調査結果から“沢越 止”にたどり着けたおかげで、
我々は奴を始末してグループを乗っ取ることができた。
今回の事は、組織全体にとってもシンにとっても有益だったはずだ」
レイ「しかし・・・」
ギル「付け加えるなら、彼は大勢の人間から恨まれていた。死んで当然の人間だ、違うかね」
レイ「それはわかっています。訂正しておきますが、俺は死んで当然の人間などいないという妄言には興味がありません。
それほど世間知らずに育てられた覚えもありません」
ギル「ふむ」
シン「ですが、シンが自ら償いをし、諸悪の根源も次々と鉄槌を受けた今、
彼らを利用した我々だけが裁かれないということに納得いかないだけです」
ギル「断罪の時は誰にでもやってくる、まだそのときでないというだけのことだよ。
それとレイ、君は勘違いしているようだ」
レイ「・・・・・・?」
ギル「今回の事件は、最初から最後まで私の手の内にあった。君は駒の一つとして動かされていたにすぎない」
レイ「おっしゃっている意味がよく・・・」
ギル「君はあくまで私の被害者であり、裁かれるべきは私にある。我々ではなくね。
君が親友を利用したことを悔やむ必要はないということだ」
レイ「・・・失礼します」
ギル「類は友を呼ぶ、か。あの生真面目さはやはり君に似たんだろうね、プレシア」
手に取った写真は、ただ無言で笑顔を返すだけだった。
ルナマリア「それでそれで! そのあとはどうなったの?」
シン「ああ、ようやくふっきれた彼女に許してもらって、何度か買い物に付き合ったり、遊びに行ったりしたな。
海外に行くときには笑顔で見送ったよ」
ルナ「って、そういうことじゃなくて!」
シン「・・・・・・?」
レイ「やめておけルナマリア。こいつは自分のしでかしたことに気付いていない」
ルナ「ちょ、何言ってんのよレイ!そんな映画みたいな出会いと別れを繰り返したら、
普通は『愛』が芽生えるもんでしょうが!」
レイ「世の中には、例外もあるということだ」
シン「あのなぁ、映画じゃないんだから、簡単に惚れたり惚れられたりするわけないだろ。
だいたい、まだ数回しか会ってないんだぞ」
ルナ「ふ~ん、どうだかねぇ。(呆れ返る鈍感さね。話聞く限りじゃ絶対フラグ建築済みっぽかったけど、
こいつのことだから絶対自分でも気付いてないんでしょうね)・・・でも、その子可愛かったんでしょう。
色白で胸も大きくて」
シン「・・・そりゃ、まあ・・・」
ルナ「一緒にいてまんざらでもなかったんじゃないの~」
シン「な、何言い出すんだよ! 俺はただ傷つけてしまった彼女に対して責任をだな・・・」
はやて「ふ~ん、興味深い話やなぁ」
シン「なっ! はやてさんいつの間に!」
はやて「詳しい話が聞きたくなってきたわぁ。ちょっと、風紀委員の部屋に来てもらおうか。今 す ぐ に 」
シン「は、離して! 話せばわかる! レイ、ルナ、助け・・・」
レイ「・・・・・・」
ルナ「・・・・・・」
シン「助けろよおおおおぉぉ!」
心「お姉ちゃん、御飯できたって」
言葉「わかった、今行くね」
心「あれ? それってマユちゃんのお兄ちゃんの写真だよね。懐かし~」
言葉「ああ、これ? 出発前に無理を言って一枚譲ってもらったの」
心「へぇ~。あ、それじゃ私は先に行ってるから」
言葉「・・・そう、あなたは私から全てを奪った人。だから私の全てはあなたの物、あなたは私の全てなんです。
ふふ、また会えるまでもう少しの辛抱ですからね、シンさん」
二年後、帰国した言葉がシンと同じ高校に入り、同じくシンと同じ高校にいたはやて達と
激しい争奪戦を繰り広げるのはまた別のお話である。
終わり(?)
おまけの次回予告
デスティニー仮面となって社会の悪と戦うシンにある特命が下る。
それは、学園都市で行われている非人道的な実験を暴き出せというものだった。
だが、その情報は学園都市側にも漏れていたのである。
都市に潜入したシンを、“ミサカ”と名乗るクローン人間の集団が待ち受ける。
自分の意思を持たず、言われるがままに戦う彼女たちを相手にシンは本気で戦うことができない。
危うし、デスティニー仮面!
シン「敵の数が予想以上に多い。逃げ切れるのか!?」
その時、天から一筋の光が舞い降りた。
?「BADENDを壊す正義の死神、魔法少女『マジカル・ワード』参上です。
助けに来ましたよデスティニー仮面!」
シン「(死神?)・・・言葉。何してんだこんな場所で?」
言葉「こ、言葉ではありません。今の私はマジカル・ワードです!」
シン「それに何その格好。ちょっと派手すぎるんじゃ・・・」
言葉「赤服(レッドコート)に仮面付けただけのあなたにいわれたくありません!」
その時、天から一筋の雷が舞い降りた。
はやて「シンを追いかける祝福の風 魔法少女リリカル・はやてちゃん参上や!
助けにきたでデスティニー仮面!」
言葉「りりかる?」
シン「魔法少女? 俺より一歳年上なのに?」
はやて「あぁん!?」
シン・言葉「「いえ、何でもないです」」
はたして、シンはこの苦境を乗り切ることができるのか!
思いがけず発生した修羅場を切り開け、デスティニー仮面!!
最終更新:2011年01月22日 09:22