この作品はEX後の設定内容ですので本編と差異が生じる可能性があります。ご了承願います
今日も無事仕事を終え、なのは・シグナム・ギンガの三人はミスティアの屋台に来ており、既に少々酔っている。
残念ながらシンはヴィヴィオの面倒と、何やら用事があるようで今回は同席していない。
「しかし、まさか私達がこうして共にいられるなどかつては考えたこともなかったな…」
「そうだね。特にギンガがやっと恋に自覚し始めた時なんてねぇ~」
「い、言わないでくださいよ~」
かつては無自覚故に大胆なアプローチをしていたギンガであったが一転、視界に入ることさえ恥ずかしくてできなかった程だ。
「ははは、不謹慎ながらあの時ほど好機と思ったことはなかったさ。おかげで大分いい思い出を作らせてもらったがな」
「あう~」
「そういえばギンガって編み物上手だけど何で?」
このなのはの言葉は純粋な疑問だった。
今の時代、特にミッドのような就職年齢が低ければ女性といえど、とてもそのような特技が上達するのがまれだ。
「あ、それはよくお母さんの代わりに服の解れを縫ったりしてたりしたら一時期癖になってしまって。おかげで学校の部活は手芸部に…」
「ば、ばか!!」
慌ててギンガの言葉を止めるシグナム。
しばしきょとんとするが、自分の失言に気付き思わず手で口を噤むがもう遅い。
「…学校、部活……ううぅ」
声が小さく、段々目に涙が溜まり始めていくなのはは目から一筋の涙が流れ、酒によって脆くなった心のダムが決壊した!
「うわぁぁぁぁん、何で私は青春を捨てたの~~~うええぇぇぇ~~~~ん」
「バカ!なんで禁句を言った!?」
「あわわわわすみません!」
なのはの禁句
それは中学を卒業してから現在に至り、なのはは管理局に人生を捧げてきたと言ってもいい。
だが!シンと出会い恋に落ちてからは違う!!
彼女は今までの枯れた果てた人生に嘆くようになってしまったのだ!
特に学生恋愛物のドラマを見てしまったのが決定的だ!!
小、中学生を過ごしたと言っても時として管理局の仕事に出ていたことは多く、
学生生活すらまともに過ごしたためしがないと言って過言ではない!!
部活に入れない!恋し恋されたこともなく高校に進学できない!!
高校のビックイベントである修学旅行!学園祭!!体育祭!!!卒業式!!!!
もしシンと早く出逢えたら、素敵な思い出を作れたのではないのか!?
それからの彼女は酷く落ち込み、立ち直るのに非常に時間がかかった。
だからこそ、「学生生活」に関することを言ってはいけないのだ
「うえぇぇ~ん!どうせ私なんか魔法しか取りえの無い駄目女なんだ~~~」
「あああ、なのはさんしっかりしてください!」
「そ、そうだぞなのは!何もそれだけで女の価値が決まるわけではないぞ」
こうなってしまったら最悪朝までこのままかもしれないので必死に慰めるシグナムとギンガ。だが、
「そ、そうだよ。それに今日はバレンタインだから旦那様に何かプレゼントしたんでしょ?」
ミスティアの言葉に三人の時が止まった。
「え、え~ともしかして…」
『忘れてたぁーーー!!!』
その日の夜遅くまで、三人の女性の泣き声が響いたそうな。
「うう、やっぱり私は魔法しか取りえが無いんだ~…」
「主より、大切な人を見つけたのに、なんと無様な…」
「前に地球へ行ったときに教えてもらったのにぃ~…」
三者同様、愛する人への贈り物を忘れてしまい、未だ僅かに泣きながら家への帰路を歩いている。
だが、家が目前となった時彼は待っていたのだ
「三人とも、遅いぞ」
『シ、シン(君)!?』
「まったく、何時まで経っても帰ってこないからもうヴィヴィオ寝ちゃったぞ」
「あう、ごめんなさい」
「…すまない」
「すみません…」
「わかればいいよ。それから…」
手に持っている小さな植木鉢を三人に差し出す。
「その、一輪しかない花だけど、バレンタインプレゼントだ」
まるで夜明けが始まろうとする、美しい紫のチューリップだ。
「綺麗・・・」
その美しさに思わずギンガは無意識に感想を述べてしまう。
なのはとシグナムもただただ魅入る。
「いつもお世話になってるし、感謝の気持ちを受け取ってほしい」
「だ、だが私達は・・・」
「プレゼント、用意してないの・・・」
「この間地球で知ったのに・・・」
「三人とも何言ってるんだよ。俺は、その…」
「いつも一緒にいてくれることが、俺にとって一番大切なプレゼントなんだ」
「ねえねえシグナムさん、なのはさん」
「む、何だ?」
「なーに?」
既に深夜、三人は現在この家で同じ部屋で生活をしている。
時折シンも来るが。
「確かバレンタインのお返しの日ってありましたよね?」
「む、確かそんな日もあったな・・・」
「あ!じゃあその日一緒に?」
「はい。今日送れなかったバレンタインチョコを、ホワイトデーチョコにしませんか?」
「むぅ、だが私は料理関連は・・・」
「ご心配なく!その点は私、いざとなったらお母さんに師事してもらいますから!」
「はい!ですから一緒に頑張りましょう!」
「よ、よしわかった!ではホワイトデーにむけて・・・」
『頑張るぞー!』
一日が終り、また新たな一日がやってくる日々―――
彼女達はその日々を愛する者と共に大切に暮らしている―――
この幸福がどうか続いていきますように―――
余談だが、後日紫のチューリップの花言葉を知り、一日中顔を真赤にした三人であった。
花言葉・永遠の愛
ホワイトデーへ続く―――
最終更新:2011年02月15日 15:38