アットウィキロゴ

平和の人氏の東方小ネタ5

1


「あの~?」
 シンは途方に暮れていた。目の前には宴会という名の地獄絵図。
 普段ここまで酔わない、節度を保つ者も含めて、全て総て酔っ払い。少なくともシンの目には、自分以外のただ一人も、まともな人間がいそうにないのだ。
 最初に期待の目を向けた刹那は、早苗をおぶさり『ティエリア! 2期はこのガンダムで行くぞ! 背中のガンダムが本体タムだ!』と訳の分からない事を叫んでいる。早苗はへべれけで上機嫌だ。
 次に目を向けたのは、紅魔館の良心、紅美鈴だが、ナイフで木に打ち付けられていたので華麗にスルー。同館メイド長の『この胸がっ! この胸がっ!』と怒鳴りながらナイフを投げる姿も、これまたスルー。幼女に見える鬼に関しては、端からアテにしない。意外と常識人で波長の合う魔理沙は、笑いながら、隣でむきゅーと呻くパチュリーに、酒を浴びせていた。
「何飲んだらこうなる……」
 此処まで酒に弱かった覚えはない。一体……
「ありゃ? そういえば霊の奴何処だ? アリスもいないしなぁ……」
「私が何?」「どうかしたのかしら?」
 背後から二人の少女が現れる。
「どぅわぁぁ! 後ろから声掛けんなよ! ビビるし。……どこ行ってたんだ? それとこれどうする?」
「良いわ、放っておいても。どうせ酔いが覚めれば帰るわよ」
 霊夢の答えはいつも通りといえばいつも通り、一言でいえば随分と冷めたモノだった。
「でも、こんな皆が酔っ払うなんて珍しいわ。上海も初めて見るでしょうね」
 ホーラーイ
「しかしいつ見てもその人形凄いな……」
「アラ? シンのいた外にはもっと大きな人形もあるでしょう? もびるすーつだったかしら?」
 そう言うがアリスの顔は誇らしげでもある。
「そのサイズが凄いのさ。しっかしコレ、後片付けがなぁ……」
 再び宴会場に目を向けると、いつの間にやらほぼお開き状態と化している。先程までへべれけになっていた妖怪達は殆どいない。紅美鈴っぽいモノの残骸や、パチュリーが魔理沙にアルゼンチンバックブリーカーをかましていたが、見無かったことにする。
「当然、手伝うでしょう、シン。神社掃除も結構良いわよ」
 そういってシンの腕を取る霊夢。密着しているので、ささやかだが確かな柔らかさが、シンの鼓動を高める。
「え? あ、あ、ああぁ、そ、うだなぁ、うん」
 シンも枯れている訳ではない。霊夢の思ったよりも女の子らしい部分に、動揺を隠せない。
「…………………………ふん。なら霊夢、私も手伝うわ? 人は多い方が良いでしょう? ねぇ、シン。アナタもそう思うでしょ?」
「え? 都会派お嬢様のアリスに出来るのかしら? それに役に立たないと人が増えても邪魔なだけよ」
「こんな寂れた神社の掃除ぐらい、私でも出来るわ」
「よし、その喧嘩、買ったわ。段幕のフリして成敗してやる」
「きゃーこわい。シン、助けてー(棒)」
 そういってもう一方の腕にアリスが絡み付く。霊夢と違い、コチラはハッキリと分かる柔らかさ。シンの頭は色々といやらしい。いや、エロい。違う、助平な、
「もういいよ! どうせスケベだよ畜生!!」
「?」「?」
 両手に華だが、シンがその状況を堪能できるほど余裕を持つのは、まだ遥か先の話…………
「そんな事どうだって良いわ! シン、私とアリス! どっちが正しい! 当然私よね!」
「私に決まってるわ! ねぇ、シン」
「コレ選択肢間違えたら俺が酷い目にあうフラグ建ってるよねぇ!? 畜生!!」

数瞬後聞こえる段幕の音。そして聞こえる男の悲鳴と――ピチューン。
 幻想郷は今日も平和。


「ねぇ神奈子、早苗とコイツ、背負う荷物逆じゃない? 普通小柄な私が早苗で、神奈子が刹那じゃない?」
「うははぁ~! 早苗のおっぱい大きくなったねぇ~!」
「おい! 流石にその台詞はまずいぞ!! この変態!」
「落ち着け諏訪子。神奈子はあんな風だが、ここぞという場面ではガンダムだからな」
「起きてんのかよ! とっとと下りろ馬鹿ガンダム!」
「うひゃぁー! 早苗の上気した頬にキスしたいよー!」
「いい加減にしろぉ!」
「……諏訪子。神奈子はジオングとガンダム、どちらが喜ぶだろうか? 俺はガンダムの方が良いと思うが、赤い服が好きな神奈子はジオングの方が喜ぶかもしれない……、俺は……」
「シリアスな顔で馬鹿言ってんじゃないよぉ、この馬鹿刹那ぁ! もぅ、誰かこいつらなんとかしてぇぇぇ~~~~~~!!」

 幻想郷は今日も平和


2


『ガンダァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアァァァァァァァァムッッッッッ!!』
「あぁ……、朝か……、今日の予定は…………と」
 まだ半分寝ぼけたままの頭を無理矢理に覚醒させる赤目の男、シン。彼は今日の仕事を確認するために、アリス手製のカレンダーを確認する。
 遠方から聞こえる雄叫びは、いつの間にか此処、幻想郷において目覚まし代わりに使用されている。守矢を中心にして全域に。
 どんな大声だと突っ込む前に、守矢近くの妖怪達は、さぞ喧しいことだろう。
 風の噂では守矢神社中心とした地域では、驚くほど健康的な目覚めが迎えれるらしい。
「流石に御免だな……」
 シンは元々軍人ではあったので、早寝早起きが出来ない訳ではない。むしろ環境に応じてあっさり眠れるように訓練もしている。だが、かといってきつくないかと問われればノーなので、無理矢理起こされるのは勘弁願いたい。
「刹那もクセになってるよな、コレ」
 守矢の方角に顔を向け、きっと今頃幼女神に怒られているであろう、幻想郷にたどり着いてからの親友に思い馳せる。
「なぁに? 何かおかしなモノが見えたの?」
「んにゃ、何でも無いよ、アリス。また刹那の目覚ましだ」
「あぁ、あいつね。あの男も懲りないわよねぇ、本当に。『がんだむ』って名前、覚えちゃったわよ」
「正確には、ガンダムの中にも色々種類というか、色々分かれて…………?」
 この時シンは違和感に気付いた。
「どうしたの?」
 アリスが小首を傾げる。
「わぁっ! ア、アリスッ! 何でいるんだ!?」
 金髪の人形使いがそこにいた。
 シンは急いで辺りを確認する。完全に見慣れた景色で、どう考えても自宅だ。
ただ一ピースだけ、おかしい。
「何でも何も、泊まったからでしょ?」
 しかも恰好がまたいつもと違う。
 普段の大人しめな服装は何処へやら、ワインレッドの薄手のネグリジェ。
 何時もゆったりとした服で分かりづらい、豊かな肢体が惜し気もなく曝されている。むしろアリスの仕種一つ一つが、披露しているようにも感じられる。
 女性としての美しさに、少女特有の未成熟さが合交わり、何とも言えない色香を創る。
 シンも男だ。むしろそういう方面には興味津々だ。
「? ……ふふっ、どうしたのかしら、シン? 顔が、赤いわよ? アナタの目と、同じ色……」
 アリスの細く柔らかな指が、シンの頬を撫でる。
「こ、こ、こここれは、一体どどどどどどどうしたんでせうか?」
 頭から爪の先まで赤くしたシンは、正常に考えることも出来ない。仕方ない、だって男だから。
 もっとも多少の冷静さがシンにあれば、アリスもまたシンに負けず劣らず林檎頬になっている事、簡単に言えば照れている事に気づけたかもしれない。
 しかしシンは気付かない。
「昨日の事、忘れたとは言わさないわ……」
「えっ!?(忘れた! なんかした!? 流れ的にもしかして事後!? やばい!)」
 冷や汗が止まらない。
「責任、取ってもらわないとなぁ……」
(責任!? やっぱ確定か!)
 流石に無責任は如何なものか。腹を括るときが来たのか。
 シンは恐る恐る口を開――

「待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
けなかった。

 窓から飛び込んできた影が、シンの顔面に直撃する。
声にならない声をあげ錐揉み回転するシン。そのまま自身のベッドにダイブし、強制的に眠りにつかされる。
 飛び込んできた影、その正体は――
「ちょっと霊夢! シンに何すんのよっ! ってか邪魔すんな!」
 紅白巫女。怒髪天を突く勢いだが、アリスも引き下がらない。
「邪魔って? 『へべれけになるまで無理矢理飲ませて既成事実を作ろうとはしたモノの恥ずかしくなって結局出来ず、それならあったように振る舞って恋人関係作り上げよう』作戦の事? はっきり言って私が邪魔しなくても失敗したわよ、こんな杜撰な計画」
「何ですってぇ?」
「そもそも手を握るだけで顔赤くするアンタに大人の女なんて土台無理よ! 体を武器にするとか……、あぁ! やらし!」
「ん? ははぁ。……そうよね、だって霊夢には色気なんて無いものね。水着も男物で良さそうなそんなえぐれ胸じゃ、色仕掛けしたって、アホの子にしか見えないでしょうし」
「よし、その喧嘩買った。今度はスペカ無視でぶちのめす」
「望むところよ!」

 朝からシンの自宅周りは騒々しい。本人達は知らないが、実は二度寝防止用の騒音だったりするのだが、それをシンが理解出来るようになるには相当先の話だが……
 激しい段幕の嵐。こうして日は暮れていく
 今日も幻想郷は平和。


「あ、神奈子様。赤甲羅ぶつけさせて貰いますね」
「トランザム! スマン、神奈子。ぶつけさせてもらう。クッパは鋭く曲がれない」
「下手だねぇ、刹那は。ドリフトはこうやるんだよ。ドンキーだってこの通りさ。あ、神奈子。ついでにバナナプレゼントするよ」
「………………」
「神奈子様、周回遅れですよ」
「早苗は速いな。フラッグのようだ。神奈子、もう一発赤甲羅を送る」
「あーうー、その例え、将来仮面被られても困るから訂正してもらえるかい? あ、神奈子。雷取っちゃったから使うね、小さい体で頑張って」
「神奈子様! ファイト!」
「頑張れ神奈子、お前がナンバーワンだ」
「どこぞの野菜星の王子みたいな物言いだねぇ。それに周回遅れの最下位だし」
「…………もぅ、堪えて下さぃ…………」
 いつの間にやら守矢でもっともゲームから縁遠い神となってしまった神奈子!
 彼女の明日はどっちだ!

「ま、たまには神奈子がオチ担当してねー。それ緑発射!」
「いやぁ! だからって最下位の人間に甲羅ぶつけて遊ばないでーーーー!!」 幻想郷は今日も平和

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年02月25日 23:02
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。