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平和の人氏の東方小ネタ6

「あっ、シン君。仕事帰りですか?」
 不意に後ろから掛けられた声に、シンは体ごと振り返る。声の主が分からないからではない、むしろ知っているからこそ、だ。
「あぁ、美鈴さん。珍しいですね」
 どことなく中華っぽさが垂れ流されている、紅魔館の癒し系おっぱい――、違った。癒し系美女、紅美鈴。
「もしかしてとうとう職場放棄ですか? 流石にそれは如何かと……」
「え!? 頭の挨拶でそれはおかしくないですか!? もぅ、今日はちゃんとお休みもらってるんですよ! 何時もみたいなシエスタとは一味違います」
 彼女もまた、此処幻想郷で出来た知人の一人。
 特に彼女の場合、シンにとって名前的に不思議な親近感があり、また本人の妖怪とは思えない穏やかな気性もあってか、親しげに話せる一人なのだ。
 彼女の仕事は門番、しかしシンが荷物運びに勤しんでいる間、真っ当に働いている姿を見たことは、実は一度も無い。
 シンの聞いた話では、メイド長によくお仕置きをされているとか
(しかし美女が美女にお仕置きって、響きがエロいな……)
「シン君? どうしました?」
 アホな事を考えるシンの目の前に、美鈴の顔が近づく。
 整った顔立ちに、女性特有のほのかな良い香り、そして何より下から覗き込むような形になっているため、シンの視界にハッキリと写る…………豊かな二つの女性の証、母なる源、ジャイアントマウンテン、巨大肉まんよりも柔らかそうな……おっぱい
 随分と長く幻想郷に腰を落ち着けているシンであったが、美鈴ほどバランスと大きさを兼ね備えた胸はそう無い。
「いいいいいえいえいえいえ! なんでも無い、そう、何でもないさ!」
 ごまかすためとは言え、酷いうろたえぶりで、もしこれが霊夢やアリスなど、(シンの認識上)勘の良い人間ならば、何を見ていたのか丸分かりだ。
「本当ですか? まぁ、シン君がそこまで言うなら無理強いしませんけどね? でももし何かあったら相談ぐらいして下さいね?」
 そう朗らかな笑顔と共に、シンの手を取る美鈴。
 その行為が随分と落ち着くもので、シンにも心当たりがある。
「そうか、母親ってこういうものだ」
「え? 何ですか、シン君」
「あぁ、いや、美鈴さんって……、何だか母親の温かさがあるんだなぁって」
 シンは包み隠すことなく答えた。それは紛れも無く褒め言葉として使っているつもりなのだ。若くに家族と死別したシンにとって、家族を思わせる雰囲気は心地好いものだった。
 しかし
「え? えぇ!? ちょっ、ちょっとシン君! 私そんな老けてます!? まだ未婚の人間にそれは! えぇ、何で? 服? もっとフリフリのドレス着た方が若く見えるんでしょうか……」
 美鈴本人にはそう受け取ってもらえなかったようだ。
 どうやら『母親』の部分を老けている的な意味合いで認識したらしい。というよりも妖怪でもその辺は気にするものなのかとシンは改めて知った。
「あ、あの、美鈴さん?」
「ねぇ、シン君!? どうしたら年寄りに見えなくなります!?」
「そっ、そこ……、気になるんですか?」
「だって里の人だけならまだしも、他の妖怪まで口々にお母さんって言うんですよぉ!? 少なくとも嘘つき兎に母呼ばわりされるような年取ってませんよぉ!!」
 あまりの様子にシンはたじろぐしか出来ない。
「私肌かさかさですか? 違いますよね! 男性のシン君から見て私ってどうですか!? もう熟年の色気になっちゃってます!? まだ肌とか若いですよね!? ホラッ、ホラァ!!」
 興奮する美鈴は戸惑うシンの前で胸元を開け、確認するよう強要しはじめる。
「わぁっ! ちょっと! 美鈴さん! 流石にそれは!!」
 美鈴自身も自分で何をしているのか分かっていないと見える。二つの肉まんが眩しい。いけないと思いつつも、シンの視線は釘付けだ。
 正直この体つき見ていると、母性という言葉がよく似合う。誰か一人ぐらい母性があるから云々と説明してやれば良かったものを
「うぅ……、私まだお付き合いだってしてないのにぃ……」
 シンが考えてる間に、美鈴は地面にのの字を書き始めている。相当参っているようだ。
 これはフォローしておかねばならない。
「あ、あの美鈴さん。そんな悪い方に考えないで下さい。その、あくまで母性があるって意味で、老けてるとは違うと思いますし……」
「本当ですかっ、シン君!? 私行けますか!?」
 その一言に飛びつく美鈴。酷い密着具合で、柔らかい感触もあるのだが、それ以上に……
「アダダダダダッ! 美鈴さん! 力が! 力入りすぎ!!」
 その妖怪パワーで握り締められた両の手が、痛い。
 妖怪という者は、総じて人よりも高い身体能力を持ち合わせているが、紅美鈴という妖怪。段幕勝負よりも体術の方が得意なくらいで、その力も一際強い。コーディネーターとは言え、ただの人間の範囲を抜け出ないシンでは、堪ったものではない。
「あ! ちょっ! アッーーーー!!」
 メシリと一際高い音が鳴り、今日も幻想郷は平和に過ぎる。


「ちょっと早苗。あのがんだむ男に朝のボリュームちょっと落とせって言っておいて」
「え? 五月蝿いですか? ていうか刹那さんの声、アリスさんの自宅まで届いているんですね」
「家の神社にもね。アンタぐらいしか波長合わないんだから手綱握っときなさい」
「まっ、刹那はそこ以外は素直だからな。結構無愛想なシンと違って、喋るし」
「あら、心外ね、魔理沙。シンの方が人受け良いわよ、絶対」
「そうね、アリスの言葉借りる訳じゃ無いけど、シンの……」
「いやいや、全体に対してって意味でさ。シンは嫌いな人間に対する嫌悪感、隠さないだろ?」
「あぁ、確かに。シンさんって顔に出やすいですもんね。刹那さんは以外とどんな人とでも変わらないですけど」
「あの男の場合、変わらないんじゃなくて、どうでもいいだけじゃないの? それなら……」
「はいはい、霊夢もアリスも、シンの事大好きだから全部良く見えるんだろうけどねぇ」
「違うわ、魔理沙。私は霊夢と違ってシンの悪いところも知ってるわ。それを受け入れてるってだけ」
「まるで自分の方が知っているみたいな言い方はおかしくない? 私の方が付き合い長いし……」
「って言っても精々一週間。そんな小さなモノに頼るなんて――」
「何よ――」

「あーあー、二人も飽きないね。で、これからお前さんはどうすんの、早苗」
「あ、そろそろ帰ります。神奈子様に頼んでおいたディスガイアのレベル上げも良い具合になっているでしょうから」
「…………お前の所の神様、それで良いのか?」


「うふふ、早苗が一杯だよ、諏訪子。キャラメイク全部早苗って名前にしてるんだぁ」
「ちょっ! 神奈子! 目がおかしい、おかしいからぁ! 誰かー! レスキュー!!」
 幻想郷は、いつも平和。

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最終更新:2011年03月11日 00:10
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