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『機動戦士ガンダムチート~オノゴロ島で────ぶっちぎるぜ!!~』

『機動戦士ガンダムチート~オノゴロ島で────ぶっちぎるぜ!!~』

 ~ちょっぴり違うコズミック・イラのお話~

 突如連合軍の侵攻を受け、戦火にさらされたオーブ首長国連邦。技術立国として栄える
かの国の、中核をなす国営企業モルゲンレーテを有するオノゴロ島の一角に、
山道を避難船目指してひた走る家族の姿があった。
 オーブ軍も奮闘していたが、連合軍の物量に押され前線は後退し、既に島の上空でも
両軍のMSがぶつかり合い、おびただしいビーム兵器の応酬が繰り広げられている。
 そんないつ流れ弾が飛んでくるかも定かでない状況の中、逃げる少女のポケットから
ピンクの携帯電話が転がり落ちた。核分裂を抑制し、広範囲に電波障害をもたらす
ニュートロンジャマーが、連合軍本来の敵であるザフトによって各地へ埋設されてからは
通話は不可能となっていたが、少女マユ・アスカにとってははじめて買ってもらった
思い出の品なのだ。
「マユの携帯!!」
「そんなのほっときなさい!!」
「いやぁ!!」
 斜面を転がり落ちた携帯に気づいたマユは悲痛な声を上げるが、命のほうが大事だと
母親は声を荒げて引き止める。
「俺が取ってくる!」
 それを見かねた少女の兄、シン・アスカが斜面を滑り降り、携帯に手を伸ばした直後
背後で爆風が巻き起こり、彼の体を崖下へ無慈悲に蹴落とした。
「うわあああああああああ!」
 崖とはいえ大半は緩やかな斜面になっており、残りも十分徒歩で降りられる高さだったのが
幸いしたのか、シンは痛みをこらえながらも起き上がることが出来た。
 ────そうだ、マユは、父さんと母さんはどうなった!?
 家族の安否を確かめるべく崖上へ視線をめぐらせた彼は、信じがたいものを目にしてしまう。
 無いのだ。つい先ほどまで己の家族が居た辺りが、ごっそりと抉られるように無くなっていたのだ。
 きっと、俺みたいに落ちたんだ。みんなもきっと怪我したぐらいで、死んでなんかいないはずさ!
 流れ弾が着弾したのだろうその痕跡を見ても、最悪の事態など考えたくもないと
必死に家族の姿を探すシン。
 そこで彼は、不思議なものを見た。
 “光り輝く液体”としかいえないものが、ぐにょぐにょと波打ちながら彼の眼前に這いより、
その中から三人の人間────自分の家族を吐き出したのだ。
「────マユ! 父さん! 母さん!!」
「おにいちゃん!!」
「シン!!」
 家族の無事を確かめ合い、涙ながらに抱擁を交わす一家。そんな彼らへ、
輝く液体はたちまちその姿を変えると優しげに語り掛ける。
「怪我はありませんか?」
「あ……貴方は? 一体……?」

 それは青と銀色の体表に大きくて真っ赤な目をした、どこかバッタなどの昆虫を思わせる風貌の
異形の人物だった。
TVで放送される特撮番組の主役か何かだといわれても納得できそうな姿の彼に、
一同は困惑を隠せない。
「そんなことはいい、早く避難してください!」
「わ、わかりました! ほら、みんな行くぞ!!」
「誰かは知りませんがありがとうございました!!」
 だが有無を言わさない彼の言葉に背中を押され、手短に礼を述べたアスカ一家は
目と鼻の先に停泊していた避難船へ走った。
 それを見届けた彼は、上空で繰り広げられるMS同士の戦いや工場施設へ迫り来る
“怪魔ロボット”の軍勢にギリギリと怒りの炎を滾らせる。
 刹那、眩い光に包まれた彼の姿はそれまでの生物めいた青銀から、工事現場や蜂の警戒色を思わせる
黄色と黒に塗り分けられた、金属質で重厚な姿へと変わった。
 彼は風に、雲に、太陽に、この世の生けとし生ける全てのものへの宣誓が如く己の名を叫ぶ!

『俺は炎の王子! RXッ! ロボライダーッ!!』

 名乗りと同時にその右手へ一丁の拳銃が握られ、莫大なエネルギーが充填されてゆく。
「おのれクライシス! 連合軍を掌握し、このオーブを征服せんとする悪事!
 この俺がなんとしても打ち砕いてやる!!」
 轟砲一発、愛銃ボルティックシューターから撃ち放たれた小型の太陽のごとき光弾は、
上空でオーブ軍の協力者であるフリーダムを苦戦させていたカラミティを一撃の下に粉砕していた。

□□□□

「あの人、一体なんだったんだろう?」
「名前訊けなかったもんね」
 避難船の中、アスカ家の子供たちは彼のヒーローの話題で持ちきりだった。
 だが、ふと何かを思い出した父親が膝を叩き、嬉しそうに叫んだ。
「────思い出した! あの人は仮面ライダーだ!!」
「か、仮面ライダー?」
「そうさ、父さんが子供の頃、日本を守ってくれていたヒーローさ!!」
 ────仮面、ライダー。
 童心が甦ったかのように熱っぽく話す父をよそに、シンは胸の中でその名を繰り返していた。
まるで二度と忘れまいと、魂へ焼き付けようとするかのように。

 ────戦いは終わり、つかの間の平和が訪れた。
 危うく全てを失うところだった少年の胸には、家族を救ったヒーローの姿が
いつまでも焼きついていることだろう。
 ありがとう、仮面ライダー!

むしゃくしゃしてやった。
でも反省しない。絶対にしない。

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最終更新:2011年06月07日 08:37
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