1
シンとチルノが慧音の家で一泊する事が決まった時
チルノが先に客間で寝ている時慧音はひとつ気になる事があった。
それは今後の方針である。
基本、外来人は博麗神社に行ってそこにいる巫女に外界へ送ってもらう
というのが基本である。
しかし、今回シンの居た世界と外界との技術のレベルが違う。
一応外の世界も宇宙には出ている。
が、宇宙に街があるというシンの言う事が正しいのなら
シンは外界の人間ではないのである。
なので慧音はしばらくこの人里に滞在する事を薦め、シンも承諾した。
しばらくは寺子屋の手伝いをしてもらうことになり
シンは寺子屋の授業を知るために寺子屋を見学することになった。
傷心の少年と天真爛漫な氷精
~寺子屋の新たな教師~
慧音「みんなおはよう」
子供達「おはようございます!!」
慧音の号令によって寺子屋の一限目の授業が始まった。
慧音「ではチルノこの問題を解いてみろ」
チルノ「はーい」
慧音がチルノに出題した問題は算数を学ぶ上で
最初に覚える足し算の問題である。
シンからすれば非常に簡単な問題であるが
チルノにはかなり難しかったらしく
チルノ「えーと…えーと…1+1は…3!」
チルノは精一杯考えて出した答えを聞いたシンは思わずずっこけそうになった。
無論この答えは間違いであり
慧音「違うぞチルノ。答えは2だ」
リグル「ハハハッ!!まさか1+1を間違えうなんて!」
ミスティア「アハハッ!!やっぱりチルノはバカだね!!」
ルーミア「バカなのかー」
子供達「あははははははは!!!」
チルノ「え…?あれ?」
慧音に間違いと言われ周りの子供たちが一斉に笑いだす。
その中でチルノは顔を赤くしながら俯いていた。
シンも一瞬笑いそうになったが周りの子供達が
笑っているの見て少し顔を顰めた。
一刻後、寺子屋の授業が終わり子供達が帰って行くのを見ながら
慧音はシンに声を掛けた。
慧音「寺子屋の授業はどうだったか?」
シン「はい。俺でも何とか手伝えそうです」
慧音「そうか。私は宿題の準備をしなくてはいけないから
適当に人里を散策していてくれ」
シン「わかりました」
慧音と別れた後、シンはチルノを探すことにした。
もともと見つけやすいタイプであるチルノを探すのに
数分とかからず見つけたがチルノの雰囲気は暗かった。
チルノ「あ。シン兄…」
シン「どうしたんだチルノ?こんなところで」
チルノ「ちょっと落ち込んでいただけ」
シン「もしかして一限目の授業のことか?」
シンはチルノに落ち込んでいた理由を察した。
だからシンはチルノにある提案をした。
シン「チルノ。よかったら俺が勉強を教えようか?」
チルノ「え?いいの?」
それはシンがチルノに勉強を教えることである。
チルノにとってその提案は非常に嬉しいものであった。
普段一緒に勉強している大妖精は今は妖精達の面倒で忙しく、
チルノに時間を割けなくなっていたのである。
シン「ああ。これから人に物事を教える事になるからな」
チルノ「え?」
シン「そういえば言って無かったな。
俺はこれから寺子屋で先生をすることになったんだ」
チルノ「本当にいいの?」
シン「ああ。だから頑張ろうなチルノ」
チルノ「うん!!」
こうしてシンの初めての生徒となったチルノはシンの個別授業が始まった。
シン「さてと、準備もできたし始めるか」
チルノ「えーと…なんでりんごが10個もあるの?」
場所を寺子屋の客間に移したシンはチルノとの授業を始めようとしたがチルノがなぜりんごが置いてあるのかと尋ねた。
シン「教材だよ」
チルノ「え?でも今からするのは算数の授業じゃ」
チルノはなぜりんごが教材というものになるのか疑問に思ったがその疑問はすぐに溶けることになる。
シン「まず今日慧音先生が出したこの問題の1+1だけど…」
シンはそう言いながらリンゴを1つ手に取る。
シン「今俺が持ってるりんごは1個だよな?」
チルノ「う、うん…」
シン「そこにもう1個りんごを取ると俺が持ってるりんごは何個になる?」
更にシンはもう1個のリンゴを手に取り、
チルノに今自分が何個りんごを持っているか尋ねた。
チルノ「2個…だよね」
シン「ああ。そうだ」
チルノ「え?てことはけーねせんせーの出した問題の答えって2?」
そこでチルノは慧音に出された問題の答えをシンに言った。
シン「そのとおり!」
シンは嬉しそうな顔をしながらチルノを褒め、頭をなでた。
チルノ「えへへ~」
シン「じゃあ次は…」
少女勉強中…
チルノに授業をしている間に日が暮れたのに気がついたシンはつい熱が入ってしまったと若干後悔しながらも自分の膝をみる。
そこには今日の勉強で疲れたのかシンの膝の上で寝ているチルノだった。
シンはそんな彼女に頬を緩ませながらチルノの頭をやさしくなでた。
慧音「やれやれ今日もチルノはここで寝泊まりか」
シン「あ、慧音さん…」
そんなシンに夕食ができた事を伝えるためにやって来た慧音が部屋にあった机を見て目を丸くした。
慧音「これは…」
シン「慧音さん、どうかしましたか?」
慧音「いや。これはこの前チルノに出した宿題なのだが…」
目を丸くした慧音にシンはどうしたのかと尋ね、慧音は机の上にある問題集のことを話した。
シン「それって提出期限がきれてるんですか?」
慧音「いや、これは今日私が子供達に出した宿題だ」
シンは焦りながら慧音に尋ねたが慧音はこれは今日出した宿題だと
言い問題集(12ページ)の答えを見ていた。
慧音「まさかチルノが全問正解するとは…」
慧音は驚きながら問題集の答えを全て見終え、正直な感想を言った。
シンはそんな慧音を見ながら自分の膝からチルノの頭を降ろして
あらかじめひいてあった布団にチルノを寝かせた。
慧音「シン」
シン「はい?」
慧音「やはりここで教師をやってくれないか?」
シン「え?」
慧音「必要な物はこちらで準備をする。だから教師になってくれないか?」
慧音は改めてシンに寺子屋の教師になってほしいと頼んだ。
無論、シンも寺子屋の教師になるつもりだったので
シン「はい!これからよろしくお願いします!」
と答えた。
翌日
慧音「みんなおはよう」
子供達「おはようございます!!」
朝の授業が始まる前に慧音は子供達にある連絡する。
慧音「今日は新しく先生をしてくれる人を紹介する。シン!入ってきてくれ!」
シン「えーと…ここで先生をする事になったシンです。よろしく」
子供達「よろしくおねがいします!!」
この日寺子屋の新たな教師が生まれたのだった…。
2
シンが寺子屋で教師を初めて一週間がすぎた。
シンの授業は分かりやすく覚えやすいと好評で、
人里の大人達にも一目おかれ、シンの為に開いている長屋を提供された。
しかし、このことをよく思わない大人も何人かいた。
そして、博麗の巫女に異変と認定されてしまうとはこの時それを知る者は誰もいなかった。
傷心の少年と天真爛漫な氷精
~博麗の巫女~
子供達「ありがとうございましたー!!」
シン「おう!みんな気をつけてかえるんだぞ~!」
今日の寺子屋の仕事も終わり一息ついていたシン。
一度慣れてみると子供達に物事を教えるのも悪くないと思っていた。
分からなかったものが分かった時の子供達の表情は
今まで戦いに明け暮れていたシンにとって癒しとなっていた。
チルノ「シン兄~!宿題できたよ~!!」
特に幻想郷に来て初めてであったチルノはシンにとって一番の癒しとなっている。
シン「お。もうできたのか?じゃあ答え合わせをするな」
チルノ「うん!」
この光景もこの人里では当たり前の景色となっている。
チルノはシンに勉強の仕方を教えてもらったあと、学力が最も向上していた。
今、この光景も数日前にはありえなかった景色である。
何故チルノがここまで学力が向上したのには理由がある。
それは「シン兄に褒めてもらいたい」という気持ちである。
今までチルノもチルノなりに努力をしていたがどれも空回りし、寺子屋の子供達や大人達にバカにされ、
自分が言った事は「妖精の言う事」としてだれも信用してくれなかった。
しかし、シンはチルノをバカにせずしっかりと自分に向き合い
自分を認めてくれたのが嬉しかったのである。
だからチルノはシンに褒めてもらうために努力をした結果、
寺子屋でのテストの成績はベスト3に入るまでに至っている。
シン「うん。全問正解だな。よく頑張ったなチルノ」
チルノ「えへへ~」
チルノの宿題の答え合わせを終えたシンはチルノの頭をなでながら褒め、
チルノは満面な笑みを浮かべた。
シン「そうだ。いつもチルノは頑張っているから今度ご褒美をあげるからな」
チルノ「ホント!」
シン「ああ。なにをあげるかは内緒だけどな」
チルノはシンが自分にご褒美をくれると聞いて喜び、
シンはそんなチルノを慈しむ目で見ながらチルノにあげるご褒美を考えていた。
この光景を見ている人里の大人達も癒されながら、今日の仕事を進める。
それが今の人里の日常だった。
チルノ「何がもらえるのかな~?」
チルノはシンがくれるというご褒美を想像しながら自分の家に帰る途中
森の入口で見慣れた人影を見つけた。
その人影の正体は現在の博麗の巫女である博麗 霊夢であった。
チルノはなぜ自分の家に彼女がいるのか疑問に思いながら霊夢に声を掛けた。
チルノ「霊夢?こんなところでどうしたの?」
チルノが霊夢に声を掛けるが霊夢は無言でおはらい棒をチルノに突きつけた。
霊夢「チルノ?最近あなたは頭が良くなったっていうじゃない」
チルノ「そ、それがどうしたの?」
チルノは思わず後ずさりながら霊夢の問いに答える。
今の霊夢の眼は異変解決をしている時の眼である。
チルノは何故自分が霊夢に敵意を抱かれているかがさっぱりわからなかった。
霊夢「あなたがそこまで頭が良くなるなんて異変に違いないわ。
だから私はあなたを退治する」
チルノ「ええ!?いきなりそんなことを言われても…」
霊夢「問答無用!!」
いきなりのことで戸惑うチルノ
霊夢は先手必勝とばかりにチルノへ針を投擲するが何者かに撃ち落とされた。
チルノ「え…?」
霊夢「誰!?」
霊夢は自分の投げた針が撃ち落とされたことに動揺して
あたりを見回すとそこにはシンがいた。
そして動揺する霊夢にシンが話しかけた
シン「おいそこのアンタ」
チルノ「シン兄?」
霊夢「何よ?」
霊夢は自分の攻撃を妨害された事を不満に思いながら
シンを見るとシンの眼は強い怒気を宿していた。
シン「どこの誰かは知らないけどなんでいきなりチルノに手を出そうとした?」
シンは冷静な口調で霊夢に問いかけ、霊夢は
霊夢「今回の異変の関係者に攻撃をして何が悪いの?」
と、何事も無いかのように返した。
しかし、その瞬間、霊夢はとてつもない悪寒を感じた。
霊夢はその悪寒の正体を探し、その悪寒の正体をすぐに特定した。
シン「なるほどな。アンタが慧音さんの言っていた博麗の巫女か?」
霊夢「そ、それがどうしたのよ?」
霊夢は未だに感じる悪寒に耐えながらシンに言い返した。
シン「チルノは異変になるようなことはしていない。
それでもアンタはチルノを退治するのか?」
霊夢「妖精は不死なんだから問題ないじゃない!それに妖精が妖怪を超えるなんて
普通はありえないわよ!!」
シン「妖精が妖怪を倒してはいけないと誰が決めた?
チルノの頭が少し良くなったからって、いきなり襲うのが
アンタの言う【正しい事】なのか?」
霊夢「そ、それは…」
霊夢は今自分の身に起きている事が理解できなかった。
いきなり現れた1人の少年に自分が気押されているのである。
そう、霊夢の感じた悪寒とはシンの眼から発せられている強烈な殺気である。
妖怪の賢者である八雲 紫から殺気だけで妖怪を追い返した奴がいると聞いたが
まさかその人物が目の前にいる男とは見当もつかなかったのである。
シン「もしアンタがチルノに手を出すというのなら…」
シンは自分の懐からナイフを取り出し
シン「俺がアンタを倒す」
霊夢の首筋へナイフを突き付けた。
霊夢「ヒッ!」
一方、霊夢の頭は混乱していた。
自分は今まで多数の異変を解決してきた。
しかし、その自分が1人の少年にナイフを突き付けられて恐怖しているのである。
自分の本能が逃げろと警鐘を上げている。
が、霊夢はシンから発せられる殺気に身動きができなかった。
霊夢は泣き出しそうになっていた。
今まで自分が解決してきた異変など所詮はお遊びに過ぎないのだと。
自分はこの少年に殺されるのだと思い逃げようとするが恐怖のあまり腰を抜かしてしまった。
霊夢「ひっく…」
シン「!?」
そして、霊夢は遂に泣き出してしまった。
シンは内心やりすぎたかと思って後悔しながら、もう彼女に戦意がないと確認すると、
ナイフをしまい、殺気を解いて霊夢に近づいた。
霊夢「もうやだぁ…。神社に帰りたいよぉ…」
シン「君がチルノ達に手を出さないのなら俺も君を殺さない」
霊夢「ふえ?」
シンは泣きじゃくる霊夢を優しく抱きしめた。
霊夢「え?え?」
シン「だからもう君は戦わなくていいんだ」
霊夢はいきなりのことで頭がパニックになっていたが何故か自分の心が温かくなっていくのを感じた。
その後、強烈な眠気が霊夢を襲った。
霊夢はその眠気に身体を預け、そのままシンの胸の中で眠った。
シン「ふう…」
チルノ「シン兄ってほんとに凄いね…」
シン「そうか?」
チルノはシンの胸の中で眠る霊夢を羨ましがりながらシンに声を掛けた。
チルノは何故霊夢にここまで嫉妬しているのかが分からなかった。
シン「よいしょっと…」
チルノ「もう日が暮れたね…」
シン「そうだな。このまま森の中へ入るのは危険だからチルノも
今日は俺の家に泊まってけ」
チルノ「いいの?」
シン「どうせ晩飯を食うなら1人より2人の方がいいだろ?」
チルノ「う、うん」
シン「じゃあ帰るか!」
チルノ「うん!」
シンは眠った霊夢を抱きかかえながらチルノと共に長屋へ帰って行った…。
最終更新:2011年06月07日 10:12