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傷心の少年と天真爛漫な氷精-03

1

霊夢を抱えながら長屋へ帰るシンは幻想郷に来る前の事を思い出していた。
あの戦争…メサイア戦役の後、シンはクライン派の一員として暴動の鎮圧の任にあたっていた。
無論、元デュランダル派の一員だったシンを嫌う者も多く、
駆り出される戦場はどこもかしこも地獄だった。
ある時はデスティニーのみでテロリストのMSの大群との戦闘
またある時は単身で装備は拳銃とナイフのみでテロリストの基地を制圧
またある時はクライン派に抵抗する集落の焼き討ち
またある時は平和の敵と称して女子供老人関係なしに皆殺しにするという任務
そのような任務を単独で繰り返していく度にシンは
自分の人としての何かが抜け落ちていくのを感じていた。
人々は過酷な任務を生き残ったシンに対して【人修羅】という称号を与え、怖れた。
それでも、【人修羅】と呼ばれてもシンは戦争を無くすために戦い続けた。
そして、自分が最後に参加した作戦は味方と共同で月のコペルニクスで起こっている内乱の鎮圧
しかし、その作戦の本当の内容は【人修羅】シン・アスカの討伐であった。
結果周りの味方が全て敵となり、シンは自分以外の全てを殺し、最後の敵を殺した時に自身も光に包まれた。
その後、何故自分が幻想郷に辿り着いたのかは分からない。
もし、あの時自分が最初に会ったのがチルノではなくただの人食い妖怪だったら…
そこまで考えたシンは頭を振ってその可能性は捨てた。
あの時に会ったのはチルノだし、今の自分は寺子屋の教師だ。
ここは戦争とは無縁の地だ。だからC.Eにいた時のバケモノに戻る必要はない。


傷心の少年と天真爛漫な氷精
~仲直り~

シン「お~いもう昼だぞーー!」
霊夢「ううん…」

シンに呼びかけられ霊夢は目を覚ました。

霊夢「ハッ!ここはどこ!?」
シン「ここは俺が住んでいる長屋だ」

霊夢はあたりを見回すとここは自分の住んでいる博麗神社ではないことに気がついた。
それに対してシンはここが自分の住んでいる長屋だと霊夢に応え、
霊夢に緑茶の入った湯呑を渡した。

霊夢「なんで私を助けたの?」
シン「?」

霊夢は何故シンが自分を尋ねたのかを尋ねた。
霊夢にとっては自分を殺そうとした奴が何故自分を助けたのかが理解できなかった。
無論、シンはそれに対する答えを持っていた。

シン「それは…戦争じゃなかったから…かな」
霊夢「戦争?」
シン「ああ。ここは幻想郷。俺の居た狂った世界じゃないし、
   それに人を助けるのに理由はいるのか?」
霊夢「そ、それは…」

霊夢はシンの返答にただただ驚かされるばかりだった。
本当に目の前にいる少年はあの時、
自分に対して気が狂いそうな殺気を出した本人なのだろうか?
そして、霊夢は目の前にいる少年に興味を持った。
自分とは違う何かをこの少年は持っていると。
だから聞きたかった。少年の名前を

霊夢「私は博麗 霊夢。アンタの名前は?」
シン「俺はシン。シン・アスカだ。外来人で、今は一応寺子屋の教師をやってる」
霊夢「もしかしてアンタが最近寺子屋で教師になったっていう?」
シン「ああ。そうだけどそれがどうかしたか?」
霊夢「い、いや…なんでもないわよ」

霊夢は萃香が人里で新しい寺子屋の教師ができたと言っていたが
まさか自分の目の前にいるシンが教師だとは思わなかった。


そんなやり取りをしているうちにシンの長屋にチルノがやって来た。

チルノ「お邪魔しま~す!!」
シン「お、来たか。鍵は開いているから入ってもいいぞ~」

シンが入ってきてもいいと応えたあと、チルノが長屋の中に入ってきた。

チルノ「あ、霊夢。目を覚ましたんだ!」
霊夢「え、ええ」

チルノが霊夢に話しかけ、霊夢も気が引けながらも返した。
いくら退治の命令が着たからとはいえ問答無用でチルノを退治しようとしたのである。
そう、元々霊夢はチルノを退治しろという命令でチルノを退治する為にチルノと接触したのである。
チルノの退治を依頼したのは地獄の閻魔と紫である。
彼女達はチルノが妖精の規格を超えた力を持つだけでなく、
妖精以上の知力を持つことでこの幻想郷のバランスが崩れることを恐れ、
霊夢に’’妖怪退治’’を依頼したのである。
本当なら霊夢はただ頭が良くなった程度でチルノを退治するということはしたくなかった。
しかし、自分は博麗の巫女である。
異変の原因を放置しておくことはできない。
だから霊夢は自分の感情を押し殺してチルノを退治しようとした。
この事を話した時単なる言い訳に過ぎないと思った霊夢だが2人は

チルノ「あのことなら気にしてないよ!」
シン「ああ。誰かに依頼されたのなら霊夢を責める理由は無いしな」

と言って許してくれた。

霊夢「で、でもわたしはチルノを退治しようとしたのよ!?」
シン「だけど霊夢はチルノを退治したくなかったんだろ?それに…」
霊夢「それに?」
シン「今の霊夢は博麗の巫女じゃなくてただの霊夢だろ?」
霊夢「!?」

霊夢は何故かまた涙を流したくなった。
霊夢は幼少の頃から博麗の巫女として博麗神社で過ごしており、
今までの人生の3分の1は妖怪退治の日々だった。
人里の人々は霊夢を霊夢としてではなく博麗の巫女としてか見ていなかった。
彼女の友人である魔理沙もどこか自分を怖れていた節があった。
霊夢は1人だった。
誰にも悩みを話す事が出来ず生きていた。
そして、霊夢は自分を【博麗の巫女】としてではなく、
【霊夢】として見てくれるシンに惹かれていった。

シン「さてと準備もできたし、デスティニーの所に行くか!」
チルノ「は~い!」
霊夢「………」
シン「よかったら霊夢も来るか?」
霊夢「え?」
チルノ「そーだね!2人より3人の方が楽しいもんね!」
霊夢「いいの?」
シン「その為に弁当を3人分用意したからな」
チルノ「霊夢も一緒にいこ!!」

チルノは満面の笑みで霊夢の手を差し出し

霊夢「ええ!行きましょう!」

霊夢も満面の笑みでチルノの手を取り長屋の外を出た。


シンはそんな2人を見ながら慈しむような目で見て、シンも長屋から出発した。
この世界は平和だ。
だから自分がC.Eにいた時の【人修羅】に戻る時が来る事が無いことを
心から願いながら…。

2

チルノはシンと出会う前の自分を思い出していた。
みんな自分の事をバカにして自分はそんな奴らを見返そうとして
いろんな奴に勝負を吹っ掛けたりして負けてその度にまたバカにされていた。
たまたま自分がシンに出会う時、チルノは一番最初に地震の原因を見つければ
みんな自分を見直すと思って単身、地震の震源地へ向かった。
シンと出会い、シンに勉強の仕方を教えてくれた。
その後はグングンと成績も伸び誰も自分をバカにする者はいなくなった。
もしあの時チルノがシンに出会わなかったら…。
チルノはそこまで考えてその考えを消した。
難しい事はよく分からない。
だけど今この時が自分にとって一番の幸せだとチルノは感じていた。


傷心の少年と天真爛漫な氷精
~デスティニー~

チルノ「シン兄~お腹すいた~…」

人里を出発してからはや1時間。
チルノは自分の空腹をシンに訴えた。

シン「そういえばそろそろ昼だな…。よし!昼飯にするか!」
チルノ「わーい!!」

シンは太陽の位置を見てだいたい昼頃と判断したシンは昼食をとることにした。

シン「だいたいここらへんでいいな…」
チルノ「シン兄~。お弁当の中身は何~?」
霊夢「それはわたしも楽しみだわ」
シン「まあ開けてのお楽しみさ」

近くの河原に昼食を食べる場所を確保したシンに
チルノと霊夢は弁当の中身は何かと尋ねた。
しかし、シンは中身は開けてのお楽しみと言って弁当箱(3人分)を取りだし

シン「それじゃ蓋を開けるぞ!」

と言ってシンは弁当箱の蓋を開けた。

シン「俺特製のサンドイッチ+フライドチキンバーガーだ!」
チルノ「うわ~!うまそ~!!」
霊夢「ホントにおいしそう!!」

シンがつくった弁当の中身はサンドイッチ(ハムレタス、タマゴ、イチゴと生クリーム(ラッピング済み))
とカリッと揚げたフライドチキンとレタスとトマトをバーガーパンで挟んだ
フライドチキンバーガーであった。

チルノ「う~早く食べた~い!!」
シン「待った食べる前に言う事があるだろ?」
チルノ「あ、そうだった」

チルノが今にも食べだしそうな勢いでシンに食べようと言ったがシンはこれを諫めて手を合わせた。
チルノと霊夢もそれにならって手を合わせて3人そろって

3人「「「いただきます!!」」」

と言い、思い思いのパンを手に取った。


チルノ「おいし~!!」
霊夢「初めて食べるものだけどホントにおいしい!!」
シン「そう言ってくれたならつくった甲斐があったな」

チルノと霊夢がシンのつくったサンドイッチに舌鼓を打ち、
シンもそれを満足そうに眺めながらバーガーを食べた。

シン「ここは綺麗な景色だな…」
霊夢「言われてみればここって本当に綺麗ね…」
チルノ「そ~だね~」

シンは何気なしに周りの景色を見て思わず感動してしまった。
シンが見た景色とは緑豊かな森に目の前を流れる小川。
そして、その小川の終着点である湖であった。
霊夢とチルノも改めてこの景色を見たが思わず感動した。
それだけにこの景色が美しかったのである。
3人はこの景色を眺めながら昼食を食べ終え

3人「「「ごちそうさまでした!」」」

再び手を合わせて自分達の食べたものに感謝の言葉として
「ごちそうさま」と言った。

シン「さてっと…」
チルノ「おいしかった~」
霊夢「ホントにね…」

昼食を食べ終え、シンは弁当箱を片付けて先へ進むことにした。

シン「そろそろ着くころだな…」
霊夢「ねえシン」
シン「どうした?霊夢」

再び出発をして目的地へ向かう最中、霊夢はひとつ気になる事があった。

霊夢「わたし達が行く所に何があるの?」

霊夢が気になった事とは目的地に何があるのかということだった。

シン「まあ行けばわかるさ…」

シンは霊夢の言葉に対して茶を濁した発言をして先へ進んだ。

チルノ「たぶん霊夢も見たらびっくりするよ!」
霊夢「そ、そう。楽しみにしておくわ…」

一方チルノは霊夢がデスティニーを見た時の反応を楽しみにしていた。
それから10分くらいがたち、シンの目的地へ着いた。


霊夢「何これ…」

目的地にあった物を見た霊夢はそう言わずにはいられなかった。
霊夢の目の前にあったのは鋼鉄の巨人…デスティニーだったのである。
シンはそんな霊夢に構わずコックピットに入ってパスワードを入力してデスティニーを起動させた。
仰向けに倒れていたデスティニーが立つと霊夢はその大きさに思わず息をのみ、さらにある事に気がついた。

霊夢「この巨人…憑依神!?」
チルノ「憑依神?」
霊夢「モノの中に宿る神様の事よ」

そうこの巨人…デスティニーには憑依神が宿っていたのである。
普通憑依神は数百年間使われた道具に宿るのである。
しかし、目の前のデスティニーは出来てからそれほど年月を掛けていない。
だが、目の前デスティニーは憑依神が宿っている。
そして、その話を聞いたシンは心当たりがあった。
このデスティニーは、今は亡きデュランダル前議長から受領し、それ以降はありとあらゆる戦場を駆け、
共に生き残ってきたシンが持つ唯一の相棒なのである。
だからシンはデスティニーが憑依神になったことに何ら違和感はなかった。

シン『このまま人里に戻るから2人ともこいつの手の上に乗ってくれ!』
チルノ「うん!」
霊夢「分かったわ!」

シンはデスティニーの手の上に霊夢とチルノを乗せ、人里へ戻った。

霊夢「まさかこんなものが幻想郷にあるとは思わなかったわ…」
チルノ「あたいも最初に見た時はびっくりしたもん…」

人里へ戻った3人はまず人里の人々へデスティニーのことを伝えた。
元々シンはこの事を慧音にあらかじめ話しておき、慧音も寺子屋のテストの採点が終わった後、
人里の大人の大人に話しておいたのである。
そのため大きな混乱は無く、デスティニーは人里のシンボルとなったのだった。

シン「さてと帰ってきたのはいいけどまた日が暮れてるなあ…」
チルノ「まあみんなにデスティニーのことを説明して回ったからね…」
霊夢「まさかわたしも説明に駆り出されるとは思わなかったわ…」
シン「はは…悪かったな。よかったら2人とも泊ってくか?」
霊夢「ええ!?でもシンがいいなら…お邪魔します…」
チルノ「わーい!今日は3人で晩御飯だー!!!」

デスティニーのことを説明に回っていたために日が暮れてしまい、
チルノと霊夢はシンの長屋で一泊することになった。
シンははしゃぐチルノの慈しむ目で見ながら
かつて自分が目指していた世界はこんな世界だったんだなと思ったのだった…。


オマケ デスティニーで移動中の出来事

妖怪A「今日こそは絶対に人間をたべるぞー!!」
妖怪B「おい見ろ!あそこにうまそうなガキがいるぞ!!」

シンとの戦いの後、まともに食料にありつけなかった妖怪AとBは今日も人肉を求めて標的を発見した。

妖怪A「なんだと!?おいどっちだ!?」
妖怪B「あっちだぜ!」
妖怪AB「「ヒャアッ!我慢できねえ!!突撃だあ!!」」

空腹ゆえに我慢できずに発見した標的に突撃する妖怪AB
しかし、相手が悪かった。

妖怪AB「「ヒャッハー!!久々の人肉d(プチッ+ジュウ…」

木々のせいで見えなかったがその標的は鋼鉄の巨人の手の上に乗っていたのである。
そして、妖怪とABは巨人の足に潰され、ついでに焼かれた。

チルノ「なんか変な音が聞こえなかった?」
霊夢「さあ?気のせいじゃない?」
シン『?どうかしたか?』
霊夢「いいえ。なんでもないわ」
シン『そうか』

妖怪AとBの標的だったのはデスティニーを発見して
人里へ帰る時にデスティニーの手の上に乗っていた霊夢とチルノだった。

妖怪A「おい。生きてるか?」
妖怪B「なんとか…」

80トン以上の物質に踏まれて更にはフェイズシフト装甲に
焼かれた妖怪AとBだったがなんとかギャグ補正のおかげで生き残ったのだった…。

妖怪A「なあ…」
妖怪B「なんだ?」
妖怪A「俺、人間を食うのやめるわ…」
妖怪B「俺もそうするわ…」

頑張れ妖怪AとB!生きていればいい事がある…はず。

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最終更新:2011年06月07日 10:22
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