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傷心の少年と天真爛漫な氷精-10

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【巨人異変】から早1ヶ月半が過ぎたある日
シンは長屋の台所でクッキー等の洋菓子を作っていた。
何故シンが洋菓子を作っているのには理由がある。
それは【巨人異変】の際に立ち寄った紅魔館に遊びに行こうとチルノが言いだして
シンは丁度いい機会なので自分の窮地を救ったナイフをくれたレミリアへお礼をしに行く為に
レミリアの好物だというクッキーやケーキを持っていこうと思って作っていたのである。
シンは久しぶりに洋菓子を作ったのでうまくいくか冷や冷やしていたが
チルノや霊夢、大妖精、自分に宿っている魂達に味見をしてもらった時に
絶賛されたため自信を持ってレミリアに提供できると思い、洋菓子の入った袋とレミリアに送るある物を
カバンに詰めて先に準備を済ませていたチルノ達と合流し、
デスティニーに搭乗して紅魔館へと向かったのだった。


傷心の少年と天真爛漫な氷精 番外編
~再び紅魔館へ~

美鈴「ようこそ。いらっしゃいました。お嬢様からお話を伺っていますのでどうぞお通りください」
シン「ご丁寧にありがとうございます。あと、これは差し入れのクッキーです。よろしければどうぞ」

挨拶もそこそこにシンはカバンからか紙袋を取りだし美鈴に渡した。

美鈴「わあ!態々ありがとうございます!」
シン「じゃあみんな。入ろうか?」
チルノ「お邪魔しまーす!」
霊夢「なんか違和感があるわ…」
大妖精「お邪魔します…」

シン達が奥に行ったのを確認した美鈴は紙袋に入っていたクッキーをひとつ食べた。

美鈴「あっ。おいしい…」

美鈴は他のクッキーにも舌鼓を打つのだった。

咲夜「ようこそ。お待ちしておりました」
シン「お久しぶりです咲夜さん。いまレミリアさんは起きていらっしゃいますか?」
咲夜「ええ。なんでも身体が変化してから人間と同じ生活リズムですので起きていらっしゃるはずです」

紅魔館に入ってしばらくした所でシン達は咲夜と再会し、軽い世間話をした。

シン「ありがとうございます。あ、あとこれは差し入れです。妖精メイドのみなさんと一緒にどうぞ」
咲夜「これはご丁寧にありがとうございます。後でいただきます」

シンは美鈴と同じクッキーが入った複数の紙袋を咲夜に渡し、レミリアの部屋に入っていった。

シン「お久しぶりです。レミリアさん」
レミリア「久しぶりねシン。あれから1月半が経ったけれど約束を覚えていてくれて嬉しいわ」
チルノ「レミリア姉ちゃん久しぶり!!」
レミリア「ええ。久しぶりねチルノ。今日はフランと遊んであげてくれないかしら?」
チルノ「うん!いこ!大ちゃん!!」
大妖精「あっ!チルノちゃん!待ってぇ!!」
レミリア「あなたはどうするのかしら?霊夢」

チルノはレミリアに挨拶した後大妖精を引っ張りながら地下へ向かっていった。
レミリアはそんなチルノと大妖精を見た後、霊夢に今から何をするのかと尋ねると

霊夢「そうねぇ…咲夜の仕事が終わったら料理を教えてもらう約束をしているから今は客室で休ませてもらうわ」

と答えて客室へ向かった。


レミリア「さて、やっと2人になったわね」
シン「そうですね。あ、これは俺が作ってきたケーキです。よろしければ一緒に食べませんか?」
レミリア「あら。いい香りね。それじゃあ頂こうかしら…」

2人になったところでシンはからケーキを取りだした。
レミリアはシンの作ったケーキを見ると少し嬉しそうな顔をしながら
部屋に備え付けで置いてある紅茶を取りだし、紅茶を淹れてきた。

レミリア「あなたも紅茶でいいかしら?」
シン「はい」
レミリア「そういえば1対1で話すのは今日が初めてね」
シン「そういえばそうですね…」
レミリア「あの時はすごくバタバタしていたからね…」

シンとレミリアは改めて1対1で話をするのは初めてという事に気がついた。
まあ初めて会った時期が【巨人異変】の真只中だったため仕方がないのだが…。
レミリアはそう言いながらシンのケーキを口にすると少し眼が輝いた。

レミリア「あら。このケーキ、私や咲夜が作ったものより美味しいわね。この紅茶ともよく合うわ…」
シン「ありがとうございます。そう言っていただけたのなら作った甲斐がありました」

レミリアはシンの作ったケーキに舌鼓を打ち、シンはそんなレミリアを見て満足げな表情を浮かべながら
レミリアが淹れてくれた紅茶を口にした。
そして、ケーキを食べ終えたところでシンは本題に入った。


シン「レミリアさん」
レミリア「何かしら?シン」

シンはレミリアに話しかけ、レミリアはこれからが本題だと悟ったレミリアは
あえてシンの言いたい事は何かと聞き、シンは腰に差してあった1振りのナイフを取りだした。

シン「紅魔館を出発する時に頂いたナイフのおかげで俺はあの戦いを生き残る事が出来ました」
レミリア「私はそのナイフを渡した以外何もしていないわよ?」
シン「いえ。あの時にこのナイフがなかったら俺が死んでいました」

シンが取りだしたナイフとはレミリアがフランを救ったシンへの礼として渡したナイフである。
シンはこのナイフのおかげでアスランとの決戦時に勝つ事が出来た。
しかし、レミリアは一つ疑問に思う事があった。

レミリア「なぜ憑依神達の技は使わなかったかしら?
     あなたの技の切れならそのアスランという男に引けを取らなかったでしょうに…」

その疑問とはアスランとの戦いでシンに宿る憑依神達の技を使わなかったからである。
しかし、シンがアスランに対してその技を使わなかったのには理由があった。

シン「あの時のアスランの身体は【巨人異変】で使われていたジャスティスと同じ硬さだったんです」

そう、あの異変に現れたアスランは∞ジャスティスのVPS展開時の硬さと同じ硬さだったのである。
唯一突破できるバルバトスの技も隙が大きく、当たらなければ意味が無いし、
他の憑依神達の技はあのアスランには通用しなかったのである。

レミリア「なるほどね…。だから私の魔力の通ったこのナイフが唯一の手だったというわけね…」
シン「はい。だからレミリアさんには感謝しても足りないんです」
レミリア「いいのよ。私も自分の命以上に大切な妹をあの狂気から救ってくれたのだからね」

レミリアは自分の渡したナイフが自分の命よりも大事なフランを助けてくれたシンの命を救った事に喜んでいた。
その後シンとレミリアはそれぞれ人里での出来事と紅魔館での出来事を共に話し合っていく内に日が暮れていた。

レミリア「あら。楽しい時間というのは本当に早く過ぎていくものね…」
シン「うわ…もう夜か…」
レミリア「ここら辺の妖怪は凶暴な奴が多いから今回もここに泊っていきなさい」
シン「いいんですか?」
レミリア「ええ。ただし、貴方とはもっとお話しをしたいけれど構わないかしら?」
シン「ええ。構いませんよ。チルノ達にも伝えておきます」

レミリアはシンに今日は紅魔館に泊っていくことを提案し、
シンはその厚意に甘えることにした。
シンは久しぶりに他人が作った料理を口にする事になった。


咲夜「今日の夕食でございます」
チルノ「美味しそうだね!大ちゃん、フラン!」
大妖精フラン「「うん!!」」
レミリア「では、今日のこの再会を祝して…乾杯」
全員「乾杯!」

咲夜とメイド服に着替えた霊夢がシン達の夕食を運んできた。
それを見たチルノ達は眼を輝かせ、今にも食べだしそうだったため
レミリアは乾杯の合図をし、紅魔館での晩餐が始まった。

チルノ「うめぇうめぇ!」
フラン「うん!今日の晩御飯も美味しい!!」
大妖精「私では無理かも…今度咲夜さんに料理を教えてもらおうかな…」
レミリア「今日もパーフェクトだわ。咲夜」
咲夜「ありがとうございます」
シン「霊夢も咲夜さんと一緒に作ってくれたんだな」
霊夢「う、うん…おいしい?」
シン「ああ。凄く美味いよ」
霊夢「そ、そう?よかったあ…」

チルノとフランはガツガツと食べ、シンとレミリアは霊夢と咲夜を褒め、
霊夢はシンに褒められて顔を赤く染めていた。
こうして賑やかな晩餐は過ぎていった…。

1時間後


宴を終えたチルノ達はそれぞれの客室で寝ているなかシンはこっそり客間を抜け出して紅魔館の屋上で星を見ていた。
1人で夜空を見ていたシンだがそこにレミリアがやってきた。

シン「今日も星は綺麗だな…」
レミリア「あら。貴方も夜空を見ていたのかしら?」
シン「レミリアさんも夜空を見に?」
レミリア「ええ。前の身体だったころの日課だったのよ」
シン「そうなんですか…」
レミリア「ええ。あなたもよく夜空を見ているのかしら?」
シン「幻想郷に来てからはほぼ毎日見ています」
レミリア「貴方の過去に悲しい記憶があったのだけどそれが原因なのかしら?」
シン「!?やっぱりレミリアさんには分かっていたんですね…」

レミリアに自分の過去を見透かされたシンは僅かに動揺しながら
分かった理由を尋ねるとレミリアはこう返した。

レミリア「正確には貴方が体験してきた運命を見ただけだから確証はなかったけど当たりだったのね」

シンが過去に体験した運命…それはシンにとっては悲しい記憶であると
同時に今のシンにとっては忘れてはならない記憶でもあった。

レミリア「あなたはこの世界に来てから一度も泣いていないのね…」
シン「今の俺に過去の事でなく資格なんて無いと思っていましたからね…」
レミリア「なら今ここで泣いてもいいのよ?」
シン「レミリアさん?」

レミリアはシンの悲しみを痛いほど理解していた。
レミリアも見た目こそ若いが500年は生きている吸血鬼なのである。当然別れも何度も経験している。
レミリアは僅か数年で家族を含む大切な人や友人達との別れを経験したシンの立場が
もし自分だったらもう発狂していたとしてもおかしくなかったのだろう。
だからレミリアはシンを優しく抱きしめた。

レミリア「貴方は色々と辛い経験をしてきたわ…。だから泣いてもいいの」
シン「じゃあ…お言葉に甘えさせてもらいます…」

シンはレミリアの胸の中で泣いた。
過去に自分がしてきた事の罪の重さを理解し、それでも泣く事が許されなかった1人の少年は
この時にようやく泣く事が出来た。
レミリアもそんなシンにつられて静かに涙を流した。
自分の目の前で死んでいった自分の部下を思い浮かべながら…。
シンとレミリアに宿る魂達はそんなシンとレミリアを温かく見守っていた。

翌朝


咲夜「昨日はよく眠れましたか?」
霊夢「ええ。ぐっすりと眠らせてもらったわ。また料理を教えてもらってもいいかしら?」
咲夜「ええ。いつでもお待ちしていますよ」
チルノ「フラン!また今度遊びに行くからね!!」
大妖精「フランちゃん!また3人で一緒に遊ぼうね!!」
フラン「うん!チルノちゃんも大ちゃんも待ってるからね!!」

朝食を食べ終え、レミリア達に紅魔館の玄関まで送ってもらったチルノ達は
フランと咲夜に別れの挨拶をしていた。
そんななかレミリアはシンと話していた。

レミリア「また何か辛い事があったらここに来なさい。私はいつでも貴方を歓迎するわ」
シン「ありがとうございます。あとこれを…」

シンはレミリアに礼を言った後、何かが入った紙袋を渡した。

レミリア「?これは何かしら?」
シン「開けてみてください」
レミリア「これは…なかなかいいデザインのペンダントね…」

レミリアはシンにいわれた通り紙袋を開けると中にはチルノがつけているペンダントと
色違いのペンダントが入っていた。

シン「スタールビーの宝石を使って作ったペンダントです」
レミリア「スタールビーって結構貴重な宝石よ?よく手に入ったわね」
シン「ちょっと地底に用事があって旧地獄という場所に行く事になったんですけどその道中に
   勇儀っていう人の腕試しをされて勝った時に貰ったんです」
レミリア「そう。ありがたく受け取らせてもらうわ」
シン「じゃあ俺もそろそろ行きます…」
レミリア「ええ。また会いましょう…」

レミリアはシンから受け取ったペンダントをつけ、去っていくシンを見ながら呟いた。

レミリア「頑張りなさい。シン…。私はいつまでも貴方の事を応援しているわ…」

レミリアはシン達を見送っていた時とても嬉しそうな表情をしていた。
スタールビーの石言葉とは「信頼・運命・希望」
シンはレミリアに事自分への信頼の証としてレミリアにこのペンダントを渡したのである。
レミリアはその事実に喜びながら紅魔館の中へ戻ったのだった…。


オマケ シン達を見送った後のレミリアの出来事

レミリア「パチェ。いるかしら?」
パチュリー「あら。レミィどうしたの?…って!」
レミリア「どうしたのかしら?」
パチュリー「貴女が今つけているペンダントの宝石を頂戴!」
レミリア「え?いやよ。これはシンから…」
パチュリー「なら殺してでも奪い取る!!」
レミリア「へえ?」ブチッ
パチュリー「むきゅ!?今の音はまさか…」
レミリア「そう…。いい度胸ね」(凄くいい笑顔)
パチュリー「あれ?なんかデジャ…」
レミリア「南斗鳳凰拳奥義!!天翔十字鳳!!!」
パチュリー「あべし!!」テーレッテー
レミリア「まったくこれじゃあ貴女も魔理沙と同レベルよ?」
パチュリー「むきゅー…私にぬくもりを…」
サウザー『(盗賊などに)愛などいらぬ!!』

レミリアがつけているペンダントにスタールビーが付いている事を見たパチュリーが
襲いかかってきたので今日も南斗鳳凰拳を使って黙らせるレミリアだった…。

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最終更新:2011年06月07日 11:26
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