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変わってしまった日常 リリカル版 5

走る、走る――――――
無限に続く闇の中を必死に走るギンガ
大分遠いが、視線の先に光が見えるのだ。
何も存在しないこの空間で唯一の光であり希望。
もしそれが無ければ既に挫けていただろう。
あともう少し、と活を入れるが……
まるで地獄の底から這い出るほどの負のオーラを後ろから感じ取り、ギンガはゆっくりと振り返る―――
「姉妹の契りを結んだのに、う~ら~ぎ~り~も~の~~~………」
視界に入ったのは茶髪のストレートロングヘアの十二分に美が付く少女なのだが負のオーラを出しているため、非常に恐ろしく見

える。
何故自分を追いかけるのか、姉妹の契りとはなんだという疑問が過るが、一つだけわかる。
『捕まってはならない―――!』
だが、どれだけ必死になって走ろうともまるで嘲笑うかのように徐々に距離が縮まっていく。
もう駄目と諦めかけた時、誰かが右手を掴んだ―――


「……夢?」
気がついたとき、視界に入ったのは医務室の天井であった、そして
「目が覚めました?ギンガさん」
真紅の瞳の持ち主であるシン・アスカの心配そうな顔と、ギンガの右手を大切な宝物を守るように両手で握っている、安心させて

くれる温もりであった。
「いきなり倒れたから心配したんですよ」
まったく、と呆れたように溜息をつくが、シンの表情は安堵していることは明らかだった。
(倒れた?)
まだ目覚めたばかりでよく頭が回らないが、次第に何があったのか理解する。
「ご、ごめんねいきなり倒れちゃって」
「気にしてませんよ。でも次は無いようにしてくださいね」
そう告げるとギンガの右手を握っていたシンの両手を離す。
夢はあまり覚えていないが、最後に誰かが手を掴んでくれたことでとても安心したことだけは覚えていた。
「あ、手を握っててすみません」
だから手が離れた時少しだけ残念に思ったのが顔に出てしまったのか、シンは慌てて謝罪をしてきた。
「き、気にしないで。
 その、すごく安心できて、温かかったから……」
顔を朱に染めながらの上目遣いにシンは急いで反転。
そうしなければ赤くなっているであろう自分の顔を見られていただろう。
「と、とにかく次から気をつけてくださいよッ!!」
「・・・・・・うん」


変わってしまった日常 リリカル版 5
      恋せよ乙女


「ふふ・・・・・・」
シンが病室から出て行ってから数分間、ベットの上でギンガはずっとこの調子だ。
シンのことを想うと胸のポカポカが治まらないのだ。
しかし・・・・・・
(シン君、どこに行くのかな・・・・・・?)
この日に休暇を取ると聞いていたが、その詳細は判らない。
純粋に一人で過ごすのだろうか?
そうでなければ誰と行くのだろうか?
単純に考えれば六課の誰かとなるが、大半が女性局員で占めているのだから同行者も女性の可能性が高い。
(嫌だな、それ・・・・・・)
一転して非常に不機嫌となり、僅かに頬も膨らませてしまう。
「随分表情が変わるな?」
「ひゃっ!?シ、シグナムさんッ!?」
何時からそこにいたのだろうか、入口付近の壁に寄りかかっているシグナム。
僅かに笑っているところから大分前からいたのかもしれない。
「すまないな、声を掛け難くてな」
「うぅ、すみません・・・・・・」
表情がコロコロと変わっていることは自分でもわかっているため、恥ずかしさのあまり布団を目元付近まで被る。
「構わない。今日は少し確認したいことがあってな」
微笑を消し、真面目な表示用へと変えるシグナム
「単刀直入に聞く、お前はシンのことを好きか?」
「・・・・・・ふぇ?」
あまりに予想外な質問に、間抜けな声を出してしまった。
「私はシンのことを好きだ。何故それほど好きになったのかはわからないが、私はシンと共にいたいという気持ちは本物だ」
「え?え?え?」
「だからうかうかしていると私に、いや他の『誰か』に取られてしまうぞ?」
意味深なことを最後に告げ、そのままシグナムは病室を出て行った。
ギンガはそのままの状態でしばし呆然としていた。
それほど『あの』シグナムからそう告げられたのは衝撃的であり、口ぶりからして他にも狙っている人がいる可能性が非常に高い


(私はどう想ってるの?シン君も・・・・・・)
うまく頭が回らないが、唯一つだけ確かのことがある。
それはシンが誰かと恋仲になると思うと不安で、もし自分だったらと思うと再び頬を朱に染め、布団を握る力が少し強くなった。




「さて、私も負けるわけにはいかんな」
食堂へと進むシグナムには決意の表情と共に一つだけ違う点がある。
それは幾つにも巻かれた絆創膏だ。
ハッキリ言って自分はなのはとギンガに家庭面は負けていると自覚している。
今まで騎士として生きてきたが、好きな人に手作り料理を振舞う程度はわかっている。
だが碌に練習もせず、ましてや味見もしないで渡すなど馬鹿なまねはしない。
(だからこそ私は行かねばならない!新たな戦場、調理場へと!!)
指の傷は無様に見えるだろう、だがそれは僅かにでも成長へと向かう確かな勲章であった。




「よし!準備OK!」
簡単ではあるがお弁当と水筒とシーツ。
後はティッシュやハンカチといった物をバッグに入れ約束の場所へと向かうなのは。
今日は六課で保護している少女、ヴィヴィオと出かけるのだ。
何故かヴィヴィオに懐かれており、先日近くの公園へ出かけると約束したのだ。
「あ、なのはお姉ちゃーん」
「お待たせ、ヴィヴィ・・・・・・お?」
目が点になる。
ヴィヴィオがいるのは問題ない。だがその隣に・・・・・・
「あ、なのはさん『も』ヴィヴィオと出かけるんですか?」
そこにはなのは同様、お弁当等を入れているのであろうバッグを持ったシンがいた。
(ふ、ふぇぇぇぇぇ~~~~!?)

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最終更新:2011年06月07日 11:53
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