幻想郷を騒がせた【巨人異変】が終息して1年が経った。
一時は生態系のバランスを大いに崩した幻想郷だが今ではそのバランスも大分安定し、
人間と妖怪の関係もそれなりに改善されていた。
現在人里では【巨人異変】を教訓に週に一度、対妖怪用の護身術の訓練を行っている。
当初は訓練をする場所と誰が教官をするのかと問題になった。
そこで高い実力を持っていて、ある程度時間に融通の利く人物として
シンの中に宿る魂達に白羽の矢が立った。
今では人里の人が妖怪に襲われて殺されるような事件はなくなった。
人里の者の中でも実力を持っている者達は自警団を設立した。
現在は約20人が自警団に所属しており、さらにシンの中に宿る魂のうち
最低誰か2人はここに常駐している。
そんな過程を得て現在の人里は平和であった。
傷心の少年と天真爛漫な氷精 セカンドシーズン
~人里での日常~
シン「ふう…。今日はこんな所だな…」
シンは寺子屋に通う子供達の宿題の答え合わせを終え、自分の家に帰る事にした。
現在シンの住処は【巨人異変】の終了後に人里の人達がシンへの礼として建てた一軒家である。
場所も寺子屋のすぐ近くにあり、寺子屋の教師をしているシンにとっては非常に便利な場所である。
シン「そろそろチルノ達が俺の家に帰ってきている頃だな。あ、そうだ今日の夕飯の食材を買わなくちゃな」
シンは家に帰る前に夕食の食材を買うために商店街に寄っていくことにした。
シン「すみません。今日のオススメの野菜は何ですか?」
八百屋の主人「よお!シンの旦那!!今日は法蓮草がオススメだぜ!!」
シン「じゃあ法蓮草と大根をください」
八百屋の主人「毎度ありぃ!!」
肉屋の主人「これはこれはシンさん。今日は豚肉がお安いですよ」
シン「あ。ハートさん。じゃあ豚ロース肉を4切れお願いします」
肉屋の主人「毎度ありがとうございます。今後とも御贔屓に…」
シン「(今日の晩飯は豚カツと法蓮草のお浸しと大根の味噌汁にするか…)」
夕食の食材を買い終えたシンは夕食の献立を決めたシンは帰宅することにした。
そして自宅の前まで戻って来たシンは見慣れた3つの人影を見つけた
シン「おっ。チルノに霊夢、それに大妖精じゃないか」
チルノ「あっ!シン兄!!」
霊夢「あっ、シン。おかえりなさい」
大妖精「今日はチルノちゃんと一緒に遊びに来ました!」
その人影の正体とはチルノ、霊夢、大妖精であった。
元々チルノは異変が終わった後自分の家に帰るつもりだったのだが
チルノの家は【巨人異変】の際にデスティニーとジャスティスとの戦いの余波で崩れてしまった。
その為、現在チルノはシンの家に住んでいる。
霊夢は【巨人異変】の後、チルノと同じくシンの家に住んでいる。
現在博麗神社は【巨人異変】の際に自分の実力不足を感じた霊夢の修行場所として機能しており、
博麗神社が丁度いい修行スポットだと判明した後は修行にやってくる人々が絶えず来訪されるようになり、
お賽銭は【巨人異変】依然と比べると著しく増えたらしい。
大妖精は【巨人異変】後は自分の家に戻ったが、割と高い頻度でシンの家に遊びに来ている。
シン「今日の晩飯は白いご飯と豚カツと法蓮草のお浸しと大根の味噌汁な」
チルノ「ホントに!?やったー!!」
大妖精「すみません。御馳走になります」
霊夢「シンの作る料理はいつもおいしいのよね~」
シン「ハハッ。こりゃ失敗できないな…」
家の中に入ったシンは夕食の献立をチルノ達に伝え、チルノ達が夕食の献立を楽しみにしていた。
シンはそんなチルノ達を見た後夕食の準備を始めた。
1時間後
シン「後はカツを揚げるだけだな…」
シンは1人でそう呟きながら熱した油の中に衣をつけた豚ロース肉を入れたのだった。
シンが豚カツを揚げている頃、チルノ達は居間にいた。
霊夢「やっぱりこの家は落ち着くわね~」
大妖精「そうですね。なんかこう…温かい感じがするんですよね」
霊夢は何故かシンの家に居ると落ち着くと言い、大妖精もそれに同意した。
しかし…
霊夢「暇よねえ…」
大妖精「今日の夕食当番はシンさんでしたからね…」
チルノ「宿題は終わらせちゃったしなー」
チルノ達はとにかく暇を持て余していた。
明日から寺子屋は夏休みになって宿題が配布されるのだが
チルノと大妖精はリグル達と一緒に全部宿題を終わらせてしまった為やることがないのである。
チルノは【巨人異変】の以前なら蛙を凍らせて遊んでいただろうが、
現在はシンにその遊びを禁止されているのである。
チルノ「ヒマだよー!!」
大妖精「もう外は夜だし…」
霊夢「ホント…何をしようかしら…」
チルノ達はこの暇をどうにか出来ないかと考えていた。
しかし、この幻想郷にそのような娯楽は無い。
人里で弾幕ごっこをしようものなら自警団の制裁が待っている。
霊夢は以前夕食の食材を賭けて人里で弾幕ごっこをした時は人里の外まで連行され、
シュウジによる制裁(説教)を受けたためトラウマとなっている(ちなみに弾幕ごっこの相手は咲夜)。
チルノ達はとにかく暇であった。
だが、次のシンの声でチルノ達の表情は明るくなった。
シン「みんな~晩飯が出来たぞ~」
チルノ「あっ。シン兄だ!」
大妖精「晩御飯が出来たみたいですね!」
霊夢「それじゃあ机の上を片付けて配膳の手伝いましょ!」
チルノ達は机の上を片付けて夕食の配膳を手伝う事にした。
シン「皆ちゃんとおかずはあるな?」
チルノ「うん!」
大妖精「大丈夫です!」
霊夢「全部あるわよ」
シン「それじゃあ…いただきます!」
3人「いただきます!!」
部屋にいる全員に料理がいき届いたのを確認したシンは手を合わせて
「いただきます」と言って、シン達は夕食を食べ始めた。
チルノ霊夢「「ガツガツ」」
大妖精「チ、チルノちゃんそんなにかけこんで食べると…」
シン「霊夢もそんなに急いで食うと…」
チルノ霊夢「「ウッ…」」
シン「言わんこっちゃない…。ほら」
チルノと霊夢はかきこみながら食べていた為喉を詰まらせ、苦しそうに胸を叩きながら助けを求めた。
こうなることを予測していたシンがあらかじめ淹れておいた冷たい緑茶の入った湯呑を
チルノと霊夢に渡し、2人は渡された湯呑に入ったお茶を一気飲みして落ち着いた。
チルノ霊夢「「プハー!死ぬかと思った…」」
大妖精「あはは!!チルノちゃんと霊夢さんらしいや!!」
チルノ霊夢「「///」」
シン「ははは!そんなに急がなくてもおかわりはたくさんあるから
そんなに焦って食べなくてもいいぞ!」
シンがチルノと霊夢を窘め、大妖精が声をあげて笑い、笑われたチルノと霊夢は顔を赤くする。
この光景はシンがこの幻想郷に住むようになってからずっと続いている光景である。
何処にでもあるような『普通の日常』これがシンにとっての幸福な日常だった。
シンはこんな日常が続けばいいと思ったのだった…。
オマケ 霊夢と咲夜がシュウジに制裁(説教)された時の風景(時系列はレミリア編の3日前)
シュウジ「さて、言い訳を聞こうか」
霊夢咲夜「「だってこいつが!!」」
シュウジ「………」
霊夢「何よ!?私が先に買おうとしたんだからアンタが悪いじゃない!!」
咲夜「それはこっちのセリフよ!!」
シュウジ「おいお主ら…」
霊夢咲夜「「ギャギャー」」
シュウジ「やかましいわ!!」
霊夢「ちょっ!?アンタのせいでシュウジがキレたじゃない!どうしてくれるのよ!!」
咲夜「元はと言えば貴女が譲らなかったからでしょう!?」
シュウジ「2人共正座せい!!」
霊夢咲夜「「は、はい!!」」反射的に正座する
シュウジ「お主らと言う奴は(クドクド」
6時間後
シュウジ「まったく…これに懲りたら人里で弾幕ごっこをするのではないぞ」人里の詰所に帰っていく
霊夢「ねえ咲夜…」足が痺れて動けない
咲夜「なに?」同上
霊夢「あれはアンタに譲るけど」
咲夜「譲るけど?」
霊夢「今度洋菓子の作り方を教えてくれない?」
咲夜「ええ。いいわよ…」
この時2人の間に友情が生まれたのだった。
ちなみに2人が奪い合おうとした食材とは牛乳であった。
そして2人はこう思った『老人の説教は閻魔より長い』と…。
霊夢と咲夜の弾幕ごっこの被害報告書 作成者 トキ
死傷者…5名
軽傷者…4名
いずれも霊夢の弾幕の流れ弾による軽傷
重傷者…1名
流れナイフが突き刺さるが永琳女史の治療により一命を取り留める
死者…なし
家屋の損害…特になし
最終更新:2011年08月04日 14:40