アットウィキロゴ

そろそろ氏の作品-12

1

ナズ「シンとお出かけか…集団とは言え彼とプライベートで出かけるのは初めてだな。ふふっ、これもデートと言うのかな?」
シン「ナズーリン。待たせちゃったかな?」
ナズ「いや、私も今来た所だ」
シン「そっか。それじゃ今日一緒に出かける面子を紹介するよ」



お燐「にゃーん。よろしくね、おいし…おねーさん」
橙 「橙だよ。今日はおいし…楽しい一日になりそうだね」


ナズ「」


シン「どうしたんだナズーリン?」
ナズ「ど、どうしたもこうしたもない! 何で彼女達なんだ!」
シン「あぁ! 実は二人だけじゃないんだ…あ、他の奴らも来たぜ」
ナズ「えっ」


お空「色々食べちゃう地獄烏のお空!」
文 「あやや、私も烏ですよ清く正しい射命丸です」
椛 「狼は雑食! 白狼天狗の犬走椛参上」
藍 「橙の保護者で狐も雑食なんですよ! 八雲藍です」
神奈子「自分の尻尾を食べちゃうくらい蛇は貪欲。八坂神奈子です」
芳香「お腹空いたー」

ナズ「いや無理。助けて、ちょ、これ無理だよ…」
シン「皆揃ったな。それじゃまず何処から行こうか」


全員「ご飯!!!!」


ナズ「」

シン「気絶しちゃったよ。やりすぎたかな」

2

シンが眼を覚ましたのは、日付をとうに超えた真夜中の頃。
寝苦しさからゆっくりと開かれた目蓋、ぼんやりとした視界に飛び込んできたのは、月明かりの差し込む自室。
そして何故か自分に乗りかかった白く薄い襦袢を纏った阿求の姿。
どうして阿求がここにいるのだろうか、最初これは夢なのだろうかとシンは考えた。
自分が寝ているこの部屋は稗田の屋敷の中にあり、自分は居候。
稗田の屋敷であるのだから、当主である阿求も当然ながらここで暮らしているし、阿求がこの部屋を訪れる事も多い。
だがそれは昼間か夕方が主で、夜に訪れる事が無い訳ではないが、この様な誰もが寝静まった頃にやってくる事など無い。
何より自分に乗りかかる事なども無い。
とは言え、今シンが感じている重みは本物である。
だからこそ彼は寝苦しさを覚え眼を覚ましたのだ。

あやふやで、ぼんやりと寝ぼけた思考のままでは状況を呑み込む事が満足に出来ない。
そうやって動く事が出来ないでいるシンのその唇を、阿求は自身の唇でもって塞いだ。
そのまま阿求は自分の舌をシンの、寝起き故にべたべたとするシンの口腔を遠慮する事無く進んでいく。
阿求の突然の行動にさらに混乱し、なすがままにされるだけであったが、やがて息苦しさを覚えると共に我を取り戻すと、上体を起こし両

両手で阿求の体を押し戻す。
そのまま阿求の華奢な両肩を掴み、これはどう言う事かと問いただす。

「気にしないでください」
「いや気にするだろっ、い、今のは…な、何なんだよっ」
「前戯と言うやつです」
「ぜ…ぜんぎ?」
「要は私を抱いてくださいという事です。言わせないでくださいよ恥ずかしい。あ、その気が無いなら黙って横になっていてください、その間に済ませます」
「だ、抱い…むぐっ?!」

阿求の言葉に対して理解の追いつかず混乱する。
混乱から手の力が緩んでしまったのをいい事に、阿求はシンを押し倒し再び唇を重ねるが、今度はすぐに我を取り戻したシンに押し返される。
もう押し倒されぬ様にと、シンは両手で阿求のその細い両手を掴み行動を封じる。

「阿求! おい、説明しろよ!」
「私が、御阿礼の子がどの様な存在か…知ってますよね?」
「そりゃ知ってるけど…それが」
「そういう事です」

三度シンを押し倒そうとするが、二人の体格差や男女の力の差はいかんともしがたく、阿求はシンの手を解く事は出来なかった。

「だから! 阿求っ、いい加減にしろ! 本気で怒るぞ!」
「嫌なんです…」
「えっ?」


その言葉と共に、阿求は手から力を抜き、目を伏せ唇をきゅっと結ぶ。
悲痛を帯びた表情、そこにいるのはシンも良く知る不敵でわがままないつもの阿求の姿では無い。

「御阿礼の子の生涯の流れは、何度転生しても変わる事はありませんでした。
 記憶を引き継ぎ、縁起に記し、それが終わったなら後は死ぬのを待つだけ。
 その間にある少しの時間の中で誰かと添い遂げ、子を成し後へと続ける…そういう一生を何度も繰り返してきました」

阿求が昔話の様に語るのは御阿礼の子の宿命。
先程までとは一変した彼女の様相に呑み込まれたシンは、ただ黙ってそれを聞くしか出来なった。

「ですが私が八代目御阿礼の子…阿弥の時、私はそうする事が出来ませんでした。
 夫も無く、子も無く、私は親しい人を…愛する家族に看取られる事無く、一人で…一人で死にました。
 幸いな事に、稗田の血が…途絶える事はありませんでした…でも悲しかった。
 誰のぬくもりもない、一人で冷たく死ぬのは…怖かった、怖くて…嫌、もうあんなのは嫌…嫌なんです!」

淡々と語っていた阿求の声が段々と震え始める。
伏せられた顔の様相をシンはうかがう事は出来なかった。
だが月明かりの射す部屋の中で、光る雫が落ちるのはしっかりと見えた。

「私はあなたが好きです、大好きです。だから傍にいて欲しい、私が死ぬまでの間、ずっと隣にいて欲しい…私はあなたのぬくもりに包まれて死にたい!
 でもあなたは…空を見上げるあなたの眼は! 心はあなたが生まれた世界を見てる。
 もしも夫婦になったとしても、あなたは帰れると分かればきっと私を置いて帰ってしまう…そんな気がするんです」

シンの手を振り払い、伏せていた顔を上げる。
そこにあったのは涙でくしゃくしゃになった、阿求がシンに初めて見せた泣き顔。

「ならせめて子をください…せめて好きな人の子に見取られて死なせてください。
 そうすればきっと寂しくありません。あなたはその時が来たら心置きなく帰ってください…」

そう言って阿求は微笑んだ。
だが涙の通った後、震える声ではそれはただ痛々しすぎる笑みにしかならなかった。
押し黙っている間に溜まった、全てを吐き出すかの様なシンは阿求の名を呼ぶ。
びくりと震える阿求の華奢な両肩を再び、今度は阿求に少し痛みを感じさせるくらいの強さで掴む。

「お前の中の俺はどんだけ薄情なんだよ! 勝手に何決め付けてるんだよ」

少しばかり怒気をはらんだ表情と声色。
何せ阿求の中の自分が、シンの言うようにあまりに薄情だったからだ。

「でも私みたいなのと一緒になったら残されるのはあなたで、辛いのはあなたなんですよ?」
「残されるのは…そりゃ嫌だよ、あんなのはもう…嫌だよ。でもな、好きな…大切な人間を残していくのだって同じくらい嫌だ!」

シンの強張っていた表情は、先程の阿求のように段々と弱気な物へと変わり、少しばかり俯く。
だがそれらを振り払うように勢い良く顔を上げ、阿求と自分の眼差しを合わせる。

「お前が俺を欲しいって言うなら俺は受け入れる。俺は阿求の事が好きだ」
「うそを…誤魔化さないでください。本当だとしたら、ならどうしてそうだと言ってくれなかったんですか」
「黙ってたのはその…俺が阿求を好きでも、その…阿求に好かれてなかったら、振られたらって思ったら怖くて言えなかった」


頬を赤らめながらも、視線を反らしながらも、言葉に少しばかり詰まりながらもシンは自身の秘めた思い全てを吐き出す。
シンの告白に、阿求は少しの間目を丸くしていたが。

「…根性無し」

阿求のその辛らつな一言にぐぅの音もでないシンに阿求は追い討ちをかけるように続ける。

「と言うかですね、私はあなたに色々とアプローチを仕掛けたりしたんですけど、気付いてなかったりしますか?」
「…マジ?」
「何度かお風呂上りに薄着でここを訪ねたりしましたよね?」

少し間をおいて、シンは合点の言ったように声を上げる。

「普通、邪推の一つや二つしませんか? 年頃の娘がそんな無防備な格好で訪ねたりしてきたら」
「そ、それは…」

気まずそうな表情で阿求から顔ごと視線を反らす。
阿求はそれを、シンが自身の鈍感さを後ろめたく思っての行動だと認識した。
その裏にある真意には気付かなかった。

「…嫌われてるのかと思いましたよ」
「ごめん…」
「てっきり男色家なのだとも」
「いやそれは無い!」
「ふふっ冗談ですよ。でも安心しました、あなたの気持ちが分かって…」

阿求はシンの胸元へと、ゆっくりと体をあずける。
その行動に少しばかり驚くが、やがて阿求の髪をやさしく撫で始める。
阿求もシンの胸に体を摺り寄せる。

「両思いだったんですね」
「…ごめんな、本当に」
「いいんですよ…」

阿求を優しく抱きしめる。
儚く、そして愛しい少女の体を守るように優しく抱きしめる。
阿求も離さないでとの思いでシンの腕の中で時の止まったかのように動かない。

「それじゃ先程の続きをしましょうか?」
「ちょっ、うえっ!? あの…ぅう」
「ふふっ、冗談ですよ…今日はやめておきましょう。こう言う事は殿方から求めるのが神代の頃よりの慣わしですから」
「う…」
「ですが早めにお願いしますよ? そうですね、今日は一緒に眠らせてください。それくらいなら構わないでしょう?」

阿求はシンの胸元を離れて布団へと潜り込む。
シンも無言で布団へと入り、阿求をやさしく抱きしめる。

「離さないでください…約束、ちゃんと守ってくださいね」
「うん…その時まで一緒にいる」
「やぶったら承知しませんよ…」

二人はそのまま眠りに付いた。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2011年08月04日 14:58
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。