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平和の人氏の小ネタ-01

1

 とある夜の街。人通りの少ない狭苦しい路地裏を一組の男女が歩く。どちらもまだ若く、女性のテンションを考えるならばデートという言葉が合いそうであるが、男にしてはそのつもりは無かった。
「ほらほら、シン。超急いでください。そんなんだから超のろまな超愚図扱いされるんですよ」
 見た目子供の、可愛らしい少女の口からは、罵声が飛ぶ。随分な物言いではあるが、言われた当人からすれば、何時もの事であり、そしてある意味親しみの証であると考えれば、どうという事は無い。距離が近くなった事に喜びこそすれ、もう腹を立てる事は無くなった。
 少女の着る見えそうで見えないギリギリの丈サイズのふわふわしたニットのワンピースを見ていると、ついつい目がいってしまうのは男の性だ。本人曰く見えそうで見えない極限の設定らしいが、どちらにせよ健康的でむちりとした太ももはバッチリ見えているので、男個人としては十分エロいと思う。見た目年下、下手するとギリギリ小学生に見えてしまう女の子にこんな感想を持つのはどうよ? と感じない訳でも無いが……
「最近超話題のデュランダル・スタジオが作り上げた超々傑作『こうして彼は女難となった』が始まりますよ。誰かに先を越された時点で超敗北と言っていいでしょう」
 少女ーー絹旗最愛はそう言って体をおかしな具合にくねらせるが、男ーーシン・アスカは当然デュランダル・スタジオなど知らない。それもその筈、この絹旗と言う少女、大変な映画マニアなのだが、その映画というのはC級、B級ばかりを専門にする、ちょっとシンには理解し難いマニアなのだ。その絹旗が注目しているという時点で、どういう会社か押してしるべしという訳である。……その名前に、シンは少し嫌な予感もしたが、それは別の話だ。
「シン、今回はちゃんと身分証作ったんでしょうね? 前回超おバカな誰かさんのせいで、超見過ごすという超々不愉快な目にあった訳ですが?」
「ん、大丈夫さ。今回はホラ、ご覧の通りに」
「まぁ、これぐらい超浜面にも出来ますから、シンみたいな超下っ端に出来ても当然ですよ」
「オイ、超浜面ってもう悪口でも何でもねぇよ?」
 因みに、絹旗の口から出てきた浜面とやらは、シンにとっても馴染み深い人物である。
 シンが今歩く街は学園都市。
 外とは隔絶された科学を誇る、“超能力者”を生み出すための街。ひょんな事からその学園都市で暮らす事(不法滞在的な意味で)になってしまったシンは、その学園都市の暗部とやらにお世話になっている。もっと分かりやすく言えば、その暗部の一員絹旗最愛のヒモ的ポジションで暮らしているのであった。彼女を紹介したのは、いきなり学園都市に放り込まれて困っているシンを助けた完全無欠のチンピラ男こそ、浜面である。
「む、シンの癖に超口答えとは。シンのクセに生意気だぞ」
「何でジャイ○アンっぽく言った?」
「では超罰として下準備、頼みますからね? 超がっかりさせないように。この間みたいにバケツサイズの炭酸とか買ってきたら、超ぶっ飛ばしますから」
 大きな、くりっとした目でシンを見詰める絹旗。
 シンは一つ息を吐いて、情けない顔をして了解とだけ返す。自分よりも幼い子供、しかも女の子に随分格好悪いが、仕方の無い事だ。
 何せ彼女、見た目こそ可愛い少女に収まるが、暗部に関わるというだけあって強い。彼女の持つ能力“窒素装甲”という、所謂大能力者に当て嵌まるのだ。
 この大能力者、超能力ほど珍しくは無いが、それでも軍隊において戦術的価値を見出だせるほどの実力である。完全無欠の無能力認定シン・アスカが逆らった所で、どうにもならないレベルなのだ。実際には頭を捻れば、大能力者所が超能力者とも戦えないことも無いのだが、シンはその辺りを専ら親友であるレイに任せていたため、それほど得意ではなかった。


 実は出会っていきなりパイタッチというラッキースケベを起こした結果、超馬鹿アッパー(超見ず知らずの人間ぶち殺すアッパー)を喰らった経験もあって逆らえ無くなっている訳でもあるが。空中数十メートルほど舞い上がったあの時のシンは心底自分のタフさに感謝した。
 それにシン自身、絹旗の姿を見ていると妹を思い出す。全然似てはいないが、雰囲気が合っている。そんな少女の頼みともあれば、シスコン道を極めんとするシンは断れない。
 暗部という暗い場面で生きてきた人間兵器に近い存在も、自分の趣味に喜ぶ女の子だと考えると……。自然と口角が上がる。
「どうしたんですか、シン。そんなニヤニヤして。超絶不気味です、超不快です、超キモいです」
 そんなシンに向けられるのは確実な罵声である。見れば絹旗の顔からドン引きですオーラが漂っていた。
「いや! 言い過ぎだから、心折れるから!」
「うはぁー、超キモい顔でしたよ。如何にも不純なことを考えてるって感じで……、ハッ!? この暗がりをいいことに私に超いやらしいことをしようと企んで! 何ですか、とうとうこの魅惑の絶対領域にメロメロですか? 浜面以上の超スケベですね。……で、でもまぁ、シンがどうしてもと……」
「まっ! 待てよ! 流石に違う! 俺は子供に欲情する変態でも無い!!」
 流石にロリコンの称号は頂きたくないので必死に否定するシンであったが、それが宜しくなかった。
「だ、第一絹旗の子供っぽいパンツなんて見えたとこで……」
 震える絹旗を無視して、自分は安全だ、欲情してないから大丈夫だとアピールする。絹旗の太股に目を向けていたからこそ、後ろめたさを隠すための必死さなのだが……
「ちょ、超シンフック&ストレート!!(超シンぶち殺すフック&ぶち殺しストレート)」
「あっ、ちょっ、連携は止めっ!! ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
 哀れシンは一筋のおほしさまとなるのであった。


「おや? もしかしてシンじゃねぇ? 奇遇だな」
「おう、上条か。本当に偶然だな。……地面に埋まってる所まで一緒とは奇遇過ぎる」
「ちょっと…な。上条さん的大不幸スペクタクルの結果こうなったんですよーっと。シンは?」
「まぁ、何時ものシンアスカ的ドラマのおかげでこうなりました。……互いに苦労してんだな」
「あぁ……、上条さんが何したってんだよ。ハァ~~ーー」
「「不幸だぁ~~~~~~~~~」」

 自業自得に近い不幸に、二人の鈍感は溜息を吐くのであった。

2

「どうも皆、元気かな? 俺、シン・アスカ。あまり報われない事に定評ある主人公だよ! …………言ってて悲しくなるな」
 シンはそう呟きながらも自分の新たな得物の手入れを怠らない。まだ少年の顔を残す彼には不釣り合いで、CEという時代には古臭くそぐわないのであるが、
「おぅ、坊主! 軍司殿がお呼びだぜぇ!」
「あ、はい。今すぐ行きます」
 彼を呼ぶ、熊のような大男。CEでは見なかった類の豪快さと何より万人の敵とすら呼ばれる豪勇が売り。彼が将軍と呼ぶ人物は張飛益徳その人なのだ! とは言え旧暦の一国家の歴史に詳しい訳ではないシンはそれが誰か全く知らなかったが……
 そう、シンは何の因果か三国志の時代に放り込まれてしまったのだ。しかしところがどっこい三国志、そこに住まう将と呼ばれる連中は何十人を纏めて薙ぎ払うわ、武器で叩いただけで敵を凍らせるわ、揚句は羽の付いた団扇みたいなの(羽扇)からビームだすわ。そんな三国は三国でも『三國無双』の世界なのだ!(Empire)
 結果としてシンは昔の中国人スゲーとか信じちゃってるぞ!
 そんなこんなでシンは現在三国一の緑集団にお世話になっているのだ!
 持ち前の卓越した運動能力(それでも無双武将の不思議身体能力と比べると常識的な範囲)を駆使して最近やっとこその他大勢から格上げされ、立志だったり抜擢武将ポジションになったシンである。そんな彼を抜擢したのは…
「何の御用でしょうか、丞相」
「来ましたか…、シン」
 性は諸葛、名は亮、字は孔明。伏竜その人である。シンはこの偉大な妖術…いや、軍師に師事していたのだ!!
「次は貴方には兵二百をつれて伏兵として潜んでもらいます。存分に働きなさい」
 もといこき使われていた。げにかなしきはコーディネーター。体力という一点に関しては無双武将に負けないレベルのせいで、事計略に関しては大車輪の活躍だ、駒として。
 正直馬車馬ってレベルじゃねーぞ! な扱いであるが、活躍すればその分の報酬は貰えたり、実感として街の皆を守れるのだと考えると、頑張れないことも無い。
「うむ、頼むぞ、シンよ! 本来ならば民を苦しめる故、戦などしたくないが……。暴虐を許すことも出来んのだ」
 それにわざわざ一軍のトップ(劉備玄徳)が声を掛けてくれる、期待してくれていると思うと、犬属性の強いシンとしては張り切らざるを得ない。
 またもう一つ、シンにとって心落ち着くことがあるのだ。それは……
「シン、もう行くのですか? それならばこの虎戦車も連れていきなさい。焼き尽くしますよ?」
「月英…。貴女は聡明ですが、その虎戦車だけはどうにかしていただけないかと。財政が…」
「まぁ、孔明様ったら!」
 普段ならば女難発生の時であるが、そうならない。
 そう! 此処では女難に滅多に合わないのだ!!
 元々劉備軍には女性が少なく、またいても人妻(それも君主と軍師の)だけ。そんな事すれば忽ち斬首! かどうかは知らないが、あまり良い事は起こらない。この時勢の常識を今だ全て把握仕切れていないシンであるが、それぐらいは分かる。
 たまに街を歩くと女性に騒がれることもあるが、それも女難とは言い難い。それならば姜維の方がキャーキャー騒がれている。少し羨ましいぐらいだ。
 つまりなんだかんだといったが此処は女難の無いパラダイスだ! 捜し求めたラピュタなのだ! ラピュタは死なんさ! 何度でも蘇る!! っは! いけない、興奮してしまった」
「シン?」
「はっ、はいっ、すいません! あ、ところで次はどこ攻めるんですか?」
 安息の地を守るため、俺は戦う!!


「下ヒです」

「はい?」
「呂布軍とやります。時間掛けましたからレベル三十越えてるんですよ、呂布。真正面から行くと馬鹿を見るので……。だから本陣落とすまでの囮として役立ってください」

 今日も今日とてモブの役目として無双武将に空を飛ばされる日々。懐に肉まんや酒を詰め込んで、倒されたらそれを落しながら、シンの一日は過ぎていく。
 立て、シン! 負けるな、シン! 無双武将に抜擢されるその日まで……!!

「雑魚がぁ! 砕けろぉ!!」
 Iフィールドバリやーを張り出しそうな声を聞きながら、今日もシンは元気に敗走するのであった……
「呂布なんぞになぁ、勝てるわきゃぁねぇぇぇぇぇだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


シンの扱いは戦国無双にありがちな顔有りのNPCキャラみたいな感じを想像してます。やたら体力高めの

3


地鳴り。
青年になろうかという少年を包み込む音の波は、そう表現するのがふさわしい。つんざく悲鳴、炸裂する怒声、隣り合う人物の息遣い、ふれあう金属音までもが、耳に飛び込む。
戦いの場。
目まぐるしく移り変わる状況、もし間違えれば敗北は必定!
だが…
(負けない!!)
勝負所と踏んだ彼には、戸惑いなど無い。
体を預ける相棒に合図を送る!


『さぁ4コーナー回って最後の直線!東京の坂は長いぞ!ここで先頭はネココネコロガールに変わった!プリティエミリーも来ているぞ!まだ――!』

この日、少年――シン・アスカは樫の栄冠を手にいれる…

「よくやってくれたわ!ネココなら大丈夫とは思っていたけど…、でも貴方が旨く乗ってくれたわね、シン君」
「いや、良かったですよ…」
検量室に戻ったシンをまっていたのは、日頃ミスしては烈火の如く怒らせている『競馬界のいきおくれ』こと相沢女史の笑顔であった。
見慣れない物のお陰で、やたら快調な相沢女史のテンションに着いていけないが、今のシンには相手の気持ちが分からないわけでも無かった。
手塩にかけた愛馬が、もっとも権威ある八大競走の一つをとる。そこには喜ばしい以外の言葉がない。シンもネココネコロガール(愛称ネココ)が入厩してきた時から面倒を見ていただけあって、感慨深い。
「今日は祝賀会ね!飲むわよ!」「前後不覚にはならないでくださいね…っと、じゃあインタビュー行ってきます」
とったタイトルが重賞、しかもGⅠともなれば、注目は高い。周囲を囲まれ会見というスタイルは、未だに慣れないシンであるが、インタビュアーからくる質問が勝負に関する事ならば、緊張せずに話せるようにはなった。
何時もクールにキメる金髪の友人ほど、格好良く答えたいと考えているのは秘密だ。
『おめでとうございます!』
「ありがとうございます」
なるべく、自分が思う限りには礼儀正しく。
昔のように若干若気の至り全開で振る舞っては、あっという間に干される事を、シンは知っている。というよりも、散々身をもって体験してきたのだ。もう一ヶ月間の身上金がコンビニバイトより安いのは、ゴメンだ。
レース展開や、馬に関して、次々と繰り出される質問に、淀みなく答えていく。
何の因果か騎手を初めて早数年、同期と比べればビックレースの勝ちが多いシンには、詰まる所の無い質問内容。
今日も無事に終われる。
そう思いふと息を吐いた瞬間…


『これで《牝馬ばかり》GⅠ六勝目!コツはあるんですか!やっぱラッキースケベだから?』
と、何処かでスーパーなコーディネーターをやってそうなCV保志が、質問を投げ掛ける。
言うまでもなくキラ・ヤマトの嫌がらせだ。どう紛れ込んだのか、競馬記者として活動しているスパコは、その持ち前の能力から色々と手助けしてくれるが、同時にただ紙面が賑わうからという理由で無用な波風を立ててくる。
『そう言えば噂になっている可愛らしい後輩騎手とのラブロマンスは!?それとも人気アイドルとの話!?それともそれとも美人調教師による『イケない!!I先生の個人調教~紅の瞳は快感に染まる』の方がいいかなぁ♪』
「アンタって人は!!AVの見すぎた!!」
結局こうして今日もマトモにインタビューは終わらないのである。


「ネココ…、お前だけだよ、落ち着くのは…。お前だけは何があろうと守ってやるからな…」
夜。
狂暴ではない愛馬の前でシンは愚痴る。物言わず人懐こい馬は、シンにとっての癒しであった。本来癒しになりそうなヴィヴィオなんかは、最近めっきり肉食系になってなんだか怖い。
そんなわけでシンは暇になるとネココに癒しを感じにくるのだ。
静かでいい…
「シン!獣姦は不健全なの!こっちにはまだ新品がいるんだから♪」
「そうや!やけどここは魔法少女(笑)なのはちゃんやのぅて私と!」
「はやてちゃん、少し頭冷やそうか…」
ソレニネンレイイッショナノ!デモ(笑)ガツクンワナノハチャンヤー!
「馬が怯えるから余所でやってくれよ!!クッソ、アンタたちはー!」
こうして今日もシンが理不尽にでかい声出すなと鉄拳制裁されたところで終了。
騒々しく暴れる二人と巻き込まれ一人の事などまるで知らぬと、ネココネコロガールは藁を喰っていた。


組み合わせはウイニングポストとマイナー所の誰特仕様

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最終更新:2012年07月03日 09:57
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