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変わってしまった日常 東方版 10

「「ばいば~~い」」
地霊殿のさとり達が迎えにきたことで、少々名残惜しくもあったがこいしとフランとは別れることとなった。
(それにしてもフラン、友達ができたなんて随分変わったのね。)
以前とは違い、フランは自由に外へ出ることが可能となり、こいしと友達になったおかげか一層に明るくなっていた。
(なら、私も変わらなくちゃ……!)
たとえ今は無理でも、と決意を強めたパチュリーであった。
美しかった夕日は沈み、月が輝く夜となっても祭りは収まる気配は見えぬのだが、致命的なことにまだシン達は早苗達と合流することが出

来ずにいる。
ここまで運が悪いと意図的とさえ思える。
「お~!我が心の盟友(とも)よ!!」
「に、にとり!?」
今まで本命の相手以外に遭遇する法則はまだ生きていたようだ。
幻想郷唯一デスティニーを共に整備、保管をしてくれている妖怪『河城にとり』だ。
「ほほう、女の子を両手に花とはやるねぇ」
「う、うるさいな」
ニヤニヤと見られるのはさすがに辛いものだ。
「まあそれは置いといて、相棒を連れてきたよ」
「デスティニーを?」
「いやぁ~実は妖怪人間問わず人気があるんだよねあの子」
「珍しさもあいまってね。
 里に行ったときよく聞くわ」
アリスは人形劇の際に里の人たちが大きさ・造形・単純にカッコイイと評判なのだ。
「だから悪いけどすこ~しだけ動かしてもらえないかなぁ」
「・・・・・・まあ、いつも世話になってるからな。
 それに少しは動かさないとな」
今まで多くの戦場を共に戦ってきた相棒だ。
たまには動かさないと万一必要になった時に困る。
事実早苗を救ったことがあるのだから。
「すばらしい返事だね。
 それとま~だ連れの女の子がいるみたいだから相棒を起こしてあげたら丁度いい目印になるよ。」
見抜いているぞ、と言わんばかりの笑顔にシンは何も言えなかった。


変わってしまった日常 東方版 8
   移りゆく歴史の先は……   

「あら、私が最後?」
花火の打上が間近となった頃、里の外れにシンの機体デスティニーが立ち上がったのだ。
余程無謀な悪戯好きな妖精でもない限り、あれを動かせるのは彼しかいない。
大きな目印を目指し、今輝夜が合流したことによってようやく全員が揃ったのだ。
「あっはっは!これは花火より目立ってるかもねぇ盟友!」
「流石にこれは俺も予想外だよ・・・・・・」
人気の高いデスティニーがいるだけでも人が集まるのに、この場にはシンに想いを寄せる美少女達が六人もいるのだ。
その六人を目当てに集まった者も決して少なくはないのは必死に表情を出さないようにしていたシンはよくわかる。
正直途中でフランとこいしに出会わなければ絶対にボロが出ただろう。
最近になりようやく心に余裕が持ち始めてこれた頃、幸か不幸かこの幻想郷には美女・美少女の割合はひっっっ常に多い。
今にして思えば永遠亭にいた頃に余裕があったら、理性が大きく削られただろう。
そして何よりも大きな問題は彼女達六人が自分、『シン・アスカ』に好意を寄せているのが何となく感じていたのだ。
元の世界では何名か好意を寄せられていたので、多少だが『そういった想い』は理解できるので、朴念仁の唐変木では無い。
「あ、あのねシン」
そこへ今までシンに関わろうとしなかったはずの鈴仙が声をかけてきたのだ。
だが余程勇気を出しているのか少し俯き、スカートの裾を握り締めている。
「こ、このロボットってシン以外に乗れる余裕はあるの?」
「い、一応一人だけなら乗れなくは・・・・・・」
見ることの無かった鈴仙の姿に思考が鈍り、質問の真意を悟り固まってしまった。

あからさまに顔を赤める鈴仙・早苗・パチュリー

平然とした表情を浮かべるも、ソワソワとしているアリス・輝夜・咲夜

ここにいる六人全員がデスティニーのコクピットでシンと二人きりという特等席を狙っているのだ。
もはや弾幕勝負か?と思われたが・・・・・・
「でしたら、私にいい考えがあります」
この発言者は意外にも、咲夜であった・・・・・


夜空に花火が次々と打ち上げられ、美しく散っていく。
人間も妖怪も、そしてデスティニーもまたその光景を主と共に見ている。
肝心のコクピット内は・・・・・・?
(何で、こんなにいい香りがするんだよぉぉぉぉッ!!)
ハッチを開けているにも関わらず、抱きついてるわけでもないのに非常にいい香りがするのだ。
なんと、少女らは全員コクピット内にいるのだ。
本来シートの後ろは僅かにスペースがあり、一人なら入れるのだ。
しかし今は六人が入り込んでいる、明らかな異常な光景だ。
これこそが咲夜の能力の応用で紅魔館のように空間を広げているのだ。
咲夜とて敵に塩を送る真似はしたくはなかったが、弾幕勝負になった場合に必ず勝てる保証はない。
最悪『五対一』の勝負になりかねない以上、これで妥協したのだ。
席順はアリス・咲夜・パチュリー・シン・鈴仙・輝夜・早苗だ。
しかも可能な限りシンに身を寄せられるように空間を広げているからシンには非常に嬉しくも辛い空間であった。



里の外れにて――――――
「それにしても紫と幽々子、何しに来たのかなぁ……」
自身らの野望(?)果たせずに従者から逃げ帰った愚か者にしか見えないだろう。
上辺だけなら……
「多分だけど、幻想郷に異変の前兆らしきものがよく見られるから直接の調査かしらね」
永琳の仮設にレミリアは神妙な面持ちで頷く。
知人の森近霖之助が『外の世界』とは違うと思われる物品が幻想郷に流れつくと言っていた。
いい例がシンとデスティニーだ。
もしそうであるならば、藍の慌て振りから察するに知人が『外とは別の世界』に……
「だが今までの異変同様、無事に解決するかもな……」
デスティニーを見上げるレミリア・諏訪子・永琳が感じたことがそれだった。
かつては相容れないはずだった種族たちが互いに想い合うことができる幻想郷。
それが種族を超えた愛に育むかという歴史的瞬間を見ているのだ。
これを見ると不思議とどうにかなるのではないかと思えてしまう。
「非常に素晴らしい光景ですね皆さん」
「失礼します」
後ろから現れた二人は文と椛だ。
「お構いなく。
 そういえば鈴仙のことありがとうね。」
永琳の言葉に、椛はある事が事実と確定した。
鈴仙と会話をしている最中、どこからか視線を感じ目で探った際に一匹の蝙蝠に気づいた。
十中八九、吸血鬼であるレミリアが生み出した使い魔だ。
そこから情報を見ていたと察した。
「貴重な妖怪の山以外での友人ですから。」
「ふふ、鈴仙がいい友達を持てて嬉しいわ」
その姿は娘を想う母の姿のようだ。
「それはそうと、早苗達を盗撮する気?」
「人聞きが悪いですね諏訪子さん。
 ですがご安心ください。これは記事にはしません」
これには意表を突かれ諏訪子だけでなくレミリアと永琳も驚いた。
「私たち天狗は幻想郷を見続け、時代の流れを記事にするのが仕事です。」
「ですけど・・・・・・」
文と椛が見上げた先、デスティニーのコクピット内を見てふと笑う。
「清く正しい私としては、あそこにいる方達だけの思い出にしたほうがいいのかもしれませんので」
「ですからこれから撮影する記念すべき写真は皆様だけの秘密ということで」
「いいのか?折角の歴史が動いた瞬間なのだろう?」
「とりあえず今はそれで私と文は構いません。
 それに大々的にするならやはり・・・・・・」
「「結婚式、ですよね!」」
カメラのフラッシュが光り、写真(歴史)には全員照れながらも幸せそうま七人の姿が写されていた。


少々アリスと早苗は不満だった。
本当なら三人だけでお祭りに参加するはずが、四人も追加する事態になってしまった。
しかも全員シンに恋心を抱いているときた。
悪い冗談のようだが、本当のことだ。
だがそれもいいのかもしれないと思う。
この四人は決して愚かではない。
上辺だけで好きになったのではなく、シン・アスカの根底から理解しようとしているのが感じられた。
その点に限ってはライバルが増えるのは問題はなかった――――――



直接コクピットに乗ってわかったことがある。
この機械人形には何かがある。
それは純粋な魔法使いだから気づいた事実。
シンとデスティニーからはいかに戦場に身を置いてきたとはいえ、発せられる気と言えばいいのだろうか、明らかに異質だった。
おそらく彼は咲夜のように特殊な人間なのかもしれない。
(そうか、これだったのね)
シンとデスティニー、一人と一体の関係・能力・過去
これらが自身の知的好奇心を激しく刺激するのだ。
始まりはここから、でも急いではいけない。
美術品を扱うようにゆっくりと・・・・・・
(少しづつ貴方のことを教えて)
本当に自然な動きでシンの手の上に、手を重ねることが出来た――――――



私には昔の記憶が無い。
気がついたとき、自分は魔法の森をさ迷い、雨を避けるために偶然立ち寄ったのが紅魔館だった。
その後お嬢様たちに気に入られ、今では『メイド長・十六夜咲夜』として生きている。
不思議と妖怪に対して忌避することもなく、充実な日々をすごしていた。
だが己の能力、『時を止める程度の能力』に対して僅かなりにも恐れていた。
もしも能力が暴走し、自分以外の時を永遠に止めてしまったら?
大袈裟かもしれないが自分のみが使うからこそ不安にとらわれる。
だが、唯一の例外者が現れたのだ。
能力を行使した中で自分と同じように行動できた彼、『シン・アスカ』に。
もしも能力が暴走しても、彼なら時に縛られず自分と生きてくれるだろうか?救ってくれるだろうか?
貴方は、私と同じ『時』を歩いてくれますか――――――


罪は消せない。
同胞達を見捨てたときから自分はもうこの十字架を背負い続けていくしかない。
しかし、自分が『鈴仙』から『鈴仙・優曇華院・イナバ』として生きることを誓ったときからもう逃げることは許されない。
愚かで醜い、だがそれでも自分は生きるしかない。
これをシンに知られるのは怖いけれど、シンのことが好きなんだ。
あの子供みたいに理想を貫いた姿に心を奪われた。
『愛』とは相手を心から想う事から生まれる感情
こんな私でも、シンと『愛し合う』ようになりたい。
貴方のことを教えてほしい、私のことを知って欲しい――――――


不老不死に、彼は興味を持つだろうか?
浅ましい考えが僅かに過る。
今まで親しかったものは永琳と妹紅、同じ不死の存在だけだったが、てゐと鈴仙を始めとした兎達、そして幻想郷の者達と違いはあれど親

しき間柄になれた。
でも、いつか必ず死という形で別れることになる。
は想像するだけで胸が締め付けられる。
でも、命は有限だからこそ燃え尽きるその時まで美しく輝く。
次代に何かを残す為に必死に生きることを永琳の患者達が教えてくれた。
特にシンはあまりに心と生き様が目を瞑ってしまいそうなほど真直だった。
だからこそ私は『人間』としてシンを好きになったのだから。
初めて芽生えたこの想い、永遠に身を委ねていたい――――――


(この世界は、やっぱり悪くないな・・・・・・)
かつて失ったはずの命が尽きず、時空を超え元からの仲間達、手を取り合うことが不可能と思っていた者達と、C.E.に平和をもたらすこと

が出来た。
そして最後の戦いで再び命を散らし意識を手放すも、気づいたときにはこの幻想郷にいたのだ。
最初は非常に困惑した。
元の世界はどうなったか、今までと違う完全な異世界。
だが幻想郷という世界の独特の空気の影響か、何時しかその不安は消えていた。
本来自分は在るべき存在ではないはずなのに、多くの仲間たちと共に未来(あす)を切り開いき、互いに信じ合えたからこそ最後には未来

(あす)を仲間達に託すことが出来たのだから。
それにいつまでも腐ってたら、こんな異世界にまで付いて来てくれた相棒にまで悪い。
(だからさ、この世界で精一杯生きてみるよ。みんな・・・・・・)
異端者であるはずの自分を受け入れてくれた、この幻想郷で――――――


行き場をなくし、忘れ去られし者たちを全てを受け入れる残酷な世界『幻想郷』
その証と言うように、異端者であるシンとデスティニーを歓迎するかのように夜の闇を照らし続ける。
これから彼らが歩む未来にどのようなものなのかは、例え神にも悪魔にもわからない――――――

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最終更新:2011年10月24日 05:30
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