「だがま、気にいったよ。ご褒美だ、私がお前に二つ名を付けて「あ、結構です」やろうって人の言葉に割り込むな!?」
「アルバの名前だけでも嫌な予感がバリバリじゃないですか、絶対変なの付けられる!」
「なんだとー!? じゃあ候補を選ばせてやるよ、私のネーミングセンスに腰抜かすんじゃないわよ!」
自信満々に宣言してから考え込むことしばし。
考えてなかったんかいというパチュリーのツッコミは聞こえないったら聞こえない。
「いや聞きましょうよ」
「黙れ。「衝撃の赤、レッドディスティニー」とかどうかしら」
「なんか長い、というかインパルスなのかデスティニーなのかはっきりしましょうよ、というかディス? かっこいいですけど」
「じゃあ「MS‐BOY」とか」
「正直もう俺ボウイって年じゃな、もとい、微妙に意味分かんないですよ、それになんか複数形にしたいし。かっこいいですけど」
「ア、「ALIVE」!!」
「いやもう意味分かんないですよ、かっこいいですけど」
「文句ばっか言うなー!!」
「逆切れしないでくださいよ!?」
コントを繰り広げるシンとレミリアを咲夜と美鈴は微笑ましそうに、パチュリーは呆れたように眺めている。
そんな彼女たちと対照的なのは魔理沙だ。何でもなさそうに振る舞っているが、よくよく見れば唇は面白くなさそうに尖り頬が不満そうに膨らんでいる。
恐らく本人も気づいていないであろうその微妙な表情の差異をパチュリーは目ざとく見破り悦に入った表情を浮かべて微笑が口から漏れ出る。
「ギョッギョッギョッギョッギョ」
「パチュリー様、な、なんなんですかぁその奇声は?」
「乙女の微笑みになんてことを」
乙女って言葉に謝った方がいいんじゃ。そんな言葉が美鈴の脳裏によぎるが呑みこんでおく。
だって言ったら絶対セクハラ地獄が始まるだろうし。
「何か失礼なことを考えているわねこれじゃあ貴女の胸をむねむねするしかないじゃない」
「考えただけでダメとか理不尽すぎますよう!?」
さっと両手で胸を押さえる美鈴、しかしその腕のおかげで胸がむにゅりと押し潰されていて。
そんな美鈴を凝視しながら真剣な目でシンが口を開く。
「早くむねむねしrパチュリーさん、セクハラはよくないと思いますよ」
「お前が言うなっ!!」
思いっきり魔理沙に足を踏まれた。
痛い痛いと跳び跳ねながら踏まれた足を抑えるが、痛みが引くと疑問がわいてくる。
「……って、なんでお前が怒るんだよ。美鈴さんならともかく」
「なんでって、そりゃ………………」
首をかしげることしばし。
「何でだっけ?」
「あのな………」
「あ、いや、違うぞ。お前がセクハラっぽいこと言ったからだ、この女の敵めっ」
「なんだよその取ってつけたような言い草………まあいいけどさ。美鈴さんもすいませんでした、変なこと言ったりして」
セクハラっぽいことを言ったのは事実なのだし、なにはともあれ美鈴にも頭を下げておく。
大して気にしていないのだろう、美鈴もそんなシンに気にするなとばかりに軽く手を振ってくれた。
「なるほど、なら気にせずむねむねすることにするわ」
「いやちょ咲夜さんなに無茶苦茶言って、止めて下さいよ手をわきわきさせるの!?」
やいのやいのと騒いでいる内にやがて空が僅かに白み始めた、空に煌々と上っていた満月も今はうっすらとした輝きとなっている。もうすぐ夜明けが近い。
魔理沙の家の掃除をしてから二十四時間と立っていないことに今さらながらシンは気付く。
「まだ一日もたってなかったんだっけ、色々濃くてなんか二年以上たったような気がするな」
「ははっ、何言ってるんだよシン。そんなの気のせいにきまってるだろ、気のせい気のせい」
会話のビーンボールを繰り広げるシンと魔理沙をレミリアは何とも言えない目で見ていたが、何も言わずにフランに視線を戻す。そろそろ起きてもいいころ合いだ。
事実、フランが身じろぎし、むずがる様な声をたてた。きっともうすぐにでも目を覚ますことだろう。
自分がどうすべきかシンは考えたが、結局はフランの姉であるレミリアの判断に任すことにした。
フランと関わって欲しくないと言われたのなら自分に出来ることは何もない。しかしレミリアの口から出た言葉はシンにとっては意外なもので。
「任せるわ、黒黒」
「………いいんですか、泣かすかもしれませんよ?」
「一山いくらのヒーローは、子供を無意味に泣かせっぱなしにするものなのかしら?」
悪辣な笑みを浮かべて皮肉をたっぷり塗り込めた言葉が返ってくる。
だが、そのシニカルな笑みはすぐに引っ込み、自分もかつては浮かべていたであろう表情へと変わる。
「それに、関わった以上は中途半端を許す気はないよ、責任は最後まで取りな」
妹を思う姉の顔。性別は違うが間違いなく自分も浮かべたことのある顔だ、そんな顔をされては引きさがれるはずがない。
一度大きく息をつき、真っ直ぐに目をこすりながら起き上ったフランを見つめる。
「ふに………んぅ…………―――ひっ」
シンの姿を見るや喉を引きつらせた声を上げて座り込んだまま必死に距離をとるため後ずさろうとするフラン、しかしシンは構うことなくずんずんと近づいていき。
恐怖しながら必死に後ずさっていたが、背に木が当たりそれ以上は下がれなくなる。
「ゃ……やぁ………」
それでもなおシンから距離をとろうとするが、それよりも早くシンは右手を固く握りしめて振り上げると。
ごつん、と音がしそうなほどにフランの頭を拳骨で叩いた。
「いっっっ、たああい!?」
叩かれた頭を抱えて痛がるフランと視線を合わせるためシンはしゃがみこみ、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を自らの服で拭わせるために抱き寄せる。
頭に手をやった時フランは身体をびくりと震わせたが、何もしないということが分かるとぐいぐいと顔をシンの服に押し付けてきて。
何も言わず何もせず、ただされるがままだったシンだったがやがてポツリと呟いた。
「子供が………子供が、逃げようなんて考えたりするな。悪いことをしたってんなら、正直に謝ればいい。それで、解決できないことなんて……」
一度言葉を切る。自分の中では彼女にかけるべき意思はすでに出ている、問題はそれを上手く言葉に出来ないということ。
だからつっかえつっかえ、何度もその言葉で正しいのか、ちゃんと伝えられるのか迷いながらも意思を言葉にしていく。
少しでも伝わるようにと、自分の想いが間違っていないようにと願いながら。
「家族の間で、どうにもならないことなんて、数えるぐらいしか、ないはず、だから………だから」
「……………だか、ら?」
肩に顔をうずめていたフランがようやくぽつりと口を開く。ちらりと目に入ったその表情は今にもまた泣き出してしまいそうで。
フランに見えるよう少しだけ笑い、優しく頭に手をやり不安がらせないよう髪をすくように撫でる。
「だから、さ。言えばいい。君が思っていることを……君のお姉さんに、言えばいいんだよ。言わなけりゃ、伝えようとしなけりゃきっとなんにも伝わらないから………だから」
ゆっくりとたちあがり、フランをレミリアの方へと向き直させる。
フランは何も言わずに視線を何度も彷徨わせながらおずおずとレミリアへと歩みよっていくが、まだ不安があるのだろう。
魔理沙の後ろに隠れてぐいぐいと押すようにしてレミリアへと歩いていく。
「ちょ、フラン、隠れることは無いだろ、って、ああもう………好きにしろよ、まったくもう」
不満そうにしながらも、魔理沙はフランを引きはがそうとせず。
結局魔理沙の後ろに隠れながらレミリアと向きあうフラン、その顔は自分の心をどう伝えればいいのか分からず迷いに満ちたもので。
そんなフランにレミリアは不敵に笑いながら口を開く。
「さて。フラン、貴女は自分がとんでもないことをした、と。そう思っているのかもしれんがな」
びくり、と身体を震わせるフラン、しかしレミリアは何でもないことのように肩をすくめ。
「私から言わせてみればお前が気に病む必要は全くない、というかどこに気に病む必要があるのかしら」
あまりにも意外な言葉にフランはぱちくりと何度も目を瞬かせる。それは側で聞いていたシンと魔理沙も同様だ。
レミリアの真意を測りかねてシンは眉をしかめ、魔理沙は額に手を当て考え込み、フランはどうしていいのか分からずにおろおろと視線をさ迷わせていて。
そんな三人の反応が自分の予想通りだったからか、愉しげに笑いながらレミリアは言葉を続ける。
「そこな黒黒はなにかとんでもないことをしてしまったー、なんてトンチキなことを考えているみたいだけどね、館はまた建て直せばいいんだ、大したことじゃあないよ」
決して強がっているわけではない。人間ならば百年足らずの人生の何十分の一かを無為に使ってしまうことに抵抗があるだろう、しかしレミリアは吸血鬼である。
人間とは比べ物にならないほどの長い時間を生きる種族だ、紅魔館を再び立て直すのにかかる時間は数カ月ほどか。
その程度の時間、レミリアが生きてきた500有余年と比べれば大したことはない。地下の大図書館も無事なのだ、日光と雨風を凌げるのならそれこそ問題はほとんどない。
だからこそレミリアには紅魔館を破壊されても怒る道理など無いのだ。そんなことで一々腹を立てたところで疲れるだけ。
お気に入りの私物が無くなるのは少々痛いが、精々それぐらい。人生は長いのだからどうせその内また新しいお気に入りが見つかるものだとさっぱり諦めもつく。
もし紅魔館を破壊されて怒りに震えるのだとしたら、それは紅魔館が壊れたことに対する怒りではなく自分を舐め切った破壊者への怒りに他ならない。
「可愛い妹がやったことだ、誰も死んじゃあいないんだから笑って許せるレベルじゃあないか、ん?」
揶揄するような目を危うく死にかけたシンに向ける。レミリアの態度にシンも思うところが無いわけではなかったが、自分も紅魔館の崩壊の一因である以上何も言わずに肩をすくめるだけにしておいた。
そんなシンの態度がおかしかったのかレミリアはくつくつと肩を震わせて笑いながらフランに視線を戻す。
「あぁ可笑し………ま、そんなわけだからお前が気に病むことはなにもない。無いんだが………」
気にすることなんかない。自分が悪いことをしたわけではない。謝る必要なんかない。
そう言われているにも関わらずフランの顔は晴れないまま。何かがわだかまったまま喉の奥に引っ掛かるようないやな感覚。
フランが浮かべている表情に満足げな笑みを浮かべる、その表情は永遠に紅い幼き月と呼ばれる尊大な吸血鬼の物ではなく妹を想う優しげな姉の物で。
「それでもだ、フラン。お前が何か言いたいって言うんなら……言え。聞いてやる」
「―――ぁ、う………うぅ」
魔理沙の後ろに隠れるようにしてレミリアのことを窺っていたフランだが、おどおどとした態度で恐る恐るレミリアの真正面へ近づいていく。
レミリアの眼前まで来ても視線をあちこちにさ迷わせていたが、やがて意を決したように唾を飲み込みようやく口を開いた。
「…………お姉、さま」
「うん。何かしら、フラン?」
びくり、とレミリアの言葉に身体を震わせる。逃げだしそうに何度も何度も魔理沙とシンの方を振り返るが、結局逃げずにレミリアに向き合ったままで。
口を何度も何度も閉じたり開いたりして言葉を探していたが、俯いてぽつり、と言葉をこぼす。
「あの………――――さい」
レミリアは、なにも言わない。ただ黙ってフランが言おうとしていることを聞いている。
そんなレミリアに気付く余裕もないフランは途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
途切れ途切れだが、止めてしまったらもう何も言うことが出来ないと思っているのかその言葉は止まらない。
「―――ん、なさい、ドアぶつけたりしてごめんなさい、ひどいこと言ったりしてごめんなさい、暴れたりしてごめんなさい、美鈴に酷いことしちゃってごめんなさい、おうち壊しちゃってごめん、っなさい」
謝っているうちに感情が昂ってきてしまったのか、ぽろぽろと大粒の涙を紅玉のような瞳から零しながらもそれでも言葉は止まらない。
俯いて何度も何度もしゃくりあげながら謝り続けるフラン、レミリアはそれを何も言うことなくただ黙って聞いていて。
「ごめ、っ、んなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ。お姉さま、ごめん、なさい」
荒い息がフランの口から漏れている、ロクに息つぎもせずにしゃくりあげながら謝り続けたのだ、いくら吸血鬼でも息が切れてしまう。
同時にその荒い息はそれほどまでに謝りたかったということでもある。レミリアは何か言おうとしたが、口にするよりも早く手を軽く上げる。
姉のその行動にびくりと身体を震わせて縮こまらせる妹を見て、開いた手をきゅっと握るがもう一度手を開いて。
ゆっくりと、本当に優しく、ぽん、とフランの頭に手をやった。
「うん。よく言えたな、頑張った。偉いぞフラン」
その顔は、穏やかな微笑みに満ちていて。そんな姉の顔を見ているだけでフランの瞳には見る見るうちに大粒の涙が溜まりだし。
ふるふると震えているそれはどうかしたと言わんばかりに首を傾げたレミリアの仕草で―――決壊した。
「う、わっと!?」
緊張の糸がぷっつりと切れてしまったのか、それともこれ以上は堪え切れなかったのか、ぼろぼろと涙を流してレミリアに抱きついてきたフラン。
肩に顔をうずめながら何度も何度もごめんなさいごめんなさいと言い続けているその姿にレミリアは仕方がなさそうな苦笑を浮かべていて。
「ああ、もうほら、レディがそんな風に泣くものじゃないわ、可愛い顔が台無しよ?」
ハンカチでフランの顔を拭いながら優しく語りかける。拭い終えたらまたすぐにフランは自分に抱きついてきて。
照れ臭そうに頭を軽くかいているとシンと目が合い。とりあえず感謝の気持ちを込めて中指を立てて思いっきり舌を出しておいた。
「………レディのすることじゃないだろ」
「まあそう言わないの、あの子なりの照れ隠しよ」
しんどそうに気にもたれかかるシンの隣にいつの間にか立っていたパチュリーは肩をすくめながらも愉しそうな声で抱き合う吸血鬼の姉妹を眺めていた。
どういう照れ隠しですかとツッコミながらもシンもそれ以上の追及はしない。
「御苦労さま、黒黒。まあ半分以上は自業自得な気もするけど」
「はは………まあ、それは、うん。丸く収まってよかったですよ、俺が言えた義理じゃあないけど」
「いえいえ、それはどうかしらね?」
含むようなパチュリーの言い草に訝しんだ表情を向ける。今回の騒動の原因はほぼ自分にあると言っていい、だのにそれはどうかとは。
くすりと薄く笑ったパチュリーは出来の悪い生徒に教え聞かせるように指を立てて。
「最近、妹様レミィのこと微妙に舐めてたもの。ちゃんとお嬢様が姉らしいとこを見せなきゃいけなかったんだから、案外必要なことだった、と思わない?」
「………どうですかね? こんなことがなくったってあの人ならちゃんと姉らしいところは見せられたと思いますけどね、俺は」
「そうね、そう思うんならそういうことにしておこうかしら」
ひょいと肩を軽くすくめるとすたすたとレミリアに近づいていき。
「うりゃん」
「って、うお!? なにすんのよパチェ」
そのまま背中からぎゅっと抱きついてきた。戸惑った声を上げるレミリアに構うことなく抱きしめる腕にさらに力を込めていく。
背中から抱きつかれたレミリアには見えないがその表情は楽しそうというよりもむしろ嬉しそうであり。
「ヘイ咲夜、カマン」
「あら、よろしいんですか? では失礼して」
咲夜ににんまりと笑いかけながら手をちょいちょいと振って咲夜を呼び寄せる。
咲夜もパチュリーの言わんとしていることを分かっているのかフランの背から手を差し入れて。
「んに? なんか背中がふかふか」
「PADの力ですわ、妹様」
自前の胸をPADと偽る咲夜にシンは物申したかったが、黙っとけとばかりの視線を魔理沙とレミリア、フラン以外から向けられては口をつぐむしかない。
ふと、咲夜と先ほどから手持無沙汰にしていた美鈴の視線が交わり。くすりと瀟洒な笑みを浮かべた咲夜に快活な笑顔で返す。
「はいっ、分かりました。それじゃあぐるぐる巻きですよー」
とてとてと歩み寄ってくる美鈴に咲夜は。
「え、何で来てるの私別に抱きつけなんて言ってな」
「…………ぐるぐる巻きデスヨー」
パチュリーや咲夜と比べると長身の美鈴が全員まとめて腕で包む光景を魔理沙は楽しそうに眺めていたが、ふと背後を振りかえるとシンが木にもたれかかっているのに気付く。
「と、どうかしたのかシン?」
「ん? ああ、ちょっとしんどくてさ」
「ふうん? 大丈夫なのか、さっきからずっとしんどそうじゃないか」
「まあな………でもま、大丈夫だ問題ない。て言うか、よく見てるなぁ、そんなにしんどそうだったか?」
「………………………別、に」
唇を尖らせて妙にはっきりしない態度の魔理沙に不思議そうな目を向けるが特にそれ以上の追及はしなかった。
本人がわざわざ言おうとしないことをほじくり返して痛い目を見るのはごめんだ。それが本当に必要なことならともかく今は必要なこととも思えない、だったら黙っておいた方がいいというもの。
抱き合う紅魔館の少女たちを二人は何を言うでもなく眺めていたが、やがて沈黙に耐えきれなくなったのかシンがぽつりと呟く。
「結局、さあ」
「ん?」
「彼女は………フランはさ、気が振れてなんていなかった」
シンの言葉に一瞬言葉を失いどう返そうか分からなくなる。
本人も唐突だと思いなおしたのか髪をくしゃりと潰すように頭に手を置いて一息ついてからまた口を開く。
「本当に気が振れているならさ、きっと美鈴さんの心配なんてしないだろうしお姉さんに謝ろうともしないだろうし………自分のやってることに、罪悪感も覚えやしない」
美鈴よりもはるかに力の劣る自分の平手打ちが痛む道理なんてない、あるのだとしたらそれはフランの肉体ではなく心が痛んだというだけのこと。
そんな罪悪感を感じる心に気付きもせずに叱った自分とちゃんと分別が付いていて時間をおいて落ち着かせれば分かってくれると信頼して止めようとした美鈴。
相変わらず、自分は空気が読めないらしい。C.Eにいた正真正銘気が振れているような連中はそんな罪悪感など欠片も持ち合わせていなかったのだ、フランと同列に扱うなどあってはならないというのに。
「ふぅん……じゃあ、フランが気が振れてるってのは私らの勘違いってことか?」
「どうかな。子供ってのは、大なり小なり気が振れてるように見えるもんだと思うよ。だから……まあ、間違ってはいないんだろ、う、な」
残酷さと歪さ、愛らしさと素直さ。どちらも子供は併せ持つものだ。それが子供ではないものには気が振れているように見えてしまう。
大人であればその分別がちゃんとつけられるのだろうけれど、付けることが出来ないのは自分がまだまだケツの青いガキだからなのだろう。
(アンタだったらどうしてたんだろうな、アスラン)
アスランは完璧な人間なんかじゃない、いい加減尊敬するのは止めるべきだ。ルナマリアから散々言われ続けた言葉だ、キラやラクス、カガリだって口にこそしないがそう思っているのだろうと薄々は感づいている。
それでも―――それでも。ずっとあの男の背中を追いかけてきた、今だって追い続けている。アスランの優柔不断なところも妙なところで融通が利かないところも好きになれないはずなのに。
今さらやめられやしないし止めたところで追っていたという事実は変わらない、追うに値する理由があったことには変わりがないのだ。
どれほど手酷い裏切りを受けたのだとしても結局のところ自分はアスランを尊敬している、その思いを受け入れられたにはメサイア攻防戦が終わってから当分たってからだったけれど。
屈折している、とは自分でも思う。尊敬するのならはっきりと尊敬すればいいものを、嫌うのならすっぱりとアスランのことなどこだわらなければいいものを。
「人のことは言えない………な、これじゃ」
「ん?」
「なんでもないよ、俺も大概優柔不断だって話」
自嘲じみた笑みを浮かべるシンに何と返すべきか分からず魔理沙は曖昧な返事を返す。そんな自分がなんだかとても気持ち悪い。
曖昧なのもそうだけれど、何と返せばいいのか分からないくせにシンに自分を卑下するような顔を浮かべてほしくないと思っている。
そんな自分勝手なことを思っていることの理由が分からなくてすごく気持ちが悪い、なんだかグルグルとした感情が胸の中で渦巻いているのを感じる。
「なんだってんだかな、ホント」
「ん?」
「なんでもないぜ、ただなんか………ン、やっぱりなんでもない」
再び、間。お互いに沈黙してしまいそれが魔理沙にとっては妙に気まずい。
なんとか話題を探そうとシンをそれとなく観察する。よくよく見てみればもとから白い肌はさらに白く、吐く息は少し荒く気だるげで。
そんな姿を見て茶化すような調子でシンの姿を揶揄する。
「でもさぁ。なんていうの、お前骨折り損のくたびれ儲けだったんじゃないか?」
「んー? 何がだよ……つか、なんだいきなり?」
「だってさー。レミリアは紅魔館壊れちゃっても何か全然気にしてないしさ、お前がなんかしなくてもフランを押さえられたっぽいし? 私はお前がくたびれただけなんじゃないのかって思うぜ」
魔理沙の言葉はシンにとって完全に考えの外だったのだろう。
きょとんと惚けたような顔を一瞬浮かべるとシンは喉の奥で億劫そうな唸り声を上げてしばし考え込み。
「そうかな、やっぱり?」
「そうだって、絶対」
「んー、だったらそうなのかもな。けど………さ、けど」
抱き合う少女たちを見やる。そこにあるのは家族の姿と距離だ、ああまで近づいて分かち合えるのは家族だからこそ。
自分がどうやってももう戻れない、取り戻せない光景だ。例え父が母が妹が、万が一億が一生き返ることがあったとしてもどうやったって戻れない。
平穏の中で自分の家族は生きてきた、そんな中に軍人を続けていたような自分がいちゃいけない。たくさん殺してきたような奴がいていいはずがない。
きっと家族は受け入れてくれるのだろうとも思うけれど、自分がいたら家族から平穏が離れてしまうのではないかと恐ろしくて。
どうやったって戻れない、戻ってはいけない光景。それが今、目の前にある。例えそれが自分のために用意されたものではなくとも、家族が互いに喜びあっているのなら。
「俺は、あれでいい。うん、ああやってみんな仲良くしてるのが一番だよ、俺にはあれがいいんだ。頑張ったかいがあった」
本当に嬉しそうに、目じりを下げてにっこりと笑うシン。
そんなシンを見ていると――――胸が、とくんと高鳴った。
(あ――――れ? あれ?)
胸がとくん、とくんと強く脈打っているのを感じる、聞こえる。シンを見ているだけでその鼓動はどんどんと強く深くなっていく。
苦しいのに、辛いのに、だのにすごく甘くて幸せで、それでもやはり苦しくて。
こんなのおかしい、これじゃあまるで、シンに■しているみたいではないか。
そんなはずない、だって、シンは自分に笑いかけたわけじゃなくただ紅魔館の少女達を見て嬉しそうに笑っただけだ。
もしも■するのだとしたら霧雨魔理沙に対して笑顔を浮かべた時だろう、自分に笑いかけたわけでもないのに「そう」なるわけがない、そんなことになるはずがないというのに。
だのに、シンから目が離せない、離したくない。一秒でも長く、できることならずっとシンのことを見ていたいと思い始めている。
ふと、シンが笑うのを止めてこちらの方を見ようとしているのに気づいた。たったそれだけのことでもう限界だと思っていた胸の鼓動はさらに強さを増していって。
どうかしたのか魔理沙。そんな何気ない言葉ですら魔理沙をもっと苦しくしてくる。幸せに、してくる。
なんでもないと口にしようとしても喉が凍ったみたいに動いてくれない、どうにか首を横に振ってシンに答えると、心配そうな顔を浮かべながらもそうかと言ってまたレミリア達に視線を移す。
たったそれだけなのに、それまで感じていた苦しさとは全く違う、身体の芯から冷めてしまうような辛さが襲ってきてしまう。
「―――――ぁ」
今まで出したことが無い切ない声を上げてしまい思わず口を押さえる。そんな声を出してしまったことがすごく恥ずかしくて、少しだけ嬉しくて。
顔が赤くなっているのが自分でも分かるくらいに熱を持っている、きっと今の顔をシンに見られてしまったら死んでしまうんじゃないかとすら思えてくる。
そんな砂糖を煮溶かしたかのような甘い熱に浮かされてどうにかなってしまいそうな頭で、普段ならはしたないと思うであろうことを強く感じる。
自分が、見ていたいだけじゃない。シンに自分を見てほしい。見つめてほしいし見つめていたい、出来ることならばずっとだ。
(シ、ン)
心の中でそっと名前を呼ぶ、たったそれだけでほんの少し思い浮かべただけでもう限界だと思っていた熱と鼓動がさらに高まっていくのを感じて。
どうしていいのか分からなくて何度もシンの名前を呼ぶ、その度に限界なんてないんじゃないかと思えるぐらいに高まって今はもう怖いぐらい。
振り向いて欲しい、話しかけて欲しい、触れて欲しい、名前を呼んで欲しい。
優しく笑いかけて欲しい、困った顔で苦笑いして欲しい、寂しそうな顔で静かに笑って欲しくないけどして欲しい、明るい顔と声で不安を吹き飛ばすぐらい明るく笑って欲しい。
穏やかに静かに、頭をなでて欲しい。
―――そこまで想い、ようやく自分の感情に気付く。「これ」がそうなんだとやっと理解する。
理屈でこねくり回した考えなんか簡単に吹き飛ばしてしまう、自分では抑えるのが精いっぱいなもの。
頭だけでするものじゃない、体だけでするものでもない、心だけでもするものではない。
その全てで、頭と体、心の全てでするもの、なってしまうもの。
(そ、っか。そっか…………そうなんだ、うん、これがそうなんだ)
八汰乃のことを笑うことなんて自分の気持ちを理解した今となっては出来ない。
今すぐにでもシンに抱きつきたい、心の内を告げたい、だけど不安で怖くてできない。
だからどうしようもなくなる、自分で自分のことを押さえることが出来なくなる。
そうだ、この想いが、どうしようもない心が、苦しくて辛くて、それでも途方もなく幸せなこの気持ちが。
恋、なんだ。
シンをじっと見ている魔理沙をパチュリーは紅魔館の少女達と抱き合いながら楽しそうに眺めている。
いや、楽しそうなのではない。本当に楽しいのだ、人が恋に落ちる瞬間を見るのは本当に楽しくてたまらない。
名残惜しそうにじっと魔理沙を見てからようやく視線を外し、こちらに駆け寄ってくる小悪魔へと視線を移す。
「こぁ、全員の避難は終わったかしら?」
「あ、はい、それはもうバッチリ。皆様の寝床も用意し終わったので様子を見に来たんですが…………」
紅魔館の惨状を一瞥し。
「………………なにやればこんなになるんでしょうか?」
「さあ………ま、一、二ヶ月もあれば建て直せるでしょうし、気にしたって仕方無いわよ」
「はぁ、なるほど………で、いいんでしょうか。あ、それと咲夜様、これ日傘です」
山に隠れているから直接は見えないが、空はもう完全に明るくなっていて。
このまま三十分もすればレミリアとフランが日光に曝されてしまうことは明白。
小悪魔が持ってこなければすぐにでも咲夜が取りにいっていたことであろう。
「ええ、ご苦労様。少し休んだらあの白黒と黒黒を魔法の森にまで送っていって頂戴な」
美鈴の腕の中から抜けだした咲夜は日傘を受け取りながら小悪魔に指示を出す。
すると小悪魔にしては珍しく嫌そうに顔をしかめられてしまった。
まあ、その嫌な顔の解消というのも多分に含んだ指示ではあるのだが。
「え゛ぇ………それって、私じゃなきゃ駄目なんでしょうか?」
「我慢なさい、どっちとも悪人じゃあないんだから。黒黒はちょっと胸に対して尋常じゃないけど」
「女の敵じゃないですか!? ま、まあやれって言うんでしたら送りますけど………」
不承不承といった感がありありの小悪魔だがとりあえずは納得してくれたらしい。
とはいえシンが彼女に危険が及ぼすことはないだろうという確信はある。
なんやかんやで根っからの善人でありプロとしては少し簡単なぐらいに人を信じすぎる。それがシン・アスカという男だということを理解している。
胸に関しては全く当てにならないが。全く当てにならないが。
と、そんな益体のないことを考えていたら湖の方から人が飛んでくるのが見えた。最早目をこらさなくてもはっきりと誰か分かる距離だ、彼女は。
「あら、アリス・マガトロンじゃない。珍しいわねー」
「マーガトロイドよ、わざと間違えるんじゃないわよっ!」
パチュリーに朝っぱらから喧嘩を売られた女、アリス・マーガトロイド。しかしパチュリーの言う通り彼女が紅魔館に来るのは珍しい。
調べものがある時は実家に帰って調べることが多いし、なによりもパチュリーとウマが合わないというのが大きい。
そんな彼女がこんな時間にわざわざ来るということは。
「なにあんた、あそこの黒黒がラヴァーなの?」
「ブッ殺すわよ。そうじゃないわよ、あいつは私が作った人形に宿ってるだけ。そうじゃなきゃわざわざ面倒なんて見ないわ」
アリスの言動が聞こえたのか、シンは面倒臭そうに肩をすくめる。とはいえ訂正はしない。
黙って一日中家を空けていたのだ、来てくれるだけでも感謝しなくては。朝食は和食を譲る気はないが。
「悪いなアリス、面倒をかけて………デスティニーから連絡があったのか?」
「ん? まあそんなところね、昨日は幽香の家に泊まってたから帰ってきてあの子からの置手紙を見てわざわざ来てやったってわけ」
「ハイハイアリガトゴザイマスー感謝しすぎて死んじゃいそうですー」
「死ーねっ、死ーねっ。大体あんたなにやったらここをこんな惨状に………それに、魔理沙とも何やって」
言ってから魔理沙に視線を映し、口をつぐむ。何があったのかなどは分からない、だが魔理沙に起こった事態だけははっきりと分かって。
ぽうっと上気した頬、潤んだ瞳、外せない視線。その頬を瞳を視線を見ればはっきりと分かる、シンに恋しているということが。
分からないはずもない、自分が女の子だからというのもあるけれど、それ以上に自分も魔理沙に同じ目を向けているはずだから。
(………分かってる、わよ。分かってるのよ、ちゃんと)
自分は霧雨アリスにはなれないし魔理沙は魔理沙・マーガトロイドにはなれない。自分はともかく魔理沙がそれを望むはずもないということも含めて、だ。
最初から分かっていることだ、不満なんてないし文句を言ったところで何かが変わるわけでも無し。
だったら、友人としてしてやれることは一つだけ。魔理沙自身が決めたことならばちゃんと応援してやる、それをやらないのならきっと自分は魔理沙の友人を名乗る資格など無い。
だから、笑顔で祝福してやらねば。
(それでも、ムカつくものはムカつくのよ、ねっ!)
その思いとは裏腹にシンの背中を小突くように蹴飛ばす。魔理沙に関しては祝福してやるが、それをシンに対してまで徹底してやる必要があるはずもなく。
もっとも、アリスのちょっとした嫉妬心はこれから始まるとんでもないことの切っ掛けとなってしまうのだが。
「うわっ、と!? 何すんだよ、アリス?」
倒れそうになりとっさにすぐ前にあったものにしがみつく。
具体的には。
「―――あら」
パチュリーの腰へと。当然シンの顔は腰よりも上、パチュリーの隠れた膨らみへとダイブ!
顔面をパチュリーの両胸で挟まれた状態できっかり三秒間固まり。
「う、うわあああごめんなさい!? す、すぐ離れますから!!」
「三秒きっちり止まっていた奴の言うセリフじゃないわねー、ま、減るもんじゃないからいいけど」
胸に思いっきり顔面ダイブされたにもかかわらず相変わらずローテンションなパチュリーとは対照的に完全にテンパった状態のシンは慌てて離れようとするが、貧血で急に動こうとしたために立ち眩みが。
よろよろとよろめき、倒れこみそうになったために両手を何とか伸ばし何かを掴んだ。
そう、やーらかい何かを。
「あらま、大胆なことするのね」
「あはは、もう下手に動かない方がいいと思いますけど」
右手はからかうように瀟洒な笑みを浮かべる咲夜、左手は仕方がなさそうに呆れ半分に笑う美鈴。紅魔館の二大乳を両の掌に収めてしまう。
立ち眩んでぼんやりとする思考だが、その考えの大半は手の中の柔らかさと暖かさ、そして途方もない大きさに集中していて。
今度も三秒たってから自分のやっていることに気付くとすみませんすみませんと連呼しながら慌てて二人から離れるが慌てすぎて足をもつれさせてしまい。
「こぁー!? 咲夜様やっぱこいつ女の敵じゃないですかーやだー!!」
小悪魔の生意気かつけしからんおっぱいへと両手をうずめてしまった。紅美鈴、十六夜咲夜、パチュリー・ノーレッジ、小悪魔。
紅魔館四大きょぬーにピンポイントでらき☆すけを発動させる様はさすがシン・アスカである。
「生きててごめんなさい!?」
四人に対して迷うことなきジャンピング土下座。しかし小悪魔以外の三人は事故だと分かっているためか大して気にした様子もなく。
その小悪魔も恥も外聞も捨てきったシンの姿に毒気を抜かれたのかぽかんとした顔をしていて。周りで見ていたアリスも突如起こった事態に呆気にとられるしか無く。
レミリアとフランの未だに抱きしめあっている、もとい、妹がまったく姉を離そうとしない吸血鬼姉妹はと言うと。
「お姉さまお姉さまお姉さまお姉さま………!」
「はっはっは、フラン、お前が私のことを大好きなのは分かったから、ちょっと力を緩めちゃくれないか、その、いい加減、骨がなんかミシミシ言いだして……!」
とっても仲がよさそうだ。
誰も怒っていないことに気付くとバツが悪そうな顔で自分のやったことに頭を下げる。
そうだ、誰も怒ってなどいない、あれは事故だった。誰も怒ってなどいないのだ、怒っていない、怒っていない。
そう、怒っていない―――――魔理沙以外は。
「―――シンの、シンの、シンの………っ!」
どうして、なんて分からない。今までだったらきっと面白そうに笑っていたと思う。
だけど無理。シンへの恋心を認識した今となっては無理だ、どうしても怒りがこみ上げてきてしまう。
あれは事故だと頭が言うけれど、それで心と体が止まってくれるはずもなく。
怒る理由なんてない、とも考えるけれどそれでもどうしてか許せなくて。
どうしても、と理由を付けるのならば、それは魔理沙がどうしようもないぐらいに女の子で、乙女だからなのだろう。
「え、魔理沙、なんでお前がそんなに怒って」
「シンの、大馬鹿ぁぁぁああああああああああああああ!!!!」
顔を怒りと恥ずかしさと恋心で真っ赤にして半分涙目になりながらポケットから取り出したミニ八卦炉を構える、その体制の意味することはシン以外の全員が分かっている。
散り散りにミニ八卦炉の射線から離れていく少女達をシンは戸惑った様子で見ていたが、それが致命的。
「にっくきターゲットを狙い、放つぜ恋の魔砲!」
「恋って割に物騒だなオイ!?」
ツッコまなければ避けれただろうに。哀しきは人のサガ、か。
そしてミニ八卦炉の射線上に、これまた哀しいサガをもつ一人のカリスマが。
「うげ、なんか不味いことにー!? フラン、まずは、一旦、離れて……っ!」
「え、あ、はいごめんなさいお姉さま」
「えぇ、なんでこのタイミングであっさりと……?」
フランはとことことレミリアから離れて射線上から外れるが、呆気にとられたレミリアは動くことを忘れてしまう。その間にもうチャージは完了する。
ミニ八卦炉から抑えきれずに光が漏れだす、ぱち、ぱちと何かがスパークするような音はそれだけで危険だということを伝えてきて。
「突きぬけろ私の恋心! 喰らって吹っ飛べ、恋符「マスタースパーク」!!」
ヴォォオオオオン、と唸るような轟音を上げて極太のビームがミニ八卦炉から放出される。
水平に放たれたそれはシンと紅魔館の残骸を薙ぎ払い、ついでにレミリアも巻き込みながら射線上のあらゆるものを根こそぎ吹き飛ばしていく。
放出が終わるとそこにはきれいさっぱりと瓦礫が無くなった紅魔館跡地と、その前に横たわってぷすぷすと煙を上げるシンとレミリアが。
「ふっとぶどころじゃなくね……?」
「だれが、おちたんとうだぁ………」
二人とも言うべきことを言い終えるとがっくりと力尽きて地面に突っ伏してしまう。
雲一つない青空に、偉大なるラッキースケベとカリスマの、爽やかな笑顔が浮かんだような気がした――――
最終更新:2012年01月10日 10:17