1
シン「・・・燈子さん・・・」
燈子「ど、どうしたの慎君?そんなに真っ直ぐに見つめられると、私・・・」
シン「俺、貴女に伝えなきゃいけないことがあるんです」
燈子「伝えなきゃいけない・・・こと?」
シン「はい。大切な、とても大切なことなんです」
燈子「また突然ね。でも、どうしていきなり?」
シン「俺・・・俺は、今まで自分自身をだまし続けてきました」
燈子「何を言ってるの?君は優秀な社員よ。最初は不安だったけど・・・今じゃ魔術だって・・・」
シン「そんなことじゃないんです!!」
燈子「!?」
シン「俺は、もう、これ以上自分の想い(気持ち)に嘘なんかつけない・・・もう、抑えきれないんです」
燈子「し、慎君!?」
シン「燈子さん・・・」
燈子「そ、そんなに真っ直ぐに見つめられると、私、私・・・」
シン「目を逸らさないでください。俺の目を見てください」
燈子「あ、そうだ!そういえばこの前」
シン「話を逸らさないでください。俺は、今、貴女と大事な話をしているんです・・・」
燈子「だ、だめよ!!慎君!私と君とじゃ年齢が・・・」
シン「そんなこと関係ありません」
燈子「き、君はまだ高校生なのよ?こんなの一時の気の迷いに」
シン「そうであればと願いました。でも、この想いも、現実も。全て偽りない真実なんです」
燈子「慎・・・君・・・」
シン「燈子さん・・・」
シン「だから何度も衝動買いなんてするなって言ってるでしょうが!!」
燈子「いいじゃないか。これはめったに手に入らないんだぞ?それに、魔術師とは金がかかるものなんだ
それくらい理解しているだろう?弟子」
シン「誰が弟子ですか。て言うか、俺は社員じゃなくてバイトです!!それなのに魔術なんてよく分らないものを
手伝わせて・・・しかも給料が未納ってどういうことですか!!」
燈子「魔術を教える授業料だ。君だって学校に授業料を納めているだろう?」
シン「義務教育でもなんでもない押し売りは詐欺って知ってますかこん畜生!!」
鮮花「そうよねー。やっぱり近親婚よねー」
マユ「そうだよねー。だって神様の時代から近親相姦ばっかりなんだもん。これくらい普通だよー」
2
なのは「外見とか性格的には私じゃないかな?」
フェイト「でも、当たり前すぎるのもつまらないからここは私が」
はやて「意外性という点においてはわたしは譲らへんでーーーー!!」
霊夢「・・・はぁ・・・お芝居になに躍起になってるんだか・・・」
魔理沙「んで、私を差し置いて花を売る為のかごを用意しようとしているお前はなんなんだ?」
幽香「お花といえば私でしょう?いい加減に引きなさいよ」
ルナ「いや、中の人的に考えれば私一択じゃないの!!」
なのフェイはや霊魔幽「「「「「「黙れ」」」」」」
ルナ「うわ、ハモってるし・・・」
なのは「大体、シン君には大人なお姉さんキャラが一番似合ってるの!!特に!サイドポニーでエプロンの似合う喫茶店の娘とか!!」
フェイト「うん、黒髪ツンデレな男の子には優しくて胸が大きくて金髪キャラが一番お似合なんだから」
はやて「シンはわたしのもんや!!まぁ、世話焼きのちょっと抜けたお姉さんキャラが一番や!!」
霊夢「あのね、シンには私みたいなのが側にいてあげなきゃいけないの。あいつ、すぐ無茶するんだから・・・」
魔理沙「いやいや、シンにはいつも世話になってるからな。こういうときくらいあたしが何とかしてやるよ!!」
幽香「あの子、いい子よね・・・ふふ、年上っていうことなら私じゃない?」
ルナ「こ、この人たちは・・・」
シン「んで、俺はソルジャー決定なのか・・・?」
ヴァイス「ま、いいじゃないか。こういうのも、たまにはな?」
シン「いっつもじゃないですか?」
クロノ「まぁ、そういうな。これもあいつらの息抜きだと思ってくれ」
シン「息抜きで一区画を灰塵に帰すようなこよさせてんじゃないですよ!!この上司!!」
クロノ「仕方ないだろう?どいつもこいつも化け物なんだから・・・」
エリオ「提督・・・諦めきった顔を・・・」
ヴァイス「ま、なまじ身内がいるからな・・・仕方ないさ」
3
シン「デスティニーに新しい装備?」
レイ「そうだ。武装を集中させたデスティニーの欠点を補うためにな。
ドラグーンシステムを応用した武装換装システム・・・『ギルガメッシュ』」
シン「ふーん。て、ドラグーンシステム?つか、ギルガメッシュってなんだよ・・・」
レイ「うむ。なにやら技術開発部の連中が無尽蔵の兵装を追随させていくと言うものらしくてな
西暦時代の神話の中に復活した王の名前らしい」
シン「西暦時代って・・・なんで神話?てか、その王様なにしたんだよ・・・」
レイ「なんでも、無数の武具を投擲して相手を一掃したそうだ。あ、なにやらお前の権限でメサイアまで使えるようになってるぞ」
シン「戦略兵器だろうが!?なんで一平卒の手にゆだねられるんだよ!?」
レイ「シン。お前はこのデスティニープランの旗印だ。お前だから、いや。お前にしかゆだねられん」
シン「レイ・・・・って、いやいやいや!!普通は議長だろう!?」
レイ「ついでに、メサイアから『エア』へと改名された」
シン「改名!?今更!?それも神話の再現とかいうんじゃないだろうな・・・」
レイ「よくわかったな。その通りだ」
シン「ありえねー!!なんでそんな厨二ちっくな名前にするんだよ!?てか命名からしてあれじゃねーか!!」
レイ「シン、こういうのは見せかけも重要なんだ」
シン「ねーよ!!・・・ったく・・・今度議長に直談判しにいかにゃ・・・」
レイ「ギルは乗り気だったぞ?『セイバーはいい。あと、ロ凛もいい。しかしゾォルケン、てめーはだめだ』と、言っていた」
シン「誰だよゾォルケンって!?」
レイ「さて、話を戻すが・・・落ち着け、シン。いつ如何なる時でも冷静さを忘れるな」
シン「なんでかな、正しいのに絶対に頷けない・・・」
レイ「悩むのは大切だがな。とにかく、このギルガメッシュシステムを用いることでこれまでのような一点的な攻撃ではなく、
広範囲同時攻撃が可能となり、腕が破壊されても攻撃続行が可能となる。
さらにそれらの武器だけでも攻撃が可能となる・・・ストライクフリーダムのように、な」
シン「・・・!!」
レイ「・・・気に入らないのか?」
シン「・・・敵の技術だろうが・・・しかも、あんな奴の・・・」
レイ「敵であろうと味方であろうと関係ない。用は使えるか使えないかだ。戦争とはそういうものだ
使えるものは使う、使えないものは使わない。それがたとえ、敵であろうと、何であろうとだ
誇りなど犬にでも食わせてしまえ生き残り、勝利すること。それが戦争だ」
シン「・・・」
レイ「シン」
シン「分かってるよ・・・それで駄々をこねるほど、俺だってガキじゃない」
レイ「ふ・・・まだまだ表情は隠せていないがな。いいか、シン。上に立つものは怒りを秘めたまま微笑むのだ。
笑顔の仮面で敵を欺け、味方を奮い立たせろ。それが、立つべき者の、率いる者の義務なのだからな」
シン「別に、俺はそんなこと・・・」
レイ「まぁ、今はいいさ。しかし、覚えておいてくれ。お前に願いを託し、そしてお前の背中を見る者たちがいると言うことを」
シン「てかさ、俺ドラグーンシステムって苦手なんだよな・・・」
レイ「そうか?十分に扱えていると思うが・・・」
シン「いや、レイほど上手くは無理だよ。あぁいうのは俺の性に合わないし・・・どちらかって言うと
デスティニーは間合いを詰めて、機を見極めて、相手のそれをはずすって言うタイプだからな。
デスティニーの武装が攻撃力特化なのはそれが原因だし」
レイ「確かに。一撃でも当たれば致命傷になる一撃を絶対にはずさないというものだからな・・・
しかし、それでも必要な装備だ」
シン「んじゃ、どうするんだ?もしかして、今から特訓か?・・・さすがにそれは勘弁して欲しいんだが・・・」
レイ「まさか。今から特訓してどうこうなるものでもないだろう。幾らお前とは言え、な」
シン「さっさと言えよ。もったいぶるのはお前の悪い癖だぞ、レイ」
レイ「うむ・・・そこで考え出されたのが複座型、要するにギルガメッシュのみを操るためのものだな」
シン「複座って、寧ろそんなのやられたら迷惑だと思うんだが・・・俺の攻撃に迷いが出るし、セルフフレンドリーファイアなんて
ごめんだしな」
レイ「お前の言うとおりだ。そこでな、ためしに検査をしてみたんだ」
シン「検査?」
レイ「お前のこれまでの戦闘データからの行動をシュミレーターに組み込み、擬似的なギルガメッシュシステムを使いこなせる人物
がいるかどうかの検査だ」
シン「・・・いつも思うんだけどさ、いつの間に・・・」
レイ「お前が考えているよりも、お前の情報は高いと言うことだ。それにデスティニープランの核となる
第23世代型量子コンピューター『せいはいくん』の実力、甘く見てもらっては困る」
シン「つっこまないぞ・・・つっこんでたまるか・・・」
レイ「うむ・・・すぐに『人類滅亡』を演算したがるコンピューターだが、きわめて優秀だ」
シン「解体しろよ!!そんなのは!!」
レイ「とにかく、『せいはいくん』の演算から導き出された人物がいてな。誰も彼も、シンクロ率400%だ」
シン「・・・んで、俺はLCLにでも溶けるのか?」
レイ「・・・シン。お前は何を言っているんだ?重要な話をしているのにそうやってちゃかすのはどうかと思うぞ?」
シン「たまにぼけたらこれだちくしょう・・・!!って、誰も彼も?」
レイ「気が付いたか?そうだ、複数板のだよ、お前の動きについてこれて、なおかつ援護までやってのける兵がな・・・」
シン「へぇ・・・」
レイ「ふ、いきなり戦士の顔だな。そういう猪突猛進なところは治せと言っているだろうが・・・」
シン「別にいいだろう?んで、誰なんだ。その付いてこれた奴らっていうのは」
レイ「それはな・・・」
バタン!!
はやて「せやから!!わたしが一番シンと(ユニゾン)できるんや!!」
フェイト「はやてじゃシンのスピードについていけないでしょ?私ならシンと(真・ソニックフォーム)できるんだよ?」
なのは「二人とも、頭冷やそうか?今回みたいなマルチタスク能力が一番高いのは私なんだから!!
私がシンと(スターライトブレイカー)するんだよ!!」
霊夢「・・・ま、あいつがどうなろうと知ったこっちゃ無いけど、勝手されて私に無き疲れるのが困るだけよ・・・」
魔理沙「とか言いながら、結構ガチでやってたくせによー。いいカッコしやがって」
レミリア「ま、それはお互い様でしょうね」
束「あははー。うぞーむぞーがやかましー」
千冬「いい加減にせんか・・・」
セシリア「このような大任。イギリス代表としてしかと果たして魅せますわ!!」
その他もろもろ・・・
シン「・・・・・・」
レイ「・・・・・・」
シン「・・・レイ」
レイ「・・・なんだ?シン」
シン「何か言うことはないか?」
レイ「ふむ・・・正直・・・予想の範囲内だった」
シン「・・・だったらするんじゃねーよ!!」
4
艦隊これくしょん
~アドミラル・アスカ~
提督の日常
「やっと、終わったか・・・」
シンはそう呟くと持っていたペンを置き、眦を指でもむ。
鎮守府の執務室。
時間はすでに日付変更線を超えており、窓の外には夜の帳と星の光を消し去る不夜城のように眠らない基地の明かり。
冷め切った珈琲を手に取り、ゆっくりと体をほぐすように立ち上がって窓の外からその景色を眺める。
慣れ親しんだ宇宙の夜とは異なるが、彼にとってはそちらの方が親しみやすかった。
込みあがりかけた郷愁を隠すように珈琲を口に含む。
口の中が眠気覚ましとしてしか意味を成さない苦味であふれかえるが疲れた身体にはさしたる意味もなかった。
「・・・まぁ、まずいように煎れてくれって頼んでるのは俺だからな」
そう頼んだときの彼女の顔には困惑と、こちらを案ずる想いがこめられていたのを感じていたがそれは仕方のないことだった。
つと、視線を執務机の上に積み上げられた書類に目を向ける。
そこにはおびただしいまでの資料と書類が山となり、朝早くから休みなく続けているにもかかわらずようやく終わったそれに我がことながら安堵を浮かべる。
無限に湧き出てくるような書類に現場から次々と侵略してくる報告書。
かつてその現場に属していた者としては上役なんて適当に過ごしているに違いないと感じていたがそれは浅はかに過ぎた。
問題が起これば全てが報告されてくる。
それが一つや二つであろうはずもなく、それこそ数百・数千、日によっては万を超す勢いで出されるのだ。
もちろん、それ以外にもさまざまな陳情・嘆願が送り込まれ、さらには資源・資材の調達に振り分け。
その強さを思い出してようやく逃げるように視界をはずす。
誰だって地獄を振り返って思い出に浸りたくはない。
黒い壁にかけられたよくわからない花の絵画はかなりの値打ちものらしいく存在感を放ち、サイドボードも明るい色ではなくずっしりと重みを感じさせる重厚なつくりだった。
その中で唯一の例外は床に広がる紅茶のセットだろう。
彼女たちが置いていったそれが、あまりにも場違いのようで、それでいてマッチしているのが少しだけおかしかった。
最近ようやく慣れ始めてきた重厚なその内装に、心の中でため息をつく。
似合わないことをしているのを自覚する、かつての仲間たちが見たらどう思うだろうかと哀愁にも似た感情に支配されかけたそれを打ち消すように執務室の部屋の扉がノックされる。
シンがそれにどうぞと応えると扉が開く、よく油の注された扉はきしむ音も立てずに訪問者を迎え入れた。
「提督?いかがですか?」
入ってきたのは改造された巫女服を着たような一人の少女。
穏やかさと、淑やかさを併せ持ったその美少女に微笑みかけて視線を執務机に向ける。
彼女は安堵したかのように眦を緩ませて、口を開く。
「お疲れ様です、提督」
「あぁ・・・それで、何かあったのか?」
「はい、赤城さんの回復が終わりましたのでご報告をと、それと・・・・」
彼女はちらりと伺うようにシンに視線を向け頬を染めながら呟くように
「その、提督はどうなさっているのかと・・・す、すみません!」
「いや、気にしないでくれ。そうか、赤城が治ったか・・・経過は順調か?」
「あ、はい。もう夜食を食べていましたので・・・」
「・・・あいつ、普通に晩飯食ってなかったか?」
「えと、榛名が聞いたときには食べたほうが早く治るとか・・・」
その言葉に、リスのように頬を膨らませてお代わりを要求する赤木を想像して眉根をひそめる。
あいつには一度資源の大切さを教え込まなければならないだろう。
というか、メンタルモデルが飯を食ったからといって回復が早くなるわけがなかろうに。
その沈黙をどう受け取ったのか、榛名と己を呼んだ彼女は心配そうにシンを気遣う。
「あの・・・提督、お身体は大丈夫なのですか?」
「うん?まぁ、慣れたもんだ」
「しかし・・・」
「それに、お前たちみたいな女の子を戦わせているんだ。これくらいはな」
「そんな・・・提督は私たちと一緒にいつも旗艦に乗船され私たちの指揮をとっておられるじゃないですか!
その上、事務仕事までこんなになさっているんですよ!?」
「それは提督として当然のことだ。如何に不慣れであろうとも、責任者は責任を負うためにいるんだからなそれに、何度も言うが・・・お前たちは女の子なんだから、それくらいはさせてくれ」
後半からは訴えるように叫ぶその言葉に、シンは苦笑を浮かべてウィンクを一つ加えた。
慣れていない上に似合わないと心の中で自らを嘲りながら。
しかし、それでも榛名の表情は暗く、重く口を開けて
「私たちは・・・人間では」
「違う」
彼女の言葉を途中で切り捨てる。
大きな声ではなかったが、その言葉には強い否定の意志がこめられていた。
それを察したであろう彼女は口を噤み
「確かにお前たちの力は強大だ。それこそ、駆逐艦一隻でも小さな国を容易く滅ぼしてしまうだろう」
脳裏に浮かぶのは彼女たちの力そのもの。
空間を歪め、一つの島を容易く文字通り消滅させることができるその火力、こちらの攻撃を全て無効化する防御力はまさしくもって戦船の具現に違いはない。
事実、彼女たちを知る者の多くは彼女らを恐れ、毛嫌いし、化け物とののしっている。
それは覆せない事実であり、彼女が純粋な人間でないことは否定しようがない。
だが、
「そんなことは関係ないんだよ」
先ほどよりも強く否定し、珈琲を机に置いて榛名に一歩づつ近づいていく。
さして距離があったわけでもないそれは、力強い歩みによって容易く距離を殺され
「君は、君たちは女の子なんだから」
やさしく、しかしこの想いが伝わるようにと、強く抱きしめる。
榛名からは一瞬の息をのんだ気配と硬直する身体の感覚。
「君たちがどんな想いで俺たちに力になってくれるのか知っている。君たちが陰口を言われながらそれでも人間を愛してくれていることを知っている」
そう、どんなに無関係な人間に言われようとも、彼女たちは己の役割を果たす。
それがあらかじめ組み込まれたものなのか、それとも自然と湧き上がっているものなのかはわからないが。
「それに、こんなに柔らかくて華奢な女の子が・・・化け物でなんかあるはずないだろう?」
できるだけやさしい言葉で、かつて自分に語りかけてくれた尊敬する議長のように。
微笑を浮かべながら、そんな彼女たちを戦いへと赴かせる自分自身をのろいながら。
「だから、そんなことを言わないでくれ」
ゆっくりと強張った榛名の身体から力が抜けていくのを感じならが
「君は、君たちは誰よりも人間らしいんだから・・・そんな悲しいことを言わないでくれ」
シンはそう、願い(呪い)を口にした。
後日のこと
なぜか金剛からは「姉妹丼どんとこいデース!!」とサムズアップしながら言われ
加賀からは裾をぎゅっと握られながら「・・・私はまだですか?」と上目遣いで見つめられ
天龍からはなぜか顔を真っ赤にされながら鎮守府を追い掛け回されるなどと言った若き提督シン・アスカの姿があった。
追記
ちなみに、赤城は三杯目のお代わりからそっとだすようになったという。
最終更新:2019年02月08日 22:33