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幻想忘戦録 外典「 プロジェクト東方 厄を払って福を招いた男達 」

シン 「・・・いよいよ明日か」
自警団A「隊長、ターゲットは未だ博霊神社に滞在中です」
自警団B「動きそうにないですね。完全にこっちを舐めてますよ、ありゃ」
早苗「今の内に好きなだけ油断させておきましょう。代償は体で払ってもらえばいいんですから。例のプランは?」
自警団A「は! 既に酒類を五樽分確保し、神社に搬入済みです」
シン 「足らないな・・・」
自警団A「は?」
シン 「酔わせて動きを止めたいなら三十樽はいる。その量だと精々二時間持つか持たないかだ」
自警団B「しかし、それが人里で確保出来た精一杯で・・・」
早苗「シンさん・・・」
シン 「それで作戦を決行するしかないか。最後のミーティングだ。皆を集めてくれ」
自警団A、B「はっ! 」
シン 「サイは投げられた。決着を付けるぞ、萃香」

 幻想郷で定期的に行われる行事の一つ、節分。
本来は、鬼に豆をぶつけることで福を呼び、邪気を払って一年の無病息災を願うという
行事である。
現代社会においてはもはや中身のない風習になってしまったが、神秘のたまり場である幻想郷において、
その効力は馬鹿に出来ないものがあった。

しかし、それも鬼がいた数百年前の話である。
近年の幻想郷では、本物の鬼は迷信に近い存在と成り果てており、
結果、節分は鬼役の人間に炒り豆をぶつけるだけの外の世界と変わらない風習となっていた。
中には僅かな加護より、撒かれる豆が勿体無いといい、節分を行わない家もあったほどである。

幻想郷の節分は、滅びの道を辿りつつあった。
本物の鬼が姿を現す、数年前までは・・・。


伊吹萃香――――彼女の出現は、節分という行事に革命をもたらした。
幻想郷最強クラスの妖怪ではあったが、炒った豆を“ぶつけれられる”はずの本物の『鬼』が姿を現したのだ。
ふつうに豆をまいただけでも効果があったのに、本物の鬼に豆をぶつければどれほどの無病息災が訪れるのか。
まだ見ぬご利益に胸躍らせて、里人は彼女に節分への協力を頼みこんだ。

――――が、あっさり断られた。

萃香にとっても人間と遊べるチャンスだったはずだが、そもそも彼女は『鬼』である。
『強者との戦い』を望む種族である。
であるからして、弱い人間との遊びにわざわざ付き合ってやる義理は彼女には無い。
それに、炒った豆は幻想郷の鬼にとって本当の弱点ではないが、ぶつけられればやはり痛い。
萃香が協力するメリットはどこにも無かった。

再三の説得や酒による買収にも応じない萃香に、里の人間達はついに強硬に及んだが、相手は伝説級の妖怪である『鬼』。
圧倒的な戦力差に、まともに豆をぶつけることもできず自警団は瞬く間に殲滅されてしまった。
以後、毎年の様にそれは続き、戦いは三年にも及んだ。
そして、今年。幻想入りした一人の男がその現状の打破に命を掛ける。


これは、節分に命を掛けた熱き男達の魂の戦いである


幻想忘戦録 外典「 プロジェクト東方 厄を払って福を招いた男達 」


節分の一ヶ月前、山の上の神社、守屋神社において極秘にある会議が行われていた。
その警戒ぶりは半端ではなく、わざわざ山の妖怪を遠ざけ、デスティニーを警護と称して上空に待機させ、
移動には河童のステルス迷彩まで使う徹底したものだった。
そこまでしたからには当然ただの会議ではない。
それは、まさに人里の未来を決定づけるといっても過言ではない会議だったのだ。

慧音 「ターゲットは、『伊吹萃香』『水橋パルスィ』『星熊勇儀』の三名。
    このうち『水橋パルスィ』『星熊勇儀』は地下に篭っているために、実質的に標的に
    なるのは 『伊吹萃香』一人となります」
神奈子「決行は?」
慧音 「二月三日の日付は変わってすぐ。なお、奇襲やだまし討ちは厳禁と定めました」
諏訪子「賢明な判断だと思うよ。鬼は卑怯な手段を嫌うからね。それで、相談って言うのは?」
慧音 「実は・・・」

諏訪子「・・・うん、流れは分かったよ」
神奈子「霊夢への協力要請はいいのかい?」
慧音 「彼女は萃香と仲がいい。下手に協力を求めて情報を漏らされては困ります」
諏訪子「ふふ、いい覚悟だね。じゃあ、こちらも相応の働きで返そうか」

そうして、運命のいたずらか、定めというべきなのか、人里の存亡は一人の男に託されることになる。


シン 「俺が兵員訓練?」
神奈子「そう。節分に向けて戦力を強化したいんだとさ」
シン 「いや、節分って外に豆を撒いたり、鬼役の人に豆をぶつけるって行事ですよね。大げさじゃないですか?」
諏訪子「それが、かくかくしかじかで・・・」
シン 「なるほど。本物の鬼相手に炒った豆を・・・って、本物の鬼!?」
諏訪子「そう、鬼にとって炒った豆は弱点の一つだからね。当たったら相当痛いと思うよ」
シン 「そんなの誰だって嫌ですよ、普通! 行事のためだからって、鬼をいじめて平気なんですか」

神奈子・諏訪子「「 行事ならば仕方がない!! 」」

シン 「言い切ったよこの神様・・・」
神奈子「シン、わからないのかい。人里の病に苦しむ人たちがどれだけこの行事の成功を願っているか。
    これは里の無病息災のためなんだ」
シン 「言ってることはわかりますけど・・・」
神奈子「鬼に豆をぶつけるだけで、里の子供達が病気から守られる。すばらしいじゃないか」
シン 「鬼にとっては迷惑千万ですけどね」
神奈子「お前は子供達の笑顔を守りたいとは思わないのかい!?」
シン 「できれば、誰も傷つかない方法で守りたいです」
神奈子「どうして、そんなに節分に協力しないんだ!!」
シン 「どうして、そんなに節分に協力したいんですか!!」

早苗 「シンさん、そんなに難しく考えなくてもいいんじゃないですか」
シン 「え?」
神奈子「早苗・・・」
早苗 「要は普段やっている弾幕ごっこの続きみたいなものなんでしょう?」
諏訪子「まぁ、間違ってはないかな」
早苗 「だったら、私はシンさんは参加すべきだと思います。だって、節分は人と鬼を繋ぐ大切な行事じゃないですか」
シン 「早苗さん・・・。わかりました、俺やってみます」
早苗 「頑張ってくださいね、シンさん。私も協力しますから」
神奈子「よく言ってくれたね、シン。では、さっそく準備にかかろうか」

諏訪子(ま、本当は『守矢神社のおかげで節分が成功した』って事実で信仰を釣りたいだけなんだけどね)

この神様共、本物よりも鬼である。

こうして、シンは人里で一ヶ月の間自警団に訓練を行うこととなった

自警団A「何でも外の世界から本職の軍人さんが来るらしいぜ」
自警団B「へ、どうせ妖怪を前にしたら小便ちびって逃げ出すさ」
自警団C「俺達は、人間なんかよりずっと恐ろしい妖怪相手に戦ってきたんだからな」


早苗「最初の顔見せですからね。ここで舐められたら訓練どころじゃなくなりますし、しっかり気を引き締めて行きましょう」
シン「え、ええ、そうですね(やばいな、だんだん緊張してきた。こういう経験はまるでないからな、俺は・・・)」
早苗「では、お先に参りますね」
シン「え?」


早苗「わたしが現人神で副隊長の東風谷早苗である!」
自警団`S「??(な、どうして守矢の巫女さんが!)」ザワザワ
早苗「話しかけられたとき以外は口を開くな!口でクソたれる前と後に“Sir”と言え。
   分かったか、ウジ虫ども! 」

自警団`S「さ・・・Sir,Yes Sir 」
早苗「ふざけるな! 大声だせ! タマ落としたか! 」
自警団`S「Sir,Yes Sir!!」

早苗「貴様ら⑨どもが私の訓練に生き残れたら各人が最強となる。
   妖怪退治に祈りを捧げる死の神主だ。
   その日までは妖精以下だ! 幻想郷で最下等の生命体だ。
   貴様らは人間ではない。蛙と蛇のクソをかき集めた値打ちしかない!
   貴様らは厳しい私を嫌う。だが憎めば、それだけ学ぶ 」

自警団`S「・・・・・・!」

早苗「私は厳しいが公平だ、宗教差別は許さん。キリスト、イスラム、仏教を、私は見下さん
   すべて、平等に価値がない! 価値があるのは守矢の教えのみだ。
   私の使命は役立たずを刈り取ることだ。愛する幻想郷の害虫を!
   分かったか、ウジ虫!!」
自警団`S「Sir,Yes Sir 」
早苗 「ふざけるな! 大声だせ! 」
自警団`S「Sir,Yes Sir!! 」

シン(え、なにこれ)
早苗「一度やってみたかったんですよねぇ。さ、シンさん。あとはよろしくお願いします」
シン「あ、えっと・・・」
自警団`S「・・・」
シン「シン・アスカです。一ヶ月の間、俺が隊長になります。それで、その・・・」
自警団`S「・・・」
シン「・・・やるか。訓練」
自警団`S「Sir,Yes Sir !!」

「あーいつにまーめをなーげるぞー♪」
「ゆだんはいっしゅん、けーがいっしょー♪」
「まめをまけ♪」
「まめをまけ♪」
「おーにのこーむすめ、しとめるぞー♪」

早苗「それは?」
シン「ああ、戦略書ですよ。部隊を預かる以上こういう勉強もやっとかないと」
早苗「すごいですね。ちゃんとそこまで考えてるなんて」
シン(本当は早苗さんがのりのりで訓練を仕切ってるから、
   訓練メニューとこれくらいしかやることがないんだけどな)



そして、瞬く間に一ヶ月が過ぎた。


  • 二月三日 当日

自警団A「ブラボーチーム、所定の位置に付きました。」
自警団B「アルファチーム、配置完了」
自警団C「ベータ、いつでもOKです」

河童製の無線機で連絡を取り合いながら、シン達は徐々に萃香を取り囲んでいった。
ちなみに武装も全て河童製であり、IRMM-E10というマシンガン型炒り豆発射装置の他にも
結構な数の秘密兵器を作ってもらっている。

山の神様を引きこんだのは河童を味方につける目的も含まれていたらしく、
二トリなどは盟友と定めている人間にきゅうりを山ほど貰って満面の笑みだった。

各チーム準備が整ったところで、代表者であるシンが縁側でくつろいでいる萃香に丸腰で近づいていく。
これが奇襲やだまし討ちではないと示すためだ。

シン(縁側には萃香だけ。パッシブソナーにも反応がないということは霊夢は寝てるのか)

どうやら、お酒を差し入れることで宴会を行わせ、萃香を酔わせて動きと思考を鈍らせるという作戦は思わぬ方向に成功していたらしい。
霊夢が二日酔いで倒れている今なら、遠慮せずに萃香に豆をぶつけられる。

寝ころんでいた萃香は、シンの姿をちらりと見ると伸びをしながら起き上った。
さすがは腐っても上級妖怪。事情を一瞬で察したらしい。

シン「伊吹萃香。俺達が来た目的は分かってるはずだ」
萃香「なるほど、性懲りもなく豆をぶつけに来たわけか。人の嫌がることはするなって親に教わらなかったのかい?」
シン「・・・要求に応じるならよし。さもなければ・・・」
萃香「力づくか。いいよ、そっちの方が私もやりやすいしね。もっとも・・・」

萃香「できるならだけど、ねっ!」
シン(・・・速い!)

ただ突っ込んで殴りに来ただけという単調な動きだが、そのスピードは尋常ではない。
戦場を経験したシンですら、頬をかすめる鉄拳に冷や汗をかいたほどだ。
萃香(・・・今のを避けたか。相変わらず、人間にしてはいい動きをする)
そのまま、薙ぎ払いにかかる萃香の拳をすんでの所でかわしながら、シンは生垣に隠れていた仲間に合図を送る。

生垣から姿を現すと同時にIRMM-E10で狙いをつける自警団。
それを予知していたかのように萃香は神社内に跳び戻ると、居間の畳を思いっきり踏みつける。
発射された炒り豆は、狙いすましたかのように舞い上がった畳に遮られた。

シン(畳がえし!? 神社で戦うのは不利か)
萃香「甘い、甘い。そんな文明の利器で鬼を潰そうなんて・・・」
シン「でかいのが来るぞ! 回避しろ!」


萃香「百年千年早いんじゃないか! な・・・・?!」ドズンッ

と、萃香の声を遮ぎるほどの爆音が無縁塚のほうから響いてきた。
季節外れの花火にしては、少々火薬が多すぎる。

萃香(あっちの方向は旧地獄への入り口があったはず・・・まさか)

嫌な予感が、萃香の小さな胸をよぎる。

不思議ではあった。去年のざっと二分の一くらいだろうか。自分を襲っている部隊の数が想定よりもはるかに少ないのだ。
鬼を追い回すには数が足りないことは分かっているはずだ。
唯でさえ勝ち目が薄いのだから、参加人数が少ないのなら中止にするだろうし、援軍なら山の神に頼むにしてもシンだけを送ってくる必要はない。
もしもシン達が、別働隊が地獄を攻めている間、萃香を博霊神社を抑えておく役割だったとしたら。

幻想郷の地下、地獄と呼ばれる場所には多くの鬼達と萃香の親友である『星熊勇儀』『水橋パルスィ』の二人が居る。
萃香に並ぶ実力者である勇儀や、彼女に及ばないにしても十分な力を持つパルスィが万が一にでも打ち取られることはないだろうが、
他の鬼達はどうかわからない。
『節分』は鬼達のうち、誰か一人でも豆をぶつけられればそれで完了する行事なのだ。


萃香(少なくとも挟撃のタイミングは逸してる。別働隊はここにいないと考えた方がいい。これは、いよいよまずいかもね)

ましてシンは本物の軍人だった。搦め手や策略で攻めてくる可能性は十二分に考えられる。
萃香は一抹の不安をかき消すべく、スペルカードをしまって一目散に駆けだした。

自警団A「隊長、ターゲットが逃げます!」
シン「すぐに追撃にかかる。付いて来い!」

とりあえず段取りのとおりに流れがむいたことに胸をなでおろすシン。
考えたくないが、もしも萃香が先にこちらを殲滅してから地獄へ向かおうとしていたら、
戦力を分断していたシン達は間違いなくその時点で終わっていた。

幻想郷にいる鬼の狙いの中に勇儀やパルスィが入っていると思わせれば、萃香はまず彼女達と合流しようとするはず、
という神奈子さん読みは当たっていたらしい。

だが、全てが万事予定通りとはいかなかった。萃香の移動速度が速すぎて、シンが率いる部隊が引き離されつつあったのだ。
このままではまずいと考えたシンは、すぐさま早苗に連絡をとる。

シン「早苗さん、聞こえますか。ターゲットがすごい速度でそっちに向かってます。
   俺達が追いつくまで、何とかもたせてください!」
早苗「了解、任せてください」

無線機から返ってきた元気のいい返事を聞きながら、シン達の部隊は一目散に萃香を追って行った。


魔理沙「なあ、本当にやるのか。私たち二人じゃ分が悪いと思うんだが」
早苗 「何を弱気になってるんですか。今年一年の無病息災がかかってるんですよ」
魔理沙「だからって、本気の鬼相手に人間だけで挑むっていうのはどうなんだ」
早苗 「そんなんだから人間が妖怪に舐められるんです。この無縁塚で人間の意地を見せてやりましょう!」

おー、と早苗の指揮する第四小隊グリフィスチーム、第五小隊ガルムチーム、第六小隊
(命名 東風谷早苗)が呼応する。
シンの率いていた新人で組まれた小隊とは違い、早苗達の部隊は前回の節分を生き抜いてなお戦意を失わなかった猛者たちだ。
今年こそはという想いは自警団でも屈指である。

もっとも、雇われたにすぎない魔理沙にとってはその士気の高さもわずらわしいだけなのだが。



シン達が無縁塚にたどり着いた時、既に戦場では紙一重の攻防が繰り広げられていた。
魔理沙はそうそうに白旗を上げていたし、(所詮、傭兵である)
自警団の援護を受けているとはいっても、早苗の技量はまだ鬼には及ばない。
一方の萃香も「炒り豆」という弱点を盾に飽和攻撃を仕掛けてくる人間と、最近めきめき実力をつけて来た早苗相手に攻めあぐねていた。

シン(何とか追いつけたけど、まだ油断はできないな)
萃香(ここで追いついてきたか。魔理沙みたいに真っ直ぐ突っ込んで来てくれるはずもないし、どうしたものかね・・・)


すると、シン達の部隊は萃香への攻撃に加わらずにそのまま旧地獄への入り口を目指し始めたではないか。
これには萃香も虚を突かれた。こちらに対して向かってくると思っていただけに、
まさかあくまで二手に分かれようとするとは思っていなかったのだ。

シン(人間が唯一妖怪に勝るもの。それは数と知恵だ。物量を生かして引っかき回せば、萃香は必ず・・・)
萃香「行かせない!」

ここで萃香は一気に勝負に出た。密と疎を操る程度の能力を使い、体の密度を操って巨大に変身したのである。
自警団は的が大きくなっただけと自らを叱咤して攻撃するが、元の萃香ならまだしも巨大になった萃香には全く通用しない。

早苗「(前回、自警団を破った切り札をついに切りましたね)シンさん!」
シン「ああ! わかってる!」

早苗の弾幕を合図に持てる火力を全て投入していっきに攻勢に出る自警団だったが、
攻撃が当たる直前になって、萃香は体の密度を操り霧状になってかわしてしまう。
そして、再び空中で実態を持った萃香の攻撃目標は・・・。

シン「・・・!」

シンの真上だった。

萃香「地獄へは行かせないよ! 必殺 ミッシングパープルパワー!」

間一髪でかわすシン。だが、体制の崩れた隙を突かれて萃香の腕に掴まれてしまった。

シン「ぐっ!」
萃香『さあ、負けを宣言してもらおうか』
シン「・・・ああ、これが駄目だったらな」

がくんと、萃香の体が唐突に重力にひっぱられた。
大地だと思っていた場所が、回転扉のようにくるりと引っくり返ったのだからたまらない。
シンの言葉の意味を考える間もなく、巨大になった萃香の体はシンを掴んだまま“地面の下”に落下していった。

萃香『いたた、まさか回転扉になってるなんて』

シンだけがわざと目立つように動いていたのは、落とし穴の上に誘導するため。
萃香に捕まったのは動きを止めるため、全て戦略のうちである。
そして地の底では、獲物を狩るために息を潜めていた数百台の指向性地雷が、
萃香とシンが来たことで一斉に目を覚ましていた。

シン「諏訪子さんに作ってもらった落とし穴だ。そしてここは指向性の豆まき地雷原!」
萃香『しまった。これじゃ霧状になっても逃げ場が・・・』
シン「この閉鎖空間ならさすがのあんたでもかわせないだろ。福は外の皆に、鬼は内にだ!!」

360度、回転する天井から足の裏までびっしりと地雷で埋め尽くしてある。
いかに萃香といえど、一発も喰らわないままの脱出は不可能だった。
決着は付いたのだ。

萃香『みぎゃあああああああああああああぁぁっ!』
シン「俺達の勝ち・・・・いててててててて! 痛い! 痛い! 俺にも地味に痛い!」

こうして、地上で響く自警団たちの歓喜の声をファンファーレに、今年の節分は人間側の勝利で幕を閉じたのだった。


  • おまけ

勇儀 「で、人間にしてやられたと。錆びついたもんだね萃香。山の四天王の異名は返上かな」
萃香 「ぶ~」
神奈子「お、飲んでるね」
萃香 「飲んでるね、じゃないよ。神様の手を借りるなんてずるくない?」
神奈子「おや、何の事やら」
萃香 「今回の手際の良さ、シンらしいとはとても言えなかった。軍神のあんたが知恵を貸してたんだろう」
神奈子「知らないね。仮にそうだとしても神が人と手を取り合うのが幻想郷じゃないか。何の問題もないよ」
萃香 「ぬぐぐ・・・」

パルスィ「妬ましい。出番があるなんて妬ましいわ」
シン  「妬ましいのは分かったから、いい加減離れてくれパルスィ。・・・その、色々当たってるから」
パルスィ「節分なのに会い・・・豆をぶつけに来てくれなかった罰よ。なによ、萃香とは仲良く遊んだくせに!」
早苗  「パルスィさん! シンさんはあちこちアザが出来てるんですから、むやみに触れないでください!」
パルスィ「ふん、いつも一緒にいられて妬ましい。アザなんて舐めれば治るわ」ペロッ
シン  「うひぃっ! ば、馬鹿! いきなり首を舐めるなんて」
パルスィ「アザを治す為なんだからいいじゃない。腕にも足にも胸にもお腹にもアザを作ってまで遊んだ貴方が悪い。そうね、いっそ唇にやっても・・・」

早苗  「 開海「モーゼの奇跡」!! 」
パルスィ「ちぃ、いいところだったのに妬ましいわ貴女! 舌切雀「大きな葛籠と小さな葛籠」!! 」
シン  「やめろ二人とも! こっちにも流れ弾が・・・痛い! アザに当たって余計に痛い!」

神奈子「お、始まったか」
萃香 「・・・あ、思い出した」
勇儀 「うん?」
萃香 「あいつ、“福は外の皆に、鬼は内にだ”っていったんだよ。で、あいつは私と一緒に内にいたわけだから」
勇儀 「ふむふむ、・・・ああ、なるほど。外は福と共に一年、内は鬼と共に一年か」
萃香 「そういうこと。言った以上は責任を取ってもらわないとね。鬼は嘘が大嫌いなんだから」
勇儀 「鬼ってことは、一応私も一緒くたってわけかい。ま、退屈はしなさそうだね。さあ、弾幕勝負している二人!
    私も争奪戦に入れてもらうよー!!」


神奈子「やれやれ、あの子の災難は当分終わりそうにないねぇ」


シン「 俺の無病息災はどこにいったんだよぉーーーっ!! 」



                             おしまい

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最終更新:2012年04月23日 12:52
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