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病み憑き氏のなのはネタ-02

1

「久しぶり、シン」
「…何のつもりだよ、はやて」
「何が?」
「何のつもりで、こんなところに…」
フェイトに連れて来られた施設の一室で、珍しくシリアスな雰囲気のはやてが待っていた。
「そんなの、見たままやろ?」
「見たままって…」
「そう、見たまんま…ピンクの害虫に反逆や」
連れ込まれたのは、反ザフトの連中が群がる施設…つまり、俺が潰し回ってた場所の一つ…
「シンだって、もう信用できんやろ、ザフトのこと」
ピッとモニターに映像が映る。ベットの上に横たわる、赤い髪の少年とピンクの髪の少女
「こんな子供を…ヴィヴィオも、アホな実験を繰り返して、戦争の道具にしとるザフト…シンは、本当にそれでいいん?」
戦争の道具…脳裏をよぎる、金髪の少女…連合の強化人間と、何ら変わらない非道な実験…
「シン…私は、あの連中のせいで大切な人を失った…シンも、そうなんやろ?止める理由なんて、あらへんよね?」
「…俺は、戦争さえなければいい…だから、戦争の火種は見過ごせない」
「でも、あんな奴等に平和なんて創れへん」
吐き捨てるような、断言
「自分の我が儘で力を振り回して、無駄な被害者を生んで…今でも、それを生み続けとる…害虫や。考えたこと、あるやろ?もし、前議長が、自分達が勝ち残っとったら、こんなひどい世界にはならへんかったのに…って」
「けど、あいつらを倒したからって、世界が変わるわけじゃない!」
「そう、変わらへん…あいつらが生きとっても、死んどっても…なら、殺したってええやん」
冷たい…どこまでも激情と憎悪のこもった声…
「シン、私には憎しみの理由がある。だから、許さへん…絶対に…シンだって、そうやろ?そうだったはずやろ?」
そうだ…両親も、マユも、ステラも、レイも、議長も、ハイネも、ヨウランも、艦長も…皆、あいつらのせいで死んだ…確かに、俺は彼等を憎んでる…憎んでる、はずだ…
「シンがつくべきは、こっちのはずや…本当は、もう分かっとるんやろ?」
椅子に座ったまま、はやてが手元のメモリースティックを投げる
「ナイスキャッチ…中には、シンが乗るべきMSの情報が入っとる。ここの連中に話はつけてあるし、部屋も準備させとる…今日は、ゆっくり休み…返事は、明日でええよ、シン」

「えげつないなぁ…」
「なんや、盗み聞きか?」
シンが出てったあと、一人の青年が部屋に入ってくる
「当然…なんせ、あのシンだ」
「私は…使えるもんなら、何でも利用するし、その為なら平気で誰でも騙すけどな…それでも、大切やない訳やないんや。シンに手、出したら…」
「こっちはあんたにとってのそんな人達を、そのシンに殺されてるんだぜ…ま、俺はそんなつもりないけど」
ニヤニヤと笑いながら、青年がモニターをつける…映し出されるのは、”夜天”の皆を騙し、シンを丸め込む為に自演を手伝ってくれた二人の子供。
「別に、本当のことを話しても良かったんじゃないか?」
「良くはないよ…私は使えるものは何でも使う…例え、それが哀れな実験の犠牲者でも。でも、シンはきっとそんなこと許さへん…せやから、画し通さんといかん…シンにも、誰にも、気付かれんように。」


正しさってのは、何だ?何が、正しかったんだ?
仕事にも行かず、自室のベッドに寝転ぶ…とてもじゃないが、デスクワークなんて気分じゃない
裏切られた…信じていた仲間に騙され、その掌の上で踊らされていた?結局、心地いい言葉にほだされて、ヒーローごっこをしていたのは俺のほうだったのか?
何を信じればいい…何を選べば良かったんだ?
思考がループにはまり、いつまでたっても抜け出せない…
「アスランさん、どうしたんですか?皆、待ってますよ?」
部屋の外から、メイリンの声が聞こえる…もしも俺が間違っていたのなら、俺は自分の過ちに彼女を巻き込んだことになるのか…
「…メイリン、悪いが今日は休む」
「…え?」
いや、彼女だけじゃない…ミネルバの皆も、俺のせいで…
「アスランさん、本当になにかあったんですか!?」
俺を気遣う声が、俺の心を抉る…俺は、こんな子を過ちに引き込んだのか…
心がバラバラになりそうだ…何を考えていたのか、何を考えるべきかさえ、曖昧になっていく…
「もしかして、シンが軍を辞めたの、そんなにショックだったんですか?」
「…ああ、シン、か」
アイツなら、分かるんだろうか…俺が脱走したとき、アイツは多分今の俺と大差ない迷いを抱えていたはずだ…そのなかで、一つの決断をしたアイツなら…俺の迷いの解き方を、知っているんだろうか?
「…シン」


居心地が悪い…当然だ。何しろ、俺はここの仲間を山ほど殺してきたんだから…でも、今はそんなこと二の次でしかない…
八神はやて…俺が二度も守れなかった人。俺の弱さのせいで、体も、心もボロボロになってしまった友人。
今のあいつの憎悪は、俺に責任がある…俺が、決着つけるべき問題だ。そこははっきりしてる…でも、止めるべきか、手伝うべきなのか…そこが、分からない
でも、そんな思考に意味は無いんだ…なにが正しいのか、どちらが正義なのか…そんなんの人によってまるっきり違う…
人の改造は正しくない…戦争の火蓋を切るのも正しくない…けど、そんなのは俺の基準でしかない。ザフトの正しさとはやての正しさ…俺はどっちにつくべきか…そんなの、考えるまでもない
パソコンを立ち上げ、メモリースティックを差し込む。表示される、MSのデータ…
はやても、なのはも、フェイトも…もう大切な人を奪われたくない…だから、戦う理由なんて、それだけで充分だ。
正しさなんて、いらない…俺は、ただ、守ることさえ出来ればいい

2

「…嫌がらせか、このMS」
「ん?なんの話?」
「いや、とぼけんなよ…分かってるだろ?赤のカラーリングに、足サーベルだぞ?思いっきり意識して造らせたろ!」
赤のカラーリング、手にした巨大な実体剣、地上でも使える自律兵器…アルケー、という名のドライブ機。
「いいやん、大剣に自律兵器に足サーベル…ミネルバのFAITHのMSの特徴、詰め合わせやん?」
「いや、足サーベルは裏切られた後のMSだから…ってか、ハイネの分は?」
「いやね、最初はそれも踏まえてハイネカラーのスローネツヴァイにするつもりやったんよ。けど、ついさっき、なのはちゃんのセラヴィーの改修も終わってな、今やラファエルに進化…正直、今さらスローネなんて出しても…」
「そんな理由か!?」
「それだけやないよ。ツヴァイを造ったら、アインとドライも出さないかんやろ?でも、ちょうどいいパイロットもおらんし…」
「そっちの理由こそどうでもいいよ!?」
自分より目線がしたのはやてと話すと、自然と俺の方は見下ろす形になるし、はやては上目遣いでこっちを見上げてくる。視界に映るはやての姿が、俺に強烈な罪悪感を植え付け、拒否することを否定する。結局、折れるのは俺だ。
「自律兵器…上手く扱えるかな…」
「大丈夫、死ぬ気で頑張れば、な?」
ニコッとはやてが笑う…胸が締め付けられるように痛い…結局、余程のことがない限り、俺はこいつに逆らえない…俺のなかの罪悪感が、こいつに逆らうことを許さない
「そろそろ昼食やね。一緒に食べへん?」
「ああ、いいな…フェイト達も呼ぶか」
クルリ、とはやての姿が半回転する。歪な機械音とともに、出口へと向かうはやての背中…視界に映る、俺の無力の結果…
俺は、別に上目遣いにやられた訳じゃない…見下ろしたさきに、別のものまで映してしまっただけだ…もう、二度と動くことのなくなった、二本の脚を…

「ようやく出航命令?もう、あれから4日もたってるんだけど…」
「なんでも、臨時のメンバーをねじ込むための申請がおくれたらしいね」
「おいおい、まだランスター隊になって、一回も出てないのに臨時かよ…またアイツみたいなんじゃないだろうな?」
アイツ、というのはルナマリア・ホークのことだろう。うちに来てから、ろくに会話もしないし、コミュニケーションもとろうとしない…初期の隊長みたいな雰囲気だけど、隊長よりももっと重症な気がする。
「とりあえず、隊の人間関係を壊すような人じゃないことを祈るわ…」
不意に、私達が会話している格納庫のドアが開く…見覚えのある顔…でも、決して顔見知りではない。
「アスラン・ザラだ。臨時のパイロットとして、この艦に配属されることになった」
この人の、ミネルバでの”活躍”はよく隊長から聞かされた…どうやら、人間関係を崩すような人物が当たってしまったらしい。そりゃ、この人ほどの人物なら、確かに申請にも時間がかかるだろう
「ティアナ・ランスターです。よろしくお願いします」
「ス、スバル・ナカジマです!」
「ああ、こちらこそ、よろしくたのむ」
この部屋にいたのは、アスランさんを除いて三人…挨拶もしなかったヴァイスさんは、じっとアスランさんを睨み付けながら、口を開いた
「…あんたは臨時の乗員です。階級は俺達よりずっと上みたいですけどね、この隊の隊長はそこのティアナ・ランスターですから。分かってますよね?」
「…ああ、重々承知している」
なんか、ヴァイスさんが不機嫌だ…この二人、以前に何かあったのだろうか?
「だが、シン・アスカが敵のパイロットとして現れた場合、俺には奴を落とすための独断行動が許されている」
「っ!!ちょっと!隊長が裏切った、っていうんですか!?」
「あくまでも可能性の話だ。君たちではシンに勝てないだろう?いや、それ以前に引き金が引けるかどうかさえ怪しい。下手に接触されて、あっちに寝返られたらたまらない」
隊長の話と違う…たったこれだけの時間で判別するのもなんだが、確か部下を思いやってはいるものの、不器用で空回りばかりの人、とのことだったはずだ…こんなに、他人を侮るような人ではなく…
「俺に指揮権はない…だが、シンと戦うのは、俺だ」
宣言…
”夜天”を落とす…そして、隊長を……
「…大丈夫、隊長が裏切るわけがない…だから、連れてくるだけ…それで、おしまい」
自身に言い聞かせるように呟く…あんなに平和を求めていた隊長が、裏切るわけがない。裏切ったなら、そこにはやむを得ない事情があったに違いない…だったら、その時は隊長に手を貸そう…私は隊長のお陰で力を手にし、強くなったんだから…この力は、隊長のために使うべきだ。
その為にも…絶対に、この男よりも先に…

「もしシンが寝返ってたとしたら、アスランではシンには勝てないよ…このタイミングではね」
アスランがランスター隊に同行する、という話題を振ったところ、思いもしなかった発言が副司令の口からとびだした
「どういう…ことですか?」
「別に、パイロットとしてシンが優秀って訳じゃない。実際、彼らの実力はほとんど互角だと思うよ」
「では…何故?」
心底分からない…いったい、彼らの何が明暗を分けるのか…
「君は…なんでシンがあの大戦でアスランに惨敗したと思う?」
「機体性能…というか、機体の特製、ですか?ジャスティスは、一対一に適したMSで、デスティニーはどちらかというと、対MSというよりは、対戦艦や大型MAに適したMS…のような、気がします」
実際、彼等にとって私達を討った後の敵はロゴス…デストロイやザムザザーといった、MAを量産しているあいてだったわけで…
「確かに、それもあるだろう。でも、それだけじゃない。要は、心構えの問題さ。もし、あれがデスティニープランが適用されて、ある程度の成果をあげたあとだったら、恐らく、負けていたのはアスランのほうだ」
「…はい?」
「あの二人は、同じようなきっかけで戦いを選んだ…求めるものも、平和という同じ世界…そんな二人が、何故敵対するのか…二人を隔てたのは、判断する基準さ」
「…基準?」
「アスランは理性でどちらにつくべきか判断する。対して、シンは感性をたよりにする。だから、アスランは迷いが長い…一つ一つの事象を吟味して、何を信じるかを決める。そこまでの道のりは長いが、一度判断すればそれに邁進できる。あれだけ考えて決めたことなら、間違いであるはずがないと…ね」
なるほど…確かに、心当たりがないわけではない。しかし…
「では、アスランは何故私達についたのですか?平和を考えれば、つくべきは彼らのほうだったはずです。」
「あれは向こうに運が無かったね…なにかを隠していたことがバレると、他のことも逐一疑うようになる。そうしたら、何も判断出来なくなってしまうんだ。だから、アスランはこっちに来た。そうして、キラという親友や、君という元婚約者と触れ合い…決定的だったのは、恐らくザフトがレクイエムを所持したことだろう…結果、彼はこちらが正しいと判断したわけだ」
「…なるほど…では、シンは…」
「あいつは感性で物事を判断する。だから、決意自体は早い…けれど、そこには確信がないんだ。彼の決意は、望むものが一定の結果を出した時、初めて確信を得る。だから、完全に自分が正しい、と思い込んでいたアスランには勝てなかった…まぁ、シンに関しては、今はどう変わったかは分からないが、少なくともアスランはあの頃のままだ。だから、この前の僕の発言でまだ迷っている」
タイミングの違い…ただ、それだけで勝敗が決まる。確かに、伯仲した実力の持ち主なら、そういうこともあるのでしょう
「シンが寝返った、ということはあちらにも何らかの正しさを見出したことになる。確信はなくとも、決断はしたシンと、いまだに迷い続けているアスラン…まぁ、普通に考えれば、勝つのはシンだろうな」
「あなたは…それが分かっていて、アスランの同行を許可したのですか?」
「まだシンが寝返った、と決まった訳じゃない。それに、さっきの話は機体性能が互角だった時の話だ。あっちがNジャマーキャンセラーでも持ってこない限り、アスランは負けないさ」
その台詞には、どれだけの確信があるのか…穏やかすぎる表情からは、結局、私は判断できなかった

3

6歳の時、私は親に捨てられた…連れてこられた施設には、私と同じように捨てられた子供達と、その子達の世話をしている、銀髪で赤い目のマザーと呼ばれる女性がいた。
コーディネーター…遺伝子を操作され、親の望むように産まれた子供…だから、親の思い通りに成長しなければ愛想をつかされる…捨てられる子供だって、少なくはない。多分、そこはそういう子供を受け入れる施設だったのだろう。
私の前に、既にそこにいたシグナム達…私が入って暫くしてから入ってきたヴィータ達…色々な子供が、様々な理由で捨てられてきた。けれど、私はヴィータが捨てられた理由以外は、誰の捨てられた理由も、知らなかった。
ほとんどの子供が、捨てられた理由を知らないのだ。あるいは、知っていて話さなかったのか…少なくとも、私はなんで捨てられたのか分からなかった。ただ、親から邪険にされているのは大分前から気づいていた。
だから、施設に入ってから、寂しいと感じたことはほとんどなかった。むしろ、楽しかった…銀髪の女性は優しかったし、施設の子達と遊ぶのは面白かった。本当の家族より、よっぽど家族らしく過ごし、自分の居場所としての暖かさも、確かにあった。
そんな日々を過ごし…そして、シグナムが最初に言ったのだ…軍に入る、と。なんでも、戦争で家族が亡くなったことを知らされたらしい。自分を捨てた家族のために、よくそこまで怒れるものだ、とも思ったし、家族のために怒れる彼女を羨ましいとも思った。
とにかく、きっかけはソレだった。その頃にはほとんど一緒に行動していた私達は、彼女と共に軍に入ることを決め、一番年下だった私とヴィータの成人を待って、士官学校に入ることにした。マザーは寂しくなる、と言っていたが、年々増える子供のためにも、私達が出ていく、というのはそれなりに益のあることではあったと思う。
そこからは、色々あった…シン達と出会い、士官学校を卒業し、正式に軍に入り…目まぐるしく変わる日々の末に…悪夢が、訪れた
コロニーが崩れていく…たった一条の光で、数百万の命が奪われたあの日…
『ヤヌアリウスが…ディセンベルも!?』
当時はパイロットだった私は、コックピットの中でオペレーターの声を聞いていた…次々と報告される被害のなかで、確かに聞こえた ヤヌアリウスというコロニーの名前…私達が、確かに家族として過ごしていたコロニー…それが
「嘘…やろ?」
失われてしまった…と
「なぁ…冗談、よね?」
マザーも、施設の皆も…もう、二度と…
悲しみが、私の心を埋め尽くす…同時に、黒い何かが私の思考を蝕んでいく…
アイツらの、せいで…
ソレが、今の私の始まり

「…オーブ…」
ロゴスが倒れ、ようやく平和へと進みはじめた世界の邪魔をする、巨大な癌…
随分と勝手な国だとは思う…レクイエムを向けたのは、宣戦布告の後だというのに…何を被害者面をしているのか…
大体、被害者は私達のほうだ…オーブがロゴスを庇ったりしなければ、あんなことにはならなかった…だというのに、たった一度でも彼らは謝罪したのだろうか?
そう、これは弔い合戦だ…相手の事情なんて知らない…ただ、マザーが…コロニーで過ごしていた数百万の命が奪われたのはオーブのせいだ。それだけは間違いない。だから、倒す…潰す…殺す!
オーブも、フリーダムも、ジャスティスも…私は絶対に許しはしない…だって…私は確かに、マザーも、施設の子供たちも、愛していたのだから…

「で、何で俺達は別行動なんだ?」
夜天のブリッジで、シンが尋ねる。あの後、補給を終え、MSの整備も終えた私達は、夜天に乗って反ザフトの軍勢から離れていた
「元々、私達はあっちの傘下に入った訳やない。目的が一緒だから、協力しとるだけ。今回は新型のMSを貰うかわりに、厄介な敵の囮役を…あわよくば、排除をたのまれとったんよ」
「厄介な敵って…」
「分かっとるやろ、本当は。シン・アスカが寝返ったかもしれない状況で、相手がぶつけてくる戦力…」
少し、シンが苦い表情をする
「主はやて…」
ホログラムが、現れる…銀の髪に、赤い瞳…どこぞの天才が造ったものに、私達がマザーの外見と人格データを与えた、夜天のAI。
リィンフォース…この名前を付けるとき、初めて私達はマザーの名前を知らないことにきづいた。
名前という個人を消して、ただ、私達の母として在ってくれた女性…
「反応がありました…アースラです」
「そうか…よし、始めようか…」
だから、許さない…彼女を奪った、彼らを…
「…勝つよ…今度こそ」

4

「…シン」
格納庫…アルケーの前で、黒い人影が声をかけてきた
「フェイト?どうした、早くコックピットに…」
「…戦える?」
「…は?」
「この前まで部下だった人達を…シンは、おとせるの?」
ズキッと胸に痛みが走る…考えないようにしていたこと…見ないようにしていたこと。それを、引き摺り出されて…
「やっぱり、辛い?」
「そりゃあ…まぁ…」
かつての仲間と戦う…あの時と状況は似ているけど、感じ方はまるで違う…なにしろ、裏切ったのはこっちなのだ…罪悪感と自己嫌悪に押し潰されそうな感覚…
「大丈夫…シンが討てない敵は、私が討つよ」
その言葉が、再び俺の心を抉る。敵…そう、こっちにつくと決めた以上、彼等は敵だ。そして…それを選んだのは、俺の方なんだ
「…シン、聞いてる?」
「ん…ああ、大丈夫だ」
「全然そうは見えないけど…でも、うん…シンは、大丈夫だよ」
ニコッと、フェイトが笑みを浮かべる
「今回は私がいるから…ルナマリアじゃなくて、私が…私は、シンがいれば大丈夫。なんだって出来るし、誰とだって戦える。だから…シンも同じだよね?私がいれば、大丈夫だよね」
彼女なりの励ましだったのだろうか…それだけ言うと、背を向けて自分のMSのほうに歩いていった。
「…行くか」
迷いがないわけじゃない…大丈夫ともいえない…でも、ここで戦わなかったら、また失うことになる。そんなのは嫌だ…だから…

敵艦から、MSの発進を確認…機影は、五つ…多分、最低一つは艦の護衛に回しているだろうから、実質六機以上
「…一人一殺、か」
問題は一対一や二対二で勝てるかどうか、ということだ。”夜天”のパイロットはそれなりに腕がたつと聞いているし、絶対安全とはいえない…だからといって、MSの数が同じ状況で、二対一なんてしたら、余った敵のMSに後ろから撃たれる…ここは…
「…ヴァイスさんは、艦の護衛を。後は、なるべく一対一で戦って…自分の分が終わったら、味方の加勢をしておとしていって…ただし、生存が最優先」
今、この艦にはアスラン・ザラがいる。この人なら負けることはないだろうし、この人が勝つまで待っていれば安全に二対一に運べる…核原動のMSに乗っているんだから、そのくらいは働かせてもいいだろう。
「了解」
返答の後、ヴァイスさんのケルディムというMSが、艦のすぐ近くを陣取った。
「さぁ…ランスター隊の初任務、絶対に成功させるわよ!」

敵は四機…俺の分が補充されていても、五機…一機は艦の護りに回すとしたら、前線に出るのは四機…こっちが五機で攻めれば、勝てると思っていた。だから、ヴィータを艦の防衛に回したんだ…それが…
「ジャスティス…アスランか…」
出てきたのは、五つのMS…しかも、その一つはスーパーエースが操る、核原動のMS…
『どうする、アスカ?』
改良されたレッドフレームのシグナムから、通信が入る…当初の計画では二対一でおとしていくはずだったが、機体の数が同じでは、この手段はとれない…
「…アスランは俺がやる」
『フッ…かつての部下は手にかけたくない…か』
「…まぁね。ある意味、アスランが出てくれたのはラッキーだったかも」
旧アスカ隊は、格上の相手との戦闘が多かった…だから、コーディネーターが軽視しがちなコンビネーションを徹底的に鍛え上げた。二対一は勿論、二対二にしてもこちらが不利になりかねない。だから、一番リスクが少ないのは一対一で一つずつ勝ちを挙げていくこと。
「よし…一人一殺だ。けど…その前に…なのは!」
『オッケー!』
黒っぽいMSから、砲撃が放たれる…太めの光条が敵のMS隊目掛けて伸びていく…開口一番の極大砲撃…同時に、機体のスピードを上げて前進する
「…やっぱ、甘くないよな、そんなに」
MS隊に接触する寸前、ビームが曲がり、あらぬ方向へと飛んでいく…視界の中心には、一目でフォビドゥンの改良型とわかる緑のMS…
でも、その辺は予測済み…砲撃に乗じて、接近出来たのだから、目論みは成功したといっていいだろう…
「アスラン!!」
赤いMSに、斬りかかる…他の連中はともかく、こいつだけは俺が相手をしないと…

「シン…やはり…」
赤いMSが、斬りかかってくる。スピーカーから聞こえてきた声は、紛れもなくアイツの声だ。
「くそっ!」
大振りの大剣をかわし、距離をとる。四つの赤い眼が、こちらを睨み付ける…他のMSも、散り散りになって一対一の戦いを始めていた。
「アスラン…アンタの相手は、俺だよ…分かってるだろ?」
そう、分かっている…一対一でシンに勝とうと思ったら、この部隊では俺が相手をする以外の手はない。
だが、それ以上に…俺にはシンと戦う理由がある…
「いいだろう…シン!俺が相手だ!!」
聞かなければいけない…俺の迷いを、断ち切る術を…でなければ、俺はいつまでたっても…

「シン!?」
赤いMSから聞こえた声…久々に聞く、懐かしい声…視界では、赤い二つのMSが睨みあっている。
「…余裕だね」
「っ!?」
聞き覚えのある声…黒い機影に、振りかぶった大鎌。とっさに構えたシールドで、その斬撃を受け止める
「今の声…ルナマリアだよね?」
ゾクッと、背筋を冷たい何かが走る…もう、私のことをルナとは呼ばなくなったかつての同僚の声…
「だったら…貴女は、私が討つ!」
「っフェイト!!」

「っくぅ!?」
赤と白のMS…確か、アストレイのレッドフレームとかいうMSだったはずだ。
そのMSの日本刀のような実体剣を弾いて、後退する…近接戦闘なら望むところ、とついさっきまで思っていた自分に苦笑する。
「どうした…かかってこないか?」
凛とした女性の声が聞こえる…駄目だ、どうあがいても、勝てる気がしない。得意な距離で、ここまで圧倒される相手なんて…
「ならば…こちらから行く!」

「っ速い!?」
白い機体が縦横無尽に飛び回る…いくらビームが曲がるからって、狙いがつけられなかったらどうしようもない…けど…
光が、白い機体の担いだ砲門から放たれる…撃ち出されたビームは、一直線に僕のMSを捕らえ…直撃寸前で、あらぬ方向へと軌道を変える
こっちの砲撃は当たらない…あっちの砲撃も当たらない…なら、勝敗を決めるのは接近戦…でも、単純な近接戦闘では、多分僕に勝ち目はない…だったら…
白いMSが接近してくる…ビームの刃が、迫る

「っく!?」
失敗した。隊長がいるなら、アスラン・ザラより先に接触したかったのに…
黒く…図体の大きなMSが、手にした巨大な大砲から、ひっきりなしに砲撃を放つ…あのMS、あんなにデカイ砲撃を当たり前のように乱射してくるなんて…
「くそっ!?なんで…」
なんであんな短いタイムラグで撃てるのか…こっちは、撃つたびに無防備な姿をさらすフルバーストなんて、滅多に撃てないのに…
迫る砲撃を回避し、両手に構えたライフルを撃つ…黒いMSも、あっさりと回避する。
長距離戦は不利…だったら…バーニアをふかし、スピードを上げて接近…再び、迫る砲撃。スピードは落とさない…脇に逸れて回避…目の前に、別の砲撃が迫っていた。
「っ!?」
二つの砲撃に挟まれる…そのまま、段々と狭くなる間隔…スピードを落とし、上方に回避…悔しいけど、相手のパイロットは強い。
だからといって、もたつくわけにもいかない。 まずは、このMSをおとして…そして、なるべく早く隊長のところに…

5

ここに来て、どのくらいの月日が流れたのだろう…よくわからない内に、この奇妙な世界にとばされて、魔法の力を身につけて、そうして、今は自室のベッドの上で寝転んでいる。
「シン君、ちょっといいかな?」
部屋の外から、聞きなれた声が聞こえる。
「いいですよ。入ってください」
電子ロックのパスワードを入力。自動ドアが開き、制服を着た女性が入ってきた。茶色っぽい髪に、薄い紫の瞳…高町なのは、俺に魔法を教えた張本人。
「どうかしたんですか、高町隊長」
「…呼び方、もっと砕けた感じでいいって、言わなかったかな?」
「こういう所での上下関係は、大事ですよ」
まさか、俺の口からこんな台詞が出る日が来るとは思わなかった…何処かで、アスランが裏切ったのは俺の態度のせいではないか、と思っていた節もあるのかもしれない…いや、多分にこの人へのささやかな反抗心が含まれてはいるのだろうが…
「…まぁ、今はそのままでいいよ。今日は、そんなことを話に来たわけじゃないしね」
「それで、何があったんですか、高町隊長?」
「シン君さ…フェイトちゃんと何かあった?」
「…何で、そう思うんですか」
「なんか、ぎこちないよね…私達と比べて、フェイトちゃんと接する時」
どこで、気付かれたのだろう…自慢するようだが、俺は自分の演技力にはそれなりに自信があった。なんせ、敗戦の英雄だ…生きるためには、下げたくもない頭を下げ、いい具合に他人と話をあわせ、世界に埋もれて…流されて生きていくしかなかった
最初は戸惑いも多かったものの、人間、やろうと思えば大抵のことは出来るもので…いつの間にか、以前では考えられないほどに他人を欺くのが上手くなっていた…だから、まさか2、3週間程度で見破られるとは思いもしなかったんだが…
「…別に、なんにも無いですよ」
本当だ…何もなかった。だから、こんな状況なのだ。何もなければ、心の距離も縮まらない…だから、普通に苦手なのだ。
「…フェイトちゃん、シン君が冷たい、って私に相談してきたんだよ?」
「テスタロッサ隊長が?そんなつもりはありませんでしたが…すみません、以降、気を付けます」
「…自分の気持ちがバレないように?」
ニコッと高町隊長が笑む…ああ、そういうことか…もう、全部分かってるんだな。
「シン君…私達のこと、嫌いでしょ?」
「…どちらかというと、羨ましいに近いですかね」
高町隊長が羨ましい…成功からはじまり、俺が守れなかったものを全て手にしている彼女が羨ましい
八神部隊長が羨ましい…決定的な喪失をしつつも、まだ前を向いていられる彼女が羨ましい
テスタロッサ隊長が羨ましい…レイと同じクローンでありながら、天寿をまっとう出来る彼女が羨ましい
もしも俺がそうだったら、もしもレイがそうだったら…きっと、何か違っていたはずだ、もっと、救いのある物語を紡げたはずだ…そんな、無い物ねだり
「…シン君がそう思うのも、なんとなく分かるよ…って言ったら、ますます嫌われちゃうかな?」
「…どうでしょうね?」
「嫌うよ…私だって、他人に分かったふりをされるのは嫌だから」
そう思うんなら、言わない方がいいんじゃないか…いや、もしかしたらわざと自分の発言を否定することで、俺のことを分かっている、と示そうと思ったのかもしれない…
「シン君が私達を嫌ってるのは分かった。でも、それは大丈夫。時間と…私達の心がその内解決してくれる」
「案外、楽観的ですね」
「ううん…分かってるんだよ。こういうことは今まで何度もあったから」
それを楽観的と言うんだろう、と心の何処かで思考が囁く…口にまでは、出さなかったけど
「でも、シン君、フェイトちゃんには特別冷たいよね。私やはやてちゃん以上に…多分、時間と心の整理だけじゃ、どうしようもない溝があったりするんじゃないかな?」
「…そんなこと、ありませんよ」
そう、無い…何もなかったのだから…心の距離が縮まることもなければ、離れるような出来事もなかった
これはあくまで、俺の心の内側だけの問題だ…それが、時間と心の整理で解決出来るのなら、きっとこの問題だって同じように解決される
「…本当に?」
「はい…大丈夫ですよ、そんなに心配しなくても」

生きる…何があっても、どんなことをしても…俺は生きなきゃいけない。レイが…ずっと、自分の命に苦しんでいたアイツが、俺に託した最後の願い…
だから、俺は生きる…生きて、俺の望む明日を手にする…その為だけに生きてきて、その為だけに色んなものを捨ててきた
怒りも、憎しみも、プライドも…心に蓋をし、過去から目を背けた振りをして…ただ生きるだけの未来の何処かで、明日のために生きていける日々を探して…
そうして、たどり着いた先…たどり着いた世界
それでも、やっぱり俺は希望に満ちた明日を夢見るなんてこと出来なくて…守るために、と力を振るう日々が続いて…
そうしてまた、色んな人を傷つけて生きている…色んな人を傷つけてでも生きている…俺にはそれしかないから…ただ、それだけの理由で…
でも、まさか身内まで傷つけているとは思わなかった…傷つけないように、細心の注意を払っていたはずなのに…俺の嫉妬心を見抜かれないようにしていたはずなのに…

「…シン、おはよう」
「おはようございます、ハラオウン隊長」
多分、テスタロッサ隊長と言うのが不味かったのだ。反抗心…というよりは、嫌味からでたような呼び方…隊長の過去を抉る、テスタロッサという姓。他の隊長と比べて冷たい、というのは、この呼び方によるものが大きいに違いない
昨日、高町隊長と話して、俺が到達した結論がこれだった…だというのに…
小気味のいい、高い音が響く…バッと背を向けた隊長が走り去って行く…自分の頬が熱く、ヒリヒリとした痛みを訴え、ようやく俺がはたかれたことを理解する
「…なんでだ?」
純粋な疑問…間違いなんてなかったはずだ。多分、アレであってた…そのはずなのに…
「あー…とうとうやってもうたか…」
呆れたような声が耳を震わせる。いつの間にか八神部隊長がそばに立っていた。
「シン…あれはいくらなんでもいかんやろ?」
「…はい?」
なんだ…もしかして、俺はなにか間違っていたのか?
「…今日は休暇にするから、フェイトちゃんと仲直りしぃ…フェイトちゃんのほうも、休ませとくから」
「は…はぁ?」
仲直りしろと言われても、なんでこうなったのかさえ分からないのだが…
「まぁ、悪かったことは自分で考えて…タイムリミットは今日一日…これだけあれば、なんとかなるやろ?」
視界の隅では、高町隊長がやっぱり、とでも言いたげな表情でこちらを向いていた…
「分かったら、よぅく考えて、さっさと謝ってきぃ」
「…分かりました」
釈然としないものを感じつつも、俺は縦に首を振った

昨日、高町隊長は嫌い、嫌いと連呼していたが、別に俺はあの人達を嫌っているわけではない。単に、羨ましい…と、失敗ばかりだった俺が成功者に嫉妬しているだけの話だ。
だが、フェイト・T・ハラオウン…彼女に対してだけは、確かに俺は嫌悪感を抱いている…所謂、同族嫌悪、というやつだ。
俺がこっちに来たばかりの頃、あの人達はなんのつもりかペラペラと自分達の過去を話していた。なかでもヘビーな話題だったのが、彼女の話だったのだが、そこに一つ、疑問を覚えたことがある
なんでこいつは、管理局にいるんだ?、という疑問…あれだけ慕っていた母が、壊れる原因となったこの組織で…まさか、あの事件がなければ自分は産まれなかったから、なんて理由ではあるまい…そうなると、残った理由は一つ…高町なのは、という友人がいたから、ただ、それだけだ。
この人は弱い人間だ。確固たる意思もなければ、やり遂げるべき目的さえも、自分で決めることが出来ない…母に依存して、友に依存して、そして、自分に依存せざるを得ない子供を手にして…
それが、戦争を無くしたい、と言いつつも自分では何をすればいいのかさえ考えず…議長やレイに便乗して、敗戦後も、アスランやキラさん達に流されて生きてきた自分とどうしようもなく重なって…
…最悪だ。他人の心の内を勝手に決めつけて、思い込みで他人を嫌悪して…しかも、解決の糸口さえ掴めない。俺が彼女のことを嫌っていると再確認して、なんになるというのか…
どうにかして、関係を修復…あわよくば、この嫌悪感ともおさらばしたいのだが、一体何がいけなかったのか見当もつかない
いっそ、何か分かってる風だった八神部隊長や高町隊長に聞いてみるか、と考えて…やっぱり、それはダメだろう、と考え直し…答えが見つかった。
俺が他人に解決を求めるのを否定したように、彼女も自分と俺とで俺達の不和を解消したかったのだ…それを、俺が強制的に無かったことにしようとしたから…
コンコン、とノックの音が響いた

なんで、あんな事をしたんだろう…シンの頬を張った右手が、ジンジンと痛む
答えは、あっさりと見つかった。要は、私達の確執をうやむやにして済まそうとしたのが許せなかったのだ。
私は、シンのことが嫌いじゃない…むしろ、好ましく思っている。周囲の人から散々引っ張ってもらって、ようやく立ち上がれた私に対し、どんなにボロボロにされても自分の力で立ち上がった彼…そんな彼を尊敬している、とさえ言ってもいいかもしれない。
だから、私は彼に嫌われたくないし、嫌われていると分かってからは、どうにかしてそれを解消しようと真剣に考えていた…それを、あんなに適当な方法で解決しようとした彼が許せなかった…
でも、私にも問題はあったのだろう…そもそも、私と彼の確執なのに、私一人で解決しようとしているのがおかしな話だ。
シンの部屋の前…扉をノックする。
疲れたような返事の後に、扉が開いた。私と似通った、赤い瞳が目の前にある…そうだ、今日一日、休暇も貰ったことだし、とことん話し合えばいいんだ。どうすればいいのか…私達は、どうするべきなのか
「シン…さっきは、ごめんね」
「いえ…俺のほうも」
「…シンは私のこと、どう思ってる?」
ビクッと、彼のかたがはねた…気がした

「隊長の…ことですか」
自分でもはっきりと分かるほど、声が震えていた。
「私はね…シンのこと、好きだよ。でも、シンはどうなのかな?」
…誤魔化しては、いけない。ここで適当なことを言ったら、さっきの二の舞だ。今日は…この瞬間は…真剣に、真面目に受け止めて…
「俺は…」
そして、自分自身に、正直に…素直に…本音を
「俺は、アンタのことが嫌いだよ」

「フェイトさん、この問題、分かります?」
「ん?ああ、これはね…」
問題集とノートを見比べて、解説を聞く。執務官の試験とは難関らしく、この人でさえも二浪したらしい…正直、こんな優秀な先生がいても、受かる、という自信が微塵もわいてこない。
結局、アレから色々あって、俺とこの人の不和は解消された。今では先生と生徒、という立場だがあれだけ面と向かって拒絶されて、それでも変わらずに接してくれたこの人は…あの時、俺が思っていたのとは裏腹に、実は強い人間だったのだろう
なんだかんだで、俺だけが今でも弱いままで…でも、そんな俺でも、他の誰かから見たら、もしかしたら強く映っているのかもしれない。
となりの芝は青い…無い物ねだりばかりの俺にも、きっと、誰かがねだるような何かがあるはずだ、と…そう思い込むことにした。
「でも、ここまで出来るんなら、もう試験は大丈夫だと思うよ」
「…だといいんですけどね」
ほとんど徹夜で一週間近く勉強した甲斐がある…合格したら、だけど

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最終更新:2012年07月03日 09:31
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