1
シンがマユと共に外から帰ると同時に両親から呼ばれた。シンはこの間マユと店の品を弄ったのがバレたのかと内心ビクつきながら居間に入ると、母親の横に黒い着物を着た金髪の少女が座っていたのだ。顔も整っており、に綺麗子だとシンは思った。しかし、シンは自らと同じ赤い瞳に何処か生気が無く感じた。
「シン、マユ。今日から家族になるフェイトちゃんよ。年はシンの3つ上ね。仲良くしなさい」
「フェイトです。本日からお世話になります」
フェイトは二人にきちんとした発音の日本語でそう言うと深々と頭を下げた。後でシンが聞いた話だが、フェイトは容姿が整っていたので、本来上級階級の者に売られる予定だったので、一通りの日本語や礼儀作法を習わされたらしい。
「わぁい。フェイトお姉ちゃんって呼んで良い?」
「……はい、お好きにお呼びください」
無邪気にフェイトに抱き着いたマユ。フェイトは一瞬驚いた様な顔をしたが、微笑みながらマユを見つめる。
「シン、見た目でわかるだろうが、彼女は西欧人だ。将来の為に彼女に向こうの言葉や文化をいろいろと教えてもらいなさい」
シンの父親の言葉に反応したのか、フェイトは顔を上げてシンに頭を下げた。シンは何だか気恥ずかしくなり顔を反らした。
その日の夜半、シンはトイレに行きたくなって寝室を出た。暗い廊下を恐る恐る歩いて行き、用を済ませ、部屋へ戻ろうとした時にシンは誰かが泣くようなを声を聞き取った。
シンがその声に導かれる様に歩いて行くと、とある一室―――フェイトに与えられた部屋からその声が聞こえていた。
シンが襖の隙間から部屋の中を覗くと、やはり、フェイトが泣いていた。
「どうしたの? 何処か痛いの?」
シンは襖を思いっきり開けて室内に駆け込み、フェイトの眠る布団の横に座って彼女の顔を心配そうに見つめた。
フェイトは首を横に振り、ただ、寂しい、怖いとだけ呟いた。10歳を過ぎたばかりの少女がたった一人で異国に連れてこられたのだ、不安じゃない訳がない。そんなフェイトの顔を見て、何故か胸の奥が締め付けられる様な、言葉で表せないモヤモヤとした感覚がシンを襲った。
「大丈夫、フェイトちゃんのこと、僕が守ってあげる。ずっと一緒に居てあげるから安心してよ」
気が付けばシンはフェイトの手をギュッと握ってそう言っていた。何故かはわからないが、彼女には笑って欲しい。シンはそう思った。
「……ずっと?」
暫く潤んだ瞳のままシンを見つめていたフェイトはゆっくりと口を開いた。
「うん、ずっと一緒。フェイトちゃんは家族だもん」
即答だった。
シンの笑顔が眩しく感じたフェイトはそのまま抱きついて再び泣き出した。先程とは違い、それは安心して緊張の糸が切れたから流れ出た涙だった。
それが解らずにシンはどうすればいいのかと無意味に室内を見渡したり、空いている両手を無意味に動かしたりと慌てたが、最終的にシンはフェイトを抱き締め返していた。
親は子供がどんな理由であれ泣いていれば抱き締めてあやしてくれる。シンはそれを覚えていたのだ。
「フェイトちゃん。朝よ~、起きなさい―――あら」
フェイトを起こしに部屋へと入ったシンの母は布団を見て目を見開いたが、すぐに慈愛の瞳でその布団を見つめた。
「おい、シンが居な」
シンが自分の部屋に居なかったので、母に知らせようと、急ぎ足でフェイト部屋へ入ってきたシンの父も口を押さえる。
「フェイトちゃん、シンと仲良く出来るか心配でしたけど、大丈夫そうですね」
二人に布団をかけ直したシンの母は音を立てないように立ち上がるとシンの父にひそひそと話しかけた。
「そうだな、これなら心配なさそうだな」
二人は襖を閉めて部屋を後にした。
布団の中ではシンとフェイトは互いに安心しきった顔で抱き合う様に、仲良く寝息を立てているのであった。
続く?
2
「はぁ、はぁ、はぁ」
道行く人を尻目にシンは全力で走っていた。草履はボロボロで既に形は崩れており、殆ど素足で走っているのと変わらず、足が怪我だらけになっているがそれでも止まることは無い。何時も歩いたり、走り慣れている筈の道が長く感じた。
近所の魚屋の前を曲がり、少し行くとあるこの時代には珍しい西洋雑貨店―――シンの家の前には野次馬が群がっていた。
「どいて!! どいて!!」
声を張り、人を掻き分けて進むシン。人混みを抜けて店の前に飛び出し、そのまま家の中―――居間へと飛び入ったシンの目に、変わり果てた両親と妹の姿が写った。
「あっ……ああっ……」
シンはその場に崩れ落ち、ただただその光景を見つめることしか出来なかった。
「―――ン……シン?」
シンが目を開くとフェイトが覗き込んでいた。
「あれ? 俺、寝てたのか。……ゴメンな、すぐ退くから―――」
シンは自分がフェイトの膝を枕にに寝ていることに気が付き、まだ意識がはっきりとしないまま体を起こそうとするが、それをフェイトが静止する。
空な瞳で不思議そうにフェイトを見つめるシン。そんなシンの目尻をフェイトの指が優しく撫でた。
そのままシンの額に手を持っていったフェイトはシンの前髪を掻き分け、そのままシンの瞳を隠す様に手を移動させる。
「どうしたの? 怖い夢でも見た?」
シンはそのまま微かに頷くと、徐に口を開いた。
「……父さんと、母さん。あと―――マユが殺される夢を見た」
シンはそう言うとフェイトから自らの顔が見れないように体を器用に回して体を縁側の方に向けた。
二人は暫く黙り込み、庭に居るであろう鈴虫の鳴き声が聞こえ出した。そして、シンが口を開いたのはその鈴虫の鳴き声が止んだときだった。
「フェイト……お前は居なくならないよな?」
消えそうな声で呟いたシンは自らの頭に置かれていたフェイトの手を力無く掴んだ。
「私は何処にも行かないよ。ずっと……シンの―――若旦那のお側に居ます」
フェイトが柔らかな笑みを浮かべながら言うと、シンがクスリと笑みを溢した。
「あれ? 私、変な事言ったかな?」
「違うよ。ただ―――お前に若旦那って呼ばれたのが久しぶりだな……って思ってさ」
狼狽え始めたフェイトの頬に手を当て、今度は自らが柔らかな笑みでフェイトを見つめる。
「そう言えばそうだね。けどシンが言ったんだよ? 私がこの家に来た次の日に、若旦那って呼ばないで名前で呼べって」
フェイトも懐かしそうに外を見つめる。
「ああ。もう8年も前か。まあ、今も昔も俺は若旦那って柄じゃないし、それに―――」
「それに?」
首を傾げたフェイト。シンは言葉を紡がずに黙り込み、何かを考えたかと思うと―――
「やっぱりいい。……小腹減ったや。なのはん所行って団子食べようぜ。どうせ夕飯までは時間かかっちゃうだろ?」
シンは徐に立ち上がるとそう言って懐から巾着を取り出した。
「二人分だからすぐ出来るけど……いいや、今回は誤魔化されてあげる。けど、何時か教えてくれると嬉しいな」
フェイトは微笑みながらフェイトも立ち上がり、シンの3歩くらい後ろへと移動する。
(お前には名前で呼んで欲しかった……なんて一生言えるか)
玄関の前に立ったままフェイトを見つめるシンに、彼女は首を傾げた。
「どうかしたかな?」
「いや、何でもない。行こうぜ」
シンはそう言うと引き戸を開けた。
End
おまけ
「あっ……そう言えばフェイト」
「なに?」
「父さん達っていつ帰ってくるんだっけ? 伊豆旅行から」
「えっと……たしか明日の筈だよ」
「そっか。息子と義理の娘を置いてくって酷いよな~」
その頃のマユ
「ねぇねぇ、お母さん。お兄ちゃんとフェイトお姉ちゃん、大丈夫かな? 何も無かったかな?」
「ええ。(残念だけど)きっと何も無いでしょうね」
「そうだな~、何も無かっただろうな。シンはあれ(鈍感)だし」
「そうねぇ、いい加減に孫の顔が見たいけどシンが貴方に似てあれ(鈍感)ですし……フェイトちゃんの方も天然な所がありますしねぇ」
(何も無いって良いことじゃないの?)
両親との会話がずれていることに首を傾げるマユだった。
3
「ねぇ、シン。裏のお婆ちゃんが新しい浴衣縫ってくれたんだ。今日七夕だから着なさいって。似合うかな?」
珍しく声を弾ませ、満面の笑みを浮かべながら家に入って来たフェイトは真新しい黒に黄色い―――おそらく花をあしらった模様の浴衣を身に纏っていた。
「……」
「あれ、シン?」
フェイトをぼーっと見つめて座ったまま微動だにしないシン。フェイトは首を傾げ、シンの顔を覗き込む様に声をかけるとシンはハッと我に返った。
「あっ、えっと、その……。凄く、似合ってる。綺麗だよ」
フェイトは嬉しそうに微笑むと、そのままシンの横に座りる。
シンはフェイトを見ることが出来ず、顔を赤くしながら視線を反らした。そんなシンの様子に気付いてないのか、フェイトは上機嫌で尋ねた。
「ねぇ、シン。もうすぐ笹を流す時間だね。短冊には何て書いたの?」
「まだ考え中だよ。そう言うフェイトは何て書いたんだ?」
シンはまだ真っ白な短冊をフェイトに見せながら尋ねた。
「私? 私はね、皆とずっと一緒に居れます様にって書いたんだ。シンと、マユと、旦那様や奥様と。なのはやはやてやキラ君や……西欧人の私を2年前に受け入れてくれたこの町の皆とずっと一緒に居たいって」
ニコニコと笑顔で言うフェイトにシンはそうかとだけ呟いた。
「フェイトお姉ちゃ~ん。お母さんが呼んでるよ~!!」
店の方からマユの声がし、フェイトはそれに返事をして立ち上がった。
「じゃあシン、呼ばれたみたいだから行くね? 早く書かないと、笹立てられちゃうよ?」
そう言うとフェイトは店の方へ駆けていった。
「フェイトが毎日楽しそうなのは嬉しい。けどなぁ―――」
シンはそう言うと大の字に寝転がった。何故かはわからないが、モヤモヤするのだ、なのはや、キラの名前をフェイトが口に出した時からだ。
「…………わからないなぁ」
シンは体を起こすと頭を掻く。いくら悩んでもシンにはこのモヤモヤが何なのかがわからなかった。
「けど」
自分の願いならわかる。昔から変わってないただ一つの願いが。シンは机に向かい、そして筆を走らせた。
数刻後。
飛鳥家の屋根には立派な笹が立てられていた。
「綺麗だね、シン」
「ああ。そうだな」
色とりどりに飾られた笹を見上げながら感嘆の声を上げたフェイトにシンは頷いた。
「あっ、そう言えばシンは短冊になんてお願い書いた?」
「なっ……何だって良いだろ?」
フェイトが聞くとシンはプイと顔をそらしてしまった。
「あっ、ずるいよ、シン。私のお願い教えたんだからシンも教えてよ」
「ああもう、うるさいな。とっとと中に入るぞ」
シンは逃げる様にウチの中に入り、フェイトも不満を露にしながらそれに続いた。
屋根で風に揺れる笹の天辺に吊るされた赤い短冊には大きく、『フェイトとマユの笑顔を守る シン』と書いてあったのだった。
End
おまけ
皆の短冊
『フェイトおねいちゃんが本当のおねいちゃんになりますように マユ』
『皆とずっと一緒に居たい フェイト』
『フェイト(ちゃん)が本当に娘になりますように 飛鳥夫妻』
『息子の妹に対する過保護が治りますように 桃子』
さらにおまけのおまけ
『シンのお嫁さんになれますように フェイト』
4
赤ちゃん「キャッキャッ」
ティアナ「うわー、きゅってにぎって離さない。かわいー」
スバル「ほーら、ティアナお姉ちゃんが遊んでくれますよー」
ティアナ「あはは、っていうか。本当にあんたが子供産むとはねー。
やっぱり育児は母乳中心?」
スバル「うん、お医者さんにもおっぱいの出がいいっていわれちゃった」
ティアナ「元気だけが取り柄なだけあったわねぇ」
スバル「でもおかげで胸が張る事があって」
ティアナ「あー、そういう時って…搾るんだったけ…」
スバル「これが結構大変で…、手伝ってもらわないと中々」
ティアナ「手伝う…て誰に!?」
スバル「あっ、うーん、そ、それは…まぁ旦那様なんだけど…。
も、もちろん二人きりの時にしかやらないよ。」
ティアナ「へ、へー」
スバル「これが上手くてね、ま、まぁそこから盛り上がっちゃう事もあるんだけど」
ティアナ「ごっそさん」
赤ちゃん「あぶー」
ヴァイス「っ(ドゴン!)」←思いっきり壁パンしてる
シン「何してんすか、ヴァイスさん」
ヴァイス「いや、わからんが壁をおもいきり殴りたくなってな」
シャマル「気持ちはわかるけど、怪我したら事になるからあんまりやらないように
して下さいね」
シグナム「そういえばすっかりお前ブラックコーヒー飲むようになったな」
ヴィータ「はは、砂糖つかうとか。家でそんなん飲んでたら甘ったるくて飲めないさ」
5
yagami「最近はほかの女達の姿が見えへんな。
つまり、今このスレはシンと私の二人っきりという事やな。
この隙に既成事実まで直行や!」
ティアナ「させません! というか年増は引っ込んでいてください!
相手はやはり若くてかわいい同年齢であるべきです!」
なのは「残念ながらここは18禁の領域はNGなの。」
フェイト「うんうん、全年齢の壁は厚いよね。」
シン「それ以前の問題だろ、あんた達!」
最終更新:2013年04月20日 15:29