タイトル『メインヒロイン正統論』
歴史、それは人々が織りなし連綿と続いていく絵巻の如きもの。
その流れの中でしばしば多くの論者達の心をとらえて離さないものがある。
長く続く愛着のある絵巻物であればこそ、
何を中心に置き、何を正邪とみなすかはそれを読み解く者達の一部にとってはすこぶる重要な命題なのである。
そんな命題の名を人々は正統論と呼ぶ。
正統論、それは多くの時代、多くの論者達の中でしばしば熾烈な争いを生んできた。
同じ一族の中で継承されたものであったとしても、
ちょっと継承順位が違えばさあ大変、双方の支持派が集まって論争の始まりである。
傍から見た無関係の一般人からすれば、「お前ら他にやる事ないの?」と思う向きもあるかもしれないが、
当人達にとっては譲れない、なまじアイデンティティーがかかってたりする為に譲れないのだ。
そんな当人達にとっては非常に大切かつ切実な正統論が、
今回もまたやたらと熾烈な争いが繰り広げられているとある管理局のとある課で行われようとしていた。
シャマル「というわけで、はじまってしまいました、第1回機動6課メインヒロイン正統論!」
リイン2「どんどんはぶはぶなのです~!」
なのは「ぱふぱふじゃなくてはぶはぶなの?」
シン「シャマル先生、いきなりなんなんですか、この企画。」
シャマル「何って、読んで字の通りよ。
このなのはネタ世界において正統なるメインヒロインとは誰なのか、というのを決定する企画なのよ。」
はやて「それなら論ずるまでもないやろ! このスレ自体のメインヒロイン(?)として広く認知される八神はやてちゃんこそが、
正統なるこのなのはネタ世界におけるメインヒロインなのは確定的に明らかや!」
ティアナ「甘いですね。そんな理屈、砂糖率90パーセントの砂糖水にティーパック浮かべた紅茶よりも甘々です。」
スバル「砂糖率90パーセントって、砂糖水っていうよりも砂糖の塊に水たらしただけじゃないのかな、それ。」
はやて「な、なんや、ティアナ。だってどう考えてもこのスレ全体のメインヒロイン(?)であるはやてちゃんが、
このなのはネタ世界でもメインヒロインなのは自然やろ? 何がおかしいんや?」
ティアナ「それが甘いと言ってるんです! 確かに貴方はこれまでこのスレにおけるメインヒロイン(?)と言われてきましたけど、
それが必ずしもなのはネタ全体のメインヒロインであるとは限らないんです!
このスレ全体のメインヒロイン(?)である事と、なのはネタ世界のメインヒロインである事はまた別の問題なんですから!」
はやて「な、なんやそれ! そんな全体の店舗ではオーナーやけど一店舗の中では従業員です、みたいな不条理がまかり通るんか?」
ティアナ「だから甘いと言ってるんです! 国連事務総長とその出身国の国家元首は必ずしも同一人物ではないんです!
むしろ別人のほうが多いんです! よって逆説的に貴方はこのスレ全体のメインヒロイン(?)であるがゆえに、
このなのはネタ世界ではメインヒロインではないんですよ!」
はやて「な、なんやてー! このはやてちゃんを差し置いて、誰がこのなのはネタ世界のメインヒロインを務められるというんや!」
なのは「それはもちろん、この高町なのは教導官に決まってるの。
そもそもこの世界はなのはネタ世界としてカテゴリーされているの。
世界名にもなっているなのはちゃんがメインヒロインとしてシンと一緒にバラ色の未来を作り上げるべきなのは確定的に明らかなの!
文句がある子はこのなのはネタ世界から出ていくべきなの!」
スバル「うっわ、もはやセリフが独裁者ですねー。」
キャロ「なんか、怒ったお母さんの台詞にも聞こえますけどね。」
ティアナ「横暴ですよ、なのはさん! 世界名だからって必ずしもメインというわけじゃないんです!
某格闘漫画だって、途中から人造人間とか魔人とか出てきて、星がついたボールとか完全に話の中心から外れまくってたりしたんですよ!」
フェイト「うんうん、ティアナの言う通りだね。それに世界観でいうなら、私は最初からなのはと双璧的な存在だから立場は同格だし、
それでもってなのはには無いものを色々持ってるんだよ。金髪とかスタイルとか黒下着とか黒下着とか黒下着とか。」
エリオ「最後3つが全部黒下着!」
なのは「何を言ってるの! そんな色気重視でメインヒロインなんてよくないの! 魔法少女なんだから夢と希望が必要なの!
メインヒロインはやっぱり清純系じゃないといけないの! 胸は控えめでポニーテールで白重視の衣装で元気溢れる料理屋の娘じゃないといけないの!」
ヴィータ「なんなんだよ、その限定的すぎる条件。」
はやて「それいったら私だってなのはちゃんよりは上やけど胸は控えめで、白重視の衣装で元気いっぱいや!」
シャマル「さりげなく優位を示したわね、はやてちゃん。」
なのは「許さないの! 高町教導官よりも胸が大きい連中なんてみんなメインになる事を許されないの!
この世界の流れを清純から色気に塗り替えようとする邪教の手先なの!」
ザフィーラ「もはや駄々っ子だな。」
ティアナ「いい加減にしてください、なのはさん! ここは正統論を話し合う場所なんですよ!
もっと論理的に話をしてください! いいですか、私ことティアナ・ランスターちゃんはこのスレ創世記から登場し、
その頃から既にシンを想いを抱いていたという長い愛の歴史があるんです、この歴史の長さがまず第一。
次にティアナちゃんはこのスレ全体の『一応の』メインヒロイン(?)である、はやて部隊長と双璧を為す存在でした。
はやて部隊長がこのスレ全体のメインヒロインであるならば、当初からその双璧を為していたティアナちゃんがこのネタ世界のメインヒロインを務めるのは極めて自然な流れです、この立場的正統性が第2。そして最後に、ティアナちゃんはツンデレ風味でかわいい同年齢キャラ、シンとは同年齢で気安く接する事が出来る同僚というポジション、このポジション的自然性が第三。以上三点の理由からして、ティアナちゃんこそがこのスレのメインヒロインなのは確定的に明らかなんです!」
なのは「却下なの。」
フェイト「うんうん、却下だね。」
はやて「当たり前に却下やな。」
ティアナ「なんでですか、理由をいってくださいよ! ていうかこういう時だけ一致団結なんですね、貴方達!」
なのは「なんでも何も、それだけ長く想いを抱いていて、なおかつポジションや立場で近い所にいながらも格別な優位に立ててない時点で、典型的な負けフラグなの。」
フェイト「うんうん、後から出てきたキャラに優位に立たれてヤンデレ化する条件が全部そろってるね。」
はやて「まったくやな。それだけの条件を持っていながら、いまだに優位に立ててない時点で、
それは完全に『せいぜい仲のいい同僚止まり』フラグやな。ていうか、ティアナは途中からしばらく、
なのはちゃんやフェイトちゃんやその他の台頭の中で影薄くなってたやないか。」
ティアナ「なんなんですか、貴方達! ツンデレ風味の絶大なる破壊力を知らないんですか?
かかった時間が長ければ長いほど、結ばれた時に押し寄せる感動が大きいって知らないんですか?
第一、はやて部隊長は最初はシンに被害を増やされたくないからあーだこーだやってたんじゃないですか、
そんな不純な動機で始まったくせにメインヒロインなんで言えるんですか!
高町教導官だって当初は突っ込み役兼フラグブレイカ―で、明らかにメインヒロインと言えない脇役ポジションだったじゃないですか、
フェイト執政官は当初は便乗キャラで今も便乗キャラですよね!」
フェイト「なんか私だけ言い方ひどくないかな。それに、便乗キャラって色々便利なんだよ。いろんな所に登場できるし。」
はやて「わかっとらんようやな、ティアナは。はじまりの関係性はむしろ意外性があったりインパクトがあるほうがいいんやで?」
なのは「同意なの。」
シャマル「いつも通りというか、当人達同士の論争だとやっぱり決着つきそうにないですね。」
リイン2「ならば、ちょっとここは見方を変えて男性陣に聞いてみるべきなのです。メインヒロインの条件を。」
シャマル「それもそうね。じゃあ、そこの男性3人の方、よろしくお願いしますね。」
ヴァイス「俺達の事か? 聞かれてみると意外と難しいな。とりあえず、正統派という点なら清楚な感じとかあるといいんじゃないか。」
ユーノ「僕は……個人的なイメージだけど、綺麗なストレートロングの髪とかしてる気がする。」
グリフィス「正統派、という観点からすると、すぐに魔法ぶっ放したり、
暴力的な行為やネタキャラ的行為に走らない、走った事がない、という点は必要なのではないですか?」
シャマル「うーん、モロに正統派、って感じのイメージね。」
リイン2「むむむ、王道的RPGとかに出てくる魔王討伐の暁に勇者と結婚するお姫様的な感じなのです。」
ザフィーラ「しかし、そのような女性が我々の近辺に存在するのか?
魔王討伐の暁も何も自分で魔王を倒しそうな女性ばかりではないか。」
リイン2「ネタキャラ云々も厳しいのです。
もはや、私達の関連女性はこの世界において軒並みネタキャラとして活動経歴のある者達ばかり。
今更染みついたネタキャラ色を消す事など不可能なのです。」
シン「いや……1人だけいるよ、その条件を満たした女性が。」
他全員『え?』
シン「その女性はめったな事では俺達の前に姿を現す事はなかった。
でも、確かに過去の記録を辿る限り、このスレ初期の時から登場していて俺達と関わりをもっていたんだ。」
はやて「そ、そんな人がいたんか? い、いったいどこに?」
なのは「な、なんか怖いの!」
フェイト「シン、その人はどこにいるの?」
シン「彼女は常に音もなく、静かに俺達の事を見つめ続けていた。
俺も時に思ったよ、むしろその人は存在せず、幻想に過ぎないんじゃないかって。
でも、確かにいたんだ。そして、今そこにいるんだ。」
ティアナ「そこ、って……そのドアの向こう側!」
スバル「誰かいるの? 隠れてないで出てきてください!」
キャロ「エリオ君、怖いよ!」
エリオ「キャロ、しっかり僕につかまって!」
シン「さあ、今こそ出てくるんだ!」
???「ようやく気づいてくれたんですね。」
なのは「あ、貴方は!」
シャマル「聖堂教会の……。」
はやて「カリム!」
シグナム「カリム・グラシア!」
カリム「ようやく気づいてくれましたね。実は私も確かにこのスレ初期から登場していたんですよ。
具体的には運命子さんネタの時とか掲示板ネタの時とかに。あまりに間接的すぎてみんな気がつかなかったようですが。」
スバル「そ、そんな。このネタ世界が始まって結構たつのに、そんな初期から登場していたキャラがまだいたなんて!」
カリム「ふふふ、いくら認めがたくとも、私はスレ初期に厳然と登場していた。つまり歴史がある。
さらにストレートロングで清楚、かつ聖堂教会という由緒ある組織の姫君的立場、
なおかつ、ろくに出てこなかった為にネタキャラとしての活動もしてなければ、色もついてない、
まさに正統派ヒロインの条件を満たしているのです!」
ティアナ「そんな、初期にちょっと出てたくらいで正統派メインヒロインとかふざけないでください!」
カリム「お黙りなさい。初期に名前だけ登場し、途中で少しの間かかわっただけでもメインヒロイン足りうる事は某王道的RPGのヒロインが証明しています。
むしろこれこそが、ヒーローの助けを、帰りをけなげに待ち続ける原初の王道的ヒロインの正しき姿なのです。
そして今、時は満ちたのです! 今こそシン君を私が聖堂教会に引き取ります!」
なのは「そんな事!」
フェイト「認めるわけ!」
はやて「ないやろうが!」
カリム「やはり素直に渡してはくれないようですね、いいでしょう、力づくでも引き取らせてもらいます。
シャッハ、ヴェロッサ、露払いをしなさい!」
シャッハ「すいませんね、みなさん。これも主命なもので。」
ヴェロッサ「やれやれだね、まったく。」
ティアナ「ぽっと出キャラなんかに負けないんだから! 最古参ヒロインの実力を見せてあげるわよ!」
はやて「教えてあげるで、今も昔もこのスレでもこの世界でも、シンのメインヒロインが誰なのかを!」
なのは「魔王、冥王、いわれちゃいるけれど、正統派魔法少女のなのはさんがメインヒロインなのを証明してあげるの!」
フェイト「うんうん、いつでもどこでも常にシンに便乗するのは私なんだよ♪」
シャマル「……結局こうなっちゃうのね。」
リイン2「本日の始末書は何枚になるんですかねー。」
ヴィータ「てか、カリムも既にネタキャラ風味全開だよな。」
ザフィーラ「登場しないうちが一番メインヒロインらしい、か。恐ろしいネタ的浸食力だな、この世界は。」
ユーノ「まあ、にぎやかでいいんじゃないのかな。」
ヴァイス「で、シン。結局お前は誰が好きなんだ?」
シン「俺ですか? 俺は……」
一瞬口ごもったシンは、少しして途切れた言葉を繋げる。
シン「俺は6課のみんなが大好きですよ。」
偽りのない気持ちだった。
いい事ばかりでなくとも、この日常が、この世界が、
心の底から眩しいと思えるのは、きっとそこに大切な人達がいるから、そしてその為に頑張れるから。
それが今シンの心にある確かな実感だった。
ヴァイス「そういう意味じゃないってのに……ま、いいさ。」
シンの答えに、ヴァイスはどこか楽しげに苦笑する。
シャマル「まあ、今のところはそれでいいんじゃないかしらね。」
シンの顔と争いを続ける女性陣の様子を交互に見やりつつ、シャマルが独りごちた。
リイン2「結論として、メインヒロインは貴方の中に、という事なのです!
これからもこのスレのメインヒロイン(?)八神はやてちゃん、並びになのは勢をよろしくなのです!」
最終更新:2012年12月07日 08:03