名無し提督◆AYb9Z98M氏の艦これネタ01

比叡「あれー?おかしいですね。人間、それも男の子がドロップするなんてあり得ない筈なんですけど」

武蔵の二度目の砲撃がレ級を直撃し敵艦隊が壊滅すると辺り一面が赤い光に包まれた。通常は青や銀や金、または虹色の光に包まれ艦娘と呼ばれる大東亜戦争の軍艦の化身が召喚されるのだが男が召喚されるのは前例が無い。

大和「大和や武蔵のように"鬼級"や"姫級"を倒したってわけでもありませんしね」

今でこそ大型艦建造で召喚できるものの、その昔大和や武蔵の魂は南方棲戦姫や戦艦棲姫など強力な深海棲艦を複数回倒すことで解放された。南方棲戦姫の髪が黒く染まり大和に、戦艦棲姫の髪が白く染まり武蔵となった。

瑞鶴「でもあのレ級って奴はそんじょそこらの深海棲艦より面倒じゃない?」

加賀「これだから五航戦の娘は…… そんなことだから制空権確保もままならないのよ」

瑞鶴「あー嫌ですねー。搭載機数くらいしか勝てない人の嫌味は。その20cm砲で敵艦載機でも狙うんですかー?」

瑞鳳「わー! 喧嘩はそこまでにしましょう。ね?」

加賀は元々かの長門型を超える戦艦として建造されていた。だが様々な運命の悪戯で空母として完成し、日華事変や真珠湾攻撃など栄光の第一航空戦隊の主力を担った。
初期の空母であり元戦艦ということもあって日本空母の完成形である翔鶴型の瑞鶴に比べればダメコンや速力などはどうしても劣った。

ただ空母として重要な搭乗員の練度は加賀が勝り(瑞鶴の搭乗員が低いわけではない)蝶々蜻蛉も鳥ならば五航戦も鳥のうちと見下していた。それは艦娘となった今も変わらないようだ。

武蔵「そうだな。折角の大破無しのサーモン海域北方だが一時撤退するか。旗艦殿はどうお考えで?」

比叡「そうですね…… やはり一時撤退するべきでしょうか。艦娘のドロップと違ってどんな不確定要素が起きるかわかりませんし」

武蔵「だ、そうだ提督よ。これより帰還する!殿はこの武蔵に任せておけ!」

瑞鳳「数は少ないけど一応偵察機飛ばしておきますね。二式艦上偵察機もいいけど整備が大変なのよねー」

武蔵が威勢良く声をあげ陣形の最後尾に陣取った。艦娘で一番を誇る武蔵の装甲はそうそう破壊出来るものではない。ただ万が一が無いように偵察機を飛ばすのが艦隊の決まりだ。

大和(それにしてもこの子の肌の色はなんでしょう? まるでル級……いえ戦艦棲姫のような肌と髪の色。扶桑さんのような娘もいることですし考えすぎでしょうか)

大和が考え事をしていると瑞鳳が声を張り上げた。

瑞鳳「敵艦見ゆ! 内訳はレ級ル級タ級リ級ヲ級ヌ級の模様! 敵のクラスまではわかりませんでした!」

比叡「そんな! 今まで撤退時に深海棲艦からの追撃はなかったのに!」

瑞鶴「どうする? 迎え撃つ? 幸いにも大破の艦はいないし」

大和「大和は迎え撃った方がよいと思います。ただでさえ不確定な状況ですし鎮守府まで攻め込まれるかもしれません」

加賀「私は大和に賛成です。あの数ならば鎧袖一触、制空権は譲りません」

武蔵「戦艦の極致たるこの武蔵と大和もいることだしな」

比叡「なら気合!入れて!迎えうちましょう!」

比叡がそう叫ぶと比叡を先頭に大和、武蔵、加賀、瑞鶴、瑞鳳が追従する。単縦陣と呼ばれる砲撃戦を重視した陣形で戦艦の火力を活かし敵を殲滅する作戦だ。

加賀「五航戦の子と一緒にしないで」

加賀がそう言いながら烈風改と烈風を放った。瑞鶴も隣ではぁ!?と怒りながらも烈風を放つ。瑞鳳はやれやれと呆れながら零戦を放つ。烈風や紫電改ニなどの方が対空は高いのだが瑞鳳は旧型機を好んで使う。妖精さんもそれに応えてくれるのか紫電改ニ一歩手前の実力を誇る熟練した妖精さんだ。

こちらが艦載機を放つのと同時にレ級が尾からヲ級とヌ級が頭から艦載機を吐き出す。艦載機同士が激突する瞬間、レ級の口角が吊り上がり目からは赤く燃え盛る炎がほとばしった。それに呼応するかのようにヲ級の金の目からは青のヌ級からは黄色の炎が噴き出す。

瑞鳳が泣き言をあげるのを尻目に加賀はいつもと変わらぬ様子で艦載機を見やる 。敵艦載機など塵芥。蝶々蜻蛉にも満たぬ有象無象。自らと赤城こそが最強の空母なのだと言外にだが雄弁に語る。

瑞鶴や瑞鳳とて手をこまねいて見ているわけではない。自らも制空権確保に尽力しつつ敵に風穴を開けてやろうと瑞鶴からは流星改が瑞鳳からは練度の高い九七式艦攻が放たれる。

瑞鶴「狙うはレ級! アウトレンジで……決めたいわね!」

レ級は航空戦だけでなく砲撃戦に雷撃戦、夜戦と全ての距離で脅威を発揮する。その内の一つが先制雷撃で42kmもの射程を誇る大和型の主砲(当たるかどうかは別として)よりも早く魚雷を撃ち込んでくるのだ。今までは潜水艦と艦娘の水母や雷巡のみに許された攻撃をよりにもよって一番覚えさせてはならない艦種に深海棲艦は習得させた。先制雷撃を使える艦娘は耐久が低くやられる前にやれといった思想に対し戦艦レ級はル級やタ級といった既存の戦艦をも超える高い耐久を持つ。またいかに先制雷撃といえども艦攻や艦爆よりも早くは撃てず航空戦で中大破する可能性が唯一の弱点と言えたのだがレ級は自身に180機もの艦載機を搭載し欠点を無くした。加賀一隻に烈風を86機搭載してもなお航空優勢すらとれないレ級艦載機は先制雷撃を待たずしてこちらの艦を大破に追いこむ。

だがそれは1対1の話だ。こちらの空母は加賀だけではなく瑞鶴や瑞鳳もいる。加賀が烈風改や烈風で敵艦載機を墜とすなか、瑞鶴から放たれた12機の流星改がレ級を狙う。ネームド艦載機を除き最強の雷装を誇る流星改の雷撃がレ級に突き刺さるものの中破までは至らない。

瑞鶴「浅い! 第二次攻撃隊。稼働機、全機発艦!」

瑞鳳「大丈夫! 任せて! アウトレンジ、決めます!」

瑞鳳の18機の九七式艦攻が敵艦載機を墜としながらもレ級に魚雷を放ち中破に追い込んだ。瑞鶴と瑞鳳はハイタッチをして互いの健闘を讃えた。瑞鶴のようにここぞというところで150%の威力を出す運や妖精さんに好かれ、スペック以上の性能を発揮してもらう人徳は加賀には無い。口には出さないものの心の底では瑞鶴や瑞鳳を認めている加賀であった。
航空優勢はとったものの少数の敵艦載機は飛んでくる。命を落とすことも厭わぬその突撃はまるで特攻のようだ。だがそれを許す大和型ではない。ハリネズミのように機銃の積まれた大和と武蔵が敵艦載機を次々と墜とす。

大和「大和の対空、侮らないで下さい!」

武蔵「流石に大和には劣るがこの武蔵の対空も捨てたものではないぞ!」

中破したレ級の先制雷撃が放たれるも比叡はひえー!と叫びながらも回避する。これでようやく砲撃戦に移行出来る。46cm三連装砲の蹂躙の始まりだ。

大和「敵艦補足、全主砲薙ぎ払え!」

武蔵「全砲門、開け!」

大和の主砲がタ級flagshipを軽々と粉砕し、続く武蔵の砲撃がリ級改を轟沈させる。仲間達の仇と言わんばかりにル級改の砲撃が武蔵を狙う。だが大和型の真価は攻撃力よりも防御力。世界最強の46cm三連装砲を耐える装甲を16inch(41cm)砲ごときで貫ける筈は無い。

武蔵「くっ、いいぞ、当ててこい! 私はここだ!」

比叡「ひえー! 鉄と油がぁ! もう! 撃ちます、当たってぇ!」

秘書艦の比叡は帰った後の資材計算に頭を悩ませながらヌ級flagshipを倒す。まだ敵の戦艦は残っている。レ級eliteの砲撃が瑞鳳の飛行甲板に命中し中破する。

瑞鳳「やら…れた…ぁ…! でも、エンガノ岬のようには…いかないん…だから…!」

瑞鶴「七面鳥ですって!? 冗談じゃないわ!」

瑞鳳の台詞に軽いトラウマを呼び起こされた瑞鶴の流星改がヲ級改を狙う。 加賀もこれだから五航戦の子はと言いながら共に爆戦を飛ばす。ともに母艦が視認出来る距離。アウトレンジとは違い妖精さんも疲弊していない。流星改と爆戦からの爆弾がヲ級改を小破させる。ただ小破では空母の戦闘力を奪うことは出来ない。放たれた敵艦載機が加賀を中破させ逆に戦闘力を奪われてしまった。

加賀「飛行甲板に直撃。そんな……馬鹿な」

瑞鶴「加賀さん!? 大丈夫ですか!?」

加賀「瑞鶴、まだ戦闘は終わっていないわ。敵から目を離しては駄目」

普段は憎まれ口を叩く仲でも互いを気遣い、赤城や翔鶴とはまた別の信頼がそこにはあった。

戦闘も一巡し射程距離関係無しの二巡目が始まる。旗艦の比叡の一撃を皮切りに各艦が一斉に攻撃を開始した。比叡はまず敵の旗艦のレ級eliteを狙い轟沈させる。

大和の砲撃がル級改の頭を吹き飛ばしたがル級改の動きは止まらず誰もいない場所にひたすら主砲を撃ち続ける。武蔵が胴体を狙うまでその動きは止まることはなく、人間や艦娘との違いを思い知らされる。

瑞鶴は残るヲ級改を狙い流星改を放つ。連戦でこちらの艦載機もあちらの艦載機もすり減っているが、空母の最後の攻撃の機会を逃す瑞鶴ではなかった。

比叡「いやー夜戦までもつれ込むかと思いましたがなんとかなりましたね」

武蔵「当然のことだろう。大和型が二隻もいれば昼で仕留めきれない筈はない」

瑞鶴「加賀さん!怪我は大丈夫ですか?」

加賀「瑞鶴、貴女は筋はいいのだけれど冷静さを欠くことがあるわ。以後気をつけなさい」

瑞鶴「はい! 瑞鳳も大丈夫だった?」

瑞鳳「装甲は薄いからね、当たらなきゃいいんだけど」

瑞鶴「まあ回避は練度上げるしかないもんね」

大和「それよりこの男の子はどうしますか?」

比叡「司令の判断を仰ぎましょう。ここまで来ればもう追撃は無い筈です」

ここは何処だ?俺は確かフリーダムを倒したら爆発に巻き込まれて途中でvps装甲が切れてそれから?波の音が聴こえるってことは地球なんだろうけど。

翔鶴「よかった。目をお覚ましになったんですね」

シン「アンタは? というかここは一体何処なんだ?」

翔鶴「私は翔鶴型航空母艦の翔鶴です。ここは鎮守府、深海棲艦と戦う艦娘達の本拠地です。貴方の名前をお聞きしてもいいですか?」

シン「ああ名乗ってなかったな。俺はシン・アスカだ。シンカイセイカンやカンムスって一体? それよりアンタが空母ってどういうことなんだ?」

翔鶴「新飛鳥さんですか? お名前からすると新型の航空母艦でしょうか? すみません、終戦まで生き残っておりませんもので」

シン「?」

翔鶴「?」

なんだか会話が噛み合わない。空母っていうとミネルバやゴンドワナ級みたいなものなんだろうけど目の前にいるのはどうみてもただの女の子だ。シンカイセイカンやカンムスって言葉にも聞き覚えがない。

瑞鶴「翔鶴姉! どう?目を覚ました? 」

翔鶴「瑞鶴、余り騒がしくしては駄目よ。それより瑞鶴は新飛鳥さんって知ってる?」

瑞鶴「新飛鳥? そんな空母いたっけ? それより目が覚めたなら提督さんが連れてこいって」

提督? 軍事施設なのかここは? だが新しく現れた女の子もやはりただの人間にしか見えない。あれこれ考えるよりも着いて行くべきか?

シン「ああ、案内を頼む」

瑞鶴「はーい。でも男の子の艦娘って珍しいね。ドイツの娘達も結局女の子だったのに」

シン「なあ、そのカンムスってのはなんなんだ?」

翔鶴「軍艦や駆逐艦が人の姿をとったものです。新飛鳥さんもあの戦争で戦いませんでしたか?」

シン「軍艦? 君たちが?」

瑞鶴「空母って言わなかった? そういえば艤装はどうしたの? ドロップした時からついてなかったけど」

シン「艤装も何も俺は人間なんだけど」

瑞鶴「まっさかぁ。あっそろそろ執務室だよ」

瑞鶴と呼ばれる女の子が扉を開けると中には巫女服のようなものを着た女の子が居た。

翔鶴「比叡さん。こちら新飛鳥さんです。提督はどうしました?」

比叡「司令は深海棲艦の追撃について報告に向かいました」

瑞鶴「あちゃー入れ違いかー」

比叡「始めまして、私は金剛型の二番艦の比叡です。この鎮守府の秘書艦をやっています。司令の代理ですが聞きたいことがあればなんでもどうぞ」

シン「じゃあここは連合の組織か?」

比叡「連合ですか? 軍艦の頃は戦っていましたが今は共通の敵がいる仲間です」

シン「シンカイセイカンってやつか」

比叡「はい、漢字で深海に棲む艦と書くその敵はかつての戦争時の怨霊とも言われています」

シン「じゃあザフトって知ってるか?」

比叡「ザフトですか?聞き覚えがありません」

瑞鶴「翔鶴姉は知ってる?」

翔鶴「いいえ、聞いたことが無いわ」

シン(三人とも知らないということはここはもと居た場所とは違うのか? 深海棲艦や艦娘も聞いたことが無いし)

比叡「こちらからも質問よろしいですか?」

シン「ああ何でも聞いてくれ」

比叡「司令から聞いておいてくれと頼まれたことです。戦争をどう思いますか?」

シン「俺は戦争で家族を亡くした。戦争が無い世界以上に幸せな世界なんてあるはずがない!」

比叡「ありがとうございます。司令と連絡を取るので暫くお待ち下さい」

この世界でも戦争があるのか。こんなに平和そうな世界だっていうのに

比叡「司令!? 金剛お姉様を貸し出すってどういうことですか! あー切られた」

シン「どうしたんだ?」

比叡「ゴホンお見苦しいところをお見せしました。今後の予定ってありますか?」

シン「特に無いな。まずは手に職を見つけるくらいか」

比叡「提督をやって見る気はありませんか?」

シン「提督?俺が?」

比叡「はい、実は人材不足で女性は勿論、動物やよくわからない生物も提督をやっているんです。その中には異世界から来たって人もいらっしゃいますし、お嫌でなければ是非やっていただけませんか?」

シン「苦しんでる人がいるのか?」

瑞鶴「そうね、海が使えなくなって島国の人達は大ピンチって感じかしら」

シン「じゃあ俺に出来ることがあればやらせてくれ」

こうして俺は提督をやることになったのだ。

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最終更新:2017年02月11日 22:41
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