雪が世界を白銀に染める。冷たい光と静寂が周囲を支配している。
俺の心には、悲しみが粉雪の様に降積もる。
そして、悲しみは心を凍てつかせていく。
胸に抱いたステラの亡骸はとても軽くて、その軽さがとても悲しい。
守りたい物は砂時計の砂の様に落ちて行く。しかし、砂時計とは違いそれを戻す事は出来ない。
瞳を閉じれば無邪気にに歌い舞い踊るステラの姿が見える。
一瞬だけど永遠の思い出……全ては悠久の刻の彼方だ。
ステラの唇にそっとキスをすると、冷たい死の味がした。
ゆっくりとステラを湖底へと沈めると、涙が溢れてきた。
二度と汚されぬ様に、永久の眠りを妨げられない様に、冷たい水の柩の中で静かに眠りについて欲しい。
湖面に落ちる俺の涙が波紋を作り出し、円を描いては儚く消えていく。
人の夢と書いて儚い……。そんな運命なんていらない。 それが運命というのであれば、俺はその運命を打ち砕く力が欲しい。
そんな事を考えていたら、湖の中から謎の光が浮かび上がってきた。
光は湖の上で、何処かで見た事がある様な姿になる。
「私は湖の精霊と申します。貴方が落としたのはステラ・ルーシェですか、それともマユ・アスカですか?」
……ちょっと待て。アンタはラクス・クラインだろ。
疑問を投げつけると湖の精霊はプッと吹出して笑いやがる。
「人の話を良く聞きましょうね。だから貴方はテロップの一番上に来ない……いえ、これ以上はやめておきますわ」
……テロップってなんだよ! 不吉な事を言うんじゃない!
……取り敢えず湖に落としたのはステラだ。
「正直者の貴方には、カガリさんを差し上げますわ。空気なキャラ同志仲良くして下さいね?」
ちょっと待て! 何処からアスハが出てくんだよ!
アスハは嫌だ! アスハじゃ嫌だ! アスハが嫌だ!
っておい! 消えるなよ! アスハを持って帰れ!
ラクスモドキは消え去った。残されたのは俺とアスハだけだ。
アスハを見ると、ダボダボのワイシャツを羽織っただけの姿だ。
ヤバい。猛烈にヤバい。ツボだ。……でもアスハだ。
最終更新:2008年07月22日 17:42