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アルとエセルとそれから俺。-01

 朝起きたら爆発していた。正しくは爆発したので起きた。
 なんなのだろうね、この扱い。
 すっかり慣れたもので、身体には傷一つない。ものすごく痛いが。
「おはよう、アル・アジフ」
「……ッ」
「じゃない、おはようアル。お願いだからその手に光っている何かはやめて」
 俺の身体の上で仁王立ちしたその顔が、一瞬で不機嫌になったので慌てて言い直す。
 おかげで眠気は吹っ飛んだ。
 よくわからないが、最近は愛称で呼ばないと怒り出す始末である。
 普通に怒るだけならともかく、この少女の怒りはものすごく痛いのだ。

「……毎回思うのですが、もう少し優しく起こしてくれませんか」
「ふんっ、妾に起こされるだけマシと思え」
「あら、なら次からは私が起こしましょうか?」
 部屋の外から音も立てずに現れる少女その2。
 俺を起こした少女ととてもよく似ている。
 目立つ違いといったら白か黒かという程だ。決してやましい意味ではない。
 髪とか服のことである。服とは言っても決して下ではない。
 横たわる俺の上で仁王立ちになっている白い子はともかく、黒い子の方は絶対見えない!

「――見たいのでしたらお見せしますが?」
 結構Death。あと思考を読まないでください。残念そうにしないでください。
「誰が起こすのをやめると言った、ナコト写本」
「あら、『起こされるだけマシ』ということは、本当は起こしたくないのでしょう?
 幸い、私は毎日でもマスターを起こしたいので問題はないわ」
「うぐ、それはっ、その……こ、言葉の綾でだな!」
 翻弄する黒い子と翻弄される白い子。
 いったい何度このやりとりを見たことか。
 危険を察知した俺は逃げ出したいのだが、白い子が俺の胴を挟むように立っている。動けない。
「あらそう、じゃあどんな意味が込められているのかしら。
 例えば……そうね、マスターの寝顔が可愛くて起こせない、とか?」

「な、汝、何を!?」
 白い子の顔が真っ赤だー。怒髪天だー。
 アレ、おかしいな、俺の身にすごい勢いで危険が迫っているような。
「ふふふ、別に恥ずかしがることでもないじゃない。
 いつもは不機嫌そうなマスターの表情が、寝ているときばかりはとてもとても穏やかで……
 ああ、どれだけ一緒に寝てしまいたいと思ったことか!」
 顔を朱に染める黒い子はなかなか可愛いのですが、犯罪です俺。
 外見年齢が幼いので犯罪です俺。そう念じて邪念を振り払う。
「黙れ! 汝のような考えは持っておらん!」
 対する白い子の方は真っ赤。こちらもすごく可愛いのですが、犯罪です俺。
「あら、本当に?」
「ああ、本当だとも!」

 真っ赤な顔で言い切る白い子を見て、黒い子はにやり、と笑み。
「では、貴女がマスターを起こしに行った7時10分から私が来た30分まで」
 黒い子は笑みを絶やさない。勝利を確信したまま。
 白い子は真っ赤な顔でうぐ、と呻いた。
 何か突かれてはまずい所を突いたのは確定的に明らかだ。
「その20分間――貴女は何をしていたのかしらね?」
 踏み込んだ。踏み込んでしまった。踏み込まれてしまった。
 白い子は反論できない。口に出るのは意味のない呻きだけだ。
 顔を真っ赤にしながら俯いた。肩が震えている。

 白い手がより白くなるほど握り締められた拳が怖い。
 白い子の周りがバチバチと音を立てながら光り始める。
 プ、プラズマだ! などと行っている場合じゃない。逃げ出したい!

「……な」
「待て、落ち着けアル! エセルも煽るんじゃない!」

「何していようが関係ないであろう、このうつけェェェッ!!」

「遅かったアッー!」

閃光。

以上が二人(?)の魔導書、白い子――アル・アジフことアルと、
黒い子――エセルドレーダことエセルとの生活の一部である。
ことあるごとに爆発に巻き込まれる、俺の明日はどっちなのか。
知っている人は、俺に平穏を返して欲しい。




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最終更新:2008年07月11日 16:49
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