私ことデス子は思う。 最近、マスターの様子がおかしい。
出撃を終えたら即部屋に戻り、ドアの鍵を閉めて引きこもっている。
何度問いただしても
「なんでもない」
の一点張り。
でも。
「マスター、顔面冷や汗だらけの顔での否定は無理がありますよぉ……」
その言葉を心の中だけでつぶやく。
口に出して警戒心を持たれては作戦に支障をきたす。
万全の状態で望まないと、と小さくガッツポーズ。
作戦当日。
ホンジツセーローサレドナミタカシ。
……なんとなく言ってみた。
マスターの秘密を探ると言う作戦に望むためにテンションを上げたかったのかも、と自己分析。
そうこう言っている内に指定ポイントに到達。
念のためにドアに耳を当てて中の様子を探ろうとする。 が、何も聞こえない。
事前の調査によると、マスターは最近部屋のリフォームをしたらしい。
具体的には、部屋を完全防音に。
何がマスターをそこまで駆り立てたのか、それを知る権利が私にはある、と思う。
「私はマスターのもの、つまり、一心同体?」
無茶な論理展開。
でも不思議とそのときはそれが間違ってないと確信していた。
モバイルをドアのコンソールに接続。 ハッキング開始。
所詮はドアのコンピュータ、元MSである私に適うはずも無い。
ピッと言う電子音に思わずニヤリ。
おっと、自重しろ。
いけると思ったときが一番危ない、某先生がそう言っていた。
いよいよ、閉ざされた扉を開く。 手汗握る瞬間。
3……2……1……
Go!!!
一気に開ける。手にはカメラ。証拠を押さえてやるの!!
ちなみに、この行動は館内全部に放映されていた。
皆、マスターの行動を怪しんでいたらしい。
整備班では、隠し事の内容で賭けをしているらしい。
ああ……今思えば、マスターの秘密を暴くなんてことをやめておけばよかったと思う。
パンドラの箱の中に希望は残ってなかった。人生、そんなに甘くないのね。
目の前に広がった光景に一瞬のめまい。
我がマスターことシン・アスカ。
かつてのエースは
「みっく☆みっく☆みっく☆みっく。みっくみっくにしてやんよー♪」
とノリノリに踊っていた。
ディスプレイには緑の髪をツインテールに纏めている少女。
「みっく☆みっく……はっ!!!」
此方に気がついた。私は微妙な顔をしていたと思う。
「い、いや! これは……その・・・・・・」
顔を真っ赤に染め、言い訳をしているが、混乱している為かそれは解読不能。
その間も部屋にはみっくみっく…と曲が流れている。
「某動画サイトで人気になってたから、ちょっと気になって……試しに……その……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
そういって、部屋から逃げ出した。
私は大音量で歌が流れる部屋に一人きりで残された。
だが、マスターは知らない。
この映像が館内全部に流れていることを・・・
そして、このボーカロイド『初音ミク』が整備班のアイドルとなることを…
その後、整備班の血と涙と捨て去ったプライドの成果により、ボーカロイド『初音ミク』をガイノイド化することに成功。
整備班は涙の抱擁を交わしあったという。
そして、初音ミクは歌姫ラクス・クラインを抜き去り、プラントミュージックランキングNo1の地位を不動のものとした。
この輝かしい功績の影には一人の少年の涙があることを、人々は知らない……
最終更新:2008年07月16日 01:33