ここは宇宙(そら)に浮かぶ城。シン・アスカは城の一角にあるテラスで、銀髪の少女アンゼロットと見えるのであった。
ゴシックなドレスに身を包み、ティーカップを傾けるアンゼロットは、可憐な女の子にしか見えないが、「守護者」としてこの世界を守る使命を持っているのだ。
アンゼロット「というわけで、シン・アスカさん、これから言う私の質問に、ハイかイエスで答えてくださいね」
シン「……いきなり訳わからないぞ。しかもそれ、質問になってないし」
アンゼ「先行しているウィザード達と協力して、ちょっと世界を救ってきてほしいのです」
シン「ず、ずいぶんと大きい話だな。『ウィザード』でもない俺が役にたつのか?」
アンゼ「ええ、もちろん。彼らにシンさんが加わればとても楽しそうですから」
シン「へ?」
アンゼ「いえ、今の発言は気にしないように……。それにシンさん、私達もあなたの力になれるかも知れないのですよ」
シン「何です、それは?」
アンゼロットは優雅にティーカップに口をつける。そして、彼女のお気に入りでもある、あるウィザードの事を話す。
アンゼ「先行しているウィザードの一人、柊蓮司(ひいらぎ れんじ)さん。彼は人呼んで『下がる男』と呼ばれています」
シン「……『下がる男』?」
アンゼ「詳しくは言えませんが、彼の『力』ならば、あなたを悩ましている女難も、少しは「下がる」かも知れません」
シン「その任務、やらせてください(←即答)」
シン(女難が減るのなら多少の危険は…! それに世界を守る為に、俺の力が役に立つと言うのであれば望むところだ)
ためらいのないシン。だが、これが悲(喜)劇の幕開けになろうとは、露知らぬ彼であった……。
アンゼロット「いいお返事です。では」
ニコリと微笑みティーカップをテーブルに戻す。すると……
シン「うわ!? 何なんだ!?」
いきなり現れた屈強な男たちに捕まり、連れ去られていくシン。そのまま連れられていった場所は、シンがよく知っている場所に似ていた。
宙に向かってレールが延びる。そう、MSの発進カタパルトである。ただし、人間サイズの……!
『シン・アスカ、発進シークエンス、スタート』
無機質なアナウンスの声とともに、ガチリとシンの足が床に、いや射出プレートに固定される。
シン「ちょ、ちょっと待て! 外れない!?」
部屋の奥がドアとなり、開いていく。その扉の先に見えるものは、宇宙そして大きく見える青い星、地球。
『ゲートオープン。進路オールグリーン』
光が灯り、宇宙への道を示す。
シン「ちょ、ちょっと待て! これを止めろ!」
アンゼ「あなたに合わせた趣向でしたが、お嫌ですか?」
カタパルトに守護者の声が響く。
シン「嫌とかそういう問題じゃない! 生身で宇宙なんて……!」
アンゼ「そのプレートは特製の”大気圏突入用箒”です。問題はありませんわ」
シン「問題ありすぎだ!」
アンゼ「先行しているウィザード達には、連絡してあります。シン・アスカさん……世界を救えるのは、あなたしかいないのです」
シン「『コレ』と何の関係が!?……って、あ!?」
アンゼ「では、いってらっしゃいませ♪」
『カウントダウン、スタート。……2・1・GO』
無常なアナウンス。轟音とともにプレートとシンは射出される。
シン「なんでこうなるんだああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
流星となり地球へと向かう、もとい落ちていくシン。
アンゼ(シンさん……あなたのそれは、いわば「女難力:∞」。ヒイラギチカラをもってしても、手に負えないかも知れませんね。でも……)
シンが飛んでいった地球を眺めつつ、笑みをうかべる。
アンゼ(また一つ、私の楽しみが増えましたわね)
『世界の守護者』アンゼロット、世界の危機(と自分の興味)の為には、犠牲をためらわない人であった……。
最終更新:2008年07月16日 03:52