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OG・DC戦争

戦争をしていた人間が、戦場で意識を失った。
それはすなわち、死を意味する。

しかし、彼は死ななかった。
唯一つだけ、不自由を伴って・・・



現在クスハは幼馴染に伴って、その母親の見舞いに来ていた。
幼少時より面識のある相手の入院は、クスハにとっても心配なのである。
が、母親と話していて失念してそうな幼馴染を見ていると心配になってしまう。
「急がなくっていいの?
 もうすぐ試合、始まっちゃうよ?」
傍から見たらあまりに育ちきったものを胸部に持つ、クスハは幼馴染に問いかけた。
試合、というのは、今リュウセイがはまっているゲームの大会の話だ。
「えぁ、やっべ
 それじゃ、母さん、また後でな」
そんな気の優しい幼馴染の言葉に、ダテ・リュウセイは驚いて病室を出て行った。
「あ、まって、リュウセイくん!!
 あ、えっと・・・また来ますね?」
実の息子よりも気を使って、クスハはリュウセイを追いかけた。
「ええ、待ってるわ」
かすかに聞こえた声にクスハは胸を暖かくしていた。
今後しばらく会えなくなってしまうなどとは思いもしないで・・・

ようやくリュウセイに追いついたと思ったら、彼はなぜか公園の木の前に立ち止まっていた。
「どうしたの、リュウセイくん?」
「いや、聞く前に周りを見ようぜ・・・」
「えっ?・・・あ!?」
リュウセイの足元を見ると、一人の男が横たわっていた。
結構慎重もあるのに気づかないことに頬を赤らめながらも、クスハはその人を診始めた。
「看護志望だったからな、良かった良かった・・・」
リュウセイがまだ結果も出ていないのにクスハの手付きを見ながら言った。
「うん、気を失ってるだけみたい・・・
 リュウセイくん、応援はいけないけど、いいかな?」
「かまわねぇよ。
 それよか、行っていいのか?」
「大丈夫。
 最後にしちゃうって言ったんだから、頑張ってきてね
 この人が目を覚ましたら追いかけるから」
リュウセイがこの大会と大会の後についてどれほどの覚悟をしているかは、クスハも良く分かっていた。
「おう、ありがとよ」
だから行かせた。
本当は救急車とかを呼んでもらうべきなのだろうが、それも止しておいた。
この人には悪いけど、試合会場にサイレンが聞こえるのは嫌だと、クスハが思ったからである。
(それにこの人・・・寝てるだけみたい・・・)
服がボロボロで、所謂パイロットスーツのようなものを着てはいるが、外傷も見当たらなかった。
膝枕をしてあげて落ち着いてくると、ただ、寝息だけが聞こえてくる。

しばらくすると、膝枕の上で目が覚めた。
「ここは・・・アンタは・・・?」
寝転がったまま、青年はクスハに尋ねた。
その彼の赤い瞳に惹かれるような感覚を得ながらも、
「えっと、倒れてたんです、ここで」
何とか答えきった。
基本的にこういった状況に慣れていないので、声は多少上ずってしまっていたが・・・
自分らの今の常態を見て、そんなちょっとしたミスも忘れてしまう。
「それで、えっと・・・」
クスハは(自分からしたというのに)顔を真っ赤にして小声になった。
「え・・・あ、悪い・・・」
少々理不尽に思いながらも、そこからどき、思い切って立ってみた。
「ぅ・・・」
「あ、大丈夫ですか?」
今度は心配そうに見上げられた。
「いや、少し立ちくらみが・・・
 それより、あんたは?」
しばらく倒れていたらしく、意識は朦朧とした中でも状況の把握をしようとした。
それはひとえに、彼が軍人だったからであろう。
「わたしは楠葉、ミズハ・クスハです。
 えっと、あなたは?」
遠慮がちに聞かれる。
「俺はシン・アスカだ」
「えっと、アスカくんは・・・」
「シンでいいよ」
死んでいいよ?じゃなくて、
「苗字で呼べって事ですか?」
いきなり名前で呼ぶのは拙かったかもしれないと思って、クスハが聞いた。
「いや、シンが名前だけど・・・」
どうにも会話に不備を感じながらも、シンは言葉を発した。
「くすっ、ここは日本ですよ? 名前は苗字の後で言わないと・・・」
リュウセイに見せてもらった映像ディスクなんかで、外国の軍人が日本とは逆の順で喋ってるのを思い出して、クスハは笑ってしまった。
「日本? 日本って・・・どこだ?」
「えっと・・・」
あまりに流暢な日本語を話すので失念していたが、シンは目の色からして日本人ではない。
そう思って違和感を確かめようとするが、ならなんで日本語を知らないのだろう?
どうにもクスハでは到底理解できないようなものがあるような気がして、何かをシンに問いかけようとした。
その何かがどんなものかも分からぬまま、その言葉はついに口から出るタイミングを失った。
それは、不意に起こった爆発音、ついで立ち上る煙と悲鳴になし崩し的に封じられてしまったからであった。





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最終更新:2008年09月23日 19:41
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