ピンポ~ン
シン「客?デス子達はまだ学校だし…珍しいな。――ハイ……アンタ…」
アスラン「――すまないな、急に訪ねて来てしまって…。」
シン「いえ。珍しい…よりも、アンタがオレを訪ねてくるなんて正直驚きました。」
アスラン「そうだな――お前には二度と顔向け出来ないとは自覚してるんだが…」
シン「で?何か大事な要件でも?」
アスラン「ん、あ、ああ。…単刀直入に言う。いや、頼みがある。シン…お前の力を貸して欲しい。」
シン「オレに、ザフトに復隊しろって事ですか?」
アスラン「ああ。今、宇宙では大規模なテロ活動が起きているのは知ってるか?」
シン「そういえば最近のニュースはそれ関係でいっぱいですね。」
アスラン「地球とプラントで連携しながら対処してはいるが…正直な所、奴らに裏をかかれているのが現状なんだ。」
シン「へぇ。」
アスラン「俺やキラ、イザーク達も頻繁に出撃してはいるが。奴らは余程人材が豊富なのか、一向に数が減らない…」
シン「で?アンタ達のボスは何と言ってるんですか?『何故戦うのですか?』とか、『戦闘を中止しろ!』とかのたまってんですか?」
アスラン「……いや。ラクスもカガリも、今回ばかりは…な。」
シン「へぇぇ…じゃあアンタ達のお題目の『不殺』を捨てたんですね。」
アスラン「いや、そんな」
シン「そんな事無いですか?アンタ達が達磨にしたテロ機はアンタ達の味方のいい的だと思いますけど。ボスがGOサイン出したんですから、皆嬉々として撃墜してるんじゃないんですかね。」
アスラン「――本当は…そんな事したくはないさ。だが、今は…!」
シン「いいんじゃないですか。」
アスラン「え?」
シン「いいんじゃないですかね。夢想やら理想しか言えなかった連中が現実を見れるようになったんですから。」
アスラン「シン…」
シン「でも、アンタやキラ『隊長殿』がいるのに何でオレが必要なんですか?いらないでしょ、こんな『負け犬』は。」
アスラン「シン、あの時は俺が」
シン「ザフトのスーパーエース二人相手に『無傷で勝利』したアンタ達がいれば事足りるでしょう?話はお終いです。」
アスラン「聞いてくれシン、あの時は!」
シン「すみませんけど、アンタが何言っても気休めなんですよ。負け犬の気持ちは判らないでしょ?同じ言葉を、のうのうと居座ってるキラ隊長殿とボスに伝えておいて下さい。」
アスラン「………そう…だな。スマン、筋違いなのは判ってた。お前の復隊の事は諦めるよ。」
シン「そりゃどうも。――あ、コーヒーのおかわり要ります?」
アスラン「…帰れと言わないのか?」
シン「言って欲しいんですか?」
アスラン「あ…そんな事は…でも驚いたよ。すぐに叩き出されるかと思ったからな…」
シン「まぁ、少し前までならそうしたでしょうけど。今は…オレも、ほんの少しだけ余裕ができてきましたから。」
アスラン「そうか。…それは同居人のおかげか。」
シン「あ、気付きました?」
アスラン「ああ、ざっと見て、子供の物があるからな。失礼だったか、じろじろ見てしまって。」
シン「構いませんよ別に。ちょっとワケありで、小さい女の子と一緒に住んでて…素直に言うと…オレ、そいつに凄く救われてます。」
アスラン「みたいだな…雰囲気が柔らかくなった。」
シン「朴念人のアンタが判る位だから、よっぽどですかね?」
アスラン「はは、酷い奴だなぁ。」
シン「……少し言い過ぎたって思います。でも、今オレは軍には戻りません。戻りたく……ありません。」
アスラン「…ああ。無理を承知で来たんだ。予想はしてたさ。今のお前の平穏を、俺も奪いたくは無い。もう…お前から奪いたくは無いんだ。」
シン「…ありがとうございます、アスラン。」
アスラン「――ごちそうになったな。コーヒーありがとう。」
シン「いえ…」
アスラン「シン。また…来ても、いいか?」
シン「仕事抜きならね。」
アスラン「ありがとう…」
――かつてあれほど憎んだアスランに、自然に接する事が出来たのは…デス子がいるから。自分に驚くシン。
しかし…復隊要請の理由・大規模テロ活動がシン達にも押し寄せてくる事を知る由もない…そんなお話。
最終更新:2009年02月06日 22:22