「~~~~~~♪ あら? あなたは確か… 何時ぞや私の写真を取りに来た人よね? こんな月が紅い日にわざわざ紅魔館の近くに何をしにきたの?」
「まぁ何をしに来てでも良いか、今日はまだ日課の運動をしてないの、折角だから付き合ってもらうよ、コイン一個あげるから、コンティニューは…許さないけどね!!」
~~~~~~~~最終鬼畜弾幕中~~~~~~~~~~~~
「あはははは凄い凄い!! 私のQEDまで辿り着いたのはお姉さんで七人目よ♪ あの変なカメラも抜きで頑張ったね~ でも五人目の突破者にはなれなかったね」
「ん?QEDを突破して見せたのは誰かって? え~っとね、お姉様でしょ、霊夢に、魔理沙に、後はお兄様ね」
「お兄様って誰かって? ん~、多分言ってもわからないと思うよ、シンお兄様の事を知ってる人なんて多くないだろうし」
「え? 知ってる? 寧ろこの間新聞にするためにお兄様を知ってる人たちに取材をしたって? それで私にも話を聞きにここまできたの?」
「む~…… って事はお姉様、わざと私に教えてくれなかったのね、今晩さっそく弾幕ごっこでちょっとアイツにお仕置きしなきゃダメかしら……」
「その前に取材がしたい? 別にいいけど、何かくれるの? え? さっき弾幕ごっこに付き合ったから? でもお姉さんQED突破できなかったでしょ?」
「ん~…… そうね、お姉さんがお兄様に関して取材してきたお話、全部聞かせてくれたら私もお話してあげる、契約成立みたいね、悪魔の契約、破棄は出来ないよ」
「それじゃあ私のお話… だけど余り話せることが無いわ、お兄様と出会って戦ったときのお話くらいしか… それがちょうど聞きたかったの?」
「じゃあお話しするわね、お兄様と私が出会ったのは… 今から一ヶ月くらい前のそう、紅くはないけれどキレイな月の夜だったわ」
「ちょうどその日はお姉様も咲夜も、パチュリーも博麗神社に向かってたの、何でも月見宴会とか言ってたわね、いっつも私を置いてけぼりなのよ、酷いでしょ?」
「だからせめて夜のお散歩だけでもしようと思って、美鈴を背後からレーヴァティンで一蹴して眠ってもらってから紅魔館の周辺を散歩してたの」
「え? 美鈴は死ななかったのかって? レーヴァティンくらいじゃ美鈴は死なないよ? 御姉様のグングニルを受けても立ってるくらいに強いもの」
「本当よ、私のレーヴァティンを喰らっても暫く気絶しているくらいよ、あんまり疑うんだったらもうお話しないよ?」
「むぅ~…… まだ信じていないみたいだけどいいや、お姉さんからお話聞けなくなるのも嫌だし、続きを話すよ」
「私が夜のお散歩してた時にね、不思議なものを見つけたの、えぇ、翼みたいな光が夜の空を走ってるのよ、しかもそれが紅魔館の方に向かって飛んできてたの」
「また流れ星かな~ と思ってこう、キュッとしてドカーン しちゃおうかと思ったんだけど、なんだか上手く掴めなかったの、うん、動きが速すぎてね」
「それでなんだか面白くなってきちゃってね、直接叩き落しちゃおうと思ってこう、レーヴァティンを伸ばしてその光に向かって思いっきり振り降ろしたわ」
「え? 振り下ろした位で当たるのかって? あぁ、一応その光の道筋を考えて振り下ろしたわよ? キュッとしようとした時に大まかな場所とかはわかってたしね」
「で、振り下ろしたら驚き、流れ星だと思ってたのに急にその光が動いてレーヴァティンを避けるんだもの、確実に当たったと思ったのにね」
「それで、その私のレーヴァティンを避けた物体をよく見てみたら流れ星なんかじゃなかった、そう、鎧を着てたお兄様だったのよ」
「そう、ただの流れ星だと思ってたら生きてる相手だったの、しかも光る羽を持ってる生きた相手、もう、物凄く楽しくなったわ、之で退屈が潰せるって」
「うん、だって元々夜のお散歩は退屈つぶしのためだったもの、それ以上に退屈を潰せる事が見付かったならそっちを優先するのが普通でしょう?」
「だから、私はシンお兄様が何か言おうとしてたのも気にせず即座に弾幕ごっこを始めたわ、とてもキレイな月夜だったし、私もかなり興奮してたの」
「不意打ち同然の私の弾幕、魔理沙や霊夢だって避けきれない事のほうが多い私の弾幕がさらに不意打ちだったからね、お兄様も流石に避けることなんて出来てなかった」
「私の目から見ても直撃するってわかったから、退屈つぶしにもならないのかな~ って思ったら、驚き、光る盾で私の弾をかき消したのよ、霊撃でもスペルカードでもなかったわ」
「それを見て私はより一層楽しくなったわ、この人は簡単に壊れない、限界までたっぷりと遊べるオモチャだっておもったから」
「え? 弾をスペルカードや霊撃抜きで無効化するのは反則だし被弾してるから弾幕ごっこを続行するのはルール違反ですって?」
「細かいことは良いじゃない、ただ、私は退屈を潰せればそれでよかったんだもの、霊夢達の弾幕ごっこの細かいルールなんて気にしてなかったわ」
「話を戻すね、それで、あの時の私はお兄様がどれくらいで壊れるか試したくて思いっきり弾幕を放ったわ、クランベリートラップの弾幕を思いっきり濃くしたものをね」
「それで、最初のうちは光る盾でかき消すだけだったお兄様だけど、私が攻撃を止めないって解ったらお兄様の方からも攻撃してきたわ」
「どんな攻撃だったか? えっと~…… 何か不思議な銃みたいなものを使ってたわね、うん、不思議な銃だよ、だって弾がビームだったもの、しかもかなり高威力の」
「何で威力までわかったか? それは簡単よ、お兄様のその一撃が私のマジックシールドをあっさりと突破してくれたから、威力だけならパチュリーより上だったわ」
「でも流石に直撃はしてないわよ、シールドが壊されるってわかったらすぐ蝙蝠になって避けたもの、避けてなかったら? 多分肩に穴が開いてたかも」
「つまり、一歩間違えたら私が傷ついて、壊されかけてたかもしれないって事、それが解ってより一層楽しくなったわ、あの時の私はただ歓喜に打ち震えていたのよ」
「何で自分が壊れるかも知れないのに楽しむのかって? ん~……多分、とても長く楽しめると思ったから、かな?」
「それで、話を戻すわね、お兄様から反撃が始まった事で私もより一層弾幕を濃くしたわ、ううん、弾幕だけじゃない、合間を縫うようにレーヴァティンで攻撃もした」
「それでもお兄様は落ちなかった、私の弾幕を避け、時に盾で防ぎながら銃を撃ち、私のレーヴァティンを大きな剣で防いでた… アロンダイト? へぇ、剣の名前なんだ」
「そうやって戦ってた中で、私はある一つの事に気づいたの、お兄様は手加減してるって、だって銃でねらう場所はレーヴァティンとか、致命傷にならない場所だけだったし」
「他にもあの銃の発射速度を見る限りだと攻撃するチャンスは多々あったのに攻撃してないんだもの、嫌でも気づくわよ」
「で、あの時の私はそれに気付いて馬鹿にされてると思ったの、たかがひ弱な人間が、夜の王たる吸血鬼に手加減をするなんて侮辱するにもほどがあるって」
「だから私は本気を出した、フォーオブアカインドを発動して、お兄様の逃げ道を完全に潰した上で、全力のレーバティンで思いっきり袈裟切りにしたわ」
「うん、死んでないよ、あの鎧が予想以上に硬かったから結局切り裂くと言うより袈裟切りに地面に叩きつけるって感じになっちゃったし」
「それでも私の怒りは収まらなくてね、地面に落ちていくお兄様に向かってスターボウブレイクで追い討ちをかけたわ、もうボロボロに壊しちゃうつもりで」
「それでゲームオーバー、になると思ったら、急にお兄様の動きが変わったの、うん、本当に変わったの、嘘じゃないよ」
「だって、地面に叩きつけられる寸前で急に体勢を立て直したと思ったらそのままスターボウブレイクを回避して、私の頭上まで一気に上昇したもの」
「しかもそれだけじゃなかった、お兄様の腰の横に変な筒が生えたと思ったら、その筒から物凄い光が放出されて、私の分身たちは一瞬で蒸発してたわ」
「多分魔理沙のマスタースパークよりも威力はずっと上だと思うよ、範囲の広さだと魔理沙の方が上だと思うけど、威力だったらお兄様の方が数段上ね」
「また話に戻るね、それで、一瞬でフォーオブアカインドを破られて呆然としてた私に向かって、お兄様はアロンダイトを構えて一気に襲い掛かってきたわ」
「しかもそのアロンダイトが私のレーヴァティンみたいに光り出してたの、私はとっさにお兄様のその攻撃を蝙蝠になって避けたわ」
「そして、離れた場所で元に戻ろうとしたら、ちょうどそのタイミングを見計らうかのように光るブーメランを投げてきてたの、それで私は左腕を吹き飛ばされた」
「うん、間違いなく吹き飛ばされたわ、だって、その時とっさに右腕でその左腕を掴んで魔法でくっ付けた事を良く覚えてるもの」
「さっきまで手加減していたお兄様が容赦なく致命傷に居たりかねない攻撃を加えてきた、それはつまり、お兄様も本気で私と『アソンデクレル』って事だった」
「だから私も『コロス』為に攻撃を始めたわ、えぇ、弾幕ごっこなんかじゃない、もう本気の殺しあい、ただそれだけ」
「あはははは、確かにお姉さんのいうとおりね、普通なら吸血鬼が本気で殺そうとしたら生き延びれる人間なんて居ない、でも、お兄様は別格だったわ」
「私が攻撃すればするほど、お兄様の動きはより機敏になり、私の攻撃が当たれば当たるほど、お兄様の一撃もより一層重くなっていく」
「本当に楽しかったわ、まるでロンドを踊っているみたい、私がより強く、より早く、より鋭く攻撃すれば、お兄様の次の攻撃はその一歩先を行く」
「当然私も次の攻撃ではお兄様の攻撃の先を行き、どんどん御互いにより鋭く、より強く、より凄絶な攻撃へと上り詰めていく、限界なんて越えて、極限を越えた高みまで…」
「本当に凄かったよ、私のレーバティンがお兄様の鎧を砕けば、お兄様のアロンダイトが私の右足を斬りとばし、私の弾幕が右肩を貫けば、お兄様の銃が私の脇腹を貫く」
「痛みなんてまるで無かったわ、夜だったし私の傷は直ぐ修復される、お兄様の鎧も、私ほど直ぐじゃないけど修復されて、攻撃が長引けば元通りになっちゃってた」
「本当に、どれくらいぶりだったかな、あれほど血飛沫が舞い、肢体を切裂かれ、私の回復能力が追いつかなくなり始めるほどに傷つけられたのは……」
「うん、段々と私の回復は追いつかなくなり始めてたの、紅い月の夜ならまだ大丈夫だったかもしれないけれど、あの日の夜だと限界が少しずつ近づいていたわ」
「だから、私は楽しい楽しいダンスを終わらせる事にしたの、そう、私が持つ能力で、シンお兄様から溢れ出てくる最大の力の場所を、キュッとすることで」
「当然、私の能力について詳しく知らないお兄様がそれを避けれる筈なんてない、私がキュッとした瞬間、お兄様はドッカーンと爆発したわ、きれいな夜の花火の様に」
「それで私は終わったと思った、だから、せめて名前も知らない、たくさん楽しませてくれた人間の血をちょっと吸おうかなと思って近寄ろうとしていたわ」
「もう生きてるなんて思ってなかったもの、一番力の強い場所をキュってしたから、絶対に死んでると思ってた… でもね、お兄様は生きてた」
「来ていた鎧なんてもう原形を止めていない、片翼の翼、半分以上砕け散った鎧、ヘルムなんて完全に吹き飛んで、全身傷だらけで、血だらけの姿で」
「それでいて、お兄様の心はまだ砕け散ってなかった、そんなボロボロの姿なのに、アロンダイトを必死に構え、私に向かって放り投げた」
「……私はそれを避けれなかった、ううん、避けようとしなかった、なんでかって? ……見惚れていたの、お兄様のその姿に」
「まるで絵画のようだったよ、月光に照らされ、動く事さえ難しいくらいにボロボロなのに、紅い瞳は燃え盛るように熱く、夜を斬りさく光の剣を構えていたあの姿は」
「しかもそれだけじゃないの、お兄様からは、そんな幻想的な姿には似つかわしくないくらいに物凄い狂気が溢れていたの、うん、私だから解ったのかも知れないね」
「だって、その狂気の矛先は…… 私だったから、私が普段暴れている時とはまったく違うの、とても純粋で、キレイで、それで居て、どこか悲しいお兄様の狂気」
「そうだね…… 私が動けなかったのはお兄様の絵画のような姿だけじゃない、その、私以上の、それで居て私とはまったく違う狂気を感じて、勝てないって思ったから」
「……うん、勝てないの、私の狂気じゃあ、お兄様の狂気には、だって、お兄様の狂気は自分を壊す事を全く恐れていないモノ、むしろ、自分を壊そうとしているくらい」
「お姉さん達には解らないかもね、お兄様のあの狂気は、直接対峙して、あの極限まで引き出さないと感じ取れないものだし、多分、私だけしか解らないよ」
「先にお話の続きをするね、お兄様がアロンダイトを放り投げた所からだったよね?
うん、私は避けるなんて出来なかったよ、ただ、突き刺さるのを待つだけだった」
「お兄様が放り投げたアロンダイトは私の胸に突き刺さった、幸い心臓はそれてたし白木の杭じゃないから死ぬことは無かったけど、余りの勢いにそのまま地面に縫い付けられたわ」
「そうなっても私は動くことが出来なかった、傷の痛みなんてまるでなかったの、でも、私の中のナニカが壊れたことだけは感じたわ、そして、視界がクリアになる感覚も」
「音も無くなって、感覚も無くなって、ただ視界だけがクリアになっていく中で、私にトドメを誘うと銃を構えようとしていたお兄様の姿の中に、私はある物を見つけた」
「それは…… とても黒い点だった、どんどんと大きくなっていく、光を全部吸い込みそうな真っ暗な点、それをみた時、私の体は勝手に動いてた」
「うん、勝手に、こう、その真っ黒い点をキュッとしてたの、今でもよくわかんない、何でそんな事してたのかなんてわからないよ」
「でも、その真っ黒い点が…ドッカーン、じゃなかったわ、こう、パリーンってガラスみたいに砕け散ったと思ったら、急にお兄様は動きを止めてたわ」
「本当よ、まるで夢か何かから覚めたみたいに急に動きを止めてたの、お兄様から発してた狂気も行き成り霧散していたわ」
「それでどうなったかって? ん~っと、お兄様が地面に縫い付けられてた私の所まで来て、アロンダイトを引っこ抜くと何かお薬をつけてたわ」
「うん、お薬、良く効くお薬だったよ、だって痛みも何もないのにスゥーって私の怪我が消えちゃったもの、お兄様の方が怪我だらけなのにね」
「私はそんなお兄様の急な変化に追いつけなくて、ただ目をぱちくりしてたわ、そんな私が立てないと思ったのか、お兄様が私の手を引いて立たせてくれようとしたんだけど」
「……ぷぅ~……
今思い出しても納得できない、だって、行き成りアイツがお兄様に向けてグングニルを放り投げてたのよ、しかもお兄様、私を庇うようにして背中に刺さったし」
「しかも殺気満々で格好つけてお兄様に 『私の妹を放しなさい、下種な人間風情が』 よ? 急に現われてあれはないわ」
「まぁ、それでその日はお兄様とお別れよ、流石にボロボロのお兄様がお姉様相手に戦えるわけが無いし、何とか一人で動けるようだったから其処でバイバイだったの」
「え? それじゃあ何処で私がお兄様の名前を聞いたのかって? あれから一週間後くらいかな…… また夜のお散歩に出てた時にまたお兄様とであったのよ」
「えぇ、流石にその時は戦おうとなんてしてないわ、というよりも、お兄様にあの剣で突き刺されてからあんまり何かを壊したいって思わなくなってきたもの」
「それでお兄様とであって何をしたのか? えっと… お兄様がこの間のお詫びって言って色々お菓子を持ってきてくれてたから一緒に食べたの、うん、一緒にだよ」
「その時に名前も聞いたの、シン=アスカって言う名前で、チレーデンって所に住んでるって、それ以外は聞けなかったけどね」
「どうしてかって? だって、お菓子を食べ終わってお話をして貰おうとしたら咲夜が迎えに来たんだもの、しかもお兄様に敵意むき出しで」
「しかもお兄様に会いに行きたいってお姉さまに言っても許してくれないし、しかもお兄様のことをお兄様って呼ぶ事も嫌がるし……」
「え?何でお兄様かって? ん~………… 理由なんて無いよ、シンお兄様はお兄様なの、うん」
「私の話は之で御終いかな、アレからお兄様と出会えてないし…… そうそう、お姉さん、契約、忘れないでよね?」
「悪魔との契約を放棄したりしたら…… お姉さんが命より大事にしてるモノ、キュッとしてドカーンしちゃうからね?」
~~~~『おまけ 翌朝地霊殿インタビューを載せた新聞全てを持ってきた時の美鈴との雑談内容』~~~~
「ん~…… 今日も良い天気… ってあら? 貴女はいつぞやのカラス天狗じゃないですか、強引にはいろうって言うなら迎撃しますよ?」
「え? 今日は別件? あぁ…… はい、はい、わかりました、之を妹様にお渡しすればいいんですね、では私の方から確実にお渡ししておきますので」
「…ん? 他にも何か御用が? 私に聞きたいことがある? あはははは、たかが門番に一体何を聞きたいのやら、気を使う能力の持ち主だから聞いてみたい?」
「ん~ と言われても私の気は身体強化とかの方がメインなんですが…… まぁお話くらいならいいでしょう、何についてですか?」
「………なるほど、妹様から、シンさんと妹様の狂気が違っていると聞いて、それがどういう物なのか気を使う能力の持ち主の私に聞いてみたかった…と」
「そうですねぇ… 私もシンさんとはあった事がなくて妹様とのお話の時にお名前を聞く程度ですし、推測でもいいですか…? それでもいいと、ならお話しますよ」
「私が考えますに、恐らくシンさんの狂気は『弱者の狂気』で、フラン様の持つ狂気は『強者の狂気』だと思われます」
「はい、弱者と強者、です、わかりやすいのは強者の狂気ですね、これは周囲の脅威を排除しようとするか、もしくは屈服させようとするタイプの狂気です」
「それに対するのが弱者の狂気ですね、まぁ、周囲の脅威を排除しようとする、と言う点は同じなのですが、『大事な何か』を護ろうとして狂うのが此方の特徴です」
「はい、護ろうとして、です、矛盾してますよね? 全てを破壊するような性質を持つ狂気が、何かを護ろうとしているんですから、明らかに大きな矛盾ですよ」
「……実はですね、『弱者の狂気』をまとう人は、大抵、失っているんです、護ろうとした大切なモノを、しかも多くが、自分の力及ばず…というような形で」
「だからこその『狂気』なんですよ、次こそ護ろうとして、自分の身さえ省みず、そして、この狂気が根深くなれば『目の前の脅威を排除』するだけに狂うようにもなります」
「多分、妹様がシンさんの狂気に惹かれたのはそれが原因じゃないでしょうかね、『狂ってでもナニカヲ護ろうとしている』狂気なんて、妹様とは縁遠い物でしたから」
「えぇ、多分妹様がシンさんに心をお許しになっているのは自分がその、シンさんにとっての『狂ってでも護ろうとする』何かになりたいのかもしれませんね」
「…495年もの間、妹様の御身の為とは言え地下牢に閉じ込めていたのは事実ですから…… 私達では、妹様を護ると言っても、妹様の御心には響かなくなってますので」
「それが御嬢様がシンさんと妹様の仲を嫌う原因か…ですか? さぁ、私には真実は解りかねますが、そうかもしれませんね」
「御嬢様も、何かと妹様に気をかけておいででしたので、妹様を狂気から解放しようと躍起になっていた時期もありますし」
「御嬢様からすれば、シンさんは妹様が狂気から真に解放される大きなきっかけを作ってくれた功労者であると同時に、大事な妹を誑かす悪い男でもあるんでしょうね」
「ただ、御嬢様も妹様も素直ではありませんのでお互い本音で大事にし合っていても、喧嘩が絶えるのは何時の日になるか……」
「っと、あくまで私の想像でしかありませんからね、間違っても事実として書かないでくださいよ、さ、お話は此処までです、妹様にはお渡ししますのでご安心を」